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アイルランドのこどもの定期予防接種について

最終更新日 2018年8月27日

こどもの定期予防接種のアイルランドと日本との違いについて

本稿では、アイルランドのこどもの定期予防接種について触れます。まず、アイルランド(愛蘭土:愛)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日愛の両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のアイルランドと日本との違い
 アイルランドのこどもの定期予防接種
実施実施せず
日本のこどもの定期予防接種実施結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)
肺炎球菌感染症
B型肝炎
日本脳炎
水痘
実施せず髄膜炎菌感染症(MenC, MenB)、
流行性耳下腺炎(ムンプス)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ
*: HPVワクチンについては、アイルランド・日本とも女子のみ対象。

こどもの定期予防接種として、アイルランドで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎(JapEnc)、 水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずアイルランドで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MenC, MenB)、流行性耳下腺炎(ムンプス)ロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。アイルランドでは、西欧では珍しく、ポルトガルとともに、結核の予防接種であるBCGが、こども(赤ちゃん)の定期予防接種となっています。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がアイルランドでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB: [商品名]Pentavac)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

アイルランドのこどもの定期予防接種スケジュールについて

アイルランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年10月1日以後出生の児)は、下の表2のとおりです。
2016年10月1日出生の児から、B群髄膜炎菌ワクチン(Men B: 商品名Bexsero)が導入されました。接種スケジュールは、生後2, 4, 12か月です。B群髄膜炎菌ワクチン(Men B)の導入に伴い、C群髄膜炎菌ワクチン(Men C)の接種スケジュールが、生後4, 13か月及び12-13歳から、生後6, 13か月及び12-13歳へと変更されました。この変更は、乳児期(1歳未満)では、侵襲性髄膜炎菌感染症の発生のピークが生後5か月にあるが、B群髄膜炎菌によるものが高率となっていることによります。B群髄膜炎菌ワクチン(Men B)の接種を推奨している国としては、アメリカ合衆国英国イタリアオーストリアスペインがありますが、こどもの定期予防接種としている国としては、英国イタリア(12地域)、アイルランドがあります。
また、、ロタウイルスワクチンを生後2,4,6か月の2-3回接種として定期予防接種へ導入することが2013年に勧告されていましたが、生後2,4か月の2回接種として2016年10月1日出生の児から導入されました(商品名: Rotarix)。

表2. アイルランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年10月1日以後出生の児)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時結核BCG(1回接種)****
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
ポリオIPV(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン:1回目)
B群髄膜炎菌感染症Men B(1回目)*****
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV1(ロタウイルスワクチン[1価])(1回目)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
ポリオIPV(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
B群髄膜炎菌感染症Men B(2回目)*****
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV1(ロタウイルスワクチン[1価])(2回目: 4週間以上の間隔で接種。生後8か月0日以後は接種不可)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン:2回目)
C群髄膜炎菌感染症Men C(1回目)
生後12ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
B群髄膜炎菌感染症Men B(3回目)
生後13ヶ月ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)***
C群髄膜炎菌感染症Men C(2回目)***
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン:3回目)
4-5歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(4回目)**
ポリオIPV (4回目)**
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
12-13歳(中学1年)ジフテリア・破傷風百日咳Tdap(一回接種)
C群髄膜炎菌感染症Men C(3回目)
12-13歳(中学1年、女子のみ)ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ)
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦(妊娠27-36週)ジフテリア・破傷風百日咳Tdap(妊娠の度に一回接種)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年1回接種)
肺炎球菌感染症PPSV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン:1回接種)
*:アイルランドでは、DTaP-IPV-Hib-HepB([商品名]INFANRIX HEXA)という6種混合ワクチン(6 in 1)で接種されます。
**:アイルランドでは、従来、DTaP-IPV([商品名]INFANRIX-IPV)という4種混合ワクチン(4 in 1)で接種していましたが、世界的な百日咳ワクチンの不足により、2016年度は百日咳ワクチンの含有が少ないdTap-IPV([商品名]IPV Boostrix)という4種混合ワクチン(4 in 1)を接種することになりました。
***:従来、Hibワクチン([商品名]Hiberix)とMenCワクチン([商品名]MENJUGATE)と別々に接種していましたが、Hib/MenC混合ワクチン([商品名]Menitorix)が接種されるようになりました。
****:2015年4月以来、欧州(EU)における製造元からのBCGワクチンの供給が断たれています。新たな適切なBCGワクチンの供給元を探していますが、見つかっていません。
*****:生後2,4か月でのMenB接種では発熱がよく見られるため、接種後に発熱予防のため解熱剤が用いられます。生後12か月でのMenB接種では不要です。解熱剤としてはアセトアミノフェン(paracetamol)のシロップを、MenB接種直後に一回目、4-6時間開けて二回目、さらに4-6時間開けて三回目を服用します。一回分の用量は、アセトアミノフェン60mgです。体重4kg未満の場合には、アセトアミノフェンの一回分の用量を減らす必要がありますので医師に相談してください。

アイルランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年7月1日~2016年9月30日出生の児)は、下の表3のとおりです。
2013年9月から、妊婦(妊娠27-36週)に対するジフテリア・破傷風百日咳ワクチン(Tdap)が導入されました(商品名: Boostrix)。妊娠の度に一回接種します。
2014年9月から、12-13歳(女子のみ)のヒトパピローマウイルスワクチンについて、3回接種スケジュール(0,1-2,6か月)から2 回接種スケジュール(0,6か月)へと変更されました(商品名: GARDASIL)。
また、2014年8月に、C群髄膜炎菌ワクチン(Men C)の接種スケジュールが、4, 6, 13か月から、4, 13か月及び12-13歳へと変更することが勧告されました。2015年7月1日出生の児からこの新しいスケジュールが導入されました。この変更は、乳児期(1歳未満)では、4,6か月の二回は必要なく4か月の一回の接種で十分とされたこと、および、侵襲性髄膜炎菌感染症の発生は5歳未満と15-19歳で多く思春期での免疫低下が懸念されたことによります。
この他、ロタウイルスワクチンを2,4,6か月の2-3回接種として定期予防接種へ導入することが2013年に勧告されていました。2,4か月の2回接種として2016年10月1日出生の児から導入されました(商品名: Rotarix)。

表3. アイルランドのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年7月1日~2016年9月30日出生の児)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時結核BCG(1回接種)***
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
ポリオIPV(1回目)*
B型肝炎HepB(1回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン:1回目)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
ポリオIPV(2回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
C群髄膜炎菌感染症Men C(1回目)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン:2回目)
生後12ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン:3回目)
生後13ヶ月ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)
C群髄膜炎菌感染症Men C(2回目)
4-5歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(4回目)**
ポリオIPV (4回目)**
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
12-13歳ジフテリア・破傷風百日咳Tdap(一回接種)
C群髄膜炎菌感染症Men C(3回目)
12-13歳(女子のみ)ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ)
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦(妊娠27-36週)ジフテリア・破傷風百日咳Tdap(妊娠の度に一回接種)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年1回接種)
肺炎球菌感染症PPSV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン:1回接種)
*:アイルランドでは、DTaP-IPV-Hib-HepB([商品名]INFANRIX HEXA)という6種混合ワクチン(6 in 1)で接種されます。
**:アイルランドでは、従来、DTaP-IPV([商品名]INFANRIX-IPV)という4種混合ワクチン(4 in 1)で接種していましたが、世界的な百日咳ワクチンの不足により、2016年度は百日咳ワクチンの含有が少ないdTap-IPV([商品名]IPV Boostrix)という4種混合ワクチン(4 in 1)を接種することになりました。
***:2015年4月以来、欧州(EU)における製造元からのBCGワクチンの供給が断たれています。新たな適切なBCGワクチンの供給元を探していますが、見つかっていません。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

アイルランドにおけるワクチンの略語表記について

アイルランドにおけるアイルランド語(愛語)のワクチンの略語表記については、下の表4のとおりです。アイルランド国内で公用語としてアイルランド語(愛語)とともに英語も使われていることもあり、英語のワクチンの略語表記と一致しているようです。

表4. アイルランド語のワクチンの略語表記
愛語略称愛語表記日本語表記英語略称
DDifteireジフテリア(乳幼児用)D
ddaileog bheag de difteireジフテリア(思春期・成人用)d
TTeiteanas("Glas geill")破傷風T
aPTriuch (eigeallach)百日咳(無菌体)aP
apTriuch (eigeallach)百日咳(無菌体、思春期・成人用)ap
IPVPolaimiailiteasポリオ(不活化)IPV
HibHaemophilus influenzae cineal Bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
Hep BHeipititeas BB型肝炎Hep BまたはHBV
Men CVacsain Galar Meiningeacocuil CC群髄膜炎菌Men C
HPVPapalomaivireas(Sineanomaivireas) daonnaヒト-パピローマウイルスHPV
MMRVacsain Bruitini, Leicni, Bruitini Deirge麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR
BCGVacsain eitinne(Vacsain Bacille Calmette-Guerin)結核ワクチン(BCG:Bacille Calmette-Guerin)BCG

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. アイルランド保健サービス局ウェブページ(外部サイト)アイルランド国予防接種部(外部サイト)
    アイルランド国予防接種スケジュール(外部サイト)
    アイルランド国予防接種ガイドライン(外部サイト)
    アイルランド国予防接種ニュース(外部サイト):(英語).
  4. アイルランド保健製品規制局ウェブページ(外部サイト)アイルランドにおけるワクチン(外部サイト):(英語).
  5. アイルランド健康擁護監視センター(外部サイト)(Health Protection Surveillance Centre); 予防接種(外部サイト):(英語).

2013年9月4日初掲載
2015年1月28日改訂増補
2016年12月15日改訂増補

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

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