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スイス・リヒテンシュタインのこどもの定期予防接種について

最終更新日 2018年8月27日

こどもの定期予防接種のスイスと日本との違いについて

本稿では、スイスのこどもの定期予防接種について触れます。まず、スイス(瑞西:瑞)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日瑞の両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

なお、リヒテンシュタイン公国のこどもの定期予防接種はスイスに準じています。
リヒテンシュタイン公国は、東側をオーストリア、西側をスイスに囲まれた内陸の国です。リヒテンシュタイン公国の公用語はドイツ語です。

表1. こどもの定期予防接種のスイスと日本との違い
 スイスのこどもの定期予防接種
実施実施せず
日本のこどもの定期予防接種実施ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
水痘
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)
肺炎球菌感染症
結核(BCG)、
日本脳炎
実施せず髄膜炎菌感染症(MCV)、
流行性耳下腺炎(ムンプス)
A型肝炎
ダニ媒介脳炎
インフルエンザ
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
*: HPVワクチンについて、スイスは男女とも対象。日本は、女子のみ対象。

こどもの定期予防接種として、スイスで実施されず日本で実施されているものとしては、結核(BCG)と日本脳炎(JapEnc)とがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずスイスで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MCV)、流行性耳下腺炎(ムンプス)があります。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がスイスでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(Hep B)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB: [スイスでの略語表記]DTPa-IPV-Hib-HBV)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

スイスのこどもの定期予防接種スケジュールについて

スイスのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)は、下の表2のとおりです。

表2. スイスのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
(出生時)(B型肝炎)HepB(HBs抗原陽性の母親から生まれた児のみ接種。抗HB免疫グロブリンも投与。後は生後1、6ヶ月にも接種。)
(結核)BCG(1回接種: 親が結核罹患率が高い国の出身である場合に、新生児及び12か月未満の乳児に接種。)
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
ポリオIPV(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(1回目)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
ポリオIPV(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(2回目)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
生後12ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
肺炎球菌感染症PCV13(3回目)
生後12-15ヶ月C群髄膜炎菌感染症MenC(1回接種)
生後15-24ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)*
ポリオIPV(4回目)*
B型肝炎HepB(4回目)*
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
4-7歳ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(5回目)
ポリオIPV (5回目)
11-15歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)
11-15歳C群髄膜炎菌感染症MenC(1回接種)
(11-15歳)(B型肝炎)HepB(2回接種[0, 4-6ヶ月]。乳幼児期の接種で免疫獲得済みならば接種不要)
(11-15歳)(水痘)VAR(水痘のIgG抗体や罹患歴がない場合に4週間以上の間隔で2回接種)
11-14歳(男女とも)ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目)**
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)**
15-26歳(男女とも)ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目)**
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)**
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)**
25-29歳***ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)***
45歳ジフテリア・破傷風dT(1回接種)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年1回接種)
ジフテリア・破傷風dT(65歳で1回接種。後は10年毎に1回接種繰り返し)
*:スイスでは、DTaP-IPV-Hib-HepB(商品名: Infanrix hexa)という6種混合ワクチンで接種されることがあります。B型肝炎ワクチン(HepB)を含まないDTaP-IPV-Hib(商品名: Pentavac)という5種混合ワクチンで接種した場合には、11-15歳でB型肝炎ワクチン(HepB)を接種する機会があります(0, 4-6ヶ月の2回接種)。
**:15歳以上は、HPVワクチンを11-14歳で接種しなかった人が対象。15歳以上では、0,1-2,6ヶ月の3回接種となります。20歳未満での接種が望ましい。
***:新生児の百日咳を防ぐため、第一子を持つ前に接種を済ましておくことが望まれます。

スイスにおいて、髄膜炎菌感染症は、5歳以下と十代後半で発生が多く、B群・C群によるものが多いです。C群髄膜炎菌ワクチンが、生後12-15ヶ月と11-15歳とで一回ずつ接種されます。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

