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突発性発疹について

最終更新日 2019年6月13日

流行は?

世界中で見られる感染症です。主として(ヒト)ヘルペスウイルス6-B(HHV6-B)によって起こされます。アメリカ合衆国では、こどもたちの12-30%が突発性発疹にかかります。ところが、HHV6-Bに対する抗体は、1歳までに86%のこどもが獲得し、4歳までにはほとんどのこどもが獲得します。アメリカ合衆国では、HHV6-Bに感染しても、発熱・発疹といった突発性発疹特有の症状をいずれか欠いたり、症状らしい症状が出ない不顕性感染の場合などが、かなりあるようです。アメリカ合衆国では、HHV6-Bに感染しても、70%で典型的な発疹は現れないとされています。アメリカ合衆国では、1年中、突発性発疹の発生が見られますが、春と秋に発生が多いです。

11カ国の妊娠中の女性のHHV6-Bに対する抗体の有無を研究したフランスのRangerらの研究(参考文献4)があります。フランスで76%が、低い国では、モロッコで20%が、高い国では、エクアドルで92%がHHV6-Bに対する抗体を持っていたということです。HHV6-Bの感染については、国や人種による差がかなりあるようです。

横浜市では、1年中、突発性発疹の発生が見られますが、季節的な変動は見られません。
日本全体でも、同様な状況です。

日本においては、突発性発疹は、感染症法での5類の小児科定点把握疾患であり、全国約3000の小児科定点医療機関で患者発生が把握されています(突発性発疹の届出基準はこちらのページから)。2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり突発性発疹患者年間年齢別発生報告数は、下のグラフのとおりです。年齢別では、生後6か月以上1歳未満の赤ちゃんが最も多いです。次いで、一歳の幼児、生後6か月未満の赤ちゃんの発生が多いです。

グラフ(2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり突発性発疹患者年間年齢別発生報告数)

どんな病気?

HHV6-Bによる感染を確認した突発性発疹の患児176人の症状・経過を研究した日本のAsanoらの研究(参考文献5)があります。平均月齢7.3か月の乳幼児が、98%で発熱を起こします。発熱の最高体温の平均は39.4度に達します。発熱は平均4.1日間続きます。熱が下がるとともに、赤い斑あるいは丘疹といった発疹が、98%で出現します。発疹の出現するのは顔や胴の部分で、平均3.8日で消えます。発熱・発疹以外の症状としては、軽い下痢が68%、咳が50%、首のリンパ節の腫れが31%、大泉門膨隆が26%、痙攣(けいれん)が8%で見られます。

潜伏期は、約9日(5-15日)です。

しばしば、下痢を伴います。下痢と発熱のために、脱水気味になることもあるので、十分に水分を補給しましょう。

発熱と発疹とを伴う感染症は他にもいろいろありますが、たいてい発熱中に発疹が出現します。熱が下がり、体温が正常になってから発疹が出現するのは、突発性発疹の特徴です。最初の発熱だけの期間は、はっきりとした診断が難しく、発疹が出現してから突発性発疹の診断が下る場合が多いです。突発性発疹は、発疹を伴う感染症の末っ子的存在です。突発性発疹は、英語でsixth disease(第六病)とも呼ばれます。麻疹は第一病、風疹は第三病、伝染性紅斑は第五病とも呼ばれます。

病原体は?

病原体は、(ヒト)ヘルペスウイルス6-B(HHV6-B)です。HHV6-Bに初めて感染したときには、突発性発疹として発病することが多いです。このときの症状にはかなり個人差があり、発疹が出現しない場合や不顕性感染といって症状がない場合もあります。このとき、欧米に比較すると、日本人では、典型的な突発性発疹の症状が出やすいようです。このHHV6-Bの初めての感染(突発性発疹)が治った後も、患者の唾液腺でHHV6-Bは増殖しつづけ、唾液の中にHHV6-Bが出続けます。この唾液の中のHHV6-Bによって、周囲の人への感染が起こると考えられます。

また、エイズ患者や臓器移殖を受けた人のように、免疫が抑制された状態の人たちでは、HHV6-Bの初めての感染(突発性発疹)が治った後体内で休眠状態にあったHHV6-Bが再び活性化し感染を起こすことがあります。免疫が抑制された状態の人たちで、通常では起こりえない感染が起こってしまうとき、その感染を日和見(ひよりみ)感染と言います。免疫が抑制された状態の人たちに日和見感染を起こすことがあるウイルスとして(ヒト)サイトメガロウイルスやHHV7、HHV6-AとともにHHV6-Bは知られています。免疫が抑制された状態の人たちの日和見感染の研究の中でHHV6-B等の研究が進んだ側面もあります。

