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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年9月9日
本稿では、地中海に浮かぶ島国であるマルタ共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、マルタ共和国のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | マルタ共和国で実施 | マルタ共和国で未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 B型肝炎、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、 肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) | 日本脳炎、 結核(BCG)、 水痘、 肺炎球菌感染症 |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 インフルエンザ | 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる 感染性胃腸炎、 A型肝炎 |
*: HPVワクチンについては、マルタ共和国・日本とも女子のみ対象。
こどもの定期予防接種として、マルタ共和国で実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、結核(BCG)、肺炎球菌感染症、水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずマルタ共和国で実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、インフルエンザがあります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がマルタ共和国では見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
マルタ共和国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)は、下の表2のとおりです。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
生後6週間から | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回目)* | |
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(2回目)* | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(3回目)* | |
生後6ヶ月~ 生後59ヶ月 | インフルエンザ*** | IIV(初年度の冬は1ヶ月以上の 間隔で2回、次年度の冬からは 毎冬1回接種) |
生後12ヶ月 | B型肝炎 | HepB(1回目) |
生後13ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
B型肝炎 | HepB(2回目) | |
生後18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(4回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目) | |
3-4歳 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) |
12歳(2000年以後に 生まれた女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:女子のみ) |
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後) | ||
14-16歳 | ジフテリア・破傷風 | dT(1回接種)** |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(5回目)** | |
55歳を超える成人 | インフルエンザ*** | IIV(毎年1回接種) |
*:マルタ共和国では、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチン(5 in 1)で接種されます。
**:マルタ共和国では、dT-IPVという3種混合ワクチンで接種されます。
***:定期予防接種としてインフルエンザワクチンが、55歳を超える成人、生後6ヶ月~生後59ヶ月のこども、糖尿病患者、肺・心臓・肝臓・腎臓の慢性疾患患者、免疫不全状態の患者(全身的長期ステロイド治療患者、化学療法あるいは放射線療法中の患者、HIV感染者・AIDS患者など)などに推奨されていて、無料で受けることができます。
上の表2で、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチン(5 in 1)の代わりにDTaP-Hib-IPV-HepBという6種混合ワクチン(6 in 1)を使った場合には、12,13,18ヶ月における単独のB型肝炎ワクチンは不要となります。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
なお、マルタ共和国はイギリス連邦加盟国の一つであり、マルタ共和国における公用語は、マルタ語(Maltese)、英語です。
各国の予防接種
2014年2月6日初掲載
2015年11月6日改訂増補
2017年4月13日改訂増補
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