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オーストリアのこどもの定期予防接種について

最終更新日 2019年8月2日

こどもの定期予防接種のオーストリアと日本との違いについて

 本稿では、オーストリアのこどもの定期予防接種について触れます。まず、オーストリア(墺太利:墺)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 日墺の両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のオーストリアと日本との違い(2019年)
実施状況オーストリアで実施オーストリアで
未実施
日本で実施ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
水痘
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)、
肺炎球菌感染症
結核(BCG)、
日本脳炎
日本で未実施髄膜炎菌感染症(MCV)、
流行性耳下腺炎(ムンプス)
インフルエンザ
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
ダニ媒介脳炎A型肝炎
該当なし

*: HPVワクチンについて、オーストリアは男女とも対象。日本は女子のみ対象。

 こどもの定期予防接種として、オーストリアで実施されず日本で実施されているものとしては、結核(BCG)と日本脳炎(JapEnc)とがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずオーストリアで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MCV)、流行性耳下腺炎(ムンプス)インフルエンザロタウイルスによる感染性胃腸炎ダニ媒介脳炎A型肝炎があります。ダニ媒介脳炎については、オーストリアとチェコ共和国とで大人の定期予防接種となっていますが、オーストリアでは、こどもの定期予防接種ともなっています。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がオーストリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(Hep B)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB: [オーストリアでの略語表記]DIP-TET-PEA-IPV-HIB-HBV: [商品名]Infanrix Hexa, Hexyon, Hexacima)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

オーストリアのこどもの定期予防接種スケジュールについて

 オーストリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2019年)は、下の表2-1のとおりです。
 オーストリアのこどもの定期予防接種では、多くの種類のワクチン接種が行われていますが、無料のものと有料のものとがあります。2014年2月から、9-11歳のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが無料化されました。また、9-11歳のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、2013年には3回接種スケジュール(0, 1-2, 6か月)でしたが、2014年には2回接種スケジュール(0, 6か月)となりました。なお、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの1回の接種には、大人では150-200ユーロかかりますが、12-14歳では無料ではありませんが公的援助により50ユーロ程度で受けることができます。15歳以上は3回接種スケジュール(0, 1-2, 6か月)のままですが、12-14歳も2回接種スケジュール(0, 6か月)となっています。
 また、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて、2価ワクチン(独語: 2-fach-HPV-Impfung, 商品名:Cervarix)と4価ワクチン(独語: 4-fach-HPV-Impfung, 商品名:Gardasil, Silgard)とが使われてきましたが、2016年5月以降、9価ワクチン(独語: 9-fach-HPV-Impfung, 商品名:Gardasil 9)も入手可能となり、オーストリアのこどもの定期予防接種でも用いられるようになりました。2019年には、9価ワクチン(独語: 9-fach-HPV-Impfung, 商品名:Gardasil 9)のみが推奨されるようになりました。また、2019年には、帯状疱疹ワクチンとして、これまでの帯状疱疹生ワクチン(ZVL: zoster vaccine live: 商品名Zostavax)は推奨されず、新たに、遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン(RZV:recombinant zoster vaccine: 商品名Shingrix)が推奨されました。Shingrixは50歳から2ヶ月以上の間隔での2回接種です。アメリカ合衆国においても、帯状疱疹ワクチンについては、ZostavaxからShingrixへの切り替えが行われています。
 

