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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2020年3月17日
本稿では、ドイツのこどもの定期予防接種について触れます。まず、ドイツ(独逸:独)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日独の両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ドイツで実施 | ドイツで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 水痘、 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 肺炎球菌感染症、 B型肝炎、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌 および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) | 結核(BCG)、 日本脳炎 |
日本で未実施 | 髄膜炎菌感染症(MenC)、 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | A型肝炎、 インフルエンザ |
*: HPVワクチンについては、日本では女子のみ対象ですが、ドイツでは女子のみ対象だったのが2018年8月から男女とも対象となりました。
こどもの定期予防接種として、ドイツで実施されず日本で実施されているものとしては、結核(BCG)、日本脳炎(JapEnc)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずドイツで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MenC)、流行性耳下腺炎(ムンプス)、ロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。なお、ロタウイルスによる感染性胃腸炎については、2012年までドイツの定期予防接種ではありませんでしたが、2013年、定期予防接種とするようドイツ予防接種常設委員会(STIKO)が勧告しました。結核(BCG)については、1998年以来、ドイツでは推奨されていません。また、現在、BCGワクチンは、ドイツでは認可されていません。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がドイツでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-HepB-IPV-Hib:[商品名]Infanrix haxa、Hexyon、Vaxelis)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。
2019年8月発表のドイツの定期予防接種の標準的なスケジュール(2019/20年)は、下の表2-1のとおりです。前年度(2018/19年)のスケジュール(表2-2)と比較して変化があったのは、遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン(RZV:recombinant zoster vaccine:商品名Shingrix)の導入です。抗原性補強剤(adjuvant: アジュバント)添加の遺伝子組み換え(recombinant: リコンビナント)の帯状疱疹ワクチンが60歳以上で帯状疱疹及びその合併症の予防のために接種されます。2-6か月の間隔での2回接種です。遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン(RZV:商品名Shingrix)については、アメリカ合衆国の大人の定期予防接種でもありますが、アメリカ合衆国では50歳以上を対象としていて違いがあります。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
生後6週から | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(ロタウイルスワクチン:4週間以上の間隔で製剤により2-3回接種。商品名Rotarixならば生後24週までに2回接種。商品名RotaTeqならば生後32週までに3回接種。) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(1回目)* | |
ポリオ | IPV(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(1回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、1回目。商品名Prevenar 13、Synflorix) | |
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
ポリオ | IPV(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
(肺炎球菌感染症) | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、2回目:妊娠37週以前に誕生の早産児や未熟児の場合にのみ接種) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(3回目)* | |
ポリオ | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、3回目) | |
生後11-14ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(4回目)* | |
ポリオ | IPV(4回目)* | |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、4回目) | |
生後11-14ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回目。商品名M-M-RVaxPro、Priorix、ProQuad)** |
水痘 | VAR(1回目。商品名Varivax、Varilrix)** | |
生後12-23ヶ月 | C群髄膜炎菌感染症 | MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン、1回接種。商品名Menjugate 10 Mikrogramm、NeisVac-C) |
生後15-23ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(2回目)** |
水痘 | VAR(2回目)** | |
