このページの先頭です

ケニアのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年10月10日

こどもの定期予防接種のケニアと日本との違いについて

 本稿では、ケニア共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ケニアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のケニアと日本との違い
実施状況ケニアで実施ケニアで未実施
日本で実施ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
肺炎球菌感染症
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)、
B型肝炎

日本脳炎
水痘

日本で未実施ロタウイルスによる感染性胃腸炎
マラリア
流行性耳下腺炎(ムンプス)
髄膜炎菌感染症
A型肝炎
インフルエンザ
腸チフス
コレラ

*: HPVワクチンについて、日本、ケニアとも女子のみ対象。ケニアでは、2013-2015年、GAVI(参考文献7)の援助により、9-11歳の女子を対象にHPVワクチンをKitui Countyで接種していました。2019年11月から全国対象の定期予防接種に導入されます。

 こどもの定期予防接種として、ケニアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずケニアで実施されているものとしては、マラリアロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。

 日本国外務省では、日本からのケニアへの赴任者に対して、黄熱(必須)、髄膜炎菌(4価)、A型肝炎、B型肝炎、破傷風狂犬病腸チフスコレラなどの免疫の保持を勧めています(参考文献1)。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がケニアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。このような三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

ケニアのこどもの定期予防接種スケジュールについて

 ケニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2019年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではありませんが、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。また、回虫・十二指腸虫・鞭虫などによる蠕虫症対策として駆虫剤(de-worming drug)も投与されることがあります。
 RTS,S/AS01(RTS,S)は、世界最初のマラリアワクチンです。2019年からアフリカのマラウイ、ケニア、ガーナの三ヶ国でこどもの定期予防接種に導入されることになっています。まず、マラウイで2019年4月23日から、ガーナで2019年4月30日から、ケニアで2019年9月13日から、こどもの定期予防接種としての接種が始まりました。RTS,Sワクチンの4回接種スケジュールを完了することで、熱帯熱マラリアに対する部分的な免疫を獲得できます。4年間にわたり、39%の患者発生を防ぎ、29%の重症患者発生を防ぎます。

表2.ケニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2019年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時結核BCG(1回接種)
ポリオ経口生ワクチンOPV(1回目)
生後6週ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(1回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(1回目)
ポリオ経口生ワクチンOPV(2回目)
1価ロタウイルスワクチンRV1(1回目)
生後10週ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(2回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(2回目)
ポリオ経口生ワクチンOPV(3回目)
1価ロタウイルスワクチンRV1(2回目)
生後14週ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)Hib(3回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチンPCV10(3回目)
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回接種)
ポリオ経口生ワクチンOPV(4回目)
生後6ヶ月マラリアRTS,Sワクチン(1回目)
生後6ヶ月ビタミンAVitamin A(1回目:後は6ヶ月間隔で生後60ヶ月[5歳]まで経口投与繰り返し。また、出産後6週未満の母親にも投与)
生後7ヶ月マラリアRTS,Sワクチン(2回目)
生後9ヶ月マラリアRTS,Sワクチン(3回目)
生後9ヶ月麻疹風疹MRワクチン(1回目)
(生後9ヶ月)黄熱YFV(1回接種:黄熱の流行地のBaringo, Keiyo, Koibatek, Marakwetの四地区で接種)
生後18ヶ月麻疹風疹MRワクチン(2回目)
生後24ヶ月マラリアRTS,Sワクチン(4回目)
(小学4年生
[あるいは10歳]の女子)**
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ)
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦、
15-45歳の女性
破傷風トキソイドTT(3回接種。1回目の4週間後に2回目。2回目の6ヶ月後に3回目。こども時代に未接種であれば、さらに2回接種[3回目の1年後に4回目。4回目の1年後に5回目])

*:ケニアでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます。
**:ケニアでは、2013-2015年、GAVI(参考文献7)の援助により、9-11歳の女子を対象にHPVワクチンをKitui Countyで接種していました。2019年11月から全国対象の定期予防接種に導入されます。

 ヒトパピローマウイルスワクチンは近年開発された高価なワクチンで、発展途上国での導入は経済的に難しいかったです。しかしながら、GAVI(参考文献7)の援助により、ケニア(Kitui County)、ガーナ(南部のDangme West、及び、北部の Tamale Metro)、マダガスカル(Soavinandriana田園地区、及び、Toamasina 1都市地区)、マラウイ(Zomba、Rumphi)、ニジェール(Niamey II、Madarounfa)、シエラレオネ(Bo state)、タンザニア(Moshi都市、Moshi田園、Hai & Siha、Rombo[キリマンジャロ地区])、ラオス(ビエンチャン市、ビエンチャン県)等の発展途上国でも地域限定で導入されました。ケニアでは、2013-2015年、GAVI(参考文献7)の援助により、9-11歳の女子を対象にHPVワクチンをKitui Countyで接種していました。2019年11月から全国対象の定期予防接種に導入されます。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

ケニアにおけるワクチン等のスワヒリ語表記について

 ケニアは、アフリカの東部に位置し、東をソマリア、南東をインド洋、南をタンザニア、西をウガンダ、北西を南スーダン、北をエチオピアに囲まれた国です。このケニアにおける公用語は、スワヒリ語(Swahili)及び英語です。ケニアのこどもの定期予防接種のワクチン等のスワヒリ語表記は、下の表3、表4のとおりです。なお、ケニア政府のウェブページには、英語表示のページがあります。

表3 ケニアのこどもの定期予防接種のワクチン等[その1](スワヒリ語・日本語対照表記)

表4 ケニアのこどもの定期予防接種のワクチン等[その2](スワヒリ語・日本語対照表記)


関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. 外務省;渡航関連情報(外部サイト)世界の医療事情(外部サイト)ケニア(外部サイト)」:(日本語).
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. global summary.
    全世界の国々の予防接種(外部サイト)(WHO):(英語)。
  4. 世界保健機関(WHO)ケニア国事務所(外部サイト)
    ソマリア・ケニア国境地域における予防接種緊急キャンペーン(外部サイト)(2011年8月) 、ケニアがマラリアワクチンを導入(外部サイト)(2019年9月13日):(英語).
  5. ユニセフ「ケニア」(外部サイト)プレス リリース(外部サイト): (英語).
  6. 日本ユニセフ協会(外部サイト)(ユニセフ日本委員会) ; 世界のこどもたち(外部サイト)「ケニア」(外部サイト): (日本語).
  7. GAVI Alliance(外部サイト)(ワクチンと予防接種のための世界同盟[The Global Alliance for Vaccines and Immunization])
    ケニア(外部サイト)
    HPVワクチン援助(外部サイト)
    約206,000人以上の少女が GAVI Alliance のHPVワクチン援助によって利益を得る(外部サイト)(2014年2月4日付、プレス リリース): (英語).
  8. 予防接種活動提携(外部サイト)(Immunization Action Coalition: IAC)
    言語別米国ワクチン情報(外部サイト)(PDF版): (英語).
  9. ケニア国保健省(外部サイト)(Ministry of Health); (英語).

2014年8月1日初掲載

2019年10月10日改訂増補

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:522-882-559

先頭に戻る