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最終更新日 2019年7月17日
三つの馬脳炎、ベネズエラ馬脳炎(Venezuelan equine encephalitis : VEE )・東部馬脳炎(eastern equine encephalitis : EEE )・西部馬脳炎(western equine encephalitis : WEE )を起こすウイルスは、それぞれ、ベネズエラ馬脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus : VEEV )・東部馬脳炎ウイルス・西部馬脳炎ウイルスと呼ばれます。いずれもトガウイルス科のアルファウイルス(alphavirus)属に属します。通常、これらの馬脳炎は、蚊によって媒介されます。しかしながら、ベネズエラ馬脳炎ウイルス・東部馬脳炎ウイルス・西部馬脳炎ウイルスを噴霧によってエアロゾル化したものも、たいへん感染力があり10-100個のウイルスの吸入で感染することが知られていて、テロリストたちによってこれらのウイルスが生物兵器として使用されることが危惧されています。これらのウイルスは、安価で手のかからない過程で大量の培養が可能であり、貯蔵や操作の過程でも比較的安定です。また、現在入手できる株は、病原性において生物兵器として十分に強力であると考えられています。生物兵器としては、エアロゾル化してのウイルスの散布の他、ウイルスに感染させた蚊の散布も考えられます。
ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、南アメリカの北部及びトリニダードで特有の脳炎を起こすこともあるウイルスとして知られ、また中央アメリカやメキシコ・フロリダ(南部)でまれに脳炎を起こすこともあります。ヒトやウマ・ラバ・ロバなどが感染すると重症となることがあります。ウマ・ラバ・ロバなどがベネズエラ馬脳炎になると致死率が30-90%に達することもあります。ベネズエラ馬脳炎ウイルスは多種の蚊によって媒介されます。流行型ウイルス(強毒性)の場合、ヒトやウマ・ラバ・ロバなどが体内でウイルスを大量に増殖させ、蚊への病原体ウイルスの供給源となります。
1962-1964年にベネズエラとコロンビアにおいてベネズエラ馬脳炎の流行がありました。32,000人の患者が発生し、190人が死亡しました。ベネズエラで記録的降雨があり媒介蚊が大量発生したことが流行のきっかけとなったようです。ベネズエラ馬脳炎ウイルスの1Cのサブ-タイプ(亜型)による流行でした。
1969-1971年にもベネズエラ馬脳炎の「病原性が高い株」による大きな流行がありました。グアテマラから始まりメキシコを進み1971年6月にテキサスに到達しました。この株は、ウマの仲間にもヒトにも病原性の高いものでした。メキシコでは、数万頭の馬が患馬となり8000-10000頭が死亡しました。また、メキシコでは、17000人の患者が発生しましたが死者は0人でした。テキサスでは、10000頭以上のウマが死亡しました。アメリカ合衆国では、流行がテキサスの国境を越えたことで、1971年7月16日に緊急事態が宣言され、20州で200万頭を超えるウマの予防接種が行われました。全部のウマとロバの95%が予防接種を受けました。ウマの検疫を強化し、蚊を殺すために広範囲に殺虫剤が使用されました。ベネズエラ馬脳炎ウイルスの1ABのサブ-タイプによる流行でした。
1995年にも、大きな流行がベネズエラ北部とコロンビアとで起こり、およそ75,000-100,000人が感染し、300人以上が死亡しました。ベネズエラ馬脳炎ウイルスの1Cのサブ-タイプによる流行でした。
地域における人為的でない流行の場合には、人間の患者の多発の前に、馬における致死率が30-90%に達するような重篤な脳炎の多発が、数日から数週間、先行するのが通常です。人間の患者の多発が先ず起こるようでは、生物兵器としてのベネズエラ馬脳炎ウイルスの使用が懸念されます。