表2-1. オーストリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2019年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
生後7週~5ヶ月ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(ロタウイルスワクチン:4週間以上の間隔で製剤によりRotarixは2回接種、Rotateqは3回接種)[無料]
生後3ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)[無料]*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)[無料]*
ポリオIPV(1回目)[無料]*
B型肝炎HepB(1回目)[無料]*
肺炎球菌感染症PCV13[商品名Prevenar 13]またはPCV10[商品名Synflorix](1回目)[無料]
B群髄膜炎菌感染症MenB(1回目)[有料]
生後4ヶ月B群髄膜炎菌感染症MenB(2回目)[有料]
生後5ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)[無料]*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)[無料]*
ポリオIPV(2回目)[無料]*
B型肝炎HepB(2回目)[無料]*
肺炎球菌感染症PCV13またはPCV10(2回目)[無料]
B群髄膜炎菌感染症MenB(3回目)[有料]
生後7ヶ月以上インフルエンザIIV(毎年1回接種。但し、8歳未満での初年度は4週間以上の間隔で2回接種)[有料]
生後9-13ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回接種。1回目が1歳誕生日前なら3ヶ月間隔で。1歳誕生日以後なら4週間以上の間隔で:保育園など集団生活に入る前に接種)[無料]
生後12-14ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)[無料]*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)[無料]*
ポリオIPV(3回目)[無料]*
B型肝炎HepB(3回目)[無料]*
肺炎球菌感染症PCV13またはPCV10(3回目:2回目から6か月以上の間隔で接種します。)[無料]
生後13-24ヶ月水痘VAR(4週間以上[6週間以上が好ましい]の間隔で2回接種)[有料]
生後13-14ヶ月C群髄膜炎菌感染症MenC(1回接種)[有料]
生後13-16ヶ月B群髄膜炎菌感染症MenB(4回目)[有料]
生後13ヶ月ダニ媒介脳炎TBE(1回目)[有料]
生後14ヶ月ダニ媒介脳炎TBE(2回目)[有料]
(生後14ヶ月)A型肝炎HAV(1回目:保育園など集団生活に入る前に接種)[有料]
生後20-24ヶ月ダニ媒介脳炎TBE(3回目)[有料]
(生後20-24ヶ月)A型肝炎HAV(2回目:1回目から6か月以上の間隔で接種)[有料]
5歳ダニ媒介脳炎TBE(4回目)[有料]
7歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)[無料]**
ポリオIPV (1回接種)[無料]**
7-15歳B型肝炎HepB(0-1-6ヶ月の3回接種での基礎免疫、または1回接種での追加免疫)[無料]
(7-45歳)麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(未接種または1回接種の場合、2回まで接種)[無料]
(9-17歳)水痘VAR(接種歴や罹患歴がない場合に2回接種)[有料]
9-11歳(男女とも)ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV9(1回目:9歳になったらできるだけ早く接種。商品名Gardasil 9)[無料]
HPV9(2回目:1回目の6ヶ月後。商品名Gardasil 9)[無料]
10歳ダニ媒介脳炎TBE(5回目)[有料]
11-13歳A, C, Y, W135群髄膜炎菌感染症MCV4(1回接種)[無料]
(13歳)ジフテリア・破傷風百日咳ポリオdTap-IPV(前回の7-9歳での接種がap[百日咳ワクチン]を含まないdT+IPVの接種の場合のみ一回接種)[無料]**
15歳ダニ媒介脳炎TBE(6回目)[有料]
17-60歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(10年毎に一回接種繰り返し)[有料]**
ポリオIPV (10年毎に一回接種繰り返し)[有料]**
18-60歳ダニ媒介脳炎TBE(5年毎に一回追加接種繰り返し)[有料]
50歳以上肺炎球菌感染症まずPCV13、一年後にPPSV23(それぞれ1回接種)[有料]
帯状疱疹RZV(リコンビナント帯状疱疹ワクチン[商品名Shingrix]: 2ヶ月以上の間隔で2回接種)[有料]
60歳以上ダニ媒介脳炎TBE(3年毎に一回追加接種繰り返し)[有料]
ジフテリア・破傷風百日咳dTap(5年毎に一回接種繰り返し)[有料]**
ポリオIPV (5年毎に一回接種繰り返し)[有料]**

*:オーストリアでは、DTaP-Hib-IPV-HepB([独語]:DIP-TET-PEA-HIB-IPV-HBV, [商品名]:Infanrix Hexa, Hexyon, Hexacima)という6種混合ワクチン([独語]:6-fach-Impfung)で接種されます。3回目は2回目から6か月以上の間隔で接種します。
**:オーストリアでは、dTap-IPVという4種混合ワクチン([独語]:4-fach-Impfung)で接種されます。

