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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年9月12日
本稿では、ロシア連邦のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ロシア(露西亜:露)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日露両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ロシアで実施 | ロシアで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 肺炎球菌感染症、 (ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib)感染症)** | 日本脳炎、 水痘、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、 膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 B型肝炎、 インフルエンザ | 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎、 A型肝炎 |
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。
**: ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症について、ロシアでは、免疫抑制剤の使用やHIV感染など児の感染リスクが高い場合にのみ対象とします。
こどもの定期予防接種として、ロシアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、水痘、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります(但し、ロシア国内でも、モスクワでは、水痘、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ[女子のみ]がこどもの定期予防接種として、実施されています)。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずロシアで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、B型肝炎、インフルエンザがあります。
なお、外務省によれば、ロシアでは、沿海州、中国国境、ウラル、バルト3国との国境地域の森林、草原地帯で春から夏にかけてダニ媒介脳炎が散発的に発生しています(参考文献3)。これらの地域への日本からの長期滞在予定者には、ダニ媒介脳炎の予防接種が勧められます。
ロシアの国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2のとおりです。
また、ロシア国内でもモスクワにおいては、2014年では表2中のワクチンに加え、水痘、A型肝炎、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマも定期予防接種となっています(参考文献4)。水痘ワクチンについては、生後24ヶ月での一回接種です。A型肝炎ワクチンについては、幼稚園に通う3-6歳で、6ヶ月間隔での二回接種です。ヒトパピローマウイルスワクチンについては、12-13歳の女子が対象で、三回接種です。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目:出生から24時間以内に接種) |
生後3-7日 | 結核 | BCG(1回目) |
生後1ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目) |
生後2ヶ月 | (B型肝炎) | HepB(母親がHBs抗原陽性など児の感染リスクが高い場合3回目として接種) |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(1回目) | |
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(1回目) |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(免疫抑制剤の使用やHIV感染など児の感染リスクが高い場合に接種:1回目) | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回目) | |
生後4ヶ月半 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(2回目) |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(免疫抑制剤の使用やHIV感染など児の感染リスクが高い場合に接種:2回目) | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(2回目) | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(2回目) | |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(3回目) |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(免疫抑制剤の使用やHIV感染など児の感染リスクが高い場合に接種:3回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(1回目) | |
B型肝炎 | HepB(3回目) | |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
(B型肝炎) | HepB(母親がHBs抗原陽性など児の感染リスクが高い場合4回目として接種) | |
生後15ヶ月 | 肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(3回目) |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(4回目) |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(免疫抑制剤の使用やHIV感染など児の感染リスクが高い場合に接種:4回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(2回目) | |
生後20ヶ月 | ポリオ経口生ワクチン | OPV(3回目) |
6歳 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) |
6-7歳 | ジフテリア・破傷風 | dT(1回目) |
7歳 | 結核 | BCG(2回目:ツベルクリン検査陰性の場合に接種) |
14歳 | 結核 | BCG(3回目:ツベルクリン検査陰性の場合に接種) |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(4回目)* | |
ジフテリア・破傷風 | dT(2回目) | |
18歳以上 | ジフテリア・破傷風 | dT(最後のdTの接種から10年毎に1回接種繰り返し) |
生後6ヶ月-7歳、第1-11学年の児童・ 生徒、妊婦、軍の徴兵対象者、60歳以上の高齢者等 | インフルエンザ | IIV(毎年の接種) |
*:免疫抑制状態の児であれば、ポリオ経口生ワクチン(OPV)の代りに、ポリオ不活化ワクチン(IPV)が用いられます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ロシアにおける公用語は、ロシア語です。ロシアのこどもの定期予防接種のワクチン等のロシア語による表記については、下の表3、表4、表5、表6、表7、表8、表9のとおりです。日本語の表記も併記しました。
各国の予防接種
2014年4月10日初掲載
2015年12月3日改訂増補
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