このページの先頭です

ポーランドのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年9月5日

こどもの定期予防接種のポーランドと日本との違いについて

本稿では、ポーランド(波蘭)共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ポーランドのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日波両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のポーランドと日本との違い
実施状況ポーランドで実施ポーランドで未実施
日本で実施ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)感染症

結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
B型肝炎、
肺炎球菌感染症
日本脳炎
水痘
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、
膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
日本で未実施流行性耳下腺炎(ムンプス)髄膜炎菌感染症
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ

*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。

こどもの定期予防接種として、ポーランドで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎水痘ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずポーランドで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)があります。
なお、2017年から、肺炎球菌ワクチンが2017年1月1日以後に生まれた児を対象にポーランドのこどもの定期予防接種とされています。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がポーランドでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

混合ワクチンが日本でも使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

ポーランドのこどもの定期予防接種スケジュールについて

ポーランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年)は、下の表2-1のとおりです。2017年から、肺炎球菌ワクチンが2017年1月1日以後に生まれた児を対象にポーランドのこどもの定期予防接種とされました。
ポーランドのKielce市において、2歳未満のすべてのこどもを対象とした定期予防接種として、7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)が2006年に導入され、2011年には、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)がPCV7に代わって導入されました(参考文献8)。Kielce市の隣のOstrowiec Swietokrzyski市においては、このような予防接種は導入されませんでした。隣接する二つの市の肺炎発生率を比較することで、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)の効果を検証する良い機会となりました。7年間の観察が行われました。
PCV7、PCV13は、2+1スケジュールにて接種されました。観察期間における接種率は約99%に達しました。30-49歳、50-64歳、65歳以上の年齢層の分類で観察しました。Kielce市における肺炎発生率は、65歳以上では、66.5%減少しました(p<0.0001)。50-64歳では、56.8%減少しました(p<0.0001)。30-49歳では、30.75%減少しました(p=0.001)。この減少の傾向は、7年間の観察期間中、認められました。いずれの年齢層においても、肺炎発生率は、Ostrowiec Swietokrzyski市の方が統計学的に有意に高かったです。接種対象外である成人でも高齢者を中心に肺炎発生の減少の効果が認められました(参考文献8)。

表2-1.ポーランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時
(誕生から24時間以内)
B型肝炎HepB(1回目)
結核BCG(1回接種:1955年から接種を開始)
生後2ヶ月
(生後6-8週間)
ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(1回目)
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(1回目)
B型肝炎HepB(2回目)
生後3-4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(2回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回目)*
生後4ヶ月10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(2回目)
生後5-6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(2回目)*
生後7ヶ月B型肝炎HepB(3回目)
生後13ヶ月10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(3回目)
生後13-14ヶ月麻疹流行性耳下腺炎
(ムンプス)
風疹
MMR(1回目)
生後16-18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(4回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(3回目)*
6歳ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回接種)
ポリオ不活化ワクチンIPV(4回目)**
10歳麻疹流行性耳下腺炎
(ムンプス)
風疹
MMR(2回目)
14歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)
19歳ジフテリア・破傷風dT(1回接種)

*:ポーランドでは、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されることがあります。
**:ポーランドでは、2016年4月1日から6歳でのポリオワクチンが、生ワクチンから不活化ワクチンに変更されました。

ポーランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年4月1日)は、下の表2-2のとおりでした。2016年4月1日から6歳でのポリオワクチンが、生ワクチンから不活化ワクチンに変更されました。

表2-2.ポーランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年4月1日)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時
(誕生から24時間以内)
B型肝炎HepB(1回目)
結核BCG(1回接種:1955年から接種を開始)
生後2ヶ月
(生後6-8週間)
ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(1回目)
B型肝炎HepB(2回目)
生後3-4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(2回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回目)*
生後5-6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(2回目)*
生後7ヶ月B型肝炎HepB(3回目)
生後13-14ヶ月麻疹流行性耳下腺炎
(ムンプス)
風疹
MMR(1回目)
生後16-18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザ
b型菌(Hib)
Hib(4回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(3回目)*
6歳ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回接種)
ポリオ不活化ワクチンIPV(4回目)**
10歳麻疹流行性耳下腺炎
(ムンプス)
風疹
MMR(2回目)
14歳ジフテリア・破傷風dT(1回目)
19歳ジフテリア・破傷風dT(2回目)

*:ポーランドでは、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されることがあります。
**:ポーランドでは、2016年4月1日から6歳でのポリオワクチンが、生ワクチンから不活化ワクチンに変更されました。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

ポーランドにおけるポーランド語によるワクチン等の表記について

ポーランドにおける公用語は、ポーランド語(Polish)です。ポーランドのこどもの定期予防接種のワクチン等のポーランド語による表記については、下の表3、表4、表5のとおりです。日本語の表記も併記しました。

表3 ポーランドのこどもの定期予防接種のワクチン等(ポーランド語・日本語対照表記)

表4 ポーランドのこどもの定期予防接種のワクチン等(ポーランド語・日本語対照表記)

表5 ポーランドのこどもの定期予防接種のワクチン等(ポーランド語・日本語対照表記)


関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine-Preventable Diseases: Monitoring System. global summary.
    全世界の国々の予防接種(外部サイト)(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(ECDC)(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. ポーランド-ワクチン情報(外部サイト)(SZCZEPIENIA.INFO); ポーランドのこどもの定期予防接種スケジュール(外部サイト):(ポーランド語).
  4. ポーランド-ワクチン情報(外部サイト)(SZCZEPIENIA.INFO); ポーランドのこどもの定期予防接種スケジュール(外部サイト):(英語).
  5. ポーランド国立公衆衛生研究所(外部サイト)[National Institute of Public Health - National Institute of Hygiene (NIPH - NIH)]:(ポーランド語).
    ポーランド国立公衆衛生研究所(外部サイト):(英語)。
    DEPARTMENT OF EPIDEMIOLOGY AND SURVEILLANCE OF INFECTIOUS DISEASES
    Laboratory of Monitoring and Epidemiological Analysis(外部サイト):感染症・ワクチン等に関する年報等のページ:(英語)。
  6. ポリオ対策(外部サイト)
    ポーランドのこどものポリオ予防接種(外部サイト):(ポーランド語).
  7. ポーランド保健省(外部サイト)(MZ: Ministerstwo Zdrowia)
    予防接種(外部サイト):(ポーランド語).
    ポーランド保健省(外部サイト)(Ministry of Health):(英語).
  8. M. Patrzalek, M. Kotowska, P. Gorynski & P. Albrecht (2015) Indirect effects of a 7 year PCV7/PCV13 mass vaccination program in children on the incidence of pneumonia among adults: a comparative study based on two Polish cities, Current Medical Research and Opinion, 32:3, 397-403, DOI: 10.1185/03007995.2015.1119676(外部サイト)

2014年2月14日初掲載
2016年12月12日増補改訂
2018年3月16日増補改訂

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:327-373-894

先頭に戻る