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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年8月26日
本稿では、ソマリア連邦共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ソマリアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ソマリアで実施 | ソマリアで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹 | 日本脳炎、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、 膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)、 肺炎球菌感染症、 風疹 |
日本で未実施 | B型肝炎 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎、 水痘、 A型肝炎、 インフルエンザ、 腸チフス、 コレラ |
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。
こどもの定期予防接種として、ソマリアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、風疹、肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずソマリアで実施されているものとしては、B型肝炎があります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がソマリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。2013年4月24日からソマリアの定期予防接種に導入されました(参考文献6)。このような三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
ソマリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではなく、下の表2にも含まれていませんが、この他、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。また、回虫・十二指腸虫・鞭虫などによる蠕虫症対策として駆虫剤(de-worming drug)も投与されることがあります。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | 結核 | BCG(1回接種) |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(1回目) | |
生後6週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(1回目)* |
B型肝炎 | HepB(1回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(2回目) | |
生後10週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(2回目)* |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(3回目) | |
生後14週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(3回目)* |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(4回目) | |
生後9ヶ月 | 麻疹 | Measles(1回目) |
妊婦、 15-45歳の女性 | 破傷風トキソイド | TT(3回接種。1回目の1ヶ月後に2回目。2回目の6ヶ月後に3回目。 こども時代に未接種であれば、さらに2回接種 [3回目の1年後に4回目。4回目の1年後に5回目]) |
*:ソマリアでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ソマリアは、アフリカの東部に位置し、東方のインド洋に向かってアフリカから張り出した角(つの)のようにも見えるため、「アフリカの角(Horn of Africa)」(ソマリア半島)と呼ばれることもあります。西方では、ジブチ、エチオピア、ケニアと国境を接しています。このソマリアにおける公用語は、ソマリ語、アラビア語です。ソマリアのこどもの定期予防接種のワクチン等のソマリ語表記は、下の表3、表4、表5、表6、表7のとおりです。
各国の予防接種
2014年7月7日初掲載
健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
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