第5章 資料編 1 横浜市の平均自立期間 平均自立期間の比較  平均自立期間は男性と比べて女性で長い傾向にあり、女性では平成29年、令和2年ともに全ての区で80年以上となっています。 また、令和2年と平成29年の差をみると、男性の瀬谷区及び女性の中区を除いた全ての区で延長しています。 2 特定健康診査・特定保健指導の状況 (1)特定健康診査の受診状況 特定健診の受診者数と受診率  男女年齢階層別の特定健診受診状況をみると、いずれの年齢階層においても男性に比べて女性で受診率が高くなっています。 また、男女ともに年齢が上がるにつれて受診率が高くなる傾向にあり、40代~50代の男性の受診率は特に低い傾向にあります。  区別の特定健診受診状況をみると、令和4年度の受診率は戸塚区が最も高く28.4%、中区が最も低く23.3%となっています。 (2)区別の特定保健指導実施状況 区別の特定保健指導終了率  区別の特定保健指導実施状況をみると、令和4年度の終了率は戸塚区が最も高く13.7%、中区が最も低く5.4%となっています。 3 保健事業の効果検証 (1)特定健診未受診者勧奨事業 ア SMSのメッセージ内容による効果差の検証(事業実施年度:令和元年度) 検証方法・検証結果 【検証方法】  40代~50代の未経験者(過去3年間で特定健診の受診歴のない方)のうち、電話番号保有者を、属性(性・年齢・過去の受診歴等)が均等になるよう4群に分け、標準的なメッセージ群とナッジ理論を活用したメッセージ群(規範メッセージ群/インセンティブメッセージ群/タイムリーメッセージ群)でそれぞれ勧奨を実施し、各群の勧奨効果を検証しました。 【検証結果】  ナッジ理論を活用したメッセージ群は、標準的なメッセージ群と比較して、受診率が高い結果となり、勧奨効果が高いことがわかりました。 イ 特定健診実施機関リストの有無での受診勧奨効果差の検証   (事業実施年度:令和元年度) 検証方法・検証結果 【検証方法】  特定健診の受診券送付時に発送対象者をランダムに2群(特定健診実施機関リストあり/特定健診実施機関リストなし)に分け、受診勧奨後の受診率を比較しました。 【検証結果】  特定健診未経験者(過去3年間で特定健診の受診歴のない方)においては、特定健診実施機関リストの掲載があるほうが受診率が高い結果となりました。また、この結果は高齢者層でより顕著でした。 ウ はがきとSMSによる特定健診受診勧奨の効果差の検証   (事業実施年度:令和2年度) 検証方法・検証結果 【検証方法】  電話番号保有者を属性(性・年齢・過去の受診歴等)が均等になるよう5群に分け、勧奨なし群/はがき勧奨群/SMS1回勧奨群/SMS2回勧奨群/SMS3回勧奨群として勧奨を実施し、各群の勧奨効果を検証しました。  ※3回目勧奨は、緊急事態宣言の発出に伴い中止しました。 【検証結果】  SMS2回勧奨群の受診率が高く、はがきを1回送付するよりもSMSで2回勧奨する方が効果的であることが分かりました。 (2)医師からの受診勧奨事業 ア 資材(チラシ・カード)を活用した医療機関からの特定健診受診勧奨効果の検証   (事業実施年度:令和3年度) 検証方法・検証結果 【検証方法】  医療機関が受診勧奨に活用しやすい資材(チラシ・カード)を作成し、モデル医療機関(4医療機関)において、資材を活用した受診勧奨を実施しました。 その結果により受診者数の増加に繋がったかどうか、モデル医療機関と受診者数が同程度である医療機関を抽出し、受診者数の推移を比較して検証を行いました。 【検証結果】  モデル医療機関(医療機関α・β・γ)の令和2年度~令和3年度の受診者数は類似の医療機関(医療機関A・B・C・D)に比べ、増加または小幅な減少にとどまりました。 なお、モデル医療機関のうち1医療機関については、都合により健診を一時中止していたため検証の対象外としました。 (3)特定保健指導利用勧奨事業 ア 特定保健指導利用勧奨方法(電話・手紙)の違いによる利用勧奨の効果差の検証   (対象:問診票で特定保健指導利用の意向があると回答した方)   (事業実施年度:令和2年度) 検証方法・検証結果 【検証方法】  令和2年9月~11月の特定保健指導対象者のうち、受診勧奨判定値非該当かつ特定保健指導の利用の意向があると問診票で回答した方252人を、勧奨なし群/電話勧奨群/手紙勧奨群の3群に無作為に割り付け、特定保健指導の利用有無について検定し比較しました。  電話勧奨群には、特定保健指導利用券を送付した2週間後に保健師が電話にて勧奨を行いました。手紙勧奨群には、同じく送付した2週間後に勧奨の通知を郵送しました。 【検証結果】  特定保健指導の利用勧奨について、電話及び手紙による勧奨のいずれにおいても、勧奨しない場合と比べて特定保健指導の利用率に違いは認められませんでした。  問診票で特定保健指導利用の意向があると回答した方への利用勧奨は、優先度を低く設定した方が効率的である可能性が示されました。 (4)重症化リスク者適正受診勧奨事業 ア 医療機関への受診勧奨効果の検証   (対象:特定健診受診結果による受診勧奨値該当者及び糖尿病治療中断者)   (事業実施年度:令和3年度) 検証方法・検証結果 【検証方法】  はがきによる医療機関への受診勧奨(令和4年2月)実施後の期間(令和4年3月~5月)に受診に繋がった割合について、事業未実施年度(平成30年度~令和2年度)の同月と比較して検証しました。 【検証結果】  はがきによる医療機関への受診勧奨を実施した後の受診率について、事業未実施年度と比較し、事業実施年度の特定健診受診結果による受診勧奨値該当者(血糖、血圧、脂質)及び糖尿病治療中断者の医療機関への受診率は高い割合となっていました。 そのため、はがきによる医療機関への受診勧奨は一定の効果があったことが推察されます。 4 「健康や特定健診(健康診断)等の調査」の区別回答状況 5 用語の説明 診療報酬明細書(レセプト) 保険医療機関等が診療を行ったときの医療費を、保険者に対して請求する診療報酬請求書に添付する書類です。 患者ごとに毎月一枚作成し、各月に実際に行った診療内容と個々の診療行為に要した費用の額を記入するもので、請求書の明細を示すために作成されます。 