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モザンビークのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年9月10日

こどもの定期予防接種のモザンビークと日本との違いについて

本稿では、モザンビーク共和国(Republic of Mozambique)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、モザンビークのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のモザンビークと日本との違い
実施状況モザンビークで実施モザンビークで未実施
日本で実施ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹
肺炎球菌感染症
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、
膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
日本脳炎
風疹
日本で未実施B型肝炎流行性耳下腺炎(ムンプス)
髄膜炎菌感染症
水痘
A型肝炎
インフルエンザ
腸チフス
コレラ
黄熱
ロタウイルスによる
感染性胃腸炎

*: HPVワクチンについて、日本、モザンビークとも女子のみ対象。

こどもの定期予防接種として、モザンビークで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎風疹があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずモザンビークで実施されているものとしては、B型肝炎があります。

日本国外務省では、日本からのモザンビークへの赴任者に対して、A型肝炎、B型肝炎、破傷風狂犬病腸チフス麻疹の免疫の保持を勧めています(参考文献1)。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がモザンビークでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。このような三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

モザンビークのこどもの定期予防接種スケジュールについて

モザンビークのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではありませんが、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。また、回虫・十二指腸虫・鞭虫などによる蠕虫症対策として駆虫剤(de-worming drug)も投与されることがあります。

表2.モザンビークのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時
(できるだけ早く)
結核BCG(1回接種)
ポリオ経口生ワクチンOPV(1回目)
生後6週ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(1回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(1回目)****
ポリオ経口生ワクチンOPV(2回目)
(1価ロタウイルスワクチン)RV1(1回目)***
生後10週ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(2回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(2回目)****
ポリオ経口生ワクチンOPV(3回目)
(1価ロタウイルスワクチン)RV1(2回目)***
生後14週ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(3回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(3回目)****
ポリオ経口生ワクチンOPV(4回目)
生後6ヶ月ビタミンAVitamin A(1回目:後は6ヶ月間隔で生後59ヶ月[5歳未満]まで経口投与繰り返し。また、出産後の母親にも投与)
生後9ヶ月麻疹Measles(1回接種)
(10歳の女子)**ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ。GAVIの援助により、Manhiza地区で接種)
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦、
15-45歳の女性
破傷風トキソイドTT(3回接種。1回目の4週間後に2回目。2回目の6ヶ月後に3回目。こども時代に未接種であれば、さらに2回接種[3回目の1年後に4回目。4回目の1年後に5回目])

*:モザンビークでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます。
**:GAVI(参考文献7)の援助により、南部のManhiza地区で接種。
***:1価ロタウイルスワクチンは2015年に導入予定。
****:肺炎球菌結合型ワクチンは、2016年に10価から13価に変更予定。

ヒトパピローマウイルスワクチンは近年開発された高価なワクチンで、発展途上国での導入は経済的に難しいです。しかしながら、GAVI(参考文献7)の援助により、ケニア(Kitui County)、ガーナ(南部のDangme West、及び、北部の Tamale Metro)、マダガスカル(Soavinandriana田園地区、及び、Toamasina 1都市地区)、マラウイ(Zomba、Rumphi)、ニジェール(Niamey II、Madarounfa)、シエラレオネ(Bo state)、タンザニア(キリマンジャロ州のMoshi都市、Moshi田園、Hai、Siha、Romboの各県)、ラオス(ビエンチャン市、ビエンチャン県)等の発展途上国でも地域限定で導入されています。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

モザンビークにおけるワクチン等のポルトガル語表記について

モザンビークは、アフリカの南東部に位置する国で、北をタンザニア、北西をザンビア、マラウイ、西をジンバブエ、南西をスワジランド、南を南アフリカ共和国、東をインド洋に囲まれた国です。東方にはモザンビーク海峡を隔ててマダガスカル、コモロがあります。このモザンビークにおける公用語は、ポルトガル語です。モザンビークのこどもの定期予防接種のワクチン等のポルトガル語表記は、下の表3のとおりです。

表3.ポルトガル語のワクチンの略語表記
葡語略称葡語表記日本語表記英語略称
DDifteriaジフテリア(乳幼児用)D
dDifteriaジフテリア(思春期・成人用)d
TTetano破傷風T
PaTosse Convulsa(componente acelular)百日咳(無菌体)aP
VAPVacina Anti-Polioポリオ(経口生ワクチン)OPV
VIPPoliomielite(inativada)ポリオ(不活化ワクチン)IPV
HibHaemophilus influenzae tipo bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
VHBHepatite BB型肝炎HepBまたはHBV
MenCmeningococoC群髄膜炎菌MenCまたはMCVC
HPVvacina contra o virus do papiloma humano(vacina contra o cancro do colo do utero)ヒト-パピローマウイルスワクチン(子宮頸癌ワクチン)HPV
VASPRSarampo, Parotidite, Rubeola麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR
Svacina contra o sarampo麻疹ワクチンM
rotavacina contra o rotavirusロタウイルスワクチンRV
PCVvacina contra o pneumonia (doenza provocada pela bacteria pneumococos)肺炎球菌結合型ワクチンPCV
BCGTuberculose(Bacilo Calmette-Guerin)結核(BCG)BCG
HIVvacina contra o HIVHIVワクチンHIV

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. 外務省;渡航関連情報(外部サイト)世界の医療事情(外部サイト)モザンビーク(外部サイト)」:(日本語).
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. 2014 global summary.
    全世界の国々の予防接種(外部サイト)(WHO):(英語)。
  4. 世界保健機関(WHO)モザンビーク国事務所(外部サイト)
    定期予防接種(外部サイト)
    世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務所(外部サイト)
    国別の状況(外部サイト)
    モザンビークの状況(外部サイト):(英語).
  5. ユニセフ「モザンビーク」(外部サイト)メディア センター(外部サイト): (英語).
  6. 日本ユニセフ協会(外部サイト)(ユニセフ日本委員会) ; 世界のこどもたち(外部サイト)「モザンビーク」(外部サイト): (日本語).
  7. GAVI Alliance(外部サイト)(ワクチンと予防接種のための世界同盟[The Global Alliance for Vaccines and Immunization])
    モザンビーク(外部サイト)
    HPVワクチン援助(外部サイト)
    約206,000人以上の少女が GAVI Alliance のHPVワクチン援助によって利益を得る(外部サイト)(2014年2月4日付、プレス リリース): (英語).
  8. 予防接種活動提携(外部サイト)(Immunization Action Coalition: IAC)
    言語別米国ワクチン情報(外部サイト)(PDF版): (英語).
  9. モザンビーク国政府 保健省(外部サイト)(MISAU: Ministerio da Saude)
    国立衛生研究所(外部サイト)(INS: Instituto Nacional de Saude):(ポルトガル語).

2014年8月15日初掲載

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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

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ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

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