なお、リヒテンシュタイン公国のこどもの定期予防接種はスイスに準じています。

スイスにおけるワクチンの略語表記について

スイスにおける公用語の一つはドイツ語であり、ドイツ語のワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、スイスにおけるドイツ語(独語)の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。なお、リヒテンシュタイン公国の公用語はドイツ語です。

表3. スイスにおけるドイツ語のワクチンの略語表記
独語略称独語表記(Impfung gegen ---)日本語表記英語略称
DまたはDIPDiphtherietoxoidimpfstoffジフテリア(乳幼児用:7歳以下)D
dまたはdipDiphtherietoxoidimpfstoff mit verringerter Antigenmengeジフテリア(思春期・成人用:8歳以上)d
TまたはTETTetanustoxoidimpfstoff破傷風T
dTDiphtherie-Tetanus-Toxoid-Impfstoff mit vermindertem Diphtherietoxoid-Gehaltジフテリア(思春期・成人用:8歳以上)・破傷風dT
PEAまたはPaAzellulaerer Pertussis-Impfstoff百日咳(無菌体)aP
paPertussis(Keuchhusten)(azellulaer, Komponente)(verminderter Antigengehalt)百日咳(無菌体、思春期・成人用)ap
IPVinaktiviertes Poliomyelitis-Vakzin(nach Salk)ポリオ(不活化・ソーク)IPV
OPVorales Poliomyelitis-Vakzin(nach Sabin)ポリオ(経口・生・セービン)OPV
HIBまたはHibHaemophilus influenzae Typ bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
HBVHepatitis BB型肝炎HepBまたはHBV
HAVHepatitis AA型肝炎HepAまたはHAV
PNCまたはPCVkonjugierter Pneumokokken-Impfstoff肺炎球菌(結合型)PCV
PPVPneumokokken-Polysaccharid-Impfstoff肺炎球菌(ポリサッカライド型)PPVまたはPPSV
MEC-CまたはMCV-CMeningokokken-Impfstoff konjugiert, monovalent Serotyp CC群髄膜炎菌(結合型)MCVC
MEC4またはMCV-ACWY4-valenter Meningokokken-Impfstoff konjugiert (ACW135Y)4価(A、C、Y、W135群)髄膜炎菌(結合型)MCV4
MENまたはMPVMeningokokken-Polysaccharid-Impfstoff髄膜炎菌(ポリサッカライド型)MPVまたはMPSV
HPVHumane Papillomavirenヒト-パピローマウイルスHPV
MMRMasern-, Mumps-, Roeteln-Impfung麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR
MMRVMasern-, Mumps-, Roeteln, Varizellen-Impfung麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹水痘MMRV
BCGTuberkulose(Bacille Calmette Guerin)結核(BCG)BCG
RTVRotavirusロタウイルスRV
IVInfluenzaimpfungインフルエンザIV
VZVVarizellenimpfung(Windpockenimpfung)水痘VAR
FSMEFruehsommer-Meningoenzephalitis(初夏髄膜脳炎)(Zeckenenzephalitis)ダニ媒介脳炎(tick-borne encephalitis)TBE

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(外部サイト)(ECDC: European Centre for Disease Prevention and Control); Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
    :ECDCはEUの一機関であり、EU非加盟のスイスのスケジュールは見られませんが、リヒテンシュタイン公国(Liechtenstein)のスケジュールは見られます。
  3. スイス健康局(外部サイト)(Das Bundesamt fuer Gesundheit :BAG) ; スイスのこどもの定期予防接種 (外部サイト):(ドイツ語).
  4. リヒテンシュタイン公国健康局(外部サイト)リヒテンシュタイン公国のこどもの定期予防接種 (外部サイト):(ドイツ語).
  5. InfoVac(外部サイト): スイスの予防接種情報サイト: (フランス語・ドイツ語・イタリア語).

2013年11月5日初掲載
2014年11月18日改訂
2016年12月2日増補改訂

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

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