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イタリアのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年8月13日

こどもの定期予防接種のイタリアと日本との違いについて

本稿では、イタリア(伊太利亜:伊)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、イタリアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日伊の両国ともこどもの定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしかこどもの定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のイタリアと日本との違い
実施状況イタリアで実施イタリアで未実施
日本で実施ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
水痘
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
肺炎球菌感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、
肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
結核(BCG)、
日本脳炎
日本で未実施髄膜炎菌感染症(MenC等)、
流行性耳下腺炎(ムンプス)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ

*: HPVワクチンについては、日本では女子のみ対象ですが、イタリアでは男女とも対象です。イタリアも以前は女子のみ対象でしたが、男子も対象とする地域が増え、2017-2019年の計画では全国で男女とも対象とされました。実際にイタリア全域で男女とも対象となるのは2018年頃になるかもしれません。

こどもの定期予防接種として、イタリアで実施されず日本で実施されているものとしては、結核(BCG)、日本脳炎(JapEnc)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずイタリアで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MenC等)、流行性耳下腺炎(ムンプス)ロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がイタリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB:[伊語]DTPa-IPV-Hib-EpB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

イタリアの定期予防接種スケジュールについて

イタリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017-2019年)は、下の表2のとおりです。

表2.イタリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017-2019年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時B型肝炎HepB(HBs抗原陽性の母親から生まれた乳児にのみ生後12-24時間以内に接種。抗B型肝炎ウイルス免疫グロブリンも注射。2回目は生後4週間、3回目は生後8週間、4回目は生後11-12か月で接種。他の乳児は生後2ヶ月から接種開始)
生後2ヶ月
(61日目)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
ポリオIPV(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、1回目)
生後2-7ヶ月ロタウイルスによる感染性胃腸炎Rota(製剤により2,3回接種)
生後2ヶ月半
(76日目)
B群髄膜炎菌感染症MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、1回目)
生後3ヶ月半
(106日目)
B群髄膜炎菌感染症MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、2回目)
生後4ヶ月
(121日目)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
ポリオIPV(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、2回目)
生後5ヶ月
(151日目)
B群髄膜炎菌感染症MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、3回目)
生後10ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目:2回目から6ヶ月以上の間隔で接種)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、3回目)
生後12ヶ月B群髄膜炎菌感染症MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、4回目)
生後12-14ヶ月C群髄膜炎菌感染症MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン、1回接種)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)****
水痘Varicella(1回目)****
5歳ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(4回目:7歳以上ではTdapを接種)
ポリオIPV (4回目)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)****
水痘Varicella(2回目)****
11-17歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種:DTaPの4回シリーズを完了してから10年後に接種。後は十年毎にdTap[ジフテリア・破傷風百日咳]を接種)*****
ポリオIPV (5回目)*****
A,C,W,Y群髄膜炎菌感染症MenACWY(A,C,W,Y群髄膜炎菌結合型ワクチン)
11-17歳
(男女とも)**
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:男女とも)
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)**
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)**
妊婦ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種:妊娠第3四半期[妊娠28週頃]に接種)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年一回)

*:イタリアでは、DTaP-IPV-Hib-HepB([伊語]DTPa-IPV-Hib-EpB)という6価ワクチン([伊語]Esavalente)で接種されます。
**:以前は全て3回接種でしたが、2014年4月24日から、HPV2(2価ワクチン)は9-14歳、HPV4(4価ワクチン)は9-13歳であれば3回の接種は必要なく、0-6か月の2回接種。それより年齢が高ければ3回接種。標準的には11歳で0-6か月の2回接種。
****:四種混合ワクチン(MMRV)で接種される場合もあります。
*****:四種混合ワクチン(dTap-IPV)で接種されます。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

イタリア語のワクチンの略語表記について

イタリア語(伊語)のワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、イタリア語の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。

表3.イタリア語のワクチンの略語表記
伊語略称伊語表記日本語表記英語略称
Dvaccino antidiftoジフテリア(乳幼児用)D
dvaccino antidifto per adolescenti e adultiジフテリア(思春期・成人用)d
Tvaccino antitetanico破傷風T
Pavaccino antipertossico acellulare百日咳(無菌体、乳幼児用)aP
pavaccino antipertossico acellulare per adolescenti e adulti百日咳(無菌体、思春期・成人用)ap
IPVvaccino antipolio inattivatoポリオ(不活化)IPV
Hibvaccino contro le infezioni invasive da Haemophilus influenzae tipo bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
Ep B, HBVvaccino antiepatite BB型肝炎Hep B
PCVvaccino antipneumococcico coniugato肺炎球菌(結合型)PCV
Men Cvaccino antimeningococco C coniugatoC群髄膜炎菌Men C
HPVvaccino antipapilloma virusヒト-パピローマウイルスHPV
MPRvaccino antimorbillo-parotite-rosolia麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR
V, Varvaccino antivaricella(vaccino contro la varicella)水痘V, Var
MPRVvaccino tetravalente per morbillo, parotite, rosolia e varicella麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹水痘MMRV

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):英語。
  2. イタリア保健省(外部サイト):
    予防接種(外部サイト):
    国民保健サービスによる予防接種(外部サイト) :(イタリア語).
  3. 欧州CDC(外部サイト)(ECDC); Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).

2013年8月14日初掲載
2014年12月22日改訂増補
2016年11月24日改訂増補
2017年4月12日改訂増補

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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

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ファクス:045-370-8462

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