5-6歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | Tdap(1回目。商品名Boostrix、Covaxis、TdaP-IMMUN) |
9-17歳 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(2回目)*** |
ポリオ | IPV(5回目)*** | |
9-14歳 (男女とも) | ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:男女とも。商品名Cervarix、Gardasil 9) |
HPV(2回目:1回目の5ヶ月以上後) | ||
18歳以上 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(10年毎に1回接種の1回目。商品名Boostrix、Covaxis、TdaP-IMMUN) |
破傷風・ジフテリア | Td(10年毎に1回接種の2回目以後。商品名Td-pur、Td-Immun、Td-Merieux) | |
18歳以上 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回接種:1970年以前出生で不要。麻疹ワクチン2回以上接種受けていれば不要) |
妊婦 | インフルエンザ | IIV(第2トリメスター[trimester:三半期]以後に1回接種。基礎疾患等によりリスクがある場合は、第1トリメスターから接種可能) |
60歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年一回) |
肺炎球菌感染症 | PPV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン:一回接種。商品名Pneumovax 23) | |
60歳以上 | 遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン | RZV(recombinant zoster vaccine:商品名Shingrix:2-6か月の間隔での2回接種) |
*:ドイツでは、DTaP-HepB-IPV-Hib([商品名]Infanrix haxa、Hexyon、Vaxelis)という6種混合ワクチン(6-fach-Impfung)で接種されることがあります。また、ドイツには、DTaP-IPV-Hib([商品名]Infanrix-IPV+Hib、Pentavac)という5種混合ワクチンもあります。
**:ドイツでは、MMR-V([商品名]Priorix-Tetra、ProQuad)という4種混合ワクチンで接種されることがあります。
***:ドイツでは、Tdap-IPV([商品名]Boostrix Polio、Repevax)という4種混合ワクチンで接種されることがあります。
以前の2018年8月発表のドイツの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018/19年)は、下の表2-2のとおりでした。前年度(2017/18年)のスケジュール(表2-3)と比較して変化があったのはHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンです。女子のみ対象だったのが男女とも対象になりました。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
生後6週から | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(ロタウイルスワクチン:4週間以上の間隔で製剤により2-3回接種。商品名Rotarixならば生後24週までに2回接種。商品名RotaTeqならば生後32週までに3回接種。) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(1回目)* | |
ポリオ | IPV(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(1回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、1回目。商品名Prevenar 13、Synflorix) | |
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
ポリオ | IPV(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
(肺炎球菌感染症) | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、2回目:妊娠37週以前に誕生の早産児や未熟児の場合にのみ接種) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(3回目)* | |
ポリオ | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、3回目) | |
生後11-14ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(4回目)* | |
ポリオ | IPV(4回目)* | |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV(肺炎球菌結合型ワクチン、4回目) | |
生後11-14ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回目。商品名M-M-RVaxPro、Priorix、ProQuad)** |
水痘 | VAR(1回目。商品名Varivax、Varilrix)** | |
生後12-23ヶ月 | C群髄膜炎菌感染症 | MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン、1回接種。商品名Menjugate 10 Mikrogramm、NeisVac-C) |
生後15-23ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(2回目)** |
水痘 | VAR(2回目)** | |
5-6歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | Tdap(1回目。商品名Boostrix、Covaxis、TdaP-IMMUN) |
9-17歳 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(2回目)*** |
ポリオ | IPV(5回目)*** | |
9-14歳 (男女とも) | ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:男女とも。商品名Cervarix、Gardasil 9) |