国保データベース(KDB)システム 国保データベース(KDB)システムは国保連合会が保険者の委託を受けて行う各種制度の審査支払業務及び保険者事務共同電算業務を通じて管理する「特定健康診査・特定保健指導」、「医療(後期高齢者医療含む)」、「介護保険」等に係る情報を利活用し、統計情報等を保険者向けに情報提供することで、保険者の効率的かつ効果的な保健事業の実務をサポートすることを目的として構築されたシステムです。 健康寿命 健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。 平均自立期間 日常生活に介護を要しない期間の平均を指します。ここでは、介護保険法の要介護認定における1号被保険者(65歳以上)の「要介護2~要介護5」を介護を要する状態としました。 特定健康診査 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健康診査です。 40歳~74歳が対象で、糖尿病や心臓病、脳卒中などの生活習慣病を早期発見し、重症化を防ぐことを目的とします。 特定保健指導 特定健康診査の結果から、生活習慣病の発症リスクが高い人に対して、医師や保健師、管理栄養士等が対象者一人ひとりの身体状況に合わせた生活習慣を見直すためのサポートをすることです。 リスクの程度に応じて、動機付け支援と積極的支援があります。(よりリスクが高い方が積極的支援となります。) メタボリックシンドロームの基準該当及び予備群該当 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪蓄積に加えて、血糖や脂質(HDLコレステロールと中性脂肪)、血圧が一定以上の値を示している場合をいいます。内臓脂肪の蓄積により、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくなります。 このうち、メタボリックシンドローム基準該当とは、腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)に加えて、下記①から③の項目のうち2つ以上該当する場合をいいます。 また、メタボリックシンドローム予備群該当とは、腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)に加えて、下記①から③の項目のうち1つ該当する場合をいいます。 ①血糖:空腹時血糖110㎎/dl以上(HbA1c6.0%以上に相当) ②脂質:中性脂肪150㎎以上又はHDLコレステロール40㎎/dl未満 ③血圧:収縮期血圧130㎜Hg以上又は拡張期血圧85mmHg以上 ※血糖、脂質、血圧で薬の服用がある場合は、それぞれの項目に含めます。 ジェネリック医薬品(後発医薬品) 医薬品の有効成分そのものに対する特許である物質特許が切れた医薬品を、他の製薬会社が製造・供給する医薬品のことです。開発費が大幅に削減できるため、新薬と同じ有効成分・同等の効き目でありながら、薬の価格を低く抑えることができます。 6 関係法令 高齢者の医療の確保に関する法律 高齢者の適切な医療の確保を図るため、医療費適正化推進計画、保険者による健康診査、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者医療制度の創設などについて定めた法律です。 高齢者の医療の確保に関する法律第18条 「特定健康診査等基本指針」について定めています。(以下、1項抜粋) 国は、特定健康診査及び特定保健指導の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針を定めます。 特定健康診査等基本指針 特定健康診査及び特定保健指導の実施方法に関する基本的な事項、特定健康診査及び特定保健指導の実施及びその成果に係る目標に関する基本的な事項並びに特定健康診査等実施計画の作成に関する重要事項を定めるものです。 高齢者の医療の確保に関する法律第19条 特定健康診査等実施計画について定めています。 保険者は「特定健康診査等基本指針」に即して、「特定健康診査等実施計画」を定めるものとしています。 医療費適正化計画 「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、国が策定する「医療費適正化基本方針」で示す取組目標・医療費の推計方法に即して、都道府県が「医療費適正化計画」を作成します。 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準 「高齢者の医療の確保に関する法律」の規定に基づき、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準を定めたものです。 《第1条》特定健康診査の項目を定めています。 《第16条》特定健康診査及び特定保健指導の実施の委託に関して定めています。 高齢者の医療の確保に関する法律第28条 特定健康診査及び特定保健指導の実施の委託に関して定めています。 保険者は、特定健康診査等について、健康保険法第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所その他適当と認められるものに対し、その実施を委託することができます。 また保険者は、自らが保存する特定健康診査又は特定保健指導に関する記録の写しその他必要な情報の提供についても定めています。 国民健康保険法第82条 市町村及び組合は、特定健康診査等を行うものとするほか、これらの事業以外の事業であって、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者の自助努力についての支援その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない。(第1項抜粋) 国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針 保険者は、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るための保健事業の実施計画(データヘルス計画)を策定した上で、保健事業の実施及び評価を行うこととしています。