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依存症の基礎知識

最終更新日 2020年10月28日

依存症って何?

専門医からのコラム記事~ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存について~
依存症とは     アルコール依存症とは     薬物依存症とは     ギャンブル依存症とは
その他の依存症(ゲーム障害など)     治療方法
 

 

国立病院機構久里浜医療センター 精神科医長/精神保健指定医 松﨑 尊信 先生よりご執筆頂きました。

はじめに

行動依存とは、『ある行動が自分や他の人にとって害があるにもかかわらず、行動したいという強い欲求や誘惑を抑えることができない』という状態を指します。‘繰り返す行動パターン’が特徴で、これによって、生活に様々な支障をきたします。アルコールや大麻・覚醒剤などの物質依存の人では、飲酒や薬物使用の強い欲求に抵抗することが困難ですが、行動依存も同じような特徴を持つといえます。

 ギャンブルへの依存は、行動依存のひとつとして認知されており、ゲームへの依存についても、2019年5月に世界保健機関(WHO)の診断基準である国際疾病分類改訂版(ICD-11)に、『ゲーム障害』という病名で、ギャンブルと同様に行動依存に分類されました。

コラム記事では、ギャンブル等依存症やゲーム障害の基本情報について紹介します。 

ギャンブル等依存症の一般的特徴

ギャンブル(賭博)とは、あるもの(たいていは金銭)を賭けて、より価値のあるものを手にいれる行為を指します。勝ち負けがほとんど偶然に支配されている勝負事です。世の中には、ギャンブルが好きな人もいれば、全くしない人もいます。全くしない人にとっては、ギャンブルのどこが魅力なのだろう、と不思議に思うかもしれません。しかし、ギャンブルをしない人でも、なにかの争いごと(例えば、スポーツでもケンカでも)で、負けるのが好きな人はあまりいないでしょうし、生活には経済的な問題も関わりますから、お金はないよりはあった方がよいでしょう。ギャンブルは、勝てば大金を手に入れられることから、人間の本能的な欲求を刺激します。そして、ギャンブルの一攫千金の魅力に一旦取り憑かれると、ギャンブルをやめて地道な生活に戻るのはなかなか難しいようです。日本でギャンブルは刑法で禁止されていますが、競馬、競輪、競艇、オートレースは、その公益性から公営競技として開催が許可されています。パチンコ・スロットは法律的には遊技と位置づけられていますが、射幸性や換金性といったギャンブルの要素を含みます。また、仲間内での賭け麻雀や賭けゴルフ、裏カジノといった非合法のギャンブル、過剰なレバレッジをかけたFX(外国為替証拠金取引)などに陥るケースもあります。

 ギャンブル等依存症の特徴は、ギャンブル等が自分や他の人にとって有害で、人生に大きな損害が生じるにも関わらず、ギャンブル等を続けたいという誘惑や衝動が抑えられない点です。勝ちを追い求めて、最後には掛け金をたいてい失ってしまいますが、そのような行為を人に隠し(時には嘘までつきます)、手持ち資金を使い果たしてしまいます。それでも負けを取り戻すために借金をしてまでギャンブル等にのめり込み、次第に借金額が膨らみます。挙げ句の果てに、借金すらもできなくなり、やむなく窃盗、横領や詐欺行為といった違法行為に手を染めてしまうこともあります。最終的には生活が破綻し、家族離散、懲戒解雇、逮捕や自殺など深刻な事態に至ることもあります。

ゲーム障害の一般的特徴

ゲームは、大人も子どもも楽しめる、熱中しやすい遊びです。しかし、はまり過ぎると様々な問題が出現し、病的な状態(=ゲーム障害)を引き起こします。WHOの診断基準(ICD-11)では、ゲーム障害の臨床的特徴として、

