このページへのお問合せ
健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
電話:045-370-9237
電話:045-370-9237
ファクス:045-370-8462
メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp
■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。
最終更新日 2019年9月3日
本稿では、バハマ国(Commonwealth of The Bahamas)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、バハマのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
実施状況 | バハマで実施 | バハマで未実施 |
---|---|---|
日本で実施 | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ、 麻疹・風疹、 水痘、 B型肝炎、 肺炎球菌感染症、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*) | 日本脳炎、 結核(BCG) |
日本で未実施 | 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 (ロタウイルスによる感染性胃腸炎)**、 インフルエンザ | 髄膜炎菌感染症、 A型肝炎、 黄熱 |
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象ですが、バハマでは女子・男子とも対象です。
**: ロタウイルスワクチンについては、定期予防接種ではなく任意接種なのですが、広く接種されています。同様に、ロタウイルスワクチンが定期予防接種ではなく任意接種なのですが広く接種されている国として、キプロス、シンガポールがあります(参考文献5)。
こどもの定期予防接種として、バハマで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎、結核(BCG)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずバハマで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)、インフルエンザ、(ロタウイルスによる感染性胃腸炎**)があります。
なお、日本国外務省によれば、バハマのGreat Exuma島にマラリア感染の報告例があるとのことです。そのため、バハマに渡航の際は,マラリア予防薬の内服の要否を専門医に相談すること,また、虫除けスプレーの使用,長袖長ズボンの着用,蚊よけのネットの使用など十分な感染予防対策が推奨されます(参考文献4)。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がバハマでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTwP-Hib-HepB)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。
バハマのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年)は、下の表2のとおりです。
1982年にMMRワクチンを、1999年にHibワクチンを、2001年に5種混合ワクチン(DTwP-Hib-HepB)を、2012年に肺炎球菌結合型ワクチン、及び水痘ワクチンを導入しました。
ヒトパピローマウイルスワクチンについては、2015年5月に、12歳(小学校6年生)の男女を対象とした定期予防接種になりました。
ロタウイルスワクチンについては、定期予防接種ではありませんが、任意接種として広く実施されています。同様に、ロタウイルスワクチンが定期予防接種ではなく任意接種なのですが広く接種されている国として、キプロス、シンガポールがあります(参考文献5)。
接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) |
---|---|---|
生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(1回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(1回目)* | |
B型肝炎 | HepB(1回目)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(1回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(1回目) | |
ロタウイルスワクチン | RV(1回目)** | |
生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(2回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(2回目)* | |
B型肝炎 | HepB(2回目)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(2回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(2回目) | |
ロタウイルスワクチン | RV(2回目)** | |
生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(3回目)* |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(3回目)* | |
B型肝炎 | HepB(3回目)* | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(3回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(3回目) | |
(ロタウイルスワクチン) | RV(3回目:製剤によっては3回目は 不要)** | |
生後6ヶ月以上 | インフルエンザ | IIV(初年度の冬は1ヶ月以上の間隔で2回、次年度の冬からは毎冬1回接種) |
1歳(生後12ヶ月) | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) |
水痘ワクチン | Varicela(1回目) | |
生後15ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(4回目)*** |
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) | Hib(4回目)*** | |
肺炎球菌結合型ワクチン | PCV(4回目) | |
4-5歳 | 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) |
水痘ワクチン | Varicela(2回目) | |
ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTwP(5回目) | |
ポリオ経口生ワクチン | OPV(4回目) | |
10-12歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | dTap(1回接種:後は10年毎に1回接種繰り返し) |
12歳(男女とも:小学校6年生) | ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、 外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ | HPV(1回目:男女とも) |
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後) | ||
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後) |
*: バハマでは、DTwP-Hib-HepBという5種混合ワクチンで接種されます。5種混合ワクチン(DTwP-Hib-HepB)は2001年に導入されました。
**: ロタウイルスワクチンについては、定期予防接種ではなく任意接種なのですが、広く接種されています。同様に、ロタウイルスワクチンが定期予防接種ではなく任意接種なのですが広く接種されている国として、キプロス、シンガポールがあります(参考文献5)。
***: バハマでは、DTwP-Hibという4種混合ワクチンで接種されます。
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
バハマ国は、大西洋上、西インド諸島のバハマ諸島からなる島国です。海を隔てて、北西に米国のフロリダ半島、南西にキューバ、南東にハイチが近いです。このバハマ国における公用語は、英語です。バハマ政府のホームページは英語表記です。
各国の予防接種
2017年2月8日初掲載
健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
電話:045-370-9237
電話:045-370-9237
ファクス:045-370-8462
メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp
ページID:955-428-069