HPV(2回目:1回目の5ヶ月以上後) | ||
18歳以上 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(10年毎に1回接種の1回目。商品名Boostrix、Covaxis、TdaP-IMMUN) |
破傷風・ジフテリア | Td(10年毎に1回接種の2回目以後。商品名Td-pur、Td-Immun、Td-Merieux) | |
18歳以上 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回接種:1970年以前出生で不要。麻疹ワクチン2回以上接種受けていれば不要) |
妊婦 | インフルエンザ | IIV(第2トリメスター[trimester:三半期]以後に1回接種。基礎疾患等によりリスクがある場合は、第1トリメスターから接種可能) |
60歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年一回) |
肺炎球菌感染症 | PPV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン:一回接種。商品名Pneumovax 23) |
*:ドイツでは、DTaP-HepB-IPV-Hib([商品名]Infanrix haxa、Hexyon、Vaxelis)という6種混合ワクチン(6-fach-Impfung)で接種されることがあります。また、ドイツには、DTaP-IPV-Hib([商品名]Infanrix-IPV+Hib、Pentavac)という5種混合ワクチンもあります。
**:ドイツでは、MMR-V([商品名]Priorix-Tetra、ProQuad)という4種混合ワクチンで接種されることがあります。
***:ドイツでは、Tdap-IPV([商品名]Boostrix Polio、Repevax)という4種混合ワクチンで接種されることがあります。
以前の2017年8月発表のドイツの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017/18年)は、下の表2-3のとおりでした。前年度(2016/17年)のスケジュール(表2-4)と比較して変化はありませんでした。ドイツ予防接種常設委員会(STIKO(外部サイト))は、接種が可能な年齢になったら、できるだけ早く予防接種を受けるべきであるとしています。
ドイツでは、すべての妊婦は、妊娠32週より後で出産予定日に近い時期にHBs抗原の検査を受けることになっています(参考文献13、14)。母親がHBs抗原陽性の場合、新生児に出生12時間以内にHB(B型肝炎)ワクチンとHB免疫グロブリンとを投与します。2回目のHB(B型肝炎)ワクチンは、この初回接種の1か月後に、3回目のHB(B型肝炎)ワクチンは、2回目の接種の5か月後に、接種します。3回目のHB(B型肝炎)ワクチン接種の4-8週間後に児のHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体を測定します。
出生時において、母親のHBs抗原検査結果が判明していない場合には、まず、出生後間も無く新生児にHB(B型肝炎)ワクチンを接種します。その後、母親のHBs抗原検査結果が陽性と判明すれば、出生後7日以内にHB免疫グロブリンを新生児に投与します。
低出生体重児は、抗体産生が少ない可能性があるため、体重1000g未満の場合、2回目のHB(B型肝炎)ワクチンの接種後4週間で、HBs抗体を測定します。HBs抗体価が100IE/l以上であれば、3回目のHB(B型肝炎)ワクチンを、2回目の接種の5か月後に接種します。HBs抗体価が100IE/l未満であれば、3回目のHB(B型肝炎)ワクチンを、すぐに接種します。接種後4週間で、もう一度、HBs抗体を測定します。HBs抗体価が100IE/l以上であれば、4回目のHB(B型肝炎)ワクチンを、3回目の接種の9か月後に接種します。HBs抗体価が100IE/l未満であれば、4回目のHB(B型肝炎)ワクチンを、すぐに接種します。HBs抗体価でB型肝炎の免疫状態を確認しながら、5回目、6回目のHB(B型肝炎)ワクチン接種が実施されることもあります。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) | |
---|---|---|---|
生後6週から | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(ロタウイルスワクチン:4週間以上の間隔で製剤により2-3回接種) | |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(1回目)* | ||
ポリオ | IPV(1回目)* | ||
B型肝炎 | HepB(1回目)* | ||
肺炎球菌感染症 | PCV13 (肺炎球菌結合型ワクチン、1回目。商品名Prevenar 13) | ||
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | ||
ポリオ | IPV(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | ||
B型肝炎 | HepB(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | ||
(肺炎球菌感染症) | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、2回目:妊娠37週以前に誕生の早産児や未熟児の場合にのみ接種) | ||
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(3回目)* | ||
ポリオ | IPV(3回目)* | ||
B型肝炎 | HepB(3回目)* | ||
肺炎球菌感染症 | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、3回目) | ||
生後11-14ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* | |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(4回目)* | ||
ポリオ | IPV(4回目)* | ||
B型肝炎 | HepB(4回目)* | ||
肺炎球菌感染症 | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、4回目) | ||
生後11-14ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回目。商品名M-M-RVaxPro、Priorix、ProQuad)** | |
水痘 | VAR(1回目。商品名Varivax、Varilrix)** | ||
