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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年9月4日
本稿では、ブルガリア(勃牙利)共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ブルガリアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日勃両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ブルガリアで実施 | ブルガリアで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 肺炎球菌感染症、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、 肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)、 B型肝炎 | |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | 髄膜炎菌感染症、 A型肝炎、 インフルエンザ |
*: HPVワクチンについて、日本、ブルガリアでは女子のみ対象。
こどもの定期予防接種として、ブルガリアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずブルガリアで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、ロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がブルガリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。同様の四種混合ワクチン(DTaP/IPV)がブルガリアでも使われています。
ブルガリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年)は、下の表2のとおりです。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン (英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目:出生から24時間以内に接種)*** |
結核 | BCG(1回目:出生から48時間後以降に接種) | |
生後1ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目)*** |
生後6週 | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | Rota(1回目) |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回目)* | |
(B型肝炎) | (HepB)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(1回目) | |
生後10-24週 | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | Rota(2回目) |
生後3ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(2回目)* | |
(B型肝炎) | (HepB)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(2回目) | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(3回目)* | |
(B型肝炎) | (HepB)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(3回目) | |
生後20-32か月 | ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | Rota(3回目) |
生後6ヶ月 | B型肝炎 | HepB(3回目)*** |
生後7ヶ月 | 結核 | BCG(2回目:ツベルクリン検査陰性の場合に接種) |
生後12ヶ月 | 肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(4回目) |
生後13ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
生後16ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(4回目)* | |
6歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(5回目)** |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(5回目)** | |
7歳 | 結核 | BCG(3回目:ツベルクリン検査陰性の場合に接種) |
11歳 | 結核 | BCG(4回目:ツベルクリン検査陰性の場合に接種) |
12歳 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) |
ジフテリア・破傷風 | dT(1回目) | |
12-13歳 (女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) | HPV(6か月間隔で2回接種) |
17歳 | 結核 | BCG(5回目:ツベルクリン検査陰性の場合に接種) |
ジフテリア・破傷風 | dT(2回目) | |
25歳以後10年毎 (25歳、35歳、45歳、55歳) | ジフテリア・破傷風 | dT(10年毎に1回接種繰り返し) |
*:ブルガリアでは、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されます。生後2,3,4か月については、DTaP-Hib-IPV-HepBという6種混合ワクチンで接種されることがあります。6種混合ワクチンで接種の場合には、生後0,1,6か月のB型肝炎ワクチン(***)は不要です。
**:ブルガリアでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。
***:ブルガリアでは、B型肝炎については、生後0,1,6か月のB型肝炎ワクチン(HepB)か、あるいは、生後2,3,4か月の6種混合ワクチン(DTaP-Hib-IPV-HepB)で免疫されます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
ブルガリアにおける公用語は、ブルガリア語です。ブルガリアのこどもの定期予防接種のワクチン等のブルガリア語による表記については、下の表3、表4のとおりです。日本語の表記も併記しました。
各国の予防接種
2014年2月10日初掲載
2019年7月9日増補改訂
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