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アルゼンチンのこどもの定期予防接種について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の情報を提供するものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、個別相談には対応しかねます。 ■渡航等に際して、当該国の最新情報や、接種対象、接種方法等の詳細が必要な場合は、外務省ホームページや大使館などで事前にご確認ください。

最終更新日 2019年8月15日

こどもの定期予防接種のアルゼンチンと日本との違いについて

本稿では、アルゼンチン(亜爾然丁)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、アルゼンチンのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のアルゼンチンと日本との違い
実施状況アルゼンチンで実施アルゼンチンで
未実施
日本で実施結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
肺炎球菌感染症
B型肝炎、
水痘
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ(*)
日本脳炎
日本で未実施流行性耳下腺炎(ムンプス)
黄熱
インフルエンザ
A型肝炎
アルゼンチン出血熱
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
髄膜炎菌感染症
該当なし

*: HPVワクチンについて、日本は女子のみ対象、アルゼンチンは2017年1月1日から男女とも対象。

こどもの定期予防接種として、アルゼンチンで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎(JapEnc)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずアルゼンチンで実施されているものとしては、黄熱流行性耳下腺炎(ムンプス)インフルエンザA型肝炎アルゼンチン出血熱ロタウイルスによる感染性胃腸炎髄膜炎菌感染症があります。

多数のワクチンを混合したワクチン製剤がアルゼンチンでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib:[スペイン語]DPT-HB-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

アルゼンチンのこどもの定期予防接種スケジュールについて

アルゼンチンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年1月1日から)は、下の表2-1のとおりです。
HPVワクチンについて、2011年から定期予防接種とされ、女子のみ対象でしたが、2017年1月1日から男女とも対象となりました。2000年以後に生まれた11歳の女子及び2006年以後に生まれた11歳の男子が対象となります。男女いずれとも、6ヶ月間隔での二回接種です。
4価(A,C.W,Y群)髄膜炎菌結合型ワクチン(MCV4)について、2017年1月1日から定期予防接種とされ、乳幼児期について、生後3,5,15ヶ月の三回接種となります。また、11歳でも一回接種されます。

表2-1.アルゼンチンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年1月1日から)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時B型肝炎HepB(1回目)
BCGワクチンBCG(1回接種)
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(1回目)
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン、1回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV1(1回目)
生後3ヶ月A,C.W,Y群髄膜炎菌結合型ワクチンMCV4(1回目)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ポリオ不活化ワクチンIPV(2回目)
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン、2回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV1(2回目)
生後5ヶ月A,C.W,Y群髄膜炎菌結合型ワクチンMCV4(2回目)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
B型肝炎HepB(4回目)*
2価ポリオ生ワクチン2vOPV(1回目)
生後6-24ヶ月インフルエンザIIV(初シーズンでは4週間以上の間隔で二回接種。次シーズン以後では一回接種。)
生後12ヶ月肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン、3回目)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
A型肝炎HepA(1回接種)
生後15ヶ月A,C.W,Y群髄膜炎菌結合型ワクチンMCV4(3回目)
水痘Var(1回接種)
生後15-18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(4回目)**
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)**
2価ポリオ生ワクチン2vOPV (2回目)
生後18ヶ月黄熱YFV(1回目)
5-6歳
(小学校入学)
ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(5回目)
2価ポリオ生ワクチン2vOPV (3回目)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
11歳ジフテリア・破傷風百日咳dTap(1回接種)
黄熱YFV(2回目。後は、10年毎に1回接種繰り返し。)
A,C.W,Y群髄膜炎菌結合型ワクチンMCV4(1回接種)
11歳
(男女とも)
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目)
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)
流行地で15歳を超える男女アルゼンチン出血熱AHFV(1回接種)
16歳ジフテリア・破傷風

dT(1回接種。後は、10年毎に1回接種繰り返し。)

65歳以上インフルエンザIIV(毎年1回接種)
65歳以上肺炎球菌感染症

PPSV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン、1回接種)