東部馬脳炎ウイルス・西部馬脳炎ウイルスよりもベネズエラ馬脳炎ウイルスの方がよくわかっています。これは、1950年代及び1960年代にアメリカ合衆国でベネズエラ馬脳炎ウイルスが生物兵器として研究されていた経緯があることにもよります。他の国々もこのベネズエラ馬脳炎ウイルスを生物兵器とした可能性があります。アメリカ合衆国では、リチャード-ニクソン大統領の1969年11月の生物兵器の貯蔵の破壊の指令により、ベネズエラ馬脳炎ウイルスの貯蔵は破壊されました。
生物兵器としては、例えば、一機の飛行機からベネズエラ馬脳炎ウイルスを微小粒子のエアロゾルとして噴霧することで、10000平方キロメートル内の人たちを高率に感染させることが想定されました。
ベネズエラ馬脳炎の潜伏期は1-6日です(最短で28時間)。ベネズエラ馬脳炎ウイルスに感染した人は、100%近く(90-100%)が発病すると考えられています。致死率は1%未満ですが、小さなこどもと老人とで高いです。全身の発熱が急に出現します。15歳未満のこどもでは4%で、大人では1%未満で脳炎を起こします。脳炎を起こした場合の致死率は、20%程度ですが、こどもの致死率が35%、大人の致死率が10%と、こどもの方が重症です。しかし、大部分の患者は脳炎までは起こしません。気分不快、高熱(38.0-40.5度)、悪寒、激しい頭痛、羞明(まぶしがり)、下肢・腰に顕著な筋肉痛が24-72時間続きます。吐き気、嘔吐、咳、咽頭痛及び下痢も見られるかもしれません。気分不快と疲労感から完全に回復するには、1-2週間かかります。患者の10%程度が入院するのが通常です。なお、蚊に刺されて感染した場合と噴霧されたものを吸入して感染した場合を比較すると、噴霧されたものを吸入して感染した場合の方が、脳炎の発生が多いことが、動物実験では、わかっています。これは、鼻腔内に入ったベネズエラ馬脳炎ウイルスが直接に嗅神経(嗅覚をつかさどる神経)経由で脳に感染する経路があるためと考えられています。また、妊娠中にベネズエラ馬脳炎ウイルスに感染すると、胎児の脳炎、胎盤の損傷、流産、重症の神経系の先天性異常などを起こすことがあります。
ベネズエラ馬脳炎に対する特効薬はありません。症状に応じて治療する対症療法になります。解熱剤・鎮痛剤・抗けいれん剤などが使われます。
ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、普段は、ベネズエラやコロンビアなどの南アメリカ北部のジャングルや湿地で、Melanoconion 亜属のCulex 蚊とネズミとの間を循環していると考えられます。このジャングルや湿地でネズミの間を循環しているウイルスは、馬に対する病原性は弱いもので、森林型ウイルス(弱毒性)あるいは地方病ウイルスとも呼ばれます。ところが、この森林型ウイルスが変異を起こし、馬に対する強い病原性を持つ流行型ウイルス(強毒性)となり、馬や人の間で大流行を起こすことがあります。
三つの馬脳炎、ベネズエラ馬脳炎(Venezuelan equine encephalitis : VEE )・東部馬脳炎(eastern equine encephalitis : EEE )・西部馬脳炎(western equine encephalitis : WEE )の中では、東部馬脳炎が一番重症です。東部馬脳炎では、脳炎を起こした患者の致死率は50-75%に達します。生き残った者でも神経学的な後遺症がよく見られます。西部馬脳炎は、重症度において、大人に対してはベネズエラ馬脳炎と同様に軽く、こどもと老人に対しては東部馬脳炎と同様に重い傾向があります。東部馬脳炎と西部馬脳炎は、症状で見るとよく似ていて、ベネズエラ馬脳炎にも近いですが、より脳炎症状が目立ちます。東部馬脳炎と西部馬脳炎は、北アメリカ・南アメリカで見られます。潜伏期は、蚊に刺されてから、東部馬脳炎が3-10日、西部馬脳炎が5-10日です。