○ゲームの頻度や時間などのコントロールができない。
○他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを選ぶほどゲームを優先する。
○問題が起きているがゲームを続ける。またはより多くゲームをする。
○ゲームのためにひどく悩んでいる。または、学業上及び職業上の問題が生じており、ご本人や家族に影響が出ている。

と記述しています。その結果として

○体力低下、運動不足、骨密度低下などの身体的問題
○睡眠障害、ひきこもり、意欲低下などの精神的問題
○遅刻、欠席、成績低下などの学業上の問題
○浪費や借金などの経済的問題
○家庭内の暴言・暴力などの家族問題

などの様々な問題を引き起こすことが報告されています。

専門医療機関での治療

依存症の治療を終了しても、また同じ行動を何度も繰り返してしまうことがあり、これをスリップといいます。依存症からの回復の過程では、スリップを経験することはよくあります。しかし、一旦スリップすると、本人は罪悪感を感じて自分を責めてしまうことがあります。ここで、あまり悲観せず、回復によくあることだと考え、次にどう対処したらよいかを考える機会にするとよいでしょう。家族も、本人を責める気持ちが芽生えると思いますが、回復には時間がかかると理解し、スリップをどう次の行動に生かすか、本人と一緒に考えていきましょう。

当事者への関わり方の工夫

ギャンブル等依存症の進行過程で借金が発覚した場合、家族は「早く返済しなくては」などといった気持ちから、借金を肩代わりして問題を解決しようとします。しかし、しばらくすると本人がまたギャンブル等→借金を繰り返す悪循環に陥るケースが多いです。借金の肩代わりは、回復の機会を奪いかねませんので、家族は借金の肩代わりをしない方がよいでしょう。
 ゲーム障害の子どもでは、生活習慣の乱れ、不登校や成績低下などの深刻な問題が生じてしまい、家族も心の余裕を持てないケースが多いようです。まず、家族が心の健康を保つこと、不安な気持ちや悩みなどを誰かに話すだけでも、気持ちが楽になることがあります。

地域の社会資源

依存症の回復には、当事者同士の支えが有効です。ギャンブル等依存症には、各地でGAという自助グループや家族会などの民間団体が活動していますので、一度参加されてはどうでしょうか。また、医学的な問題だけでなく、借金や住居、就労などの生活支援も必要な場合があります。それぞれのケースに応じて、行政などの福祉、弁護士や司法書士などの司法機関、ハローワークなどの就労支援機関と連携をとるとよいでしょう。 

まとめ

ギャンブル等依存症やゲーム障害の基本的な情報について紹介しました。行動依存は本人も問題に気づきにくく、家族も相談をためらうことが多いようです。対応方法や今後の方針など、困ったときには、まずは横浜市こころの健康相談センター、お住まいの区福祉保健センターの高齢・障害支援課や医療機関に気軽に相談してみましょう。

 (国立病院機構久里浜医療センター 精神科医長/精神保健指定医 松﨑尊信 先生)

コラム記事の同内容のリーフレットを作成しました。(横浜市こころの健康相談センター) 
A3見開きで印刷・ご活用ください。
【リーフレット】ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存について(PDF:1,208KB)

依存症は、お酒や薬物使用などによって大変な問題が起きているのにその行為がやめられない病気(1)のことを指します。たとえば、お酒を飲み続けてからだにいろいろな不調が生じているのにお酒を飲み続けたり、ギャンブルで高額の借金を作ってしまっているにもかかわらず、ギャンブルがやめられない様子があると、この病気があてはまる可能性があります。もともとはアルコールや薬物などの“もの”に対して起きる病気だと考えられていましたが、最近ではギャンブルなどの“行為”に対しても依存があるといった説も出てきました(2)。

依存症というと、「意志が弱い人がかかる病気」だと思う人もいるかもしれません。しかし、最新の研究からこれは間違いであることが科学的に示されるようになってきました。依存症は様々な要素が複雑に絡みあった、誰もがかかる可能性のある病気であり、やめるためには意志の強さではなく、専門的な支援が必要であると多くの研究や依存症からの回復者は主張しています(3)。

