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高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)について

■この記事は教科書的、文献的な内容についてまとめ、多くの方が参考にしていただけるよう掲載しています。必ずしも最新の知見を提供するものではなく、横浜市としての見解を示すものではありません。■なお、本件に関して専門に研究している職員は配置されていないため、ご質問には対応しかねます。また、個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。

最終更新日 2019年9月5日

最近の高病原性鳥インフルエンザの発生状況・・・

最近の高病原性鳥インフルエンザの発生状況については、当・横浜市衛生研究所ホームページの「高病原性鳥インフルエンザの発生状況について」をご覧ください。

流行は?

新聞報道等によれば、平成15年12月末から山口県のある採卵養鶏場でニワトリの大量死が見られ、原因を調べたところ、高病原性鳥インフルエンザによるものだったとのことです。病原体はH5型( A/H5N1 )の高病原性鳥インフルエンザ( highly pathogenic avian influenza : HPAI )ウイルスでした。H5型の高病原性鳥インフルエンザ( highly pathogenic avian influenza : HPAI )ウイルスについては、ニワトリ等への病原性が強く大量死が見られることがあること、また、これまでに海外において人間の患者発生も見られ死亡例もあり致死率が高かったことなどから、感染の広がりを早期に探知し抑えこんで行くことが必要です。

平成16年2月17日には、大分県でもペットのチャボとアヒルにH5型(A/H5N1)の高病原性鳥インフルエンザの発生が認められました。

平成16年2月29日には、京都府丹波町でも採卵養鶏場AのニワトリにH5型(A/H5N1)の高病原性鳥インフルエンザの発生が認められました。3月5日には、京都府の同じ町内の養鶏場BのニワトリにH5型(A/H5N1)の高病原性鳥インフルエンザの発生が認められました。さらに、3月5日に京都府の採卵養鶏場Aの農場内及び京都府園部町で発見された死亡カラスについて、分離されたウイルスが高病原性鳥インフルエンザH5型(A/H5N1)ウイルスであることが、確認されました。

鳥インフルエンザのウイルスは、病原性の程度により、高病原性鳥インフルエンザ( highly pathogenic avian influenza : HPAI )ウイルスと低病原性鳥インフルエンザ( low pathogenic avian influenza : LPAI )ウイルスとに分けられます。日本の事例に先立って起こった韓国におけるニワトリの大量死がH5型( A/H5N1 )の高病原性鳥インフルエンザ( highly pathogenic avian influenza : HPAI )ウイルスによることがわかっています。日本の事例と韓国の事例との関係はよくわかっていません。

なお、平成16年3月19日、国内で分離されたウイルスと韓国で分離されたウイルスの比較の結果について、農林水産省から発表がありました。「動物衛生研究所において、これまでの国内の4例で分離されたウイルスと、韓国で昨年12月に分離されたウイルスについて、韓国から提供された遺伝子情報に基づき比較したところ、いずれのウイルスの遺伝子も互いに99%以上の相同性を示し、遺伝的に極めて近縁な関係にあることが判明しました。しかしながら、今回のこの結果のみでは、我が国で分離されたウイルスの由来が韓国であると考えることは困難であり、引き続き、感染経路の特定のための調査を実施することとしています。」とのことです。

野鳥、特に水鳥が、低病原性鳥インフルエンザウイルスを持っていることがあると考えられています。鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥の糞を介して鳥から鳥へと広がります。水鳥では、鳥インフルエンザウイルスは、腸管内で増殖し、糞中に大量に排出されます。そのような糞中のウイルスに汚染された水が口の中に入ることで、水鳥の間を感染が広がって行くと考えられています。下の表1をご覧ください。感染している水鳥AがH池に飛来し水鳥B、水鳥Cが感染します。さらに、この水鳥B、水鳥CがI池、J池に飛来することで感染が広がります。低病原性鳥インフルエンザウイルスに感染しても、鳥の種類によっては、軽い症状であったり、症状がはっきりしなかったり、無症状のこともありえます。水鳥などの野鳥の糞と接触の機会があれば、ニワトリなどの家禽が低病原性鳥インフルエンザウイルスに感染することもありえます。低病原性鳥インフルエンザウイルスは、ニワトリなどの家禽の集団の中で感染を拡げているうちに、数ヶ月以内に突然変異を起こし、高病原性鳥インフルエンザウイルスへと変わりニワトリなどの家禽の大量死を起こすこともありえるとされています。低病原性鳥インフルエンザウイルスは、ニワトリでは羽毛の乱れや生む卵の減少などを起こすことがありますが気づきにくいです。高病原性鳥インフルエンザウイルスは、ニワトリでは集団の中をたちまち広がり多くのニワトリが感染し48時間以内に多臓器に異常をきたし死に至ることがあります。