生後12-23ヶ月 | C群髄膜炎菌感染症 | MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン、1回接種。商品名Menjugate 10 Mikrogramm、NeisVac-C) | |
生後15-23ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(2回目)** | |
水痘 | VAR(2回目)** | ||
5-6歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | Tdap(1回目。商品名Boostrix、Covaxis、TdaP-IMMUN) | |
9-17歳 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(2回目)*** | |
ポリオ | IPV(5回目)*** | ||
9-14歳 (女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:女子のみ。商品名Cervarix、Gardasil 9) | |
HPV(2回目:1回目の5ヶ月以上後) | |||
18歳以上 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(10年毎に1回接種の1回目。商品名Boostrix、Covaxis、TdaP-IMMUN) | |
破傷風・ジフテリア | Td(10年毎に1回接種の2回目以後。商品名Td-pur、Td-Immun、Td-Merieux) | ||
18歳以上 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回接種:1970年以前出生で不要。麻疹ワクチン2回以上接種受けていれば不要) | |
60歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年一回) | |
肺炎球菌感染症 | PPV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン:一回接種。商品名Pneumovax 23) |
*:ドイツでは、DTaP-HepB-IPV-Hib([商品名]Infanrix haxa、Hexyon、Vaxelis)という6種混合ワクチンで接種されることがあります。また、ドイツには、DTaP-IPV-Hib([商品名]Infanrix-IPV+Hib、Pentavac)という5種混合ワクチンもあります。
**:ドイツでは、MMR-V([商品名]Priorix-Tetra)という4種混合ワクチンで接種されることがあります。
***:ドイツでは、Tdap-IPV([商品名]Boostrix Polio、Repevax)という4種混合ワクチンで接種されることがあります。
以前の2016年8月発表のドイツの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016/17年)は、下の表2-4のとおりでした。ドイツ予防接種常設委員会(STIKO(外部サイト))は、接種が可能な年齢になったら、できるだけ早く予防接種を受けるべきであるとしています。
なお、ロタウイルスワクチンについては、2013年、新たに定期予防接種とするようドイツ予防接種常設委員会(STIKO)が勧告しました。また、ヒトパピローマウイルスワクチンについては、2014年、9-14歳(女子のみ)の定期予防接種を3回接種スケジュール(0、1-2、6ヶ月)から2回接種スケジュール(0、6ヶ月)とするようにドイツ予防接種常設委員会(STIKO)が勧告しました。
さらに、2015年8月、肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)について、3+1スケジュール(生後2、3、4、11-14ヶ月)から2+1スケジュール(生後2、4、11-14ヶ月)に変更されました。ただし、妊娠37週以前に誕生の早産児や未熟児の場合には、従来どおりの3+1スケジュール(生後2、3、4、11-14ヶ月)で接種します。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
生後6週から | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(ロタウイルスワクチン:4週間以上の間隔で製剤により2-3回接種) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(1回目)* | |
ポリオ | IPV(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(1回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、1回目) | |
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
ポリオ | IPV(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目:単独ワクチンであれば、この回は不要)* | |
(肺炎球菌感染症) | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、2回目:妊娠37週以前に誕生の早産児や未熟児の場合にのみ接種) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(3回目)* | |
ポリオ | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、3回目) | |
生後11-14ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(4回目)* | |
ポリオ | IPV(4回目)* | |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
肺炎球菌感染症 | PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、4回目) | |
生後11-14ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回目) |
水痘 | VAR(1回目) | |
生後12-23ヶ月 | C群髄膜炎菌感染症 | MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン、1回接種) |
生後15-23ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(2回目) |
水痘 | VAR(2回目) | |
5-6歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | Tdap(1回目) |
