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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年8月29日
本稿では、ナイジェリア連邦共和国(The Federal Republic of Nigeria)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ナイジェリアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ナイジェリアで実施 | ナイジェリアで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹、 肺炎球菌感染症 | 日本脳炎、 風疹、 水痘、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) |
日本で未実施 | B型肝炎、 黄熱 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 髄膜炎菌感染症、 A型肝炎、 インフルエンザ、 腸チフス、 コレラ、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎 |
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。
こどもの定期予防接種として、ナイジェリアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、風疹、水痘、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずナイジェリアで実施されているものとしては、B型肝炎、黄熱があります。
日本国外務省では、日本からのナイジェリアへの長期滞在者に対して、黄熱、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、髄膜炎菌(4価)、ポリオ、麻疹、腸チフスの免疫の保持を勧めています(参考文献1)。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がナイジェリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。このような三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
ナイジェリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではありませんが、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。
また、ナイジェリアの北部は、髄膜炎ベルト地帯に含まれていて、髄膜炎菌性髄膜炎の流行が起こることがあるため、北部を中心に髄膜炎菌ワクチンの一斉接種(キャンペーン)が行われることがあります。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時または出生後できるだけ早く | 結核 | BCG(1回接種) |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(1回目) | |
B型肝炎 | HepB(1回目) | |
生後6週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(1回目)* |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
10価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV10(1回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(2回目) | |
生後10週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(2回目)* |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
10価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV10(2回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(3回目) | |
生後14週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(3回目)* |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
10価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV10(3回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(4回目) | |
生後6-9ヶ月 | ビタミンA | Vitamin A(1回目)** |
生後9ヶ月 | 麻疹 | Measles(1回接種) |
黄熱 | YFV(1回接種) | |
生後12-15ヶ月 | ビタミンA | Vitamin A(2回目)** |
妊婦、 15-45歳の女性 | 破傷風トキソイド | TT(5回接種。1回目の4週間後に2回目。2回目の6ヶ月後に3回目。3回目の1年後に4回目。4回目の1年後に5回目) |
*:ナイジェリアでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます。
**:生後6-59ヶ月で6ヶ月以上の間隔で2回投与できます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ナイジェリアは、アフリカの中西部に位置し、東をカメルーン、北東をチャド、北をニジェール、西をベナン、南を大西洋(ギニア湾)に囲まれた国です。このナイジェリアにおける公用語は、英語です。ナイジェリア政府のウェブページは、英語表示です。ナイジェリアにおけるワクチン等については、後記の参考文献に示すようなホームページ等から、英語表記の情報を得ることができます。
各国の予防接種
2014年10月15日初掲載
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