図1. 水鳥の鳥インフルエンザ感染の連鎖

また、同じ高病原性鳥インフルエンザウイルスでも鳥の種類により、症状の程度が異なることが知られています。例えば、ニワトリやシチメンチョウに致死的なウイルスが、アヒルには致死的でない場合があることが知られています。ニワトリやシチメンチョウに致死的なウイルスを渡り鳥の水鳥が、遠距離運んでしまうこともありえると考えられています。

インフルエンザには、A型、B型、C型があります。人間のC型インフルエンザの症状は軽いため、人間で特に問題とされるのは、A型、B型です。このうち、B型インフルエンザは、もっぱら人間だけが感染します。残るA型については、人間、鳥やブタ、クジラ、アザラシなども感染することがあります。A型ウイルスについては、ウイルス表面の蛋白質である hemagglutinin ( H ) の型によりH1からH16までの16種類に分類されています(参考文献9)。hemagglutinin ( H ) の型については、これまで人間で流行が見られたインフルエンザウイルスが、主に、H1、H2、H3の3種類に限られるのに対して、16の分類のすべてが、鳥で見られます。そこで、A型インフルエンザウイルスは、もともとはもっぱら鳥に感染するウイルスであったと考えられています。

また、A型ウイルスについては、ウイルス表面の蛋白質であるneuraminidase(N)の型によってもN1からN9までの9種類に分類されています。neuraminidase(N)の型についても、これまで人間で流行が見られたインフルエンザウイルスが、主に、N1、N2の2種類に限られるのに対して、9の分類のすべてが、鳥で見られます。

インフルエンザウイルスのウイルス株の命名法について、ご覧ください

鳥のインフルエンザに鳥から直接に人間が感染することは、通常は起こりにくいと考えられています。しかし、ブタは、ブタのインフルエンザだけでなく、人間のインフルエンザや鳥のインフルエンザにも感染することがあることが知られています。このブタが、人間のインフルエンザと鳥のインフルエンザとに同時に感染した場合に、ブタの体内で人間のインフルエンザウイルスと鳥のインフルエンザウイルスとの間に遺伝子の再集合(reassortment)が起こる可能性が指摘されています。遺伝子の再集合(reassortment)とは、同じ細胞に2種類のウイルスが同時に感染した場合に、2種類のウイルスの遺伝子の組み合わせから遺伝子が選択されて、新しい遺伝子の組み合わせのウイルスが誕生することを言います。下の図2をご覧ください。各英文字が、各遺伝子を示すとします。遺伝子の組み合わせが、人間のインフルエンザウイルスでABCDEFGH、鳥のインフルエンザウイルスでabcdefghであった場合に、ABCDEfGH等の遺伝子の組み合わせの新型のウイルスが誕生する可能性があります。8種類の遺伝子の組み合わせであれば、理論上は、2の8乗、つまり256通りの組み合わせがありえます。人間に感染する能力を人間のインフルエンザウイルスから受け継ぎ、ウイルス表面のhemagglutinin(H)の型は鳥のインフルエンザウイルスから受け継いだような場合には、人間の誰もが充分な免疫を持っていない人間のインフルエンザウイルスが新たに誕生する可能性もあります。

このような新型インフルエンザウイルスにより重症のインフルエンザの大流行が起こることが、心配されています。

図2. 遺伝子の再集合(reassortment)

鳥のインフルエンザに鳥から直接に人間が感染することがあります。1997年には、香港でA/H5N1型の鳥インフルエンザウイルスに18人が感染し、6人が死亡しています。このウイルスによる感染の拡がりを防ぐため、当局は140万羽のニワトリを殺処分しました。このときの人間の感染は、主に鳥から人間への感染であったと考えられています。いろいろな危険因子を比較した患者-対照研究によれば、発病前の一週間の間に家禽小屋や生きている家禽がいる市場を訪れたことが、強い危険因子であったとのことです(参考文献5)。

