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ゲタウイルス感染症について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。

最終更新日 2019年7月11日

流行は?

JRA(Japan Racing Association: 日本中央競馬会)によれば、2014年9月中旬から10月下旬にかけて茨城県霞ヶ浦東の丘陵地にある競走馬のトレーニング施設である日本中央競馬会美浦(みほ)トレーニング・センター(トレセン: T.C.)において発熱馬の増加が見られ、ゲタウイルス(Getah virus: GV)感染症と考えられたとのことです。蚊の媒介によりウマからウマへと感染が広がったと考えられ、媒介蚊対策として、蚊の臨時駆除作業が実施されました。なお、美浦トレーニング・センター競走馬診療所では以前から競走馬にゲタウイルスワクチン接種を行っています。今回感染が見られた馬の多くはこのワクチン接種が完了していない2歳馬であったとのことです(参考文献1,7)。美浦トレーニング・センターにおいては、1978年の9月下旬から11月上旬にも馬のゲタウイルス感染症の集団発生があったことが報告されています(参考文献2,9)。1983年7-9月には日本各地において馬のゲタウイルス感染症の集団発生があったことが報告されています(参考文献3)。国外では、インドにおいて、1990年にサラブレッド馬の牧場で馬のゲタウイルス感染症の集団発生があったことが報告されています(参考文献4)。

どんな病気?

病原体のゲタウイルス(Getah virus)は、馬、豚、牛、水牛、カンガルー、ニワトリ、人等に感染することがあります。しかし、発病することがあることがはっきりしているのは、馬と豚とに限られます。人については、感染することはあっても発病しない(不顕性感染)と考えられてきましたが、発熱が見られることもあるようです(参考文献10)。

馬のゲタウイルス感染症(Getah virus infection: 「馬ゲタウイルス病」とも)は、ゲタウイルスに感染後1-3日で39度前後の発熱が見られます。発熱は数日以内に解熱します。解熱後、あるいは感染後1週間前後に米粒大から小豆大の発疹や後肢の下脚部の浮腫が見られることがありますが、1-2週間で軽快します。
ゲタウイルスの媒介には主にキンイロヤブカ、ヤマトヤブカやコガタアカイエカが関与していて、 日本では、これらの媒介蚊の活動時期である夏から秋にかけて流行が見られます。
豚のゲタウイルス感染症は、「豚ゲタウイルス病」と呼ばれます。成豚は、感染しても、軽度の発熱以外、目立った症状を示しません。しかし、妊娠している豚が感染すると流産や死産が見られ、特に、妊娠初期の感染による流産が多く見られます。また、生後1週間以内の新生子豚が感染すると、元気消失、食欲不振、下痢、全身の震え、後肢麻痺等が見られ、2-3日の経過で急死することがあります。

潜伏期については、馬、豚とも比較的短いと考えられています。馬に経鼻的にウイルスを投与したところ、3-4日で発症しました。筋肉注射でウイルスを投与したところ、潜伏期は2-6日でした。豚の感染実験では、感染後1-3日で発病しました。

病原体は?

病原体のゲタウイルス(Getah virus)は、トガウイルス科(family Togaviridae )アルファウイルス属(genus Alphavirus )に属します。アルファウイルス属について、詳しくは、当・横浜市衛生研究所ホームページ「ベネズエラ馬脳炎・東部馬脳炎・西部馬脳炎について」をご覧下さい。ゲタウイルスはほぼ日本全土に分布しています。

図1.ゲタウイルスの感染サイクル

予防のためには・・・

ウマに対するゲタウイルスワクチン(不活化ワクチン)とブタに対するゲタウイルスワクチンとがあります。日本の競走馬では、5-6月に、2歳の競走馬に対して4週間(約1か月)間隔での2回の接種を基礎免疫として、翌年からは毎年1回の追加接種を繰り返します(参考文献9)。豚に対するゲタウイルスワクチンは、ブタの死産・流産予防のワクチンとして接種されます。

参考文献

  1. 日本中央競馬会(JRA)プレスリリース: お知らせ「美浦トレーニング・センターにおける発熱馬の状況について」JRA報道室、平成26年10月9日(外部サイト)
  2. 今川浩、安藤泰正、鎌田正信、他(日本中央競馬会競走馬総合研究所栃木支所)、日本の軽種馬におけるゲタウイルス感染症の血清疫学調査: Jpn. J. Vet. Sci. 43, 797-802 (1981).
  3. 泉対博、甲野雄次(家畜衛生試験場研究第二部)、馬のゲタウイルス感染症の再流行(短報): Jpn. J. Vet. Sci. 47(2), 333-335 (1985).
  4. C.M. Brown, P.J. Timoney, Getah virus infection of Indian horses, Tropical Animal Health and Production. 1998;30(4): p. 241-252.
  5. 馬の主な感染症(外部サイト)ゲタウイルス感染症(外部サイト) (Getah virus infection) 」: JRA競走馬総合研究所ホームページ(外部サイト)
  6. Spickler, Anna Rovid. "Getah virus infection." February 2006 (Last Updated)."
    At http://www.cfsph.iastate.edu/DiseaseInfo/factsheets.php(外部サイト)
  7. Nemoto M, Bannai H, Tsujimura K, Kobayashi M, Kikuchi T, Yamanaka T, et al. Getah virus infection among racehorses, Japan, 2014(外部サイト). Emerg Infect Dis. Volume 21, Number 5-2015 May, p. 883-885.
  8. 農林水産省消費・安全局監修 病性鑑定マニュアル 第3版(外部サイト)
    豚ゲタウイルス病(外部サイト)
    馬ゲタウイルス病(外部サイト)
  9. 社団法人 中央畜産会、馬のゲタウイルス感染症(Getah virus infection in horses)、平成23年11月 第一版第二刷発行、馬感染症シリーズ(外部サイト)
  10. Li Xue-Dong, Qiu Fu-Xi, Yang Huo, Rao Yi-Nian and Charles H Calisher. Isolation of Getah virus from mosquitos collected on Hainan Island, China, and results of a serosurvey. The Southeast Asian Journal of Tropical Medicine and Public Health(外部サイト). Vol 23 No. 4, December 1992: p. 730-734.

2015年4月27日掲載

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電話:045-370-9237

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ファクス:045-370-8462

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