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ネパールのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年9月2日

こどもの定期予防接種のネパールと日本との違いについて

本稿では、ネパール連邦民主共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ネパールのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のネパールと日本との違い
実施状況ネパールで実施ネパールで未実施
日本で実施日本脳炎(**)、
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹
風疹
肺炎球菌感染症
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、
膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)、
水痘
日本で未実施B型肝炎流行性耳下腺炎(ムンプス)
髄膜炎菌感染症
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ
腸チフス
コレラ

*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。
**: 指定地域の幼児のみ対象。

こどもの定期予防接種として、ネパールで実施されず日本で実施されているものとしては、水痘ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずネパールで実施されているものとしては、B型肝炎があります。

日本国外務省では、日本からのネパールへの赴任者に対して、A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎破傷風ポリオ腸チフスの免疫の保持を勧めています(参考文献1)。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がネパールでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

ネパールのこどもの定期予防接種スケジュールについて

ネパールのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではなく、下の表2にも含まれていませんが、この他、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて生後6ヶ月から生後59ヶ月まで乳幼児に投与されることがあります。

表2.ネパールのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時結核BCG(1回接種)
生後6週間ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(1回目)*
ポリオ経口生ワクチンOPV(1回目)
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(1回目)***
生後10週間ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(2回目)*
ポリオ経口生ワクチンOPV(2回目)
生後14週間ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(3回目)*
ポリオ経口生ワクチンOPV(3回目)
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(2回目)***
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回接種)**
生後9ヶ月麻疹風疹MR(1回接種)
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(3回目)***
生後12-23ヶ月
(指定地域の幼児のみ)
日本脳炎弱毒生ワクチンLAJEV(1回接種)
妊婦破傷風トキソイドTT(初回妊娠時は2回接種。計5回まで接種)

*:ネパールでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます。
**:2014年9月17日から開始。
***:2014年11月から開始。

ネパールでは、GAVI(参考文献8)の援助により、2014年9月17日からポリオ不活化ワクチンが開始されました。ネパールは、GAVI(参考文献8)の援助によりポリオ不活化ワクチンが開始された初めての国です(参考文献4、6、8)。ネパールに続き、GAVI(参考文献8)の援助によりポリオ不活化ワクチンの導入が予定されている国を列挙すると、キリバス共和国、ソロモン諸島、東ティモール民主共和国、朝鮮民主主義人民共和国、モンゴル、インドネシアベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、バングラディシュ、ブータン、インドスリランカ、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタン、キリギスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、モルドバ、イエメン、マダガスカル、コモロ、ソマリア、エルトリア、スーダン、南スーダン、エチオピアケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニアマラウイ、ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、レソト、アンゴラ、コンゴ民主共和国、コンゴ、カメルーン、チャド、ニジェール、ナイジェリア、サントメ・プリンシペ、ベニン、トーゴ、ガーナ、ブルキナファソ、マリ、モーリタニア、セネガル、ガンビア、ギニアビサウ、ギニアシエラレオネリベリア、キューバ、ニカラグアです。
発展途上国におけるポリオの予防接種は、安価で投与が容易な経口生ワクチンが一般的です。この従来の経口生ワクチンによる定期予防接種の徹底の上、少なくとも一回の不活化ワクチンを追加することは、ポリオに対する免疫を強め、ワクチン株由来のポリオの発生を減らし、将来の全面的な不活化ワクチンへの移行を進めることにもなります。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

ネパールにおけるワクチンのネパール語表記について

ネパールは、北を中華人民共和国のチベット自治区、南をインドに囲まれた内陸の国です。このネパールにおける公用語は、ネパール語です。ネパールのこどもの予防接種のワクチン等についてネパール語による表記は、下の表3、表4のとおりです。日本語の表記も対照して併記しました。なお、ネパール政府のホームページにはネパール語(Nepali)表記のページの他に英語表記のページも見られます(例えば、ネパール政府保健人口省保健サービス部(外部サイト))。

表3 ネパールのこどもの定期予防接種のワクチン[その1](ネパール語・日本語対照表記)


表4 ネパールのこどもの定期予防接種のワクチン[その2](ネパール語・日本語対照表記)


関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. 外務省;渡航関連情報(外部サイト)世界の医療事情(外部サイト):「ネパール」(外部サイト):(日本語).
  2. 世界保健機関(外部サイト)(WHO):予防接種の調査・評価・状況把握(外部サイト)
    ; vaccine-preventable diseases: monitoring system. 2014 global summary
    :全世界の国々の予防接種一覧(外部サイト):(英語)。
  3. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  4. 世界保健機関(WHO)ネパール国事務所(外部サイト)
    ネパールで不活化ポリオワクチン導入。(外部サイト):(英語).
  5. ネパール政府 保健人口省(外部サイト) 保健サービス部(外部サイト)こども保健課(外部サイト):(英語・ネパール語).
  6. ユニセフ 国別情報「ネパール」(外部サイト): (英語).
    ユニセフ「ネパール」(外部サイト)
    ネパールで不活化ポリオワクチン導入。(外部サイト): (英語).
  7. 日本ユニセフ協会(外部サイト)(ユニセフ日本委員会) ; 世界のこどもたち(外部サイト)「ネパール」(外部サイト): (日本語).
  8. GAVI Alliance(外部サイト)(ワクチンと予防接種のための世界同盟[The Global Alliance for Vaccines and Immunization])
    ネパール(外部サイト)
    不活化ポリオワクチン援助(外部サイト)
    ネパールで不活化ポリオワクチン導入。(外部サイト)(2014年9月18日付、プレス リリース): (英語).
  9. 予防接種活動提携(外部サイト)(Immunization Action Coalition: IAC)
    言語別米国ワクチン情報(外部サイト)(PDF版): (英語).

2014年1月31日初掲載
2014年10月8日改訂増補

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

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