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麻疹(はしか)について

最終更新日 2018年8月8日

流行は?

世界中で見られる感染症です。予防接種があまり行われていない国では、2、3年毎に大きな流行を繰り返し、主に晩冬から春にかけて発生を多く見ます。予防接種が多く行われている国では、事情が大分違います。例えば、アメリカ合衆国では、1963年に麻疹ワクチンが認可されましたが、1963年以前は2、3年毎に大きな流行を繰り返し大きな流行の年には年間約50万人の麻疹患者の発生報告と約500人の麻疹による死亡とがありました。しかし、1963年以降は麻疹患者の年間発生報告は激減し、2、3年毎の大きな流行もなくなり、1983年には年間1497人の麻疹患者の発生報告にまで少なくなりました。ところが、1983年以降は、麻疹患者の年間発生報告は再び増加に転じました。すでに1回の麻疹ワクチンの接種を受けた者の間での麻疹の流行、あるいは、1歳未満の乳児の麻疹罹患の増加が見られました。1回の麻疹ワクチンの接種だけでは、完璧に近く流行を防ぐほどの免疫は獲得できず、また、母親も昔の自然に麻疹に感染して免疫を獲得した母親に比べると赤ちゃんに1歳のお誕生日まで持続する十分な免疫(抗体)を伝えられないことが考えられました。そのため、現在では、アメリカ合衆国では、MMRワクチン(麻疹・風疹・ムンプスの三種混合ワクチン)の形で1歳のお誕生日を過ぎた時点で1回と就学前に1回との計2回接種することになっています。アメリカ合衆国では、麻疹予防接種(MMRワクチン)の2回接種の勧告は1989年に出されました。麻疹予防接種率の向上および麻疹予防接種(MMRワクチン)の2回接種化の結果、麻疹患者の年間発生報告は再び減少し、2004年の年間では、37人と史上最低の値となりました。アメリカ合衆国の年間麻疹患者発生数推移のグラフをご覧下さい(下線部をクリックして下さい。)。アメリカ合衆国では、現在でも、散発的に麻疹患者の発生がありますが、患者が外国から麻疹ウイルスを運びこんだ場合とその外国から運びこまれた麻疹ウイルスに感染した場合とが、大部分とされています。日本もアメリカ合衆国への麻疹ウイルスの輸出国の一つとされたことがあります。一方、アメリカ合衆国には、宗教上あるいは信念上等の理由から予防接種を拒否する人たちもいます。外国から運びこまれた麻疹ウイルスをきっかけにそのような集団のなかで麻疹が流行する可能性は依然として残っています。また、アメリカ合衆国では、近年、麻疹患者の発生報告に占める大人の割合が増加して、麻疹がこどもの病気とも言えない状態になっています。

アメリカ合衆国では、麻疹患者の発生報告が2004年の年間では、37人と史上最低の値となったものの、その後、2011年までの統計では、麻疹患者の発生報告が年間37人以下になることがありませんでした(参考文献1)。2004-2011年のアメリカ合衆国の年間麻疹患者発生数推移は下のグラフのとおりです。年間麻疹患者発生数が2008年には140人、2011年には222人とかなりの増加を見せた年もあります。
アメリカ合衆国では、2008年には140人の年間麻疹患者発生数ですが、89%が、外国からの輸入例あるいは輸入例から感染が広がっての患者です。麻疹の流行が見られたヨーロッパの国々からの輸入例が多かったです。76%が20歳未満の患者です。91%が、個人的あるいは信仰上の理由によるワクチン非接種者あるいはワクチン接種状況不明者でした。2008年の年間麻疹患者数の増加は、外国からの輸入例の増加によるわけではなく、輸入例から感染が広がっての患者数の増加によります。輸入例から感染が広がっての患者の多くは、ワクチン接種の対象となる学齢期のこどもでしたが、親がワクチン接種をこどもに受けさせていませんでした。私塾で学んでいるこどもが多く、私塾では学校と違って入学にあたってワクチン接種を必要とされることもありませんでした。
アメリカ合衆国では、2011年には31州で222人の年間麻疹患者発生数であり、年間麻疹患者発生は100万人あたり0.7人でした(参考文献2)。集団発生が17件あり、112人(50%)の患者がこれらの集団発生の患者でした。86%が、ワクチン非接種者(65%)あるいはワクチン接種状況不明者(21%)でした。患者の年齢は、生後3か月から84歳までで、中位数は14歳でした。27人(14%)が生後12か月未満、51人(26%)が1-4歳、42人(21%)が5-19歳、76人(39%)が20歳以上でした。200人(90%)が、外国からの輸入例あるいは輸入例から感染が広がっての患者です。外国からの輸入例は72人であり、内52人が外国旅行した米国在住者であり、内20人が外国人の米国訪問者でした。外国からの輸入例の72人の内、46%はヨーロッパからの輸入例でした。外国からの輸入例の72人が麻疹に罹患した国について、主な国を列挙すると、インド(16人)、フランス(13人)、フィリピン(6人)、英国(5人)、イタリア(4人)でした。なお、日本・韓国からの輸入例は0人、中国からの輸入例は2人でした。