 以前のオーストリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)は、下の表2-2のとおりでした。

表2-2. オーストリアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
生後7週~5ヶ月ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(ロタウイルスワクチン:4週間以上の間隔で製剤によりRotarixは2回接種、Rotateqは3回接種)[無料]
生後3ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目)[無料]*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)[無料]*
ポリオIPV(1回目)[無料]*
B型肝炎HepB(1回目)[無料]*
肺炎球菌感染症PCV13[商品名Prevenar 13]またはPCV10[商品名Synflorix](1回目)[無料]
B群髄膜炎菌感染症MenB(1回目)[有料]
生後4ヶ月B群髄膜炎菌感染症MenB(2回目)[有料]
生後5ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)[無料]*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)[無料]*
ポリオIPV(2回目)[無料]*
B型肝炎HepB(2回目)[無料]*
肺炎球菌感染症PCV13またはPCV10(2回目)[無料]
B群髄膜炎菌感染症MenB(3回目)[有料]
生後7ヶ月以上インフルエンザIIV(毎年1回接種。但し、8歳未満での初年度は4週間以上の間隔で2回接種)[有料]
生後9-13ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回接種。1回目が1歳誕生日前なら3ヶ月間隔で。1歳誕生日以後なら4週間以上の間隔で:保育園など集団生活に入る前に接種)[無料]
生後12-14ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)[無料]*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)[無料]*
ポリオIPV(3回目)[無料]*
B型肝炎HepB(3回目)[無料]*
肺炎球菌感染症PCV13またはPCV10(3回目:2回目から6か月以上の間隔で接種します。)[無料]
生後13-24ヶ月水痘VAR(4週間以上[6週間以上が好ましい]の間隔で2回接種)[有料]
生後13-14ヶ月C群髄膜炎菌感染症MenC(1回接種)[有料]
生後13-16ヶ月B群髄膜炎菌感染症MenB(4回目)[有料]
生後13ヶ月ダニ媒介脳炎TBE(1回目)[有料]
生後14ヶ月ダニ媒介脳炎TBE(2回目)[有料]
(生後14ヶ月)A型肝炎HAV(1回目:保育園など集団生活に入る前に接種)[有料]
生後20-24ヶ月ダニ媒介脳炎TBE(3回目)[有料]
(生後20-24ヶ月)A型肝炎HAV(2回目:1回目から6か月以上の間隔で接種)[有料]
5歳ダニ媒介脳炎TBE(4回目)[有料]
7歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)[無料]**
ポリオIPV (1回接種)[無料]**
7-15歳B型肝炎HepB(0-1-6ヶ月の3回接種での基礎免疫、または1回接種での追加免疫)[無料]
(7-45歳)麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(未接種または1回接種の場合、2回まで接種)[無料]
(9-17歳)水痘VAR(接種歴や罹患歴がない場合に2回接種)[有料]
9-11歳(男女とも)ヒトパピローマウイルス16型・18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:9歳になったらできるだけ早く接種)[無料]
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)[無料]
10歳ダニ媒介脳炎TBE(5回目)[有料]
11-13歳A, C, Y, W135群髄膜炎菌感染症MCV4(1回接種)[無料]
(13歳)ジフテリア・破傷風百日咳ポリオdTap-IPV(前回の7-9歳での接種がap[百日咳ワクチン]を含まないdT+IPVの接種の場合のみ一回接種)[無料]**
15歳ダニ媒介脳炎TBE(6回目)[有料]
17-60歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(10年毎に一回接種繰り返し)[有料]**
ポリオIPV (10年毎に一回接種繰り返し)[有料]**
18-60歳ダニ媒介脳炎TBE(5年毎に一回追加接種繰り返し)[有料]
50歳以上肺炎球菌感染症まずPCV13、一年後にPPSV23(それぞれ1回接種)[有料]
帯状疱疹VZV(帯状疱疹ワクチン[商品名Zostavax]: 1回接種)[有料]
60歳以上ダニ媒介脳炎TBE(3年毎に一回追加接種繰り返し)[有料]
ジフテリア・破傷風百日咳dTap(5年毎に一回接種繰り返し)[有料]**
ポリオIPV (5年毎に一回接種繰り返し)[有料]**

