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2009(平成21)年度の季節性インフルエンザワクチンについて

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。

最終更新日 2019年7月9日

2008(平成20)年度の北半球世界での季節性インフルエンザ流行状況

2008-2009年冬季について、北半球世界における季節性インフルエンザの流行は、2008年9月から2009年1月まででは、穏やかで、前年の同時期と比較しても低調でした。2008年12月から2009年1月にかけて、日本・チュニジア、ヨーロッパの多くの国々では、A香港(H3N2)型インフルエンザの流行が見られました。日本では、並行してAソ連(H1N1)型の流行も見られました。北アメリカでは、Aソ連(H1N1)型、A香港(H3N2)型、B型のインフルエンザが並行して発生していましたが、アメリカ合衆国ではAソ連(H1N1)型、カナダではB型のインフルエンザが優勢でした。
アメリカ合衆国では、2008年10月からインフルエンザの流行が始まりましたが、本格的な流行は1月中旬から始まり、2月中旬にピークに達しました。Aソ連(H1N1)型が優勢でしたが、後半ではB型が増加して3月中旬からはB型の検出がA型の検出よりも多くなりました。
なお、日本では、2009年3月にB型の流行も見られました。
2008-2009年冬季について、横浜市でも、全国とほぼ同様の流行状況でした。平成20年(2008年)12月上旬から横浜市は季節性インフルエンザの流行期に入りました。さらに、平成21年(2009年)1月中旬からは、季節性インフルエンザの本格的な流行が始まりました。1月下旬から2004-2005年冬季以来の4年ぶりの季節性インフルエンザの大きな流行となりました。1月下旬と3月中旬とに流行のピークを示した後、4月下旬までで、横浜市の平成20-21年(2008-2009年)冬季の季節性インフルエンザの流行はほぼ終息しました。
横浜市における季節性インフルエンザ患者の発生状況については、市内145のインフルエンザ患者定点医療機関により把握されています。インフルエンザの流行期の目安は、インフルエンザ患者発生の定点医療機関あたり週間報告数が1.00人以上とされています。横浜市におけるインフルエンザ患者発生の定点医療機関あたり週間報告数の推移を示したのが、下のグラフ(図1)です。2008-2009年冬季の横浜市のインフルエンザ患者発生については、第4週(1月19日から1月25日まで)と第11週(3月9日から3月15日まで)との二つのピークがありました。

(図1)横浜市内インフルエンザ週間患者発生数推移グラフ

横浜市内のインフルエンザ患者定点医療機関からは、週間患者発生数の報告とともにインフルエンザ検査キットで検出されたインフルエンザウイルスのA型・B型の判定の報告をいただいている場合があり、その推移が下のグラフ(図2)です。検出されたインフルエンザウイルスは、第7週(2月9日から2月15日まで)まではA型インフルエンザウイルスが主体でしたが、A型インフルエンザウイルスの検出は第4週(1月19日から1月25日まで)をピークとして減少しました。第8週(2月16日から2月22日まで)以降はB型インフルエンザウイルスが主体となりました。横浜市の平成20-21年(2008-2009年)冬季の季節性インフルエンザの流行については、前半がA型インフルエンザウイルスを主体とした流行で、後半はB型インフルエンザウイルスを主体とした流行でした。2008-2009年冬季の横浜市のインフルエンザ患者発生の二つのピークの内、第4週(1月19日から1月25日まで)のピークはA型インフルエンザによるもので、第11週(3月9日から3月15日まで)のピークはB型インフルエンザによるものでした。
なお、2008年10月から2009年4月までに横浜市内の病原体定点医療機関(小児科10定点および内科3定点)から横浜市衛生研究所に345検体が搬入され、AH1型インフルエンザウイルス77件(40.3%)、AH3型インフルエンザウイルス41件(21.5%)、B型73件(38.2%)の合計191件(100%)のインフルエンザウイルスが分離・検出されました。

(図2)横浜市内定点医療機関でのインフルエンザ検査キットでのA型・B型の週間報告数推移グラフ

Aソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスでは、2007-2008年冬季に、ヨーロッパなどで、オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性が多く見られた国が出現しましたが、世界保健機関(WHO)のまとめによれば、2007-2008年冬季に各国で分離されたAソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル(タミフル)耐性の割合は0-67%と国によりまちまちでした。2007-2008年冬季に、Aソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル(商品名:タミフル)耐性が多く見られた国は、ノルウェー(67%)、ベルギー(53%)、フランス(47%)、ロシア(45%)、ウクライナ(34%)などで、日本におけるオセルタミビル(タミフル)耐性の割合は3%(44株/1652株)でした。
2008-2009年冬季には、世界保健機関(WHO)のまとめによれば、各国で分離されたAソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル(タミフル)耐性の割合は前年度より増加して90%以上の国が大部分となりました。2007-2008年冬季と2008-2009年冬季との両方のデータが揃っている国のデータを示すと、下の表1のとおりです。2007-2008年冬季のデータを欠くため、下の表1には示しませんでしたが、2008-2009年冬季のAソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル(タミフル)耐性の割合が比較的低かった国としては、28%の中国(本土)と38%のケニヤとがあります。Aソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスにおける2008-2009年冬季のオセルタミビル(商品名:タミフル)耐性株は、ザナミビル(商品名:リレンザ)に対しては感受性があり、ザナミビル(商品名:リレンザ)による治療は有効だと考えられています。