なお、西部馬脳炎ウイルスを猿に吸入させての実験では、西部馬脳炎の潜伏期は、ウイルスを吸入してから、4-5日でした。
東部馬脳炎ウイルスは、普段は、沼地の多い森で、Culiseta melanura 蚊と燕雀類の鳥との間を循環しています。そのような沼地の多い森の近くでウマやヒトの東部馬脳炎の流行が起こることがあります。蚊が媒介する東部馬脳炎の流行においては、ヒトの感染の発生率は3%未満です。患者の発生率は人口1000人に対し1人です。東部馬脳炎ウイルスに感染しても、症状がみられず、発病しない者(不顕性感染)が多いです。感染者において、発病しない者と発病する者との比率は、23対1です。しかし、バイオテロ(生物兵器を使ってのテロ)などで噴霧された東部馬脳炎ウイルスを吸入した場合のこれらの発生率はよくわかっていません。また、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus ) も東部馬脳炎ウイルスを媒介する可能性があります。アメリカ合衆国における1955-1984年の統計では、東部馬脳炎の年間患者発生数は0-36人で、平均7人でした。アメリカ合衆国における1964-1992年の統計では、東部馬脳炎の年間患者発生数は、平均4.9人でした。
なお、アメリカ合衆国では、ミシガン州以東、ミシシッピ川より東側、主にフロリダ州・ジョージア州からニューイングランドまでの東海岸部で患者発生が見られます。ただし、アメリカ合衆国のミネソタ州・サウスダコタ州・テキサス州、カナダのケベック州・オンタリオ州、メキシコでも東部馬脳炎ウイルスは、認められます。
東部馬脳炎ウイルスについて、人間や馬はおそらく終末宿主であり、蚊の媒介により他に感染を広げることはないだろうと考えられています。しかし、一方で、東部馬脳炎ウイルスに感染することで、蚊を感染させることができる程度のウイルス血症となる馬もいるので、感染の拡大に馬が関与する可能性はあります。
西部馬脳炎ウイルスが、Culex tarsalis 蚊から分離され、また、鳥が西部馬脳炎ウイルスに対する抗体を持っていることが確認されています。西部馬脳炎ウイルスも、普段は、Culex tarsalis 蚊と燕雀類の鳥との間を循環していると考えられます。人間や馬は終末宿主であり、蚊の媒介により他に感染を広げることはありません。西部馬脳炎ウイルスに感染しても、症状がみられず、発病しない者(不顕性感染)が多いです。感染者において、発病しない者と発病する者との比率は、15歳以上で1150対1、1-4歳のこどもで58対1、一歳未満の乳児で1対1です。毒性の強い株もあります。ある実験室内での感染例では、5人中2人が死亡しました。1941年には、アメリカ合衆国・カナダで西部馬脳炎の患者が多発しました。アメリカ合衆国で2242人、カナダで1094人の患者が発生しました。アメリカ合衆国では、主に、ノースダコタ州・サウスダコタ州・ネブラスカ州・ミネソタ州で患者が発生しました。カナダでは、主に、マニトバ州・サスカチュワン州で患者が発生しました。西部馬脳炎の患者発生率は、10万人あたり、22.9-171.5人で、致死率は8-15%でした。アメリカ合衆国における1955-1984年の統計では、西部馬脳炎の年間患者発生数は0-172人で、平均34人でした。アメリカ合衆国における1964-1992年の統計では、西部馬脳炎の年間患者発生数は、平均22人でした。
なお、アメリカ合衆国では、中央部から西部にかけて西部馬脳炎の患者発生が見られます。アメリカ大陸において、西部馬脳炎ウイルスは、南はアルゼンチンから北はカナダ西部まで認められます。