*:オーストリアでは、DTaP-Hib-IPV-HepB([独語]:DIP-TET-PEA-HIB-IPV-HBV, [商品名]:Infanrix Hexa, Hexyon, Hexacima)という6種混合ワクチン([独語]:6-fach-Impfung)で接種されます。3回目は2回目から6か月以上の間隔で接種します。
**:オーストリアでは、dTap-IPVという4種混合ワクチン([独語]:4-fach-Impfung)で接種されます。

 ヨーロッパにおいて、ダニ媒介脳炎(TBE)について地域を限らず全国的に定期予防接種としている国は、オーストリアとチェコです。また、ヨーロッパにおいて、ダニ媒介脳炎(TBE)について流行地など地域を限って定期予防接種としている国は、ラトビアフィンランドなどです。ドイツでも南部でワクチン接種が推奨されています。
 オーストリアにおけるダニ媒介脳炎ワクチン(TBE)の接種法は、一歳になったら、三回の接種(FSME-Immunは0, 1-3か月後, 2回目の5-12か月後。Encepurは0, 1-3か月後, 2回目の9-12か月後)で基礎免疫を付けます。免疫維持のため、その3年後の5歳で一回接種します。その後は五年毎に60歳まで一回接種を繰り返します。60歳以後は三年毎に一回接種を繰り返します。
急いで免疫を付けたい場合、急速免疫スケジュールがあります。FSME-Immunは0,14日の二回接種、Encepurは0,7,21日の三回接種です。FSME-Immunでは5-12か月後にさらに一回接種して、Encepurでは12-18か月後にさらに一回接種して、基礎免疫が付いたとみなします。

 1970年台後期から始まったオーストリアにおけるダニ媒介脳炎ワクチン(TBE)の接種の普及とともに、オーストリアにおけるダニ媒介脳炎の罹患率ははっきりと減少しました。2000年ころには、全国民における接種率は80%を超えました。オーストリア国内全体で、接種を受けていない人における年間罹患率は10万人あたり6人程度でほぼ一定しています。一方で、オーストリア国内の地域別の接種を受けていない人における年間罹患率は、南部では高率に留まる一方で、北東部で下降傾向が、低率だった西部のアルプス地域で上昇傾向が見られています(参考文献12)。接種を受けていない人における年間罹患率から推計した、2000-2011年における予防接種を全く行っていない場合のオーストリアにおけるダニ媒介脳炎の患者発生は5242人と想定されますが実際は883人の患者が発生しています。オーストリアにおけるダニ媒介脳炎ワクチン(TBE)の接種は、2000-2011年において4000人程度の患者発生を防いだと考えられます(参考文献13)。
 侵襲性髄膜炎菌感染症について、オーストリアでは、毎年、20-100人の患者が発生しています。年間ではB群が50-74%、C群が10-30%を占めていて、B群とC群とが多いです。2008-2017年の10年間では、594人の患者が発生し、内67人が死亡し、致死率11.3%となっています。2017年では、20人の患者が発生し、内5人が死亡し、致死率25%となっています。20人の患者の内、12人(60%)がB群でした。
 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

オーストリアにおけるワクチンの略語表記について

 オーストリアにおける公用語はドイツ語であり、ワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、オーストリアにおけるドイツ語(独語)の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。