表1.各国で分離されたAソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル(タミフル)耐性の割合
オセルタミビル(タミフル)耐性の割合(2007-2008年冬季と2008-2009年冬季)
[世界保健機関(WHO)のまとめ]
地域2007-2008年冬季2008-2009年冬季
アジア日本3%100%
韓国0%100%
中国(香港)12%98%
タイ8%91%
北米米国11%99%
カナダ26%100%
欧州英国11%99%
フランス47%100%
ドイツ14%99%
イタリア1%100%
スペイン3%100%
スウェーデン15%92%
アイルランド9%90%

2008-2009年冬季における、それぞれの抗インフルエンザウイルス剤に対する耐性株の割合をインフルエンザウイルスの型別に世界保健機関(WHO)がまとめたのが下の表2です(参考文献3)。
このような抗インフルエンザウイルス剤に対する耐性株の出現や広がりは、耐性株に対しても有効なインフルエンザワクチンによるインフルエンザ予防の重要性を増すことになります。
また、インフルエンザ治療時に抗インフルエンザウイルス剤に対する耐性を考慮しての抗インフルエンザウイルス剤の使用の必要性も生じることになります。2008-2009年冬季においては、米国CDC(米国疾病管理・予防センター)が、2008-2009年冬季インフルエンザシーズンの抗ウイルス薬治療及び予防内服に関して暫定的な勧告を発表しました。詳しくは、当・横浜市衛生研究所ホームページ「インフルエンザウイルスのインフルエンザ治療薬(抗ウイルス剤)に対する耐性について」をご参照ください。

表2.2008-2009年冬季のインフルエンザウイルスにおける抗インフルエンザウイルス剤耐性の割合
2008-2009年冬季のインフルエンザウイルスにおける抗インフルエンザウイルス剤耐性の割合(検査されたウイルス株数)
[世界保健機関(WHO)のまとめ]
季節性インフルエンザウイルスの型オセルタミビル(商品名:タミフル)ザナミビル(商品名:リレンザ)アマンタジン(商品名:シンメトレル)
Aソ連(H1N1)型96%(3902株)0%(447株)2%(1821株)
A香港(H3N2)型0%(1027株)0%(724株)100%(1150株)
B型0%(703株)0%(621株)[無効]

2008-2009年冬季に海外で見られたAソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスは、HA抗原については、抗原的に、2008-2009年冬季のワクチン株であったA/Brisbane(ブリスベン)/59/2007(H1N1)株に近いものが多く見られました。横浜市においても同様でした。また、2008-2009年冬季の横浜市においては、Aソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスのオセルタミビル(商品名:タミフル)耐性は100%(108株/108株)、アマンタジン(商品名:シンメトレル)耐性は0%(0株/108株)でした。2007-2008年冬季の横浜市において、オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性が4.4%(5株/113株)、アマンタジン(商品名:シンメトレル)耐性が72.6%(82株/113株)だったの比較すると、大きな変化でした。
なお、Aソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスのアマンタジン(商品名:シンメトレル)耐性は世界的にも2%(35株/1821株)と少なかったですが、アマンタジン(商品名:シンメトレル)耐性株(35株)の大部分は香港からの報告(34株)でした。Aソ連(H1N1)型インフルエンザウイルスのアマンタジン(商品名:シンメトレル)耐性株(35株)には、オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性は見られませんでした。

2008-2009年冬季に海外で見られたA香港(H3N2)型インフルエンザウイルスは、2008-2009年冬季のワクチン株であったA/Brisbane(ブリスベン)/10/2007(H3N2)株に抗原的に近いものが多く見られました。横浜市においても同様でした。
なお、A香港(H3N2)型インフルエンザウイルスでは、抗A型インフルエンザウイルス剤であるアマンタジン(商品名:シンメトレル)が有効でない耐性ウイルスが世界的に高率(100% ; 1149株中1150株)に見られました。横浜市でも、アマンタジン(商品名:シンメトレル)耐性が高率(100% ; 37株中37株)に見られました。A香港(H3N2)型インフルエンザウイルスでは、オセルタミビル(タミフル)耐性は世界的にまれであり、横浜市では0%(37株中0株)でした。
2008-2009年冬季に海外で見られたB型インフルエンザウイルスは、山形系統とVictoria系統とが見られましたが、Victoria系統が増加して、大部分の国で優勢となりました。Victoria系統のB/Brisbane(ブリスベン)/60/2008に抗原的に近い株が増加してきました。横浜市で分離されたB型インフルエンザウイルスについても、同様でした。B型インフルエンザウイルスでは、オセルタミビル(タミフル)耐性は世界的にまれです。