なお、ニワトリの処分については、訓練された政府の職員がマスク、手袋、ガウンを着用して行いましたが、約3パーセントの職員でH5型の鳥インフルエンザウイルスに対する抗体が陽性となりました。H5型の鳥インフルエンザウイルスに対する抗体が陽性となったということは、H5型の鳥インフルエンザウイルスが人体に侵入したことを示します。H5型の鳥インフルエンザウイルスに対する抗体が陽性となったこれらの職員では、重症の呼吸器症状を示した者はいなかったとのことです。

1999年3月、2人のこどもがA/H9N2型の鳥インフルエンザウイルスに感染し香港の病院に入院しました。このA/H9N2型の鳥インフルエンザウイルスは低病原性鳥インフルエンザウイルスでした。2人のこどもの内、1人は、13か月の女子で39.5度の発熱、食欲不振、嘔吐、咽頭炎で入院しました。もう1人は、4歳の女子で、38.9度の発熱、気分不快、のどの痛み、頭痛、嘔吐、腹痛、下痢、咽頭炎で入院しました。2人とも軽快して退院しました。A/H9N2型の鳥インフルエンザウイルスに対する抗体の検査により、家族や医療従事者への患者からの感染の可能性が探られましたが、患者からの感染は認められませんでした(参考文献6)。

2003年2月19日、香港の9歳の少年の検体から、A/H5N1型の鳥インフルエンザウイルスが検出されています。この少年は、2003年1月に中国南部を訪問後、発病しましたが回復しました。少年の家族も同様の病気になり、8歳の妹1人と33歳の父親が亡くなっています。2003年2月20日、父親の検体からも、A/H5N1型の鳥インフルエンザウイルスの同じ株が検出されました。検出されたA/H5N1型の鳥インフルエンザウイルスの遺伝子には、人間のインフルエンザウイルスの遺伝子は含まれていませんでした。

2003年3月にオランダのいくつかの家禽農場で、家禽においてH7型(A/H7N7)の高病原性鳥インフルエンザの集団発生が見られています。2003年3月11日のことですが、H7型(A/H7N7)のウイルスに感染した家禽に暴露した数人の家禽農場従業員が結膜炎になりました。この従業員の何人からは、H7型(A/H7N7)のウイルスが検出されています。従業員が結膜炎になってから一週間後、今度は、この従業員の濃厚な接触者が2人、同様な結膜炎となりました。この接触者2人については、H7型(A/H7N7)のウイルスに感染した家禽に暴露することなしに、H7型(A/H7N7)のウイルスに感染しました。高病原性鳥インフルエンザについてこのような例は今のところ少ないと考えられていますが、人間から人間への感染経路の存在が示唆されます。この後もオランダの家禽農場で続いたH7型(A/H7N7)の高病原性鳥インフルエンザの流行で分離されたウイルスについては、インフルエンザ治療薬のオセルタミビルが有効と考えられました。人間から人間への感染経路の存在が示唆されてからは、ウイルスに暴露した人や新たな患者には、オセルタミビルの投与が推奨されました(参考文献3)。また、インフルエンザワクチンの接種も推奨されました(参考文献4)。

このオランダの家禽農場で続いたH7型(A/H7N7)の高病原性鳥インフルエンザの流行では、人間の死者も発生しています。H7型(A/H7N7)のウイルスで汚染された農場を訪れた57歳の獣医が重症の肺炎となりオランダの病院で2003年4月17日に死亡しています(参考文献2)。なんらかの理由で、この獣医はインフルエンザ治療薬の予防的な内服をしていなかったとのことです。この獣医の死亡した病院での接触者、及びこの獣医の関係者には、インフルエンザ治療薬のオセルタミビルの予防内服が行われました。この獣医からの感染は認められていません。また、この患者では結膜炎は認められませんでした(参考文献4)。

このオランダの家禽農場で続いたH7型(A/H7N7)の高病原性鳥インフルエンザの流行に伴う人間の患者の