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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年8月29日
本稿では、トルコ共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、トルコ(土耳古)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日土両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | トルコで実施 | トルコで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 肺炎球菌感染症 | 日本脳炎、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、 膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 B型肝炎、 水痘、 A型肝炎 | 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎、 インフルエンザ |
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。
こどもの定期予防接種として、トルコで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずトルコで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、B型肝炎、水痘、A型肝炎があります。
なお、日本国外務省は、日本からのトルコ長期滞在予定者に、成人では、A型肝炎、B型肝炎、ポリオ、破傷風、狂犬病などの免疫保持を勧めています(参考文献3)。小児では、A型肝炎、B型肝炎、ポリオ、破傷風、狂犬病、百日咳、ジフテリア、BCG、麻疹、流行性耳下腺炎(ムンプス)、風疹、水痘などの免疫保持を勧めています(参考文献3)。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がトルコでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。トルコでも、同様の四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が使われています。
トルコのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2のとおりです。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目) |
生後1ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(1回目) | |
結核 | BCG(1回接種) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(2回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(2回目) | |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目) | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(3回目) | |
ポリオ経口・生ワクチン | OPV(1回目) | |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
水痘ワクチン | Var(1回接種) | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(4回目) | |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(4回目)* | |
A型肝炎 | HepA(1回目) | |
ポリオ経口・生ワクチン | OPV(2回目) | |
生後24ヶ月 | A型肝炎 | HepA(2回目) |
小学校1年生(6歳) | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(5回目)** |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(5回目)** | |
麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) | |
小学校8年生(14歳) | ジフテリア・破傷風 | dT(1回接種) |
*:トルコでは、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されます。
**:トルコでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。
トルコのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュールの近年の変更は、以下のとおりです。
2008年: 五種混合ワクチン(DTaP-Hib-IPV)導入。
2008年: 2008年5月生まれの児から肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)開始。
2010年: 小学校1年生での接種において、dT+OPVが、DTaP-IPV(四種混合ワクチン)に変更。
2011年: 肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)が、7価から13価に変更。
2012年: 2011年3月生まれの児からA型肝炎ワクチン開始。
2013年: 2012年1月生まれの児から水痘ワクチン開始。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
トルコは、東ヨーロッパのバルカン半島東端と西アジアのアナトリア半島(小アジア)とにまたがる国で、北は黒海、南は地中海に挟まれ、西はブルガリア、ギリシャと、東はグルジア、アルメニア、イラン、イラク、シリアと接しています。このトルコにおける公用語は、トルコ語です。トルコのこどもの定期予防接種のワクチン等のトルコ語による表記については、下の表3、表4、表5、表6、表7のとおりです。日本語の表記も併記しました。
各国の予防接種
2014年5月23日初掲載
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