さて、薬剤性過敏症症候群( DIHS : drug-induced hypersensitivity syndrome )は、発熱、肝臓障害、白血球数増加、リンパ節腫脹等を伴う重症の薬疹です。この薬剤性過敏症症候群では多くの場合、発症後2-3週間後にHHV6-Bの再活性化を生じ症状の再燃をみることがあります。原因薬剤は、抗けいれん剤、ジアフェニルスルファン、サラゾスルファピリジン、アロプリノール、ミノサイクリン、メキシレチンであることが多く、発症までの内服期間は2-6週間が多いです。

HHV6-Bに対する抗体価は、新生児で高く、誕生後3-9か月で減少し、その後急激に上昇し、60歳以上までそのまま高い価を保ちます。これは、赤ちゃんは生まれてからしばらくの間母親からのHHV6-Bに対する抗体を保有していますが、その抗体が消失するとともに大部分が1歳までにHHV6-Bに感染してしまうことを示しています。

HHV7(ヒトヘルペスウイルス7)も突発性発疹の病原体とされています。但し、HHV6-Bに比べると、頻度は少なく、感染する年齢もより高いです。

HHV6は、HHV6-A(variant A)とHHV6-B(variant B)とに分類されます。HHV6-Bは突発性発疹の病原体として知られていますが、免疫が抑制されていない人に対するHHV6-Aの病原性はよくわかっていません。ただし、アフリカのザンビアでは、HHV6-Aは、乳幼児が生まれて初めてかかる発熱性疾患の病原体の一つです。HHV6-Aに感染した乳幼児では、発熱以外にも気道感染症症状や発疹等が見られました。また、HHV6-AやHHV6-Bは、エイズ患者や臓器移殖を受けた人のように、免疫が抑制された状態の人たちに日和見感染を起こすことがあるウイルスとして知られています。免疫が抑制された状態の人たちでは、発熱、発疹、肺炎、肝炎、脳炎等を起こし死に至ることもあります。臓器移殖後2-4週間で、HHV6-AやHHV6-Bの感染や再活性化を起こすことがあります。さらに、HHV6-AやHHV6-Bが病因に関係があるかもしれない病気として、多発性硬化症があります。なお、HHV6-Bと違って、HHV6-Aは患者の唾液腺では増殖しません。

予防のためには・・・

突発性発疹の予防接種(ワクチン)はありません。

赤ちゃんがかかる場合が大部分であることから、アメリカ合衆国では、俗に「赤ちゃんはしか(baby measles)」と呼ばれたりします。日本の学校保健法は、赤ちゃんを対象には考えていないため、登校基準の規定もありません。

常に赤ちゃんの身近にいる親や兄弟の唾液の中にHHV6-Bが出ているのならば、HHV6-Bによる赤ちゃんの感染を防ぐのは困難です。母親からの免疫がなくなった時点で赤ちゃんは、HHV6-Bに感染するでしょう。そのため、赤ちゃんが生まれて初めて高熱を出す病気が突発性発疹であることは多いです。

参考文献

  1. 藤山幹子、橋本公二: DIHS ; drug-induced hypersensitivity syndrome : 日本医事新報 No.4275 (2006年4月1日)、p.62-66.
  2. Giuseppe Gentile: Post-transplant HHV-6 Diseases ; Herpes. 2000 Feb ; 7(1): p.24-27.
  3. Gabriella Campadelli-Fiume, Prisco Mirandola, and Laura Menotti: Human Herpesvirus 6: An Emerging Pathogen ; Emerging Infectious Diseases, Vol. 5, No. 3, May-June 1999, p.353-366.
  4. Ranger S,Patillaud S,Denis F,et al:Seroepidemiology of human herpesvirus-6 in pregnant woman from different parts of the world.J Med Virol 1991 Jul;34(3):p.194-8.
  5. Asano Y,Yoshikawa T,Suga S,et al:Clinical features of infants with primary human herpesvirus 6 infection(exanthem subitum,roseola infantum).Pediatrics 1994 Jan;93(1):p.104-8.
  6. Per Ljungman:β-Herpesvirus Challenges in the Transplant Recipient. ; EXTENDING THE BOUNDARIES OF HERPESVIRUS INFECTIONS: ADVANCES IN THERAPY. CYTOMEGALOVIRUS, HHV-6, HHV-7, and Transplantation. ;The Journal of Infectious Diseases. 15 October 2002;186(Suppl 1):S99-109.
  7. F.C.Kasolo, E.Mpabalwani and U.A.Gompels; Infection with AIDS-related herpesviruses in human immunodeficiency virus-negative infants and endemic childhood Kaposi's sarcoma in Africa. Journal of General Virology (1997),78,p.847-856.

2000年10月10日初掲載
2006年4月25日増補
2008年8月6日増補

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