*:アルゼンチンでは、DTwP-HepB-Hib([西語]DTP-HB-Hib)という5種混合ワクチンで接種されます。
**:アルゼンチンでは、DTwP-Hib([西語]DTP-Hib)という4種混合ワクチンで接種されます。あるいは、DTwP-HepB-Hib([西語]DTP-HB-Hib)という5種混合ワクチンで接種されることもあります。

アルゼンチンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年)は、下の表2-2のとおりでした。

表2-2.アルゼンチンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2015年)
接種時期予防する感染症接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時B型肝炎HepB(1回目)
BCGワクチンBCG(1回接種)
生後2ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(1回目)*
B型肝炎HepB(2回目)*
ポリオOPV(1回目)
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン、1回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV1(1回目)
生後4ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(2回目)*
B型肝炎HepB(3回目)*
ポリオOPV(2回目)
肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン、2回目)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎RV1(2回目)
生後6ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(3回目)*
B型肝炎HepB(4回目)*
ポリオOPV(3回目)
生後6ヶ月インフルエンザIIV(1回目)
生後7ヶ月インフルエンザIIV(2回目)
生後12ヶ月肺炎球菌感染症PCV13(13価肺炎球菌結合型ワクチン、3回目)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(1回目)
A型肝炎HepA(1回接種)
生後15-18ヶ月ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(4回目)**
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症Hib(4回目)**
ポリオOPV (4回目)
生後18ヶ月黄熱YFV(1回目)
5-6歳ジフテリア・破傷風百日咳DTwP(5回目)
ポリオOPV (5回目)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹MMR(2回目)
11歳ジフテリア・破傷風百日咳Tdap(1回接種)
黄熱YFV(2回目。後は、10年毎に1回接種繰り返し。)
11歳
(女子のみ)
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマHPV(1回目:女子のみ)
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)
流行地で15歳を超える男女アルゼンチン出血熱AHFV(1回接種)
16歳ジフテリア・破傷風dT(1回接種。後は、10年毎に1回接種繰り返し。)
65歳以上インフルエンザIIV(毎年1回接種)
65歳以上肺炎球菌感染症PPSV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン、1回接種)

*:アルゼンチンでは、DTwP-HepB-Hib([西語]DTP-HB-Hib)という5種混合ワクチンで接種されます。
**:アルゼンチンでは、DTwP-Hib([西語]DTP-Hib)という4種混合ワクチンで接種されます。あるいは、DTwP-HepB-Hib([西語]DTP-HB-Hib)という5種混合ワクチンで接種されることもあります。

アルゼンチンでは、"Candid #1"(C#1)というアルゼンチン出血熱の弱毒生ワクチンがあり、アルゼンチンの定期予防接種の一つとなっています。流行地で15歳を超える男女が接種対象となります。一回接種で筋肉内注射です。15歳未満には接種できないため、アルゼンチン出血熱患者に占める15歳未満の患者の率が相対的に高くなっています。また、アルゼンチン出血熱のワクチンは、アルゼンチン出血熱の流行地がアルゼンチン国内に限定されアルゼンチン以外の国での販売が期待薄であること、危険性の高いウイルスを扱うための設備投資が大きいこと等のため、その開発にはアルゼンチン政府が大きく関わりました。アルゼンチン出血熱に対する"Candid #1"ワクチンの予防効率は95%(95%信頼区間:82-99%)です(参考文献3)。20年間に約257,000人が接種を受けて、その中では、12人の軽症の患者発生が見られたとのことです。なお、アカゲザルを使った動物実験では、遺伝子的にフニンウイルスに近いマチュポウイルスによるボリビア出血熱の予防も示唆されたとのことです。

複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

アルゼンチンにおけるスペイン語のワクチンの略語表記について

スペイン語はアルゼンチンの公用語です。アルゼンチンにおけるスペイン語のワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、スペイン語(西語)の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。