西部馬脳炎ウイルスが、1930年にアメリカ合衆国西部のカリフォルニアで分離されました。次いで、東部馬脳炎ウイルスが、1933年にアメリカ合衆国東部のバージニアとニュージャージーで分離されました。最後にベネズエラ馬脳炎ウイルスが、1938年にベネズエラで分離されました。ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、実験室・検査室で感染しやすいウイルスとして知られています。ベネズエラ馬脳炎ウイルスを含んだエアロゾルを吸い込んで感染すると考えられています。旧ソビエト連邦のモスクワのIvanovskii研究所で、少量のベネズエラ馬脳炎ウイルスが入ったビンが階段吹き抜けに落ち、こわれた事故が1959年に報告されています。このときは、少なくとも20人の患者が発生しました。大部分はビンの破損から28-33時間以内の発病でした。
ベネズエラ馬脳炎ウイルス(VEEV)は、以下のサブ-タイプ(亜型)に分類されます。1AB、1C、1D、1E、1F、3A、3B、3C、3D、4、5、6などです。この内、流行型ウイルス(強毒性)となってヒトとウマを巻き込んだ大きな流行を起こすことがあるのは、1AB、1Cのサブ-タイプです。アメリカ合衆国では、1AB、1Cのサブ-タイプに有効なベネズエラ馬脳炎の生ワクチンが現在、使用されています。1AB、1C以外のサブ-タイプは、専らの森林型ウイルス(弱毒性)です。これらの森林型ウイルス(弱毒性)は、人を重篤な状態とすることがあるものの、馬では効率良く増殖せず、ヒトとウマを巻き込んだ大きな流行を起こすことはありません。遺伝子的に1Cのサブ-タイプと1Dのサブ-タイプは近く、1Dのサブ-タイプが1Cのサブ-タイプへと変異を起こして流行を起こすことがあります。
1ABのサブ-タイプについては、以前は1Aのサブ-タイプと1Bのサブ-タイプとして別々のサブ-タイプとされていたものが、同じサブ-タイプとして統合されたものです。
西部馬脳炎ウイルス・東部馬脳炎ウイルス・ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、いずれも、トガウイルス科アルファウイルス属に属します。トガウイルス科アルファウイルス属のウイルス感染症としては、他に、チクングニア熱もあります(チクングニア熱の届出基準はこちらのページから)。これらは日本の感染症法において4類感染症に指定されています。当該患者を診断した医師はただちに保健所(横浜市では福祉保健センター)を経由して都道府県知事に届け出ることが求められます。日本の感染症発生動向調査において、2007年(平成19年)4月1日から2014年(平成26年)末までに届け出られた発生患者数は、ベネズエラ馬脳炎・東部馬脳炎・西部馬脳炎について、いずれも0人です(西部馬脳炎(WEE)、東部馬脳炎(EEE)、ベネズエラ馬脳炎(VEE)の届出基準はこちらのページから)。
ウイルス | 地理的分布 | 特徴 |
---|---|---|
西部馬脳炎ウイルス(WEEV)・ 東部馬脳炎ウイルス(EEEV)・ ベネズエラ馬脳炎ウイルス(VEEV) | 北アメリカ・ 南アメリカ | 脳炎を起こす場合あり。 |
チクングニアウイルス(CHIKV) | アフリカ・アジア | 急な発熱。しばしば関節症状を伴う。 |
Mayaroウイルス(MAYV) | 南アメリカ・中央アメリカ | |
Unaウイルス(UNAV) | 南アメリカ | |
o'nyong-nyongウイルス(ONNV) | アフリカ | |
Ross Riverウイルス(RRV) | オーストラリア・オセアニア | |
Barmah Forestウイルス(BFV) | オーストラリア | |
Sindbisウイルス(SINV) | アフリカ・アジア・オーストラリア・フィンランド | |
Getah(ゲタ)ウイルス(GETV) | アジア・オセアニア | 無症状または軽症。 |
Sagiyamaウイルス(SAGV) | アジア・日本・アフリカ | |
Trocaraウイルス(TROCV) | 南アメリカ | |