依存症は本人の生活だけでなく、家族などの周囲の人たちも巻き込んで様々な影響をもたらし、時に生活全体を支配してしまうことも知られています。このため、一般的な相談では困っている本人が相談窓口に来ることが多いですが、依存症の場合は本人よりも先に巻き込まれて困っている家族や周囲の人が相談窓口に来ることも珍しくありません。

また、依存症はうつ病(4)やADHD(5)などの他のこころの病気と大きく関係することも徐々に明らかになってきました。そのため、支援の現場では、依存だけでなく、その他のいろいろな問題も視野にいれておくことが重要となることもあります。

こころの健康相談センターでは、アルコール・薬物・ギャンブルをはじめとした問題で悩む横浜市内の方やそのご家族などを対象に、相談を受け付けています。

「自分が依存症じゃないかと思う」「家族の依存症で困っているがどこに相談をしたらいいかわからない」「専門治療が受けられるところを紹介してほしい」などなど、依存症に関連する様々なご相談を専門のスタッフが受け付けていますので、ご相談ください(詳しくは、個別相談についてのページをご覧ください)。

<参考資料>
(1)パウル・エンメルカンプ、エレン・ヴェーデル(小林桜児・松本俊彦 訳):アルコール・薬物依存臨床ガイド エビデンスにもとづく理論と治療.金剛出版,2010.p13
(2)磯村毅:新 依存症のカラクリ.東京六法出版,2016.p9
(3)ペトロス・ルヴォーニス、アビゲイル・J・ヘロン 著(松本俊彦 訳):アディクション・ケースブック「物質関連障害および嗜癖性障害群」症例集.星和書店,2015.P32-40
(4)Biederman J, et al: Psychoactive Substance Use Disorders in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD): Effects of ADHD and Psychiatric Comorbidity. Am J Psychiatry, 152: 1652-1658, 1995.
(5)Merikangas KR, et al: Comorbidity of substance use disorders with mood and anxiety disorders: Results of the international consortium in psychiatric epidemiology. Addict Behav, 23(6): 893-907, 1998. 

ひとつ上の“依存症とは”の記事で「問題が起きているにも関わらずやめられない」状態が依存症である、とお伝えしました。それでは、アルコール依存症でいう“やめられない状態”とはどういうものなのでしょうか。

 DSMというアメリカの有名な診断マニュアルの最新版には、アルコール使用障害(注1)の診断基準がこのように書いてあります。

(1)お酒を思っていた以上にたくさん、または長い期間飲んでしまう
(2)お酒を減らそう、またはやめようとして失敗した経験がある
(3)お酒に関連する活動に長い時間をとられてしまう
(4)お酒を飲みたいという強い欲求がある
(5)お酒を飲むことで仕事・学校・家庭で自分の役割を果たすことができない
(6)お酒を飲むことで他人とトラブルを何度も起こしているのに、お酒を飲み続ける
(7)お酒を飲むために仕事や趣味にさく時間が短くなっている
(8)お酒を飲むと危険なことが起こるとわかっているのにお酒を飲み続ける
(9)身体やこころに不調が起きている、または悪化しているのにお酒を飲み続ける
(10)同じ量のお酒では満足できなくなっている
(11)お酒をやめると体の震えや不眠など様々な症状が出現する。また、それを緩和するためにさらにお酒を飲む
(※)1~11のうち二つ以上が最低でも6か月間続いている
(DSM-5(1)「アルコール使用障害」の診断基準より。表現を一部改変)

 お酒を飲み始めるキッカケには様々なものがありますが、「人前で緊張をしないようになる」「嫌なことが忘れられる」「落ち込んでいた気持ちが楽になる」「暇つぶしになる」など、お酒のいい面を信頼して生活をしていた人がほとんどです。この状態は、周囲からは「ふつう」に生活をしているようにしか見えないので、本人がどうしてお酒を飲むのかは周囲には見えてこないことがほとんどです。しかし、長年この生活を続ける中で、生活がお酒に支配されるように次第に変わっていき、お酒の悪い面が目立つようになることがあります。

