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オーストラリアのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年8月20日

こどもの定期予防接種のオーストラリアと日本との違いについて

本稿では、オーストラリア連邦(豪太剌利: Commonwealth of Australia)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、オーストラリアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

日豪の両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1.こどもの定期予防接種のオーストラリアと日本との違い
実施状況オーストラリアで実施オーストラリアで未実施
日本で実施ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
肺炎球菌感染症
水痘
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)
結核(BCG)、
日本脳炎
日本で未実施A・C・W・Y群髄膜炎菌感染症
流行性耳下腺炎(ムンプス)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ

*: HPVワクチンについて、オーストラリアでは男女とも対象(女子は2007年から。男子は2013年から)。日本では女子のみ対象。オーストラリアでは9価ワクチン(9vHPVまたはHPV9:商品名Gardasil 9)が用いられています。

こどもの定期予防接種として、オーストラリアで実施されず日本で実施されているものとしては、結核(BCG)、日本脳炎(JapEnc)と少数あります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずオーストラリアで実施されているものとしては、A・C・W・Y群髄膜炎菌感染症(MenACWY)流行性耳下腺炎(ムンプス)ロタウイルスによる感染性胃腸炎と多数あります。
なお、オーストラリアで実施されているこどもの定期予防接種としては、アポリジニー(オーストラリア先住民)とアイランダー(トレス海峡諸島先住民)については、A型肝炎インフルエンザとが加わります。A型肝炎不活化ワクチン(HepA:商品名Vaqta Paediatric)については、生後12か月と18か月の2回接種です。インフルエンザワクチンについては、生後6か月以上5歳未満と15歳以上とが対象となります。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がオーストラリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-HepB-IPV-Hib、商品名Infanrix hexa)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

オーストラリアの定期予防接種スケジュールについて

オーストラリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年7月1日から)は、下の表2-1のとおりです。
2018年7月1日から、生後12ヶ月におけるHib-MenCという2種混合ワクチン(商品名 Menitorix)の接種が中止されました。替わりに、生後12ヶ月にA・C・W・Y群髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)、生後18ヶ月にヘモフィルスインフルエンザb型菌ワクチン(Hib)が接種されることになりました。また、PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン)の接種時期が、生後2、4、6か月から、生後2、4、12か月に変更されました。
髄膜炎菌感染症については、オーストラリアでは、以前はW群・Y群はまれでした。しかし、最近、W群・Y群が増加して来たことに対応して、C群髄膜炎菌ワクチン(MenC)(外部サイト)からA・C・W・Y群髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)へと変更となりました。

表2-1. オーストラリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年7月1日から)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
誕生時(誕生から
1週間以内)
B型肝炎HepB(1回目:出生したらできるだけ早く、24時間以内の接種が望ましい。通常は誕生した病院で接種されます。)
生後2ヶ月
(生後6週から)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目:生後6週から)*
B型肝炎HepB(2回目:生後6週から)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目:生後6週から)*
ポリオIPV(1回目:生後6週から)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、1回目:生後6週から。商品名: Prevenar 13)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(1回目:生後6週から生後14週まで)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
ポリオIPV(2回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、2回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(2回目:生後24週まで)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
B型肝炎HepB(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
ロタウイルスによる感染性胃腸炎

RV(3回目:RV5[商品名Rota Teq]の場合のみ3回目を投与。生後32週6日まで。RV1[商品名Rotarix]の場合は3回目は不要)

(肺炎球菌感染症)PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、医学的に肺炎球菌感染症の危険性が高い児に追加で接種。アポリジニー(オーストラリア先住民)とアイランダー(トレス海峡諸島先住民)についても追加で接種。)
12ヶ月

A・C・W・Y群髄膜炎菌感染症

MenACWY(A・C・W・Y群髄膜炎菌結合型ワクチン。商品名: Nimenrix)

麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目:生後12ヶ月から)
肺炎球菌感染症PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、3回目)
(A型肝炎)HepA(A型肝炎不活化ワクチン、1回目。アポリジニー(オーストラリア先住民)とアイランダー(トレス海峡諸島先住民)について接種)
18ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹水痘MMRV(MMRは2回目。VAR[水痘]は1回接種)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(4回目)
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目。商品名: ActHIB)
(A型肝炎)HepA(A型肝炎不活化ワクチン、2回目。アポリジニー(オーストラリア先住民)とアイランダー(トレス海峡諸島先住民)について接種)
4歳
(3歳6ヶ月から)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(5回目)****
ポリオIPV(4回目)****
(肺炎球菌感染症)PPV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン、医学的に肺炎球菌感染症の危険性が高い児にのみ一回接種。商品名: Pneumovax 23)
10-15歳
(5-9学年)***
水痘VAR(水痘の罹患歴あるいは接種歴があれば不要。13歳以下なら一回接種。14歳以上で初めての接種の場合は一ヶ月以上の間隔で二回接種。)
破傷風・ジフテリア・百日咳Tdap(一回接種)
12-13歳
(7-8学年)***

ヒトパピローマウイルス16型・
18型・31型・33型・45型・52型・58型による子宮頸部癌、外陰癌、
膣癌、肛門癌および6型・11型に
よる尖圭コンジローマ

HPV9(1回目:商品名Gardasil 9。男女とも)
HPV9(2回目:1回目の6ヶ月以上後)
妊婦
(妊娠28-32週)
破傷風・ジフテリア・百日咳Tdap(妊娠毎に一回接種。妊娠28-32週での接種が望ましいが、接種できなかった場合には出産まで接種可能)
妊婦(妊娠のどの
時期においても)
インフルエンザIIV(一回接種)
65歳以上**インフルエンザIIV(毎年一回)
肺炎球菌感染症**PPV23(一回のみ)**
70歳(2021年10月31日までは71-79歳でも接種可能)帯状疱疹ZOS(一回接種)

