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ポルトガルのこどもの定期予防接種について

最終更新日 2018年8月27日

こどもの定期予防接種のポルトガルと日本との違いについて

本稿では、ポルトガルのこどもの定期予防接種について触れます。まず、ポルトガル(葡萄牙:葡)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日葡の両国ともこどもの定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしかこどもの定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のポルトガルと日本との違い
 ポルトガルのこどもの定期予防接種
実施実施せず
日本のこどもの定期予防接種実施ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
肺炎球菌感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)
日本脳炎
水痘
結核(BCG)
実施せず髄膜炎菌感染症(MenC)、
流行性耳下腺炎(ムンプス)
A型肝炎
インフルエンザ
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
*: HPVワクチンについては、ポルトガル・日本とも女子のみ対象。

こどもの定期予防接種として、ポルトガルで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎(JapEnc)、水痘、結核(BCG)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずポルトガルで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MenC)、流行性耳下腺炎(ムンプス)があります。ポルトガルでは、西欧では珍しく、結核の予防接種であるBCGが、最近の2016年まで、こどもの定期予防接種となっていました。ポルトガルは、欧州内では比較的に結核の発生率が高いです(参考文献4)。しかし、近年、結核罹患率が10万人あたり20人程度に減少し、2017年にはBCGは定期予防接種から外れ、リスクが高い人を対象とするようになっています。欧州で結核罹患率が10万人あたり40人を超えて高い国は、アルメニア、アゼルバイジャン、ロシア、ジョージア、リトアニアモルドバルーマニア、タジキスタン、ウズベキスタンなどです。なお、2015年には、欧州におけるBCGワクチン供給元からのBCGワクチンが入手困難となり、ポルトガルでは、BCG接種に遅れが発生しました。その後、ポルトガルでは、日本の会社が製造したBCGが採用され使用されるようになりました。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がポルトガルでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

ポルトガルのこどもの定期予防接種スケジュールについて

ポルトガルのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)は、下の表2のとおりです。

2014年10月1日から10-13歳におけるHPVワクチンの接種が、3回接種から2回接種(6か月間隔)へと変更となりました。

2015年7月には、13価肺炎球菌結合型ワクチンが、ポルトガルのこどもの定期予防接種となりました。2015年1月1日以後に生まれた児が対象です。生後2,4,12か月の3回接種です。免疫不全や無脾症など肺炎球菌感染症のリスクが高いと考えられる児には、さらに生後24か月で、23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンを1回接種します。

表2. ポルトガルのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生後できるだけ早くB型肝炎HepB(1回目)
(結核)BCG(1回接種:リスクの高い場合に接種)
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
ポリオIPV(1回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
13価肺炎球菌結合型ワクチンPCV13(1回目)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)**
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)**
ポリオIPV(2回目)**
13価肺炎球菌結合型ワクチンPCV13(2回目)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
生後12ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
C群髄膜炎菌感染症MenC(1回接種)
13価肺炎球菌結合型ワクチンPCV13(3回目)
生後18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(4回目)**
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)**
ポリオIPV (4回目)**
5歳ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(5回目)***
ポリオIPV (5回目)***
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
10歳ジフテリア・破傷風dT(1回接種)
10歳(女子のみ)ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(9価ワクチン)HPV9(1回目:女子のみ)
HPV9(2回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦ジフテリア・破傷風百日咳dTap(妊娠20-36週[32週頃]で1回接種)
25歳ジフテリア・破傷風dT(1回接種)
45歳ジフテリア・破傷風dT(1回接種)
65歳ジフテリア・破傷風dT(後は、10年毎にdTの1回接種繰り返し)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年1回接種)
*:ポルトガルでは、DTaP-IPV-Hib-HepBという6種混合ワクチンで接種されます。
**:ポルトガルでは、DTaP-IPV-Hib([商品名]Pentavac)という5種混合ワクチンで接種されます。
***:ポルトガルでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

ポルトガルにおけるワクチンの略語表記について

ポルトガルにおけるポルトガル語のワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、ポルトガルにおけるポルトガル語(葡語)の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。

表3. ポルトガル語のワクチンの略語表記
葡語略称葡語表記日本語表記英語略称
DDifteriaジフテリア(乳幼児用)D
ddifteriaジフテリア(思春期・成人用)d
TTetano破傷風T
TdVacina contra o Tetano e difteria para adulto破傷風・ジフテリア(思春期・成人用)Td
PaTosse Convulsa/pertussis(componente acelular)百日咳(無菌体、乳幼児用)aP
DTPaVacina contra a difteria, o tetano e a tosse convulsa/pertussisジフテリア(乳幼児用)・破傷風百日咳(無菌体、乳幼児用)DTaP
TdVacina contra o Tetano e difteria para adulto破傷風・ジフテリア(思春期・成人用)Td
VIPPoliomielite(inativada)ポリオ(不活化)IPV
HibHaemophilus influenzae tipo bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
Pn13Streptococcus pneumoniae13価肺炎球菌結合型ワクチンPCV13
Pn23Streptococcus pneumoniae23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンPPSV23
VHBVacina contra a Hepatite BB型肝炎HepBまたはHBV
MenCVacina contra a doenca invasiva por Neisseria meningitidis do serotipo CC群髄膜炎菌MenCまたはMCVC
HPVVacina contra o papilomavirus humanoヒト-パピローマウイルスHPV
VASVacina contra o Sarampo麻疹M
VPEVacina contra a Parotidite Epidemica (Papeira)流行性耳下腺炎(ムンプス)M
VARVacina contra a Rubeola風疹R
VASPRVacina contra o sarampo, parotidite epidemica e rubeola麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR
BCGVacina contra a Tuberculose(Bacilo Calmette-Guerin)結核(BCG)BCG

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. ポルトガル 健康総局(外部サイト)ポルトガルの定期予防接種計画(外部サイト)
    ポルトガルの定期予防接種スケジュール(外部サイト):(ポルトガル語).
  4. I. Franco, P. Sousa, M. Gomes, A. Oliveira, A.R. Gaio, R. Duarte, Social profile of the highest tuberculosis incidence areas in Portugal(外部サイト), Revista Portuguesa de Pneumologia (English Edition: portuguese journal of pulmonology), 2016, Volume 22, Issue 1, Pages 50-52:(英語).
    :http://dx.doi.org/10.1016/j.rppnen.2015.08.006(外部サイト).

2013年9月2日初掲載
2014年12月24日改訂
2016年2月18日改訂
2016年11月25日改訂
2017年4月11日増補改訂

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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

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