グラフ2: アメリカ合衆国の年間麻疹患者数推移(2004-2011年)

日本においては、2005年度まで麻疹の定期予防接種は一回だけでした。しかし、2006年6月2日から、MRワクチン(麻疹・風疹の二種混合ワクチン)の形での二回接種が基本となりました。接種時期については、第一期は「生後十二月から生後二十四月に至るまでの間にある者」、第二期は、「五歳以上七歳未満の者であって、小学校就学の始期に達する日の一年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの」となっています。横浜市における麻疹・風疹の定期予防接種については、こちらをご参考にしてください(下線部をクリックしてください)。
また、日本の感染症発生動向調査において、2008年1月1日より、麻疹は5類定点把握対象疾患の麻疹(小児科定点把握)及び成人麻疹(基幹定点把握)から5類全数把握対象疾患となりました。日本においては、年間麻疹患者発生報告数は、2008年に11012人、2009年に732人、2010年に447人、2011年に434人と減少しています。なお、2011年の麻疹報告例434件のうち、検査診断例は201件、臨床診断例は123件、修飾麻疹(検査診断例)が110件とのことです。2010-2011年のウイルス検出例はほとんどが輸入例関連あるいは海外流行型株の感染であり、日本は麻疹輸出国から麻疹輸入国になったとされています(参考文献3,4)。日本では2006-2008年に遺伝子型のD5型が国内例から多数検出されましたが、2010年5月を最後に検出されなくなりました。検出される麻疹ウイルスの遺伝子型により、麻疹ワクチンによる反応か、麻疹の発症かの鑑別も可能です。麻疹ワクチンの場合は遺伝子型のA型です。
2010年の日本の性別・年齢階層別年間麻疹患者発生数は下のグラフのとおりです。4歳以下での発生が多いです。すべての年齢階層で発生が見られました。45歳以上の発生は少ないですが、70歳以上でも9人の発生が見られました。

グラフ3: 日本の性別・年齢階層別年間麻疹患者発生数(2010年)

横浜市では、2008年までは、年間を通して麻疹の発生が見られました。但し、他の季節と比べると晩冬から春の季節が発生が多かったようです。

麻疹は、麻疹ワクチン出現前の時代においては、世界中ほとんどどこでも、こども時代にかかる病気でした。15歳までに、90%以上の人たちが感染して免疫を獲得していました。現在においても、発展途上国においては、よく見られ、死亡も見られる病気で、全世界における麻疹による2008年の年間死亡者数は総計164,000人とWHO(世界保健機関)は推計しています。

どんな病気?

鼻やのどの粘膜に麻疹ウイルスが付着、侵入し増殖を始めることによって麻疹の感染が始まります。麻疹の感染が始まってから発疹が出る前の前兆症状まで10-12日(7-14日のこともあります)、麻疹の感染が始まってから発疹が出るまでだと平均で14日(7-18日のこともあります)かかります。前兆症状は、2-4日(1-7日のこともあります)続きます。前兆症状としては、発熱とともに咳や鼻水が出始め、結膜炎を伴うこともあります。熱は38度程度に達しますがやがて下がります。また、麻疹に特徴的なコプリック斑が、前兆症状が始まってから2-4日後に、第一、第二臼歯に対応する頬の内側の口腔粘膜に出現します。コプリック斑は粘膜にまかれた少量の白砂のように見え、周囲の粘膜は赤くなっています。コプリック斑が出現してから1-2日後に発疹が出現し始め、発疹が出現すると1-2日でコプリック斑は消えてきます。

