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■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年9月4日
本稿では、ブルネイ・ダルサラーム国(Brunei Darussalam)のこどもの定期予防接種について触れます。ブルネイは、東南アジアで西太平洋上のボルネオ島(カリマンタン島)の北部に位置します。北方は南シナ海に面し、北方以外は陸上でマレーシア(東マレーシア地区:Malaysia Timur)と国境を接します。まず、ブルネイのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | ブルネイで実施 | ブルネイで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | 結核(BCG)、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、 肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) | 日本脳炎、 肺炎球菌感染症、 水痘 |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 B型肝炎 | 髄膜炎菌感染症、 A型肝炎、 ダニ媒介脳炎、 インフルエンザ、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎 |
*: HPVワクチンについて、ブルネイ・日本とも、女子のみ対象。
こどもの定期予防接種として、ブルネイで実施されず日本で実施されているものとしては、肺炎球菌感染症、水痘、日本脳炎(JapEnc)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずブルネイで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、B型肝炎があります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がブルネイでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(Hep B)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。
ブルネイのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年)は、下の表2のとおりです。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン (英字略語表記等) |
---|---|---|
出生時 | B型肝炎 | HepB(1回目) |
結核 | BCG(1回接種) | |
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(1回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(2回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(2回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(3回目)* | |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(4回目)* | |
生後12ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(4回目) | |
生後18ヶ月 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) |
5歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目)** |
ポリオ不活化ワクチン | IPV(4回目)** | |
12-13歳 (7学年、女子のみ) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、 膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:女子のみ)*** |
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)*** | ||
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)*** |
*:ブルネイでは、DTaP-IPV-Hib-HepBという6種混合ワクチンで接種されます。2012年4月24日からブルネイの定期予防接種に導入されました。
**:ブルネイでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。
***:2012年1月からブルネイの定期予防接種に導入されました。
上の表2には含まれていませんが、日本脳炎弱毒生ワクチンについて、患者発生地域優先で接種されることがあります。生後9か月から接種でき、一年以上の間隔での2回接種です。生後9か月から15歳までのこどもが優先で接種されます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
なお、ブルネイにおける公用語はマレー語です。しかし、英語も使われていて、ブルネイ国政府のホームページには英語表記のページもあります。
各国の予防接種
2016年4月26日初掲載
健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
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