表3.アルゼンチンにおけるスペイン語のワクチンの略語表記
西語略称西語表記
(vacuna contra ---)
日本語表記英語略称
DT
(Doble bacteriana)
difteria, tetanos (pediatrico)細菌二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風;小児用)DT
dT
(Doble bacteriana)
difteria, tetanos (adulto)細菌二種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風;成人用)dT
DTP(Triple bacteriana celular)difteria, tetanos, Tos convulsa (pediatrico)細菌三種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風百日咳[全菌体];小児用)DTwP
dTpa(Triple bacteriana acelular)difteria, tetanos, Tos convulsa (adulto)細菌三種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風百日咳[無菌体];成人用)Tdap
IPV
(Salk)
Vacuna inactivada contra la poliomielitis (inyectable)ポリオ(不活化、筋肉内注射;ソーク-ワクチン)IPV
OPV
(Sabin)
Vacuna oral contra la poliomielitis (atenuados)ポリオ(生、経口;セービン-ワクチン)OPV
HibVacuna contra Haemophilus influenzae tipo bヘモフィルス-インフルエンザb型菌Hib
HBHepatitis BB型肝炎HepB
HAHepatitis AA型肝炎HepA
neumococo
またはVCN
Vacuna conjugada contra el neumococo肺炎球菌結合型ワクチンPCV
neumococo
またはVPN
Vacuna polisacarida contra el neumococo肺炎球菌ポリサッカライドワクチンPPSVまたはPPV
VPHVirus papiloma humanoヒト-パピローマウイルスHPV
SRP
(Triple viral)
sarampion, rubeola, paperas麻疹風疹流行性耳下腺炎(ムンプス)(ウイルス三種混合)MMR
SR
(Doble Viral)
sarampion, rubeola麻疹風疹(ウイルス二種混合)MR
FAFiebre amarilla黄熱YFV
FHAFiebre hemorragica argentinaアルゼンチン出血熱AHFV
BCGVacuna BCG(Tuberculosis)BCGワクチン(結核)BCG
Influenza
(Gripe)
Influenza(Gripe)インフルエンザIV
penta
(DTP-HB-Hib)
Vacuna pentavalente五種混合ワクチンDTwP-Hib-HepB
DTP-Hib(Cuadruple bacteriana)difteria, tetanos, Tos convulsa, Haemophilus influenzae tipo b細菌四種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風百日咳ヘモフィルス-インフルエンザb型菌)DTwP-Hib
RotavirusRotavirusロタウイルスRV

関連事項

各国の予防接種

予防接種法とインフルエンザ予防接種(日本)

参考文献

  1. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. 2014 global summary (Immunization schedule selection centre).
    全世界の国々の予防接種スケジュール(外部サイト)(WHO):英語。
  2. Ana Ambrosio, Saavedra M.C, Mariani M.A, Gamboa G.S and Maiza A.S, Argentine hemorrhagic fever vaccines; Human vaccines; June 2011; volume 7 issue 6, p. 694-700.
  3. アルゼンチン健康省(外部サイト)(MSAL: Ministerio de Salud)、予防接種.(外部サイト) :(スペイン語).
    Calendario Nacional de Vacunacion(外部サイト)(定期予防接種スケジュール). :(スペイン語).
  4. Ray Borrow, Pedro Alarcon, Josefina Carlos, Dominique A. Caugant, Hannah Christensen, Roberto Debbag, Philippe De Wals, Gabriela Echaniz-Aviles, Jamie Findlow, Chris Head, Daphne Holt, Hajime Kamiya, Samir K Saha, Sergey Sidorenko, Muhamed-Kheir Taha, Caroline Trotter, Julio A. Vazquez Moreno, Anne von Gottberg, Marco A. P. Safadi & on behalf of the Global Meningococcal Initiative (2016): The Global Meningococcal Initiative: global epidemiology, the impact of vaccines on meningococcal disease and the importance of herd protection, Expert Review of Vaccines, DOI: 10.1080/14760584.2017.1258308(外部サイト)

2013年12月6日初掲載
2015年5月12日増補改訂
2017年1月16日増補改訂

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