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フィジーにおける麻疹対策について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。

最終更新日 2019年7月16日

はじめに

フィジー諸島共和国(Republic of the Fiji Islands)は、南太平洋の島々に存在する海洋国家の一つで、オーストラリアの東方、ニュージーランドの北方に位置します。人口が832,432人(2006年推計)と南太平洋の島々に存在する海洋国家の中では多く、面積は1万8,333km2で四国とほぼ同じ大きさです。このフィジーで、2006年の2月から5月にかけて麻疹の流行がありましたが、衛生当局による麻疹対策の実施により終息しました。このページでは、フィジーにおける麻疹対策をご紹介します。

フィジーにおける麻疹予防接種制度

フィジーは、WHO(世界保健機関)の地域区分では、西太平洋地域に属します。WHOの西太平洋地域事務局は、2012年までに地域内の麻疹の発生をなくすために、二回の麻疹予防接種を95%以上のこどもが受けるようにすることを西太平洋地域の国々に勧告しています。

フィジーは、9ヶ月児に一回接種という麻疹予防接種制度を1982年に導入しています。麻疹予防接種率は、1982年から1998年まででは、20%から80%まで上昇しました。

2003年には、12ヶ月児と6歳児とに計2回の麻疹・風疹混合ワクチンを接種する制度が導入されました。2回目の6歳児に対する麻疹・風疹混合ワクチンの接種は小学校入学にあたり必要なものとされました。2003-2004年には、6-11歳児を対象とした麻疹・風疹混合ワクチンの追加接種が行われました。1回目の麻疹の予防接種の接種率は2001-2004年は平均で83%でした。2005年には、12-23ヶ月児の調査では、1回目の麻疹の予防接種の接種率は80%でした。

フィジーにおける麻疹発生状況

2006年の2-5月の麻疹の流行以前で、最後の検査で確定された麻疹の流行は、1997年に起きています。1997年9月から1998年4月まで流行は続き955人の患者が発生しています。86%は、15歳未満のこどもでした。この流行以降、2006年の2-5月の麻疹の流行まで、検査で確定された麻疹患者の報告はありませんでした。

さて、2006年2月17日、麻疹の疑いで3人の乳幼児が病院に入院したとの報告をフィジーの保健省が受け取りました。この3人の乳幼児はいずれも西部地区のNadiの国際空港の付近に住んでいて、発疹の出現は2006年2月8日および11日でした。2006年2月23日、国立の検査施設におけるIgM抗体検査で麻疹であることが確定されました。

2006年2月17日から2006年6月9日までに、麻疹の疑いで132人の患者発生の報告をフィジーの保健省が受け取りました。この内22人については、IgM抗体検査で麻疹であることが確定されています。2006年8月8日の時点では、5月21日に発疹が出現した患者が、この流行の最後の患者発生だと考えられています。132人の患者の内、119人(90%)が、西部地区の住民でした。西部地区の中でも1小地区に患者の集中が見られ、58人と全体(132人)の44%を占めました。この小地区での1回目の麻疹の予防接種の接種率は2004年に49%、2005年に68%と低かったです。

患者全体(132人)の58%が5歳未満でした。罹患率が最も高かったのは、6-11ヶ月児で、0.378%(6-11ヶ月児総数8722人に対して患者33人)でした。6-11ヶ月児の患者は、患者全体(132人)の25%を占めています。12-59ヶ月児の41人の患者の予防接種歴については、保健省によると、1回目の麻疹の予防接種を受けていた者が12人(29%)、受けていなかった者が10人(24%)、どちらか不明の者が19人(46%)でした。また、患者全体(132人)の24%(31人)が、主として肺炎のために入院しました。麻疹による死亡は報告されていません。

流行に対応した予防接種対策

患者の60%以上を占め、重症にもなりやすい6ヶ月から5歳11ヶ月までの乳幼児91595人が、2006年3月20日から2006年5月3日まで麻疹・風疹混合ワクチンの接種対象とされました。すべての行政地区で95%以上の接種率が目標とされました。2006年5月24日の時点で、接種対象91595人の内、89747人(98.0%)が麻疹・風疹混合ワクチンの接種を受けています。フィジーの30の小地区の内、95%未満の接種率となったのは、二つの小地区だけでした。中央部地区内のSuvaで91%、北部地区内のMacuataで90%でした。麻疹・風疹混合ワクチンの接種による深刻な副反応の報告はありませんでした。

流行に対応した予防接種対策については、流行の開始から予防接種対策の開始までの期間が短いほど効果が大きいと考えられています。フィジーにおける2006年の2-5月の麻疹の流行においては、2月17日に保健省が最初の麻疹患者発生報告を受けてから約1ヶ月後の3月20日に予防接種対策が開始され、予防接種対策の開始の約2ヶ月後の5月21日に最後の患者の発病が見られることとなり、患者発生数132人で流行の終息に至りました。955人の患者が発生した1997年9月から1998年4月までの前回の麻疹の流行に比べ、患者発生数も少なく流行期間も短かったです。

参考文献

  1. WHO ; Measles outbreak and response in Fiji, February-May 2006. Weekly Epidemiological Record(WER), No. 36, 8 September 2006, 81st year, p. 341-346.
  2. CDC ; Measles outbreak and response --- Fiji, February-May 2006. MMWR, Vol. 55/No. 35, September 8 2006, p. 963-966.

2006年9月22日初掲載

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