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ビブリオ・バルニフィカス感染症について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。

最終更新日 2019年7月17日

流行は?

新聞報道によれば、2001年7月熊本県でビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)感染症の4人の患者が発生し、2人が死亡したとのことです。4人はいずれも男性で、40代、50代、60代、70代が1人ずつでした。4人は、いずれとも、肝硬変、C型肝炎、アルコール性肝臓障害などの慢性の肝臓病を持っていました。4人は、いずれとも、発病の前日あるいは前前日にシャク(全国的には一般的にはシャコと呼ばれます。熊本県の八代地方では、干潟で取れる江戸シャコ・穴シャコのことをシャクと呼んでいます。シャコはエビ・カニと同じ甲殻類に属します。)のしょうゆ漬け、シャク味噌(シャク・味噌・酒を主原料とする。)、小魚のコチの刺身などといった形でビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )で汚染された生の海産物を食べたことによりビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )に感染したと考えられます。
アメリカ合衆国では、メキシコ湾岸の州(アラバマ・フロリダ・ルイジアナ・ミシシッピ・テキサス)から、毎年の平均では、40人の細菌培養での確定例、35人の入院例、12人の死亡例が報告されています。アメリカ合衆国全体では、95人(半数が細菌培養で確定済み。)の報告があり、85人の入院例、35人の死亡例が報告されています。
海水があたたかい夏の季節にビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus )感染症の発生は多いです。アメリカ合衆国では、5月から10月の間に患者全体数の85%が発生しています。日本では、あたたかい海がある南の方で、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus )感染症の発生は多いと考えられますが、日本では、北海道でもビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症の発生が見られます。

どんな病気?

ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )で汚染した海産物を生で食べた人、あるいは、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )を含んだ海水に傷口をつけた人に、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )は、病気を起こすことがあります。免疫の働きに問題のない人々では、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )は、口から入ることにより、嘔吐・腹痛・下痢を起こすことがあります。免疫の働きが弱まった人々、特に慢性の肝臓病の人たちでは、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus )は、発熱・悪寒を伴う敗血症を起こし、皮膚の水ぶくれ(水疱)・低血圧・ショック状態から死亡する場合もあります。敗血症を起こすと50%の致死率です。
あたたかい海水に傷口をつけることでビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )に感染することがあります。この感染は、皮膚を破壊し潰瘍を形成します。免疫の弱まった人々では、敗血症を起こしやすく、致命的な合併症を起こしがちです。壊死性筋膜炎など、人体を破壊する様子から、人食いバクテリア(人食い菌)の一つに数えられています。人食いバクテリア(人食い菌)としては、他に劇症型溶血性レンサ球菌感染症を起こす溶血性レンサ球菌が一つに数えられています。
ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症は、便・傷口・血液の細菌培養によって診断されます。生の海産物を食べた後、胃腸症状、発熱やショックを起こした患者、あるいは、海水に傷口をつけた後にひどくなった傷を持った患者、を医師が診た場合には、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症の可能性も考慮して診療を進める必要があります。ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症に有効な抗生物質があります。Doxycyclineや第三世代のセファロスポリン系(例えば、ceftazidime)がアメリカ合衆国では使われています。
免疫の働きが弱まった人々、特に慢性の肝臓病の人たちでは、生の海産物を食べたときに、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症を起こしやすいです。また、免疫の働きが弱まった人々、特に慢性の肝臓病の人たちでは、健康な人々に比べると80倍の確率で(Vibrio vulnificus )感染症で敗血症となりやすいです。

病原体は?

病原体は、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )です。ビブリオ科に属す細菌です。ビブリオ科に属する細菌としては、他には、食中毒を起こす腸炎ビブリオやコレラを起こすコレラ菌があります。腸炎ビブリオは、塩水を好み海水中で元気なことから好塩菌と呼ばれることがありますが、ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )も同様に塩水を好み海水中で元気です。ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )と腸炎ビブリオ( Vibrio parahaemolyticus )とは、ビブリオ科の中の近い仲間であり、共通する事項が多いです。腸炎ビブリオの予防対策はビブリオ・バルニフィカス( Vibriovulnificus )の予防対策でもあります。

予防のためには・・・

ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症の予防接種(ワクチン)はありません。
ビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )感染症の予防のためには、以下のことに注意しましょう。免疫の働きが弱まった人々、特に慢性の肝臓病の人たちでは、しっかりとした注意が必要です。
1. 生のカキや生の貝などの生の海産物を食べるのは控えましょう。
2. カキ、ハマグリ、ムラサキイガイ等の貝などの海産物は、十分に加熱してから食べましょう。
3. 二枚貝の場合には、煮る場合には、貝がひらいてからも5分間はぐつぐつと煮つづけましょう。蒸す場合には、貝がひらいてからも9分間は蒸しつづけましょう。開かなかった貝は、食べてはいけません。
4. からを取ったカキの場合には、少なくとも3分間はぐつぐつと煮つづけましょう。フライにするときは、油の中で191度以上で少なくとも10分間は加熱しましょう。
5. 加熱調理済の海産物と、未加熱調理の海産物はいっしょにしないようにしましょう。
6. 海産物は早めに加熱調理しましょう。加熱調理済の海産物は、早めに食べましょう。
7. 塩水、半塩水、あるいは貝などの海産物に傷口がつかないようにしましょう。
8. ケガをして傷口が海水につくことがないように、海岸で素足になることは控えましょう。
9. 貝を扱うときは、手にケガをしないように、丈夫な防護用の手袋をしましょう。
10.腸炎ビブリオの予防対策はビブリオ・バルニフィカス( Vibrio vulnificus )の予防対策でもあります。当横浜市衛生研究所ホームページの感染症情報の「腸炎ビブリオによる食中毒について」を参照して下さい(下線部をクリックして下さい)。

2001年8月1日掲載

このページへのお問合せ

健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

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ファクス:045-370-8462

メールアドレス:kf-eiken@city.yokohama.jp

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