 この、「お酒の悪い面が目立っている状態」が一般に“アルコール依存症”と呼ばれているものです。こうなってくると、周囲の目には悪い面が目立つため「なんでお酒を飲むんだ」と不思議に見えるのですが、お酒を飲んでいる本人にはきちんといい面も見えているので、周囲と本人との間にギャップが生まれてしまいます。

 長期の飲酒は、気持ちの落ち込みやイライラ、不眠、記憶力や作業効率の低下を招いたり、肝臓・すい臓・心臓などの臓器へダメージを与えるだけでなく、多くの病気(糖尿病・肥満・うつなど…)を悪化させる原因にもつながります。そのまま飲み続けると最悪の場合死んでしまう可能性もあるため、現実的な選択肢として断酒も含めたお酒とのかかわり方の見直しが必要となるケースがほとんどです。

 しかし、お酒を“やめられない”という状態に注目してみると、単にお酒をやめさせるだけではお酒という生きるための“つえ”を奪うことになってしまう可能性もあります。実際、アルコール依存症者の自殺は治療初期や断酒開始直後に多く発生しやすいという研究(2)もあるほどです。そのため、ご本人の回復のためにはお酒とのかかわり方の見直しと同時にお酒の代わりになる新しい“つえ”を作っていくことも大切です。

 お酒のことで周囲から指摘をされていたり、困っていたりしたら、是非ともこころの健康相談センターにお電話ください(045-671-4408)。相談をすることはとても勇気がいることですが、支援者と一緒に考えていくことで、一歩ずつ解決への糸口を見出していくことが出来ます(詳しくは、個別相談のページをご覧ください)。
(注1)アルコール依存症は、正式な医療用語では “アルコール使用障害”と呼ばれています。

<参考資料>
(1)American Psychiatric Association(日本精神神経学会(監修)):DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014.
(2)白倉克之、樋口進、和田清:アルコール・薬物関連障害の診断・治療ガイドライン.じほう,2002.

みなさんは、薬物依存症と聞くとどういうイメージがあるでしょうか?実際に薬物依存症についての相談をご家族から伺っていると、「まさかあの人が」とおっしゃるかたが驚くほど多いと感じます。

 ご相談内容は実に多岐にわたっていて、薬物という言葉から一般的にイメージすることの多い“覚せい剤”“マリファナ(大麻)”“コカイン”“ヘロイン”といった違法薬物だけでなく、精神科などで処方される処方薬(特に“抗不安薬”と呼ばれるもの)や市販薬(咳止め薬など)がやめられないといったご相談も多くあります。

 これらの薬物は使用していると様々な副作用が出てきます。中には幻覚(あるはずのないものが見える/聴こえる)、妄想(「監視されている」など健康な人ではありえないとわかることを信じきっている)などのほか、優しかったはずの人が攻撃的になったり、普段であれば絶対とらない行動(盗み、喧嘩、嘘、欠勤など)をとってしまうことさえあります。

 さらに、一定期間薬物の使用を続けてしまうと、身体の中にその薬物があることがあたりまえになってしまうため、逆に薬物がなくなることでひどく体調を崩してしまったり、薬物を使わなければ活動ができなくなってしまうこともあります。

 本人やご家族が相談にいらっしゃるのも多くがこの状態になった時で、違法薬物の場合であれば、逮捕されたことで家族が初めて本人の薬物使用を知ったケースがあるほか、心身の不調を訴えて全く別の病院を受診したら薬物使用を指摘されたというケースも珍しくありません。