9-17歳 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(2回目) |
ポリオ | IPV(5回目) | |
9-14歳 (女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:女子のみ) |
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後) | ||
18歳以上 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap(10年毎に1回接種の1回目) |
破傷風・ジフテリア | Td(10年毎に1回接種の2回目以後) | |
18歳以上 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・ 風疹 | MMR(1回接種:1970年以前出生で不要。麻疹ワクチン2回以上接種受けていれば不要) |
60歳以上 | インフルエンザ | IIV(毎年一回) |
肺炎球菌感染症 | PPV23 (23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン:一回接種) |
*:ドイツでは、DTaP-HepB-IPV-Hib([商品名]Infanrix haxa、Hexyon)という6種混合ワクチンで接種されることがあります。
上の表2-1、表2-2、表2-3、表2-4には含まれていませんが、ダニ媒介脳炎ワクチンも接種が推奨されています。特にドイツ国内でも発生が比較的多い南部のバイエルン州やバーデン・ヴュルテンベルク州などで推奨されます。生後12ヶ月から接種が可能です。
日本国外務省も、ドイツで、春から秋にかけて,草原や森林で野外活動を行おうとしている方に対してダニ媒介脳炎ワクチンの接種を勧めています(参考文献9)。また、成人に対して破傷風トキソイド(TT)の追加接種を勧めています(参考文献9)。
2014年のドイツ国内においては、223人のダニ媒介脳炎の患者が発生しています(参考文献10)。この223人についてドイツ国内の感染した州については、6人については2つの州が挙げられているため、のべ229人の統計となっています。多い順に列挙すると、バイエルン自由州(Freistaat Bayern)が123人(53.7%)、バーデン=ヴュルテンベルク州(Baden-Wuerttemberg)が69人(30.1%)、ヘッセン州(Hessen)が16人(7.0%)、ザクセン自由州(Freistaat Sachsen)が13人(5.7%)、テューリンゲン自由州(Freistaat Thueringen)が3人(1.3%)、ブランデンブルク州(Brandenburg)が2人(0.9%)、ニーダーザクセン州(Niedersachsen)が1人(0.4%)、ノルトライン=ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)が1人(0.4%)、ラインラント=プファルツ州(Rheinland-Pfalz)が1人(0.4%)となっています。下の図1のドイツの地図に見るように、ドイツの南部での感染が多く見られます。国境で接するチェコ共和国やオーストリアでもダニ媒介脳炎の患者発生が見られています。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ドイツにおける公用語はドイツ語であり、ワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、ドイツにおけるドイツ語(独語)の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。
独語略称 | 独語表記(Impfung gegen ---) | 日本語表記 | 英語略称 |
---|---|---|---|
D | Diphtherie | ジフテリア(乳幼児用) | D |
d | Diphtherie(verminderter Antigengehalt) | ジフテリア(思春期・成人用) | d |
T | Tetanus(Wundstarrkrampf) | 破傷風 | T |
aP | Pertussis(Keuchhusten) (azellulaer、Komponente) | 百日咳(無菌体) | aP |
ap | Pertussis(Keuchhusten)(azellulaer、Komponente)(verminderter Antigengehalt) | 百日咳 (無菌体、思春期・成人用) | ap |
IPV | Poliomyelitis(inaktiviert) | ポリオ(不活化) | IPV |
Hib | Haemophilus influenzae Typ b | ヘモフィルス-インフルエンザ b型菌 | Hib |
HBまたはHepB | Hepatitis B | B型肝炎 | HepBまたはHBV |
HAまたはHepA | Hepatitis A | A型肝炎 | HepAまたはHAV |
PNC | Pneumokokken(konjugiert) | 肺炎球菌(結合型) | PCV |
MEC | Meningokokken(konjugiert) | 髄膜炎菌(結合型) | MenまたはMCV |
HPV | Humane Papilloma Viren | ヒト-パピローマウイルス | HPV |
MMR | Masern、Mumps、Roeteln | 麻疹・流行性耳下腺炎 (ムンプス)・風疹 | MMR |
BCG | Tuberkulose | 結核(BCG) | BCG |
RVまたはRTV | Rotavirus | ロタウイルス | RV |
IV | Influenza(Virusgrippe) | インフルエンザ | IV |
V | Varizellen(Windpocken、Feuchtblattern) | 水痘 | VまたはVAR |
FSME | Fruehsommer-Meningoenzephalitis (初夏髄膜脳炎) | ダニ媒介脳炎 (tick-borne encephalitis) | TBE |
各国の予防接種
2013年8月9日初掲載
2013年11月5日増補
2014年11月18日改訂
2016年1月4日増補改訂
2016年11月21日増補改訂
2018年3月9日増補改訂
2018年9月10日増補改訂
2020年3月17日増補改訂
健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
電話:045-370-9237
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ファクス:045-370-8462
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