麻疹の発疹は、発疹が出る前の前兆症状が出現してから3-5日後に、出現します。赤い斑状丘疹で、通常5-6日は出現しています。髪の毛の生え際の、耳の前や下、首の脇にまず出現し、顔や上頚部に広がり、24-48時間かけて体幹部や四肢へと広がります。赤い斑状丘疹は不連続ですが、とくに上半身では多くは癒合して、顔が一面真っ赤になることもあります。発疹が出て来ると一度下がっていたものが再び発熱し40度に達することもある高熱が出ますが、3-5日の内に熱は下がり、発疹は出現したのと同じ順序で消えていきます。発疹の跡にはしばらく銅褐色の変色が残りますが、これもやがて消えます。

麻疹の合併症は、5歳未満の乳幼児と20歳以上の大人で起こる確率が高いです。

1985-1992年のアメリカ合衆国のサーベイランス・データによれば、麻疹報告例の、8%で下痢が見られ、7%で中耳炎(こどもで多い)が見られ、6%で肺炎(死因となることもある)が見られました。また、急性の脳炎が0.1%で見られ、発疹出現後の平均6日後(1-15日後のこともあり)に発熱、頭痛、嘔吐、首が固くなる、傾眠、痙攣、昏睡等の症状で出現しました。脳炎となった場合の致死率は15%、何らかの神経学的な障害が残った者25%でした。
1985-1992年のアメリカ合衆国のサーベイランス・データによれば、麻疹報告例の、0.2%で死亡が見られました。小さなこどもや成人での死亡が多かったです。死亡例の60%で肺炎が見られました。死亡例の死因として最も多かったのは、こどもでは肺炎、成人では急性脳炎でした。アメリカ合衆国では、1995年以来、麻疹関連の年間死亡者報告数は平均で1人程度です。

亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)は、脳に麻疹の変異ウイルスが持続的に感染して起きる、まれな中枢神経系の病気です。麻疹に感染してからこの病気を発病するまでの潜伏期間が数年と長く、ゆっくりと進行する遅発性ウイルス感染の一つです。人間の遅発性ウイルス感染としては、他に、JCウイルスによる進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy:PML)が知られています。100万人の麻疹患者発生に対して、5-16人の亜急性硬化性全脳炎(SSPE)患者発生が報告されています。麻疹にかかってから平均で7年後(最短1か月後から最長27年後)に発症します。ワクチン接種の既往のある例は、ワクチン接種の既往がない例に比較して16-20分の1とされています。
SSPEを発症するのは、1歳未満で麻疹に感染した場合や、免疫機能低下状態(ステロイドホルモン・免疫抑制剤・抗がん剤などの長期使用状態など)で麻疹に感染した場合に多いです。免疫の働きが弱い人で、中枢神経系の未発達な幼少期に麻疹に感染すると、中枢神経系にウイルスが持続感染してしまうのではないかとも考えられています。男女比は2:1くらいでやや男児に多いです。SSPEを発症する好発年齢は学童期で、全体の80%を占めます。SSPE患者より分離されるウイルスは通常の麻疹ウイルスとは違っていて、SSPEウイルスあるいは麻疹ウイルスSSPE分離株と呼ばれます。麻疹ウイルスの外被膜のタンパクでは、HタンパクやFタンパクなどが病原性に重要な役割を果たしています。H(hemagglutinin:赤血球凝集素)タンパクは、ウイルスを宿主細胞に吸着させます。F(fusion:融合)タンパクは、ウイルスと宿主細胞を融合させ、ウイルスを宿主細胞に侵入させます。SSPEウイルスは、通常の野生型の麻疹ウイルスと比較すると、ウイルス粒子の形成と細胞からの遊離に重要なM(matrix)タンパクをつくるM遺伝子に特有の変異が起こっています。SSPEウイルスではMタンパクの機能を失っていて、感染性のある遊離ウイルス粒子を産生せず、隣り合う細胞を融合させて感染がゆっくり拡大していきます。次の第一期から第四期までの経過(Jubbourの分類)が見られます。
第一期: 軽度の知的障害(学校の成績低下、記憶力の低下)、性格変化、脱力発作、歩行異常など。
第二期: 四肢が周期的にびくびくと動く不随意運動(ミオクローヌス)。知的障害や歩行障害などの運動障害も著明に。
第三期: 歩行困難。食事摂取不能。自律神経症状(体温の不規則な上昇、唾液分泌の亢進、発汗異常など)。
第四期: 意識消失。全身の筋肉緊張著明亢進。ミオクローヌス消失。自発運動消失。
全経過は通常数年間です。しかし、3-4か月で第四期にいたる急性型(約10%)や、数年以上の経過を示す慢性型(約10%)も見られます。