 また、家庭や職場でのトラブルが起きやすいのもこの時期です。本人はつらい副作用や離脱症状に悩まされていたり日常生活に支障が出てきます。そのため、本人としては「薬があればいつもみたいに生活できる/辛い思いから解放される」と考える様になってしまい、次第に生活の中で薬の優先順位が上がり、反対にそれまで大切だったはずの家族や仕事などをないがしろにしてしまうようになります。

 しかし、薬物を使用し始めるきっかけは、「仕事がうまくいって普通の生活がしたい」「痛みや辛い思い出を忘れて普通に生活したい」など、誰もが「こうなったらいいのに…」と思うような、自身が抱えている問題を解決しようとする必死の努力であることが珍しくありません。そのため、薬物依存症で悩む人のほとんどは「使っても地獄、やめても地獄」の板挟みで薬物使用を続けていると言われています。薬物依存症の治療で有名な精神科医の松本俊彦先生の言葉(1)に、次のようなものがあります。

 『筆者(松本先生)が担当する薬物依存症専門外来は、初診の申し込みをメールで受け付けるシステムとなっているが、かねてから筆者は、薬物依存症本人から届くメールにはなぜか2つの特徴があることが気になっていた。1つは、深夜に送信されるメールが多いこと、そしてもう1つは、メール送信日は彼らの誕生日前後が多いということだった。この2つの特徴は我々にあるイメージを彷彿させずにはおかない。それは、一見、居直って薬物を使い続けながらも、深夜、「もうすぐ××歳になるというのに、このままでよいのか」と迷う孤独な薬物依存症者の姿である。その迷いを希望に変えるのは治療や支援であって、おそらく罰ではない。』

 ご自身や、周囲の人の薬物使用で困ったり悩んでいることがあれば、ぜひこころの健康相談センター(045-671-4408)までご連絡ください。薬物依存症は決して意思の弱さや恥ずかしい病気でもありません。薬物使用を非難されたり、ご相談内容が外部に知られることはありませんので、ほんの少しだけ勇気を出して一度相談をしてみませんか?(詳しくは、個別相談についてのページをご覧ください)

<参考資料>
(1)松本俊彦.専門医でなくてもできる薬物依存症治療.精神科治療学32(11): 1405-1412.2017.

ギャンブル依存症(ギャンブル障害)は、アルコールや薬物といった“モノ”への依存と比べると比較的新しいのですが、現代では“行動に対する依存”として依存症の一つに分類されています。でも、アルコールや薬物と違って、何も摂取していないのにどうして依存症になるのでしょうか?また、ギャンブルへの“依存”とはどういう状態を指すのでしょうか?

 ギャンブル依存症の人たちの自助グループである「ギャンブラーズ・アノニマス」のホームページには、ギャンブル依存症について「ギャンブルが原因で生活のいたるところで問題を起こし、もはや自分の力でギャンブルをやめることはおろか、コントロールすることもできない」状態だと説明しています(1)(ホームページ上では強迫的ギャンブラーと書いてありますが、これはギャンブル依存症とほぼ同じ意味です)。

 ここでいう“生活のいたるところで問題を起こす”とは、例えばギャンブルのために借金をしてしまったり、本来ギャンブルに使わないはずのお金を使ってしまうといった行為のほか、ギャンブルのために他の人との予定を変更して周囲を振り回す、仕事中にギャンブルに行く、ギャンブルの負けをギャンブルで取り戻そうとするといった行為が継続しているとギャンブル依存症に当てはまる可能性が高くなります。

 かつてギャンブル依存症が病気だと認識されるまでは、これらは単なる意思の弱さだと思われていました。しかし、実際にはギャンブルもアルコールや薬物と同じように脳に影響を与えるような強い依存性があり、単なる意思の力では抵抗できないほど生活がギャンブルに支配されてしまうことが起きうることが明らかになってきました。

