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最終更新日 2019年9月11日
本稿では、ルーマニア(羅馬尼亜:羅)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ルーマニアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日羅両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ルーマニアで実施 | ルーマニアで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 B型肝炎、 肺炎球菌感染症(**) | 日本脳炎、 水痘、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、 膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス) | 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎、 A型肝炎、 インフルエンザ |
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。
**: ルーマニアにおいて、肺炎球菌結合型ワクチンは、利用可能な資金があれば、国の予防接種スケジュールに含められます。
こどもの定期予防接種として、ルーマニアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、水痘、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずルーマニアで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)があります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がルーマニアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。同様の四種混合ワクチン(DTaP/IPV)がルーマニアでも2015年から6歳時に使われています。
ルーマニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年4月1日から)は、下の表2のとおりです。
DTaPを含むワクチンについて、生後12ヶ月までのスケジュールは、以前(2014年)は、生後2、4、6、12ヶ月でしたが、2015年からDTaP-Hib-IPV-HepBという6種混合ワクチンを生後2、4、11ヶ月に接種するスケジュールになりました。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目:誕生から24時間以内に産科で接種。商品名Euvax B) |
結核 | BCG(1回接種:生後2-7日で産科で接種) | |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(1回目)** | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(2回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(2回目)** | |
生後11ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザ b型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(3回目)** | |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎 (ムンプス)・風疹 | MMR(1回目。商品名M-M-RVAXPRO) |
5歳-7歳 (小学校1年生) | 麻疹・流行性耳下腺炎 (ムンプス)・風疹 | MMR(2回目。商品名M-M-RVAXPRO) |
6歳 (2014年12月から実施) | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)*** |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(4回目)*** | |
8歳 | ポリオ不活化ワクチン | IPV(4回目)**** |
14歳(小学校8年生) | ジフテリア・破傷風・百日咳 | dTap(1回接種:商品名ADACEL。以後、経済的支援なしで24歳から10年毎にdTを1回接種繰り返し) |
65歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年1回接種) |
*:ルーマニアでは、DTaP-Hib-IPV-HepBという6種混合ワクチン(商品名Hexacima、Hexyon、infanrix Hexa)で接種されます。
**:肺炎球菌結合型ワクチンについては、利用可能な資金があれば、国の予防接種スケジュールに含めます。
***:ルーマニアでは、2014年12月からDTaP-IPVという4種混合ワクチン(商品名Tetraxim)で接種されます。但し、4歳時にDTaPを接種済みの児の場合には、IPV(4回目)のみ接種します。
****:4歳時にDTaPを接種済みの児に、IPV(4回目)を接種します。
上の表2中のワクチンの他にも、推奨されているものの、自費扱いとなるワクチンがあります。妊婦に対するdTワクチン接種。11-14歳女子に対するHPVワクチン接種。WHOがリスク・グループとする人に対するインフルエンザワクチン接種。流行時における、人々に対する麻疹・風疹・流行性耳下腺炎ワクチン、インフルエンザワクチン接種です。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ルーマニアにおける公用語は、ルーマニア語です。ルーマニアのこどもの定期予防接種のワクチン等のルーマニア語による表記については、下の表3、表4、表5のとおりです。日本語の表記も併記しました。
各国の予防接種
2014年2月13日初掲載
2015年12月7日改訂増補
2017年1月5日改訂増補
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