妊娠中に母親が麻疹にかかると、早産、自然流産、低体重児出産の確率を高めます。但し、麻疹が原因の先天奇形はまれとされています。麻疹は、健康な妊娠・出産のために注意したい感染症の一つです。

修飾麻疹(modified measles)は、免疫グロブリン製剤を麻疹発病予防のために投与された人や、母親からの免疫抗体がまだ残っている乳児、以前に麻疹ワクチンを受けた人などで、麻疹に対する免疫が十分でない場合に麻疹に感染して見られることがあります。修飾麻疹(modified measles)は、通常の麻疹よりも、潜伏期が長かったり、発熱・発疹等の症状が軽かったりします。修飾麻疹(modified measles)は、通常の麻疹よりも感染力は弱いものの、周囲の人への感染源になる可能性がありますので、注意が必要です。

麻疹は、主にこどもたちに見られる赤い発疹を生じる感染症の代表格です。似た病気に風疹がありますが、麻疹は風疹の兄貴分のような立場です。欧米では、麻疹を第一病first disease、9日はしかnine-day measles と言うことがあるのに対して、風疹を第三病third disease、3日はしかthree-day measlesと言うことがあります。

7世紀には、麻疹についての記述が見られます。ただし、麻疹と天然痘とはよく区別されていませんでした。麻疹と天然痘とをはっきり区別したのは、多くの医学書を記述したペルシャの医師Rhazes(RasisあるいはRasiとも;西暦865年8月26日生まれ、西暦925年頃死亡)とされていて、10世紀のことです。

病原体は?

病原体は、パラミキソウイルスに属する麻疹ウイルスです。牛疫や犬のディステンパーといった病気の病原体のウイルスたちが近縁のウイルスです。ウイルスの大きさは、200ナノ・メーターほどです。麻疹ウイルスは、熱、光、酸などによって不活化されやすいです。空中や、ものの表面では数時間でかなりの部分が不活化します。そこで、ものの表面についた麻疹ウイルスを手を介して口や鼻に運ぶよりは、患者が咳をして生じた飛沫を吸い込んで感染してしまう場合の方が多いとされています。麻疹患者が在室して咳をしていた部屋では2時間後位までは、感染力のある飛沫が空中を漂っている可能性があります。患者から他の人に感染する力は強く、患者の身近の麻疹の免疫のない人は90%以上の確率で感染すると言われています。前兆症状が始まってから、発疹出現の4日後位までの間、麻疹ウイルスは、患者の鼻やのどから出てきます。そこで、麻疹は、発疹出現の4日前位から、発疹出現の4日後位までの間に患者から他の人に感染します。

予防のためには・・・

麻疹にかかった人は、学校や職場を休んで、通院以外の外出を控えましょう。学校保健安全法での登校基準は「発疹に伴う発熱が解熱した後三日を経過するまで出席停止とする。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められたときはこの限りではない。」となっています。

よく手を洗うことは、ものの表面についた麻疹ウイルスを手を介して口や鼻に運ぶことを防ぐために役立ちます。しかし、その前に、患者が咳をして生じた飛沫を吸い込んで感染してしまう可能性が高いです。

麻疹にはワクチン(予防接種)があります。かかりつけ医によく相談しましょう。定期予防接種を受けましょう。

麻疹患者との接触後、接触者の麻疹発病のために、接触者に麻疹ワクチンが接種されることがあります。麻疹ウイルスへの曝露後72時間以内の接種であれば、効果が期待できます。