 こうなってしまうと、周囲にギャンブルの問題を隠し、日常生活を維持しようとして、まるで義務のようにギャンブルをするようになってしまう事さえあります。ギャンブル依存症の人たちの多くが嘘をつくのはこのような理由で、「悪いことをしていて、まずいとわかっている」からです。

 そして、問題を隠すためさらにギャンブルをした結果、問題が悪化してしまい、手に負えなくなったところで初めて周囲に問題を告白するのですが、この時にどういう対策をとるかがギャンブル依存症からの回復ではとても重要になってきます。代表的なものは借金への対処です。周囲の人は本人に「二度とやらない」と約束をさせたり、本人の更生への想いを信じて借金を代理で返済してしまうことが多いのですが、先にも述べたようにギャンブル依存症は意思や我慢で解決できることではなく、本人や周囲のこのような期待は失望に変わることが珍しくありません。

 そのため、ギャンブル依存症の本人たちに回復してもらうためには、ギャンブルの結果生じた借金を家族が代わりに返すのではなく、自分で返せるような方法を一緒に考えることと、同時に専門的な治療を受けることが必要であると言われています(2)。

 ギャンブル依存症は病気であり、無反省に見えても実際にはご本人たちもうまくいかないことに深く悩んでいます。それゆえ、周囲が責めたり、逆に頑張るよう励ますことで結果的に本人たちを苦しめてしまうかもしれません。相談に来るのはとても勇気がいることですが、まずは専門相談に行って、どうしたらいいかを考えていくことが大切です。こころの健康相談センターでもご相談をお受けしております(045-671-4408)ので、ご自身や周囲のギャンブルのことで悩んでいたら、ぜひ一度ご連絡ください。相談は解決の第一歩です!(詳しくは、個別相談についてのページをご覧ください)

<ギャンブル依存症簡易チェックリスト>(Room et al., 1999(3)より 日本語訳 横浜市こころの健康相談センター)
 ⇒過去12か月であなたに当てはまる項目にチェックを入れてください
 □ ギャンブル等で予定以上の金額・時間を費やしてしまったことがありますか
 □ あなたのギャンブル等を周囲の人から批判されたことがありますか
 □ お金を巡る口論は、主にあなたのギャンブル等に関することですか
 □ 自分のギャンブル等について罪悪感を感じたことがありますか
 □ ギャンブル等で負けているのに、勝っていると主張したことがありますか
 ⇒2個以上当てはまる人は、ギャンブル依存症の可能性があります

<参考資料>
(1)GA日本紹介チラシ.ギャンブラーズ・アノニマス ホームページより.
(2)蒲生裕司.よくわかるギャンブル障害本人のせいにしない回復・支援.星和書店.2017.
(3)Room. R., et al. Community effects of the opening of the Niagara casino. Addiction, 94(10): 1449-1466. 1999.

 

“依存症”を正式な診断名に限らずにより広い意味で考えてみた場合、お酒、薬物やギャンブルの他にも、様々なものが依存症になり得ると言われています。例として、近年依存症ではないかと注目されるようになってきたものの中には、窃盗、性的な行動、買い物、ゲームやインターネットなどがあります(1)。これらは、いずれも依存症の特徴であるコントロール障害(自分の意思で制御できなくなること)が生じる可能性があります。

 2018年6月には、WHO(世界保健機関)が最新の疾病の分類(ICD-11)を公開しましたが、その中に新しくゲーム障害(原文:Gaming Disorder)という疾患が掲載されました(2)。これは、1.ゲームの頻度や時間などをコントロールすることができない、2.ゲームのために日常生活や社会生活がおろそかになってしまっている、3.色々な弊害が生じているにもかかわらずゲームをやめることができない、といった状態を指すと記載されています。

 この基準は、ゲームだけでなく、買い物などの他のことでも、依存症かどうかを判断する一つの指標として考えることが可能です。実際の相談の現場では

1.買い物などある行為の頻度や時間、金額などが過剰かどうか
2.そのために生活に支障が出ているかどうか
3.問題が起きているのにその行為をやめることができないかどうか

