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スロベニア共和国のこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2020年3月23日

こどもの定期予防接種のスロベニア共和国と日本との違いについて

 本稿では、スロベニア共和国(スロヴェニア共和国)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、スロベニア共和国のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のスロベニア共和国と日本との違い(2020年)
実施状況スロベニア共和国で実施スロベニア共和国で
未実施
日本で実施ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
肺炎球菌感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、
肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
日本脳炎
結核(BCG)、
水痘
日本で未実施

流行性耳下腺炎(ムンプス)
インフルエンザ(**)、
ダニ媒介脳炎(***)

髄膜炎菌感染症
A型肝炎
ロタウイルスによる
感染性胃腸炎

*: HPVワクチンについて、日本、スロベニア共和国とも女子のみ対象。
**: インフルエンザワクチンについて、スロベニア共和国では生後6か月以上2歳未満で推奨されていますが、経費は自己負担です。
***: ダニ媒介脳炎ワクチンについて、スロベニア共和国では、3歳及び49歳での3回接種について無料となっていますが、追加接種については自己負担となっています。

 こどもの定期予防接種として、スロベニア共和国で実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、結核(BCG)、水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずスロベニア共和国で実施されているものとしては、ダニ媒介脳炎インフルエンザ流行性耳下腺炎(ムンプス)があります。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がスロベニア共和国では見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎ワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

 なお、日本国外務省では、日本国からのスロベニア共和国赴任者に対して、ダニ媒介脳炎の予防接種を推奨しています(参考文献4)。日本国内ではダニ媒介脳炎ワクチンが入手困難として、スロベニア共和国現地でのダニ媒介脳炎ワクチン接種も勧めています[合計3回(2回目:初回接種の1-3ヶ月後,3回目:2回目接種の9-12ヶ月後)。
 スロベニア共和国では、国内のダニ媒介脳炎流行地の居住者や滞在者に対してダニ媒介脳炎ワクチン接種が推奨されています。ワクチン接種の時期については、初回接種・2回目接種は、ダニの活動開始前の冬の間に済ましておくのが好ましいです。4回目接種は、3回目接種の3年後。5回目接種以後は5年毎に一回接種を繰り返します。但し、ワクチン製剤により、FSME-IMMUN(商品名)は60歳以上で、Encepur(商品名)は50歳以上で、3年毎の一回接種繰り返しとなります。
 スロベニア共和国では、ダニ媒介脳炎ワクチンについて、3歳及び49歳での3回接種について無料となっていますが、追加接種については自己負担となっています。
 インフルエンザワクチンについて、スロベニア共和国では、慢性疾患患者、65歳以上の高齢者、妊婦、BMIが40以上の極度の肥満者に対して推奨され、無料で接種を受けることができます。一方、生後6か月以上2歳未満の乳幼児でも推奨されていますが、経費は自己負担です。

スロベニア共和国のこどもの定期予防接種スケジュールについて

 スロベニア共和国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2020年)は、下の表2-1のとおりです。
 多種の混合ワクチンによる基礎免疫のスケジュールについて、2019年までは5種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib)を生後3、4-5、6、12-24か月で接種する3+1スケジュールでしたが、2020年からは6種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)を生後3、5、11-18か月で接種する2+1スケジュールとなりました。6種混合ワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)は、2019年10月以後に生まれた児に、2020年1月から接種されます。