表3. オーストリアにおけるワクチンの略語表記
独語略称独語表記
(Impfung gegen ---)
日本語表記英語略称
DIPまたはDDiphtherietoxoidimpfstoffジフテリア(乳幼児用)D
dipまたはdi, dDiphtherietoxoidimpfstoff mit verringerter Antigenmengeジフテリア(思春期・成人用)d
TETまたはTe, TTetanustoxoidimpfstoff破傷風T
dTまたはdiTeDiphtherie-Tetanus-Toxoid-Impfstoff mit vermindertem Diphtherietoxoid-Gehaltジフテリア(思春期・成人用)・破傷風混合ワクチンdT
PEAまたはPPertussis(Keuchhusten)(azellulaer, Komponente)百日咳(無菌体)aP
Pertussis(Keuchhusten)(azellulaer, Komponente)(verminderter Antigengehalt)百日咳(無菌体、思春期・成人用)ap
IPVinaktiviertes Poliomyelitis-Vakzin (nach Salk)ポリオ(不活化、ソークワクチン)IPV
OPVorales Poliomyelitis-Vakzin (nach Sabin)ポリオ(生、経口、セービンワクチン)OPV
HiBHaemophilus influenzae Typ Bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
HBVHepatitis B VirusB型肝炎HepB
またはHBV
HAVHepatitis A VirusA型肝炎HepA
またはHAV
PNC1313-valente Pneumokokken-Konjugat-Impfstoff13価肺炎球菌結合型ワクチンPCV13
PPV2323-valente Pneumokokken-Polysaccharid-Impfstoff23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチンPPSV23
またはPPV23
MECMeningokokken(konjugiert)髄膜炎菌(結合型)MCV
またはMen
MenBImpfung gegen Meningokokken der Gruppe BB群髄膜炎菌ワクチンMenB
HPVHumane Papillomvirenヒト-パピローマウイルスHPV
MMRMasern-, Mumps-, Roeteln-Impfung麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR
MMR-VMasern-, Mumps-, Roeteln-, Varizellen-Impfung麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹水痘MMRV
RVまたはRTVRotavirusロタウイルスRV
IVInfluenzaimpfungインフルエンザIV
VZVVarizella-Zoster-Virus(水痘帯状疱疹ウイルス)水痘VAR
FSMEFruehsommer-Meningoenzephalitis(初夏髄膜脳炎)ダニ媒介脳炎(tick-borne encephalitis)TBE

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(外部サイト)Vaccine schedule platform(外部サイト)(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. オーストリア健康省(外部サイト)オーストリアの定期予防接種(外部サイト):(ドイツ語).
    母子健康手帳(Mutter-Kind-Pass)について(外部サイト):(ドイツ語).
  4. オーストリア公的健康ポータルサイト(外部サイト)予防接種 (外部サイト):(ドイツ語).
    母子健康手帳(Mutter-Kind-Pass)について(外部サイト):(ドイツ語).
  5. オーストリア医療安全室・オーストリア医薬品医療器具局(外部サイト)
    オーストリアの認可ワクチン(外部サイト):(英語・ドイツ語).
  6. オーストリア医師会(外部サイト)予防接種(外部サイト):(ドイツ語).
  7. ウィーン医師会(外部サイト)予防接種(外部サイト):(ドイツ語).
  8. ウィーン市役所(外部サイト)予防接種(外部サイト):(英語). 予防接種(外部サイト):(ドイツ語).
    こどものワクチンの価格(外部サイト):(ドイツ語).
    大人のワクチンの価格(外部サイト):(ドイツ語).
    予防接種スケジュール(外部サイト):(英語).
    予防接種スケジュール(外部サイト):(ドイツ語).
  9. オーストリア薬剤師会(外部サイト)
    2018年予防接種計画(外部サイト)等:(ドイツ語).
  10. オーストリア医学雑誌(外部サイト)
    サービス・出版物(外部サイト) :「-年予防接種計画(Impfplan)」(PDF版)等を見ることができます。:(ドイツ語).
  11. オーストリア国援助ページ(独語(外部サイト)英語(外部サイト)) :母子健康手帳について(外部サイト):(英語).
    母子健康手帳(Mutter-Kind-Pass)について(外部サイト):(ドイツ語).
  12. Heinz FX, Stiasny K, Holzmann H, Kundi M, Sixl W, Wenk M, Kainz W, Essl A, Kunz C. Emergence of tick-borne encephalitis in new endemic areas in Austria: 42 years of surveillance. Euro Surveill. 2015;20(13):pii=21077. Available online: http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=21077(外部サイト), Article DOI: http://dx.doi.org/10.2807/1560-7917.ES2015.20.13.21077(外部サイト).
  13. Heinz, F. X., Stiasny, K., Holzmann, H., Grgic-Vitek, M., Kriz, B., Essl, A....Kundi, M. (2013). Vaccination and Tick-borne Encephalitis, Central Europe(外部サイト). Emerging Infectious Diseases, 19(1), 69-76. https://dx.doi.org/10.3201/eid1901.120458(外部サイト).

2013年10月4日初掲載
2014年11月21日改訂増補
2015年1月30日改訂増補
2016年3月2日改訂増補
2016年12月8日改訂増補
2017年4月7日改訂増補
2019年8月2日改訂増補

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