2009年11月-2010年4月の北半球世界での季節性インフルエンザワクチン推奨株を2009年2月に世界保健機関(WHO)が提示しています(外部サイト)。これは、2007年10月-2008年1月の北半球世界での季節性インフルエンザの流行で多く流行したインフルエンザウイルスに抗原的に一番近いインフルエンザワクチンウイルスの株を、A香港(H3N2)型、Aソ連(H1N1)型、B型の中から一つずつ選んだものです。Aソ連(H1N1)型、A香港型(H3N2)について、前年度と同じ株が、B型について、前年度と違う株が、推奨されています。

*Aソ連型:A/Brisbane(ブリスベン)/59/2007(H1N1)様株

*A香港型:A/Brisbane(ブリスベン)/10/2007(H3N2)様株

*B型:B/Brisbane(ブリスベン)/60/2008様株

A/Brisbane(ブリスベン)/59/2007(H1N1)様株としては、A/Brisbane(ブリスベン)/59/2007(H1N1)の他に、生ワクチンの製造に使われているA/South Dakota(サウスダコタ)/6/2007(H1N1)があります。
A/Brisbane(ブリスベン)/10/2007(H3N2)様株としては、A/Brisbane(ブリスベン)/10/2007(H3N2)の他に、日本の季節性インフルエンザワクチンの製造に使われているA/Uruguay(ウルグアイ)/716/2007(H3N2)があります。
B/Brisbane(ブリスベン)/60/2008様株としては、B/Brisbane(ブリスベン)/60/2008の他に、B/Brisbane(ブリスベン)/33/2008があります。

2009(平成21)年度の日本の季節性インフルエンザワクチン製造株

*Aソ連型:A/Brisbane(ブリスベン)/59/2007(H1N1)

*A香港型:A/Uruguay(ウルグアイ)/716/2007(H3N2)

*B型:B/Brisbane(ブリスベン)/60/2008

2009(平成21)年度の日本の季節性インフルエンザワクチンは、上記3株のHA蛋白を含むもの(インフルエンザHAワクチン)となっています。これは、2009年2月に世界保健機関(WHO)が提示した、2009年11月-2010年4月の北半球世界での季節性インフルエンザワクチン推奨株と一致しています。また、2009(平成21)年度の日本の季節性インフルエンザワクチンは、Aソ連(H1N1)型、A香港型(H3N2)について、2008(平成20)年度と同じ株が、B型について、2008(平成20)年度と違う株が、選定されています。

季節性インフルエンザワクチンの接種法

小さいこどもたちを除けば、大部分の人たちは、今までに生涯の中で、Aソ連型(H1N1)インフルエンザ、A香港型(H3N2)インフルエンザ、B型インフルエンザに感染したことがあると考えられます。以前に感染したことがあれば、弱い基礎的な免疫を持っていると考えられ、季節性インフルエンザワクチンの1回の接種によりその冬を持ちこたえる免疫を獲得すると考えられます。以前に季節性インフルエンザに対する免疫を獲得したことがない、小さなこどもたちについては、短くとも4週間以上の間隔を空けての季節性インフルエンザワクチンの2回の接種をするべきだと、世界保健機関(WHO)は、勧奨しています。

日本における季節性インフルエンザワクチンの接種法は、0.5mlを皮下に、1回または約1-4週間の間隔を空けて2回注射します。ただし、6-12歳は0.3ml、1-5歳は0.2ml、0歳は0.1mlを皮下に約1-4週間の間隔を空けて2回注射します。なお、2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましいとされています。

(参考)各年度の季節性インフルエンザワクチン

* 2000年度のインフルエンザワクチン

* 2001年度のインフルエンザワクチン

* 2002年度のインフルエンザワクチン

* 2003年度のインフルエンザワクチン

* 2004年度のインフルエンザワクチン

* 2005年度のインフルエンザワクチン

* 2006年度のインフルエンザワクチン

* 2007年度のインフルエンザワクチン

* 2008年度のインフルエンザワクチン

* 2009年度の季節性インフルエンザワクチン

* 2010年度のインフルエンザワクチン

参考文献

  1. WHO; Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2009-2010 influenza season. ; Weekly Epidemiological Record. No.9, 27 February 2009, 84th year, p.65-72.
    http://www.who.int/wer/(外部サイト)
  2. 川上千春・他、「横浜市における2008/2009シーズンのインフルエンザウイルス流行株の解析」、横浜市衛生研究所「検査情報月報」2009年8月号、p.1-4.
  3. WHO; Influenza A virus resistance to oseltamivir and other antiviral medicines. ; 4 June 2009.
    http://www.who.int/csr/disease/influenza/2008-9nhemisummaryreport/en/index.html(外部サイト)
  4. CDC; Update: Influenza Activity --- United States, September 28, 2008-April 4, 2009, and Composition of the 2009-10 Influenza Vaccine. Morbidity and Mortality Weekly Report, April 17, 2009/Vol.58/No.14, p. 369-374.

2009年10月13日初掲載

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