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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年9月10日
本稿では、ラオス人民民主共和国(Lao People's Democratic Republic[Lao PDR])のこどもの定期予防接種について触れます。ラオス(羅宇、寮國:[略称]寮)は、東南アジアの内陸の国で、北方で中華人民共和国、東方でベトナム、南方でカンボジア、南西方面でタイ、北西方面でミャンマー(ビルマ)と国境を接します。まず、ラオスのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日寮両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ラオスで実施 | ラオスで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、 肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)、 日本脳炎、 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹、 風疹、 肺炎球菌感染症 | 水痘 |
日本で未実施 | B型肝炎 | 流行性耳下腺炎 (ムンプス)、 髄膜炎菌感染症、 ロタウイルスによる 感染性胃腸炎、 A型肝炎、 インフルエンザ、 腸チフス、 コレラ |
*: HPVワクチンについて、日本・ラオスとも女子のみ対象であり、また、ラオスでは指定地域(ビエンチャン首都市及びビエンチャン県)の女子のみ対象です。
こどもの定期予防接種として、ラオスで実施されず日本で実施されているものとしては、水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずラオスで実施されているものとしては、B型肝炎があります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がラオスでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
ラオスのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではなく、下の表2にも含まれていませんが、この他、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて生後6-59ヶ月の乳幼児に年2回投与されます。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | 結核 | BCG(1回接種) |
B型肝炎 | HepB(1回目) | |
生後6週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(1回目)* |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(1回目) | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(1回目)** | |
生後10週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(2回目)* |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(2回目) | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(2回目)** | |
生後14週 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(3回目)* |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(3回目) | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回接種:2015年10月から導入) | |
13価肺炎球菌結合型ワクチン | PCV13(3回目)** | |
生後9-11ヶ月 | 麻疹・風疹 | MR(1回接種) |
日本脳炎弱毒生ワクチン | LAJEV(1回接種)*** | |
10歳(小学5年生、指定地域[ビエンチャン首都市及び ビエンチャン県]の女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および 6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:女子のみ) |
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後) | ||
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後) | ||
15-45歳の女性 | 破傷風・ジフテリア | Td(1回目:受診時あるいは妊娠中できるだけ早く) |
Td(2回目:1回目の4週間後) | ||
Td(3回目:2回目の6ヶ月後) | ||
Td(4回目:3回目の1年後) | ||
Td(5回目:4回目の1年後) |
*:ラオスでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます(2009年導入)。
**:2013年から、13価肺炎球菌結合型ワクチンが導入されました。
***:2016年から定期予防接種に導入。2015年には、4月から、生後9か月から14歳のこどもを対象に日本脳炎弱毒生ワクチンキャンペーンが行われました。ラオスはGAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)の援助により日本脳炎弱毒生ワクチンを定期予防接種に導入した最初の国です。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ラオスにおける公用語は、ラオス語(Laotian:ラオ語とも呼ばれます。)です。ラオスのこどもの予防接種のワクチン等についてラオス語による表記は、下の表3、表4、表5のとおりです。日本語の表記も対照して併記しました。
各国の予防接種
2016年5月16日初掲載
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