麻疹(あるいはA型肝炎ポリオ)の予防及び症状の軽減のために、人免疫グロブリン(IgG:筋肉注射)が投与されることがあります(参考文献5)。麻疹ウイルスへの曝露後6日以内の注射であれば、効果が期待できます。人免疫グロブリンの注射により、借り物の免疫が出来上がりますが、この免疫はやがて減衰し消えていきます。注射後5か月でこの免疫が消えるので、注射後5か月の時期に麻疹ワクチンの接種をしたら良いでしょう。
なお、人免疫グロブリンの注射を受けた者は、水痘流行性耳下腺炎風疹・麻疹などの生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は注射後3か月以上延期すること。また,生ワクチン接種後14日以内に人免疫グロブリンを投与した場合は、注射後3か月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましいとされています。
人免疫グロブリン(IgG:筋肉注射)については、製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられていますが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができません。人免疫グロブリン(IgG:筋肉注射)の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV‐1抗体、抗HIV‐2抗体及び抗 HTLV‐I 抗体陰性で、かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施しています。更に、プールした試験血漿については、HIV‐1、HBV及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を製造に使用していますが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在します。人免疫グロブリン(IgG:筋肉注射)は、以上の検査に適合した血漿を原料として、Cohnの低温エタノール分画で得た画分からポリエチレングリコール4000処理、DEAEセファデックス処理等により人免疫グロブリンを濃縮・精製した製剤であり、ウイルス不活化・除去を目的として、製造工程において60℃、10時間の液状加熱処理及びウイルス除去膜によるろ過処理を施しています。しかしながら、血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、人免疫グロブリン(IgG:筋肉注射)の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察する必要があります。
また、現在までに人免疫グロブリン(IgG:筋肉注射)の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はありません。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できません。

日本は麻疹輸出国から麻疹輸入国になったとされています(参考文献3,4)。海外渡航前に予防接種を完了して、海外から麻疹ウイルスを持ち帰らないようにしましょう。また、一例でも麻疹疑い患者が発生した場合には、医療機関・保健所(福祉保健センター)と地方衛生研究所・国立感染症研究所とが連携・協力して、確実に検査診断を含む積極的疫学調査を行い、感染の拡大を防ぎましょう。

麻疹ワクチンは、結核に感染している人のツベルクリン反応を1か月間ぐらいは弱めてしまうことが知られています。麻疹ワクチンの後、1か月以内にツベルクリン反応検査を行ってしまうと、本当は陽性のところを陰性と誤って判断してしまう可能性があります。この危険をさけるためには、ツベルクリン反応検査を麻疹ワクチン接種に優先して行う、あるいは、ツベルクリン反応検査を麻疹ワクチン接種の4-6週間後に行うことが必要です。

参考ウェブページ

  1. 横浜市感染症臨時情報
    【麻しん(はしか)の流行について】-最新版-(PDF:23KB) (H20.8.13更新掲載)
  2. 米国における麻疹輸入例対策について(横浜市衛生研究所)
  3. フィジーにおける麻疹対策について(横浜市衛生研究所)
  4. 麻疹(外部サイト)(国立感染症研究所感染症情報センター)
  5. 麻しん(はしか)について(横浜市保健所)

参考文献

  1. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases ( The Pink Book ) Course Textbook , 12th Edition Second Printing(May 2012), NIP(National Immunization Program ), CDC.
    URL=http://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pinkbook/index.html(外部サイト)
  2. Centers for Disease Control and Prevention(CDC). Measles --- United States, 2011; Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR); April 20, 2012/ Vol. 61 / No. 15, p. 253-257.
  3. 特集 : 麻しん 2011年 : 病原微生物検出情報(IASR), 2012年2月号, Vol. 33, No.2(No.384), p. 27-29.
  4. 小澤邦壽、横田陽子、石岡大成、塩原正枝、塚越博之、斎藤美香、後藤孝市 : 地方衛生研究所の検査診断により判明したわが国の麻しんの現状 : 病原微生物検出情報(IASR), 2012年2月号, Vol. 33, No.2(No.384), p. 41-42.
  5. 添付文書: グロブリン筋注「ベネシス」、2009年10月改訂(第13版)、(製造販売元)株式会社ベネシス。

2000年9月12日初掲載
2002年11月22日改訂増補
2004年3月19日改訂増補
2005年12月12日改訂増補
2006年9月22日改訂増補
2012年5月1日改訂増補
2012年6月5日改訂増補

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