このページの先頭です

タイ王国のこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年8月26日

こどもの定期予防接種のタイと日本との違いについて

本稿では、タイ王国(The Kingdom of Thailand)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、タイのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日泰両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のタイと日本との違い
実施状況タイで実施タイで未実施
日本で実施ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、
膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)、
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹
風疹
日本脳炎
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)感染症

肺炎球菌感染症
水痘
日本で未実施流行性耳下腺炎(ムンプス)
B型肝炎
髄膜炎菌感染症
ロタウイルスによる
感染性胃腸炎

A型肝炎
インフルエンザ
腸チフス
コレラ

*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。タイでは、Pranakhonsn Ayuthaya(プラ・ナコーン・シー・アユッタヤー)県の女子のみ対象。

こどもの定期予防接種として、タイで実施されず日本で実施されているものとしては、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症肺炎球菌感染症水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずタイで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、B型肝炎があります。

日本国外務省では、日本からのタイへの赴任者に対して、A型肝炎、B型肝炎、破傷風狂犬病日本脳炎の免疫の保持を勧めています(参考文献1)。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がタイでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)とB型肝炎のワクチン(HepB)とを混合したワクチン(DTwP-HepB)があります。このような二つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと2回の接種が必要なところ、二つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

タイのこどもの定期予防接種スケジュールについて

タイのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年)は、下の表2のとおりです。

表2.タイのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時B型肝炎HepB(1回目)
結核BCG(1回接種)
(生後1ヶ月)(B型肝炎)HepB(1回接種:HBs抗原陽性の
母から生まれた児に接種)
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
ポリオ経口生ワクチンOPV(1回目)
(ロタウイルスワクチン)RV1(1回目:スコータイ[Sukhothai]県で接種)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ポリオ経口生ワクチンOPV(2回目)
(ロタウイルスワクチン)RV1(2回目:スコータイ[Sukhothai]県で接種)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
B型肝炎HepB(4回目)*
ポリオ経口生ワクチンOPV(3回目)
生後9-12ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
生後9-18ヶ月日本脳炎不活化ワクチンJEV(1,2回目:4週間間隔で接種)**
生後18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(4回目)
ポリオ経口生ワクチンOPV(4回目)
生後24-30ヶ月日本脳炎不活化ワクチンJEV(3回目:2回目の1年後に接種)**
2歳半-6歳麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
4-6歳ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(5回目)
ポリオ経口生ワクチンOPV(5回目)
11-12歳(小学校5-6年生、Pranakhonsn Ayuthaya県の
女子のみ)
(ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ)HPV(1回目:Pranakhonsn Ayuthaya県の女子のみ)
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)
12歳(小学校6年生)ジフテリア・破傷風dT(1回接種: 後は10年毎に1回接種繰り返し)

*:タイでは、DTwP-HepBという4種混合ワクチンで接種されます。
**:タイでは、日本脳炎弱毒生ワクチン(LAJEV)が一部地域で使われていて、生後6か月から2歳までの間に3-12か月の間隔で二回接種します。

なお、上の表2には、含まれていませんが、ジフテリア・破傷風トキソイド(dT)が妊婦に接種されます。接種歴のない妊婦の場合には、できるだけ早く一か月間隔で二回接種し、その後、六か月の間隔で3回目を接種します。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

タイにおけるワクチン等のタイ語表記について

タイ王国は、東南アジアのインドシナ半島に位置し、東にカンボジア、北にラオス、西にミャンマー(ビルマ)、南にマレーシアと接します。このタイにおける公用語は、タイ語です。タイにおけるワクチン等のタイ語表記については、下の表3、表4、表5、表6、表7のとおりです。なお、タイ政府のホームページでは英語表記のページも見られます(例えば、タイ王国公衆衛生省(外部サイト)[Ministry of Public Health: MoPH])。また、年の表記については、西暦以外に仏滅紀元が用いられています。例えば、西暦2014年は仏滅紀元2557年であり、下二桁のみで57年と省略して表記されることもあります。

表3 タイのこどもの定期予防接種のワクチン[その1](タイ語・日本語対照表記)


表4 タイのこどもの定期予防接種のワクチン[その2](タイ語・日本語対照表記)


表5 タイのこどもの定期予防接種のワクチン[その3](タイ語・日本語対照表記)


表6 タイのこどもの定期予防接種のワクチン[その4](タイ語・日本語対照表記)


表7 タイのこどもの定期予防接種のワクチン[その5](タイ語・日本語対照表記)


関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. 外務省;渡航関連情報(外部サイト)在外公館医務官情報(外部サイト)タイ(外部サイト)」:(日本語).
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. Global summary.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):(英語)。
  4. 世界保健機関(WHO)タイ国事務所(外部サイト)タイの感染症対策(外部サイト):(英語).
  5. タイ王国公衆衛生省(外部サイト): (タイ語).
  6. タイ王国公衆衛生省(外部サイト)(Ministry of Public Health: MoPH): (英語).
  7. 予防接種活動提携(外部サイト)(Immunization Action Coalition: IAC)
    言語別米国ワクチン情報(外部サイト)(PDF版): (英語).
  8. タイ小児感染症学会(外部サイト)(Pediatric Infectious Disease Society of Thailand: PIDST)
    予防接種スケジュール(外部サイト)(仏滅紀元2557年)(PDF版(外部サイト) [pdf:11.7MB] ):(タイ語)
    ワクチンハンドブック(外部サイト): (英語).

2014年6月27日初掲載
2016年5月19日改訂増補

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:663-045-524

先頭に戻る