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最終更新日 2019年8月26日
本稿では、台湾のこどもの定期予防接種について触れます。まず、台湾のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日台両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | 台湾で実施 | 台湾で未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | 日本脳炎、 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 肺炎球菌感染症、 水痘、 B型肝炎 | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 A型肝炎、 インフルエンザ | 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎 |
*: HPVワクチンについては、日本では女子のみ対象です。
こどもの定期予防接種として、台湾で実施されず日本で実施されているものとしては、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されず台湾で実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、A型肝炎、インフルエンザがあります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤が台湾では見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎ワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
台湾のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年[台湾107年]1月1日から)は、下の表2-1のとおりです。
台湾ではA型肝炎ワクチンが地域限定で接種されていましたが、2018年[台湾107年]1月1日から全国で接種されるようになりました。2017年[台湾106年]1月1日以後に生まれたこどもが対象で生後満12ヶ月以後に接種します。
2017年[台湾106年]5月22日から、日本脳炎不活化ワクチンに代わって、細胞培養の日本脳炎弱毒生ワクチンが導入されました。生後満15か月で1回目を接種し、12か月の間隔で2回目を接種します。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目:出生から24時間以内になるべく早く接種) |
生後1ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ | IPV(1回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(1回目) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ | IPV(2回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(2回目) | |
生後5ヶ月 | 結核 | BCG(1回接種) |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)*** |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)*** | |
ポリオ | IPV(3回目)*** | |
B型肝炎 | HepB(3回目)*** | |
生後6ヶ月~小学校・中学校・高等学校の生徒 | インフルエンザ | IIV(8歳以下で初年度の冬は4週間以上の間隔で2回、次年度の冬からは毎冬1回接種) |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
水痘 | Var(1回接種) | |
A型肝炎 | HepA(1回目) | |
生後12-15ヶ月 | 13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(3回目) |
生後15ヶ月 | 日本脳炎弱毒生ワクチン | LAJEV(1回目) |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)* | |
ポリオ | IPV(4回目)* | |
A型肝炎 | HepA(2回目) | |
生後27ヶ月(2歳3ヶ月) | 日本脳炎弱毒生ワクチン | LAJEV(2回目) |
5歳~小学校入学前 | ジフテリア・破傷風・百日咳(減量) | DTaP(1回接種)** |
ポリオ | IPV(5回目)** | |
麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) | |
(日本脳炎弱毒生ワクチン) | LAJEV(1回接種:以前に日本脳炎不活化ワクチンを3回接種済みの児が対象。前回の日本脳炎不活化ワクチン接種から12か月以上の間隔で日本脳炎弱毒生ワクチンを1回接種) | |
50歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年1回接種) |
75歳以上 | 23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン | PPV23(1回接種:65歳以上でPPV23の接種歴あれば不要) |
*:台湾では、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチン(五合一疫苗)で接種されます。
**:台湾では、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。2017年10月からTdap-IPVより変更されました。
***:台湾では、2017年5月1日からDTaP-Hib-IPV-HepBという6種混合ワクチン(六合一疫苗)で接種されます。但し、しばらくの間、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチン(五合一疫苗)及びB型肝炎ワクチンで接種されることもあります。
台湾のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年[台湾105年]4月)は、下の表2-2のとおりでした。
台湾では出生時に接種されていたBCGが、生後5-8ヶ月で接種されるようになりました。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目:出生から24時間以内になるべく早く接種) |
生後1ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ | IPV(1回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(1回目) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ | IPV(2回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(2回目) | |
生後5ヶ月 | 結核 | BCG(1回接種) |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目) | |
生後6ヶ月~小学校6年生 | インフルエンザ | IIV(初年度の冬は1ヶ月以上の間隔で2回、次年度の冬からは毎冬1回接種) |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
水痘 | Var(1回接種) | |
A型肝炎 | HepA(1回目:指定地域の幼児のみ対象) | |
生後12-15ヶ月 | 13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(3回目) |
生後15ヶ月 | 日本脳炎 | JEV(2週間間隔で2回接種) |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)* | |
ポリオ | IPV(4回目)* | |
A型肝炎 | HepA(2回目:指定地域の幼児のみ対象) | |
生後27ヶ月(2歳3ヶ月) | 日本脳炎 | JEV(3回目) |
5歳~小学校入学前 | ジフテリア・破傷風・百日咳(減量) | Tdap(1回接種)** |
ポリオ | IPV(5回目)** | |
麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) | |
日本脳炎 | JEV(4回目) | |
65歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年1回接種) |
75歳以上 | 23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン | PPV23(1回接種:65歳以上でPPV23の接種歴あれば不要) |
*:台湾では、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチン(五合一疫苗)で接種されます。
**:台湾では、Tdap-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。
台湾のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年[台湾104年])は、下の表2-3のとおりでした。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目:出生から24時間以内になるべく早く接種) |
結核 | BCG(1回接種:出生から24時間以後に接種)*** | |
生後1ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ | IPV(1回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(1回目) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ | IPV(2回目)* | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(2回目) | |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目) | |
生後6ヶ月~小学校6年生 | インフルエンザ | IIV(初年度の冬は1ヶ月以上の間隔で2回、次年度の冬からは毎冬1回接種) |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
水痘 | Var(1回接種) | |
A型肝炎 | HepA(1回目:指定地域の幼児のみ対象) | |
生後12-15ヶ月 | 13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(3回目) |
生後15ヶ月 | 日本脳炎 | JEV(2週間間隔で2回接種) |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)* | |
ポリオ | IPV(4回目)* | |
A型肝炎 | HepA(2回目:指定地域の幼児のみ対象。1回目の6-12ヶ月後に接種) | |
生後27ヶ月(2歳3ヶ月) | 日本脳炎 | JEV(3回目) |
5歳~小学校入学前 | ジフテリア・破傷風・百日咳(減量) | Tdap(1回接種)** |
ポリオ | IPV(5回目)** | |
麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) | |
日本脳炎 | JEV(4回目) | |
小学校1年生 | 結核 | BCG(1回接種:BCG接種歴なくツベルクリン皮内反応検査で陰性の児に接種) |
65歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年1回接種) |
75歳以上 | 23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン | PPV23(1回接種:65歳以上でPPV23の接種歴あれば不要) |
*:台湾では、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチン(五合一疫苗)で接種されます。
**:台湾では、Tdap-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。
***:台湾では、2016年1月1日から、生後5-8ヶ月での接種が推奨されます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
台湾のこどもの定期予防接種のワクチンについて中国語による表記については、下の表3のとおりです。日本語の表記も併記しました。日本語の表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、台湾における中国語の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。表の最下段のB型肝炎免疫グロブリンについては、ワクチンではありませんが、B型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれた児に注射することがあります。
各国の予防接種
2014年1月14日初掲載
2015年11月27日改訂増補
2017年1月13日改訂増補
2018年3月5日改訂増補
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