*:DTaP-HepB-IPV-Hibという6種混合ワクチン(商品名: Infanrix hexa)で接種されます。
**:アポリジニー(オーストラリア先住民)とアイランダー(トレス海峡諸島先住民)については、50歳以上がPPV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン)の接種の対象となります。
***:州によって学齢期の接種の年齢(学年)は異なります。オーストラリア首都地区(Australian Capital Territory: ACT)においては、HPVワクチン・水痘ワクチン・Tdapワクチンについて7学年での接種となっています。8学年の終わりまで接種できます。なお、Gardasil 9については、9歳以上15歳未満であれば、6か月以上の間隔での2回接種、15歳以上または免疫不全等の医学的事情があれば、0-2-6か月の3回接種です。
****:DTaP-IPVという4種混合ワクチン(商品名: Infanrix IPV)で接種されます。


オーストラリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年11月から2018年6月まで)は、下の表2-2のとおりでした。
2016年に、生後18ヶ月におけるDTaPワクチンが再導入されました。生後18ヶ月におけるDTaPワクチンの中止により、近年、2-9歳における百日咳の患者発生数の増加が見られたため、再び導入されることになりました。また、生後2ヶ月のDTaPワクチンは、生後6週から接種可能ですが、生後2ヶ月で接種した場合に比べて、生後6週で接種した場合の方が、8%余計に百日咳の患者発生を予防できると推計されています。

表2-2.オーストラリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年11月から2018年6月まで)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
誕生時(誕生から
1週間以内)
B型肝炎HepB(1回目:出生したらできるだけ早く、24時間以内の接種が望ましい)
生後2ヶ月
(生後6週から)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(1回目:生後6週から)*
B型肝炎HepB(2回目:生後6週から)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目:生後6週から)*
ポリオIPV(1回目:生後6週から)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、1回目:生後6週から)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(1回目:生後6週から生後12週6日まで)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(2回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
ポリオIPV(2回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、2回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(2回目)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(3回目)*
B型肝炎HepB(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
ポリオIPV(3回目)*
肺炎球菌感染症PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、3回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV(3回目:RV5[商品名Rota Teq]の場合のみ3回目を投与。生後32週6日まで)
12ヶ月ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)**
C群髄膜炎菌感染症MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン)**
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目:生後12ヶ月から)
(肺炎球菌感染症)PCV13(13価結合型肺炎球菌ワクチン、医学的に肺炎球菌感染症の危険性が高い児にのみ4回目を接種)
18ヶ月麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹水痘MMRV(MMRは2回目。VAR[水痘]は1回接種)
ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(4回目)
4歳(3歳6ヶ月から)ジフテリア・破傷風百日咳DTaP(5回目)****
ポリオIPV(4回目)****
(肺炎球菌感染症)PPV23(肺炎球菌ポリサッカライドワクチン、医学的に肺炎球菌感染症の危険性が高い児にのみ一回接種)
10-15歳(5-9学年)***水痘VAR(水痘の罹患歴あるいは接種歴があれば不要。13歳以下なら一回接種。14歳以上で初めての接種の場合は一ヶ月以上の間隔で二回接種。)
破傷風・ジフテリア・百日咳Tdap(一回接種)
12-13歳(7-8学年)***ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV4(1回目:商品名Gardasil。男女とも)
HPV4(2回目:1回目の2ヶ月後)
HPV4(3回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦(妊娠のどの
時期においても)
インフルエンザIIV(一回接種)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年一回)
肺炎球菌感染症PPV23(一回のみ)
70歳(2021年10月までは71-79歳でも接種可能)帯状疱疹ZOS(一回接種)

*:DTaP-HepB-IPV-Hibという6種混合ワクチンで接種されます。
**:Hib-MenCという2種混合ワクチン(商品名 Menitorix)で接種されます。
***:州によって学齢期の接種の年齢(学年)は異なります。オーストラリア首都地区(Australian Capital Territory: ACT)においては、HPVワクチン・水痘ワクチン・Tdapワクチンについて7学年での接種となっています。8学年の終わりまで接種できます。
****:DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

オーストラリアで、こどもが定期予防接種を受ける際には、必ず健康記録手帳「Personal Health Record」を持参します。その日に受けた予防接種の詳細が健康記録手帳に記載されます。接種記録はオーストラリア小児予防接種登録所(Australian Childhood Immunisation Register(外部サイト): ACIR)にも送られ、厳重に管理されます。また、その接種記録は、育児給付(Childcare Benefit)や乳児予防接種手当(Maternity Immunisation Allowance)などの社会保障手当の支給手続きの際に利用されます。オーストラリアでは、こどもの入園・入学手続きの際、予防接種の記録が必要となる場合が多いですが、こどもの七歳未満までの予防接種の記録は、オーストラリア小児予防接種登録所に連絡すれば、その写しを受け取ることができます。

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):英語。
  2. The Australian Government Department of Health and Ageing, The Australian Immunisation Handbook(外部サイト)
  3. オーストラリア健康省(外部サイト)オーストラリア免疫計画(外部サイト)
    オーストラリア予防接種スケジュール(外部サイト)
  4. オーストラリア首都地区(Australian Capital Territory: ACT)保健部(外部サイト)予防接種(外部サイト)

2013年7月22日初掲載
2015年11月9日改訂増補
2017年7月3日改訂増補
2018年7月13日改訂増補

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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

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ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

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