の3点を相談員が詳しくうかがい、どのような支援が必要かを考えていきます。

  また、これに加えて、ご相談者や周囲の人の生活状況を詳しくうかがうことで、依存の背景にある様々な問題を整理し、適切な支援体制を構築していきます。例えば、中には発達障害といった本人の特性が影響していたり、思春期の様々な葛藤、学校/職場や友人/家族関係の問題などが関係していることも珍しくありません。

 横浜市こころの健康相談センターでは、アルコール・薬物・ギャンブル以外でも、依存症に関する様々なご相談を受け付けています(045-671-4408)。専門の相談員が話を伺い、ご相談内容に応じて適切な相談・支援機関をご紹介させていただきますので、ご自身や周囲の依存症じゃないかなと思うご様子で悩んでいたら、ぜひ一度ご相談ください(詳しくは、個別相談についてのページをご覧ください)。

※ICD-11は現在英語版のみ公表されており、日本語訳はこころの健康相談センターの独自作成です。

<参考資料>
(1)成瀬暢也.病としての依存と嗜癖.こころの科学182(7):17-21.2015.
(2)International Classification of Diseases 11th Revision.WHOホームページより.
 

一口に「依存症の治療」と言っても、治療は様々です。例えば、依存症からの回復には以下のようなことを行っていきます

1.からだの治療・・・長い期間の依存行動(※)でボロボロになってしまったからだを健康な状態に近づけていきます
2.こころの治療・・・依存行動によって出てきた/悪化したうつや不安感を少しずつ解消していきます
3.欲求との付き合い方・・・回復していくなかで、再度アルコール・薬物・ギャンブルなどを使いたくなってしまった時の対処方法を学んでいきます
4.周囲との関係の修復、社会生活の再開・・・依存行動によって傷ついた周囲との関係を修復していきます
5.そのほかの様々な生きづらさへの対応・・・過去のトラウマ体験や、発達障害など、その人が抱えている生きづらさに少しずつ対応していきます

 このように、依存症からの回復のためには、単純に病院を受診するだけではなく、ご本人の困りごとに合わせて支援の仕方を考えていくことが最も重要です。同時に、依存症の当事者に関わる家族も少しずつ自分の生活を取り戻すなど、家族自身の回復についても取り組む必要がある場合も少なくありません。

 また、回復への活動を続けている中で依存行動が再発(やめていたお酒、ギャンブル、薬物を再開)してしまうのはよくある話です。例えば、アルコール依存症や薬物依存症の人たちが治療を開始してから、安定して断酒/断薬するまでには平均して8年ほどかかり、その間で平均3~4回再発するといった研究(1)や、入院治療を受けた患者の4分の3以上が退院後1年以内に再発しているといった研究(2)もあるほどです。

 再発、と聞くと「治療が上手くいかなかった」と考えてしまいがちですが、治療を続けていく上で再発は決して珍しくなく、むしろ再発について積極的に支援者に話していくことが、回復のためにはとても大切です。そして家族も再発しても決して気落ちせず、その時にどうするかを支援者と相談しながら対策を立てておくことをお勧めします!

 アルコール・薬物・ギャンブルなどの問題で「どこに相談をしたらいいかわからない」、「再発した時の対策をどうやって考えたらいいかわからない」と言ったことでお悩みのかたは、ぜひ一度横浜市こころの健康相談センターまでご相談ください(045-671-4408)。(詳しくは、個別相談についてのページをご覧ください)
※ 依存行動:飲酒、薬物使用、ギャンブルなど

<参考資料>
(1)Dennis ML et al. The duration and correlates of addiction and treatment careers. J Subst Abuse Treat. 2005;28 Suppl 1:S51-62
(2)Brown SA et al. The role of alcohol in adolescent relapse and outcome. J Psychoactive Drugs. 2000 Jan-Mar;32(1):107-15

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