表2-1.スロベニア共和国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2020年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン
(英字略語表記等)
出生時(B型肝炎:HBs抗原陽性の母親から生まれた児に出生12時間以内にB型肝炎ワクチンを接種。同時に抗HBV免疫グロブリンも投与。その後、生後1,3,5,11-18か月でB型肝炎ワクチンを接種)HepB(1回目)
出生時(結核:最近5年以内に結核罹患率が高い国からスロベニアに移住した家族の新生児、及び、母親が結核治療中の新生児にBCGワクチンを接種)BCG(1回接種)
生後3ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(1回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回目)*
B型肝炎ワクチンHepB(1回目)*
肺炎球菌結合型ワクチンPCV(1回目)
生後5ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(2回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(2回目)*
B型肝炎ワクチンHepB(2回目)*
肺炎球菌結合型ワクチンPCV(2回目)
生後6-23ヶ月インフルエンザワクチン(推奨されていますが、経費は自己負担です)(IIV4)
生後11-18ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチンPCV(3回目)
生後11-18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(3回目)*
B型肝炎ワクチンHepB(3回目)*
3歳ダニ媒介脳炎ワクチンTBE(3回接種)
5-6歳麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
B型肝炎(2019年10月より前に生まれた児が対象)HepB(1回目、2回目)
6歳(小学校1年生)B型肝炎(2019年10月より前に生まれた児が対象)HepB(3回目)
8歳(小学校3年生)ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)
11-12歳
(小学校6年生女子のみ)
ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ)
HPV(2回目:1回目の
6ヶ月後)
16-18歳破傷風トキソイドTT(1回接種:後は10年毎)
妊婦ジフテリア・ 破傷風百日咳(妊娠24週以後に接種)dTap(1回接種)
妊婦インフルエンザワクチンIIV4(1回接種)
49歳ダニ媒介脳炎ワクチンTBE(3回接種)
65歳以上インフルエンザワクチンIIV4(毎年1回接種)

*:スロベニア共和国では、DTaP-Hib-IPV-HepBという6種混合ワクチンで接種されます。

 以前のスロベニア共和国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)は、下の表2-2のとおりでした。
2014年9月、スロベニア共和国のこどもの定期予防接種におけるヒトパピローマウイルスワクチン(HPV)の接種スケジュールが3回接種(0、1-2、6ヶ月)から2回接種(0、6ヶ月)へと変更になりました。

表2-2.スロベニア共和国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン
(英字略語表記等)
生後3ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(1回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回目)*
肺炎球菌結合型ワクチンPCV(1回目)**
生後4-5ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(2回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(2回目)*
肺炎球菌結合型ワクチンPCV(2回目)**
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(3回目)*
生後12-18ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチンPCV(3回目)**
生後12-24ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(4回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(4回目)*
5-6歳麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
B型肝炎HepB(1回目、2回目)
6歳(小学校1年生)B型肝炎HepB(3回目)
8歳(小学校3年生)ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)
11-12歳
(小学校6年生女子のみ)
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ)
**
HPV(2回目:1回目の
6ヶ月後)**
16-18歳破傷風トキソイドTT(1回接種:後は10年毎)

*:スロベニア共和国では、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されます。
**:スロベニア共和国では、上記の定期予防接種の内、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)とヒトパピローマウイルスワクチン(HPV)とは任意です。他は必須です。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

スロベニア共和国におけるスロベニア語によるワクチン等の表記について

 スロベニア共和国は、ヨーロッパにおいて、西をイタリア、北をオーストリア、東をハンガリー、南をクロアチア、南西を地中海のアドリア海のヴェネチア湾に囲まれた国です。このスロベニア共和国における公用語は、スロベニア語です。スロベニア共和国のこどもの定期予防接種のワクチン等のスロベニア語による表記については、下の表3、表4、表5、表6のとおりです。日本語の表記も併記しました。

表3 スロベニア共和国のこどもの定期予防接種のワクチン等(スロベニア語・日本語対照表記)

表4 スロベニア共和国のこどもの定期予防接種のワクチン等(スロベニア語・日本語対照表記)

表5 スロベニア共和国のこどもの定期予防接種のワクチン等(スロベニア語・日本語対照表記)

表6 スロベニア共和国のこどもの定期予防接種のワクチン等(スロベニア語・日本語対照表記)


関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine-Preventable Diseases: Monitoring System. global summary.
    全世界の国々の予防接種(外部サイト)(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. スロベニア共和国国立公衆衛生研究所(外部サイト)[Nacionalni institut za javno zdravje: NIJZ]
    予防接種のページ(外部サイト)
    こどもの定期予防接種スケジュール(外部サイト)(2020年)
    :スロベニア共和国の定期予防接種スケジュール等の情報が得られます。:(スロベニア語).
  4. 外務省;渡航関連情報(外部サイト)在外公館医務官情報(外部サイト)スロベニア共和国(外部サイト)」:(日本語).

2014年3月17日初掲載
2015年2月2日改訂
2017年1月25日改訂増補
2020年3月23日改訂増補

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電話:045-370-9237

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