Pixunaウイルス(PIXV) | 南アメリカ | |
Auraウイルス(AURAV) | 南アメリカ |
アメリカ合衆国では、ベネズエラ馬脳炎の生ワクチン(TC-83)が使われています。細胞培養により生産されたもので、0.5mlの製剤で皮下注射により投与します。この生ワクチンは、ベネズエラ馬脳炎ウイルスの1AB、1Cのサブ-タイプに有効です。生ワクチン(TC-83)の接種を受けた人の20%以上で、発熱・気分不快・頭痛などが見られ、その半数は1-2日間のベッド上での安静となります。ウイルス血症となり、咽頭部からウイルスを排出する者もいます。1962年のベネズエラでのベネズエラ馬脳炎の流行時に、妊婦のウイルス感染により流産や死産が報告されているため、妊婦は生ワクチン(TC-83)の接種を受けることができません。生ワクチン(TC-83)を受けて十分な免疫が獲得できなかった人(18%)は、追加接種として、生ワクチン(TC-83)のワクチン株をホルマリンで不活化した不活化ワクチン(C-84)を接種することもあります。不活化ワクチン(C-84)は、生ワクチン(TC-83)で獲得した免疫を維持するための追加接種(ブースター)としても使用されます。
ベネズエラ馬脳炎ウイルスの吸入による感染の予防について、生ワクチン(TC-83)の接種は効果がありますが、不活化ワクチン(C-84)のみの接種では効果がありません。このため、免疫を獲得するための初回の接種には、生ワクチン(TC-83)が使われ、不活化ワクチン(C-84)は使われません。
ベネズエラ馬脳炎ウイルスに曝露した後でのワクチン接種では、発病の予防は期待できません。ベネズエラ馬脳炎ウイルスに曝露した後での発病の予防について、アルファ-インタフェロンが動物実験では有効でしたが、ヒトで有効かどうかは、データがありません。
東部馬脳炎と西部馬脳炎については、ホルマリンによる不活化ワクチンがあります。不活化ワクチンは、東部馬脳炎が0日、28日と2回、西部馬脳炎が0日、7日、28日と3回接種します。いずれも、免疫効果は弱く長続きしないため、追加接種(ブースター)が必要です。
アメリカ合衆国では、ベネズエラ馬脳炎・東部馬脳炎・西部馬脳炎のワクチンについては、一般の人々には用いられていません。アメリカ陸軍(U.S. Army) を通じて、研究者・検査担当者などのウイルスに接触・感染する恐れのある人たちに接種するために供給されています。
アメリカ合衆国では、馬に用いられるワクチンとしても、不活化ワクチンと弱毒生ワクチンとがあります。弱毒生ワクチンは、一回接種後、7-10日後には免疫を生じます。
ベネズエラ馬脳炎の不活化ワクチン(C-84)の開発にあたっては、開発の初期に、ベネズエラ馬脳炎ウイルスを不活化してワクチンとして接種したところ、意図しないことですが、ワクチン中に生き残ったベネズエラ馬脳炎ウイルスが存在して、接種を受けた者の4%が発病してしまう事件が発生しました。この事件後、ベネズエラ馬脳炎の不活化ワクチンのワクチン株としては、生ワクチン(TC-83)のワクチン株が使われることとなりました。
ベネズエラ馬脳炎の患者の隔離は必要ありません。ヒトからヒトへの直接の感染、あるいは、ウマからヒトへの直接の感染はないと考えられています。ベネズエラ馬脳炎の病原体ウイルスは、熱によって、たとえば、80度30分の加熱により破壊されます。
ベネズエラ馬脳炎の患者は、発病から少なくとも5日間、あるいは発熱がなくなるまでは、蚊帳の中に留まるなどして、蚊に刺されないようにしましょう。ベネズエラ馬脳炎の患者は、発病から少なくても72時間は蚊へのベネズエラ馬脳炎ウイルスの供給源となる可能性があります。
2001年11月20日掲載
2012年3月23日増補改訂
2015年6月3日増補改訂
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