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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年8月29日
本稿では、トリニダード・トバゴ共和国(Republic of Trinidad and Tobago: [略称]T&T)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、トリニダード・トバゴのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | トリニダード・トバゴで実施 | トリニダード・トバゴで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 B型肝炎、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) | 日本脳炎、 結核(BCG)、 水痘、 肺炎球菌感染症 |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 黄熱 | 髄膜炎菌感染症、 A型肝炎、 ロタウイルスによる 感染性胃腸炎、 インフルエンザ |
*: HPVワクチンについて、日本、トリニダード・トバゴとも女子のみ対象です。
こどもの定期予防接種として、トリニダード・トバゴで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、結核(BCG)、水痘、肺炎球菌感染症があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずトリニダード・トバゴで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、黄熱があります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がトリニダード・トバゴでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTwP-Hib-HepB)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
トリニダード・トバゴのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年4月26日から)は、下の表2のとおりです。
ヒトパピローマウイルスワクチンについては、2013年から、11-12歳の女子を対象とした定期予防接種になりました。但し、強制的なものではなく、希望による接種です(参考文献3)。
ポリオ経口生ワクチン(OPV)については、2016年4月26日(火曜日)を全国切り替え日(National Switch Day)として、3価ワクチン(3vOPV)から2価ワクチン(2vOPV)への切り替えが行われました(参考文献3、6)。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン (英字略語表記等) |
---|---|---|
生後2-3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(1回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回接種) | |
生後4-5ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
2価ポリオ経口生ワクチン | 2vOPV(1回目) | |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
2価ポリオ経口生ワクチン | 2vOPV(2回目) | |
生後12-15ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
黄熱ワクチン | YFV(1回目) | |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(4回目) |
2価ポリオ経口生ワクチン | 2vOPV(3回目) | |
4-5歳 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) |
ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(5回目) | |
9-12歳 | ジフテリア・破傷風 | dT(1回接種) |
黄熱ワクチン | YFV(2回目) | |
11-12歳 (希望する女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、 膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:希望する女子のみ) |
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後) | ||
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後) |
*:トリニダード・トバゴでは、DTwP-Hib-HepBという5種混合ワクチンで接種されます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
トリニダード・トバゴ共和国は、カリブ海の小アンティル諸島南部の主にトリニダード島とトバゴ島の二島からなる島国であり、海を隔てて北にグレナダ、北東にバルバドス、南にベネズエラが近いです。このトリニダード・トバゴ共和国における公用語は、英語です。トリニダード・トバゴ政府のホームページは英語表記です。
各国の予防接種
2017年2月13日初掲載
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