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Q熱について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。

最終更新日 2019年6月27日

流行は?

Q熱は、Coxiella burnetii という細菌(リケッチャ)による感染症です。Q熱はニュージーランドを除き全世界で見られます。日本では、2000年の最終号の感染症週報によれば、2000年1年間のQ熱の患者発生の届け出の累計は23人でした。

Coxiella burnetii という細菌は、たった1個でも吸いこまれた人に感染・発病を起こす可能性のある感染力の高い病原体です。アメリカ合衆国では、生物兵器の開発計画が中止されるまで、Coxiella burnetii の生物兵器としての研究が進められていました。現在では、テロリストによって生物兵器としてこのCoxiella burnetii という細菌が噴霧されるようなことがないか危惧されています。

どんな病気?

Coxiella burnetii という細菌に感染する主な動物は、ウシ・ヒツジ・ヤギ・イヌ・ネコ・トリです。他にも家畜やペットを含む多くの動物への感染が知られています。これらの動物が感染していても、症状を出すことはあまりありません。ただし、ヤギとヒツジの流産は、Coxiella burnetii の感染と関係します。動物のメスの子宮や乳腺は慢性のCoxiella burnetii の感染の部位となります。感染した動物の尿・糞・ミルクの中に、Coxiella burnetii は出てきます。特に出産時には、多数のCoxiella burnetii が羊水や胎盤中に出てきます。Coxiella burnetii は熱や乾燥、通常の多くの消毒薬に強いです。そのためCoxiella burnetii は体外の環境下においても、数週間から数ヶ月といった長期間の生存が可能です。感染した家畜が生活する納屋やその付近のほこりの中に含まれるCoxiell burnetii を吸いこむようなことで、ヒトはCoxiella burnetii に感染します。そのようなほこりの中には、感染した家畜の排泄物や胎盤・羊水の乾燥したものなどが含まれていることがあります。そのようなほこりは、風に乗って数マイル離れた場所に届くこともあります。ヒトはCoxiella burnetii に大変感染しやすく、ほんの数個のCoxiella burnetii で感染してしまうことがあります。また、患者の家で飼っているイヌ・ネコからCoxiella burnetii が分離されることがあり、イヌ・ネコからのヒトへのCoxiella burnetii の感染の可能性も考えられます。子猫が産み落とされた部屋でポーカーをした人たちの中からポーカーの2週間後には12人の患者が発生した例があります。12人のいずれもがネコたちに触れていました。

ヒトからヒトへの感染はまれだとされています。また、Coxiella burnetii に汚染された食物を食べての感染は少ないと考えられています。

Coxiella burnetii に感染した人の約半数の人でしか症状は出ません。急性のQ熱は、高熱(ピークが39.4度-40.6度)・激しい頭痛・悪寒・筋肉痛・混迷・咽頭痛・発汗・乾いた咳・嘔気・嘔吐・下痢・腹痛・胸痛などから一つ以上の症状が急激に出現する場合が多いです。発熱は2日ほどのこともありますが通常1-2週間続きます。体重が減ります。症状が出た患者の30-50%が胸部X線写真で明らかな肺炎になります。しかし、胸部X線写真で明らかな肺炎となった患者の半数(患者全体の28%)でしか咳(:通常、痰は出ません。)や肺雑音は見られません。患者全体の約4分の1で胸膜性の胸痛が見られます。患者の多数が肝臓機能検査で異常値を示し、急性肝炎(患者全体の33%)となる人もいます。何の治療もなしに数ヶ月の内に、患者の大多数は健康を回復します。急性のQ熱となった患者の1-2%が亡くなります。

慢性のQ熱は、6ヶ月以上にわたるCoxiella burnetii の感染がみられるもので、多くはありませんが、より重症な病気です。急性のQ熱となった患者が、その最初の感染から1年後に慢性のQ熱を発病することもあれば、20年もたってから発病する場合もあります。重症な合併症は、心内膜炎で、大動脈弁や僧帽弁が侵されることがあります。慢性のQ熱となる患者の大部分は、もともと心臓弁膜症があったり、心臓弁膜の手術を受けている人たちです。臓器移植を受けている人、癌患者、慢性の腎臓病患者なども、慢性のQ熱になりやすいです。慢性のQ熱となった患者の65%が死亡します。

Q熱の潜伏期の長さは、通常10-14日ですが、最初にその人の体内に入り込んだCoxiella burnetii の数によると考えられています。多数のCoxiella burnetii が入り込めば、Q熱の潜伏期は短くなります。Coxiella burnetii に接触して、2-3週間の内に発病する場合が多いです。一方で潜伏期が40日に達する人もいます。全快した人は、終生にわたる免疫を獲得します。

アメリカ合衆国では、急性のQ熱の治療には、doxycyclineなどの14-21日の投与が行われることがあります。発病から3日以内にこの抗生物質による治療を開始すると治療効果が良いです。

病原体は?

Q熱(Q fever)のQは、「Query」を省略したものです。「Query」とは、英語で「?」のことです。Q熱(Q fever)は、最初オーストラリアでクイーンズランドのブリスベンの食肉処理場の従業員たちに見られた病気としてEdward Holbrook Derrickによって記述され、当時は、病原体が不明だったことから、「Query fever」とされたのです。Qの由来は、例えば「オバケのQ太郎」というような名前に由来するわけではなく「はてな?のQ熱」というわけです。病原体のCoxiella burnetii は、1937年に発見されました。病原体のCoxiella burnetii の名前は、病原体のCoxiella burnetii の発見に功績のあった、Herald Rea CoxとMacfarlane Burnetに因んだものです。

予防のためには・・・

感染した動物のミルクの中に、Coxiella burnetii は出てきます。殺菌していない生のミルクや殺菌していない生のミルクを使った乳製品の飲食は控えましょう。

オーストラリアでは、ヒト用のQ熱のワクチン(予防接種)が開発され、獣医などの職業的にCoxiella burnetii に感染しやすいと考えられる人たちに使用され、予防に成果をあげています。少なくとも5年間は予防効果があります。このQ熱のワクチン(予防接種)を受けようとする人は、まず皮膚テストを行います。以前にCoxiella burnetii に感染したことのある人では、ワクチンの注射部位に激しい局所反応を起こしてしまう場合もあるので、そのようなことを避けるために皮膚テストを行うのです。動物用のQ熱のワクチン(予防接種)も開発されています。

アメリカ合衆国では、Coxiella burnetii に曝露した人に対して発病予防のためにtetracycline あるいは doxycycline といった抗生物質が使われることがあります。

参考文献

  1. David R. Franz, et al ; Clinical Recognition and Management of Patients Exposed to Biological Warfare Agents ; JAMA, August 6, 1997, Vol 278, No5, pp399-411.
  2. USAMRIID`s medical management of biological casualties handbook (fourth edition , February 2001)(外部サイト) : U.S.Army Medical Research Institute of Infectious Diseases ; Fort Detrick Frederick , Maryland , U.S.A.
  3. M. Maurin and D. Raoult ; Q Fever ; Clinical Microbiology Reviews ; October 1999, Vol. 12, No. 4 ;pp518-553.
  4. 平井克哉;Q熱に関する最近の知見;日獣会誌 5277-83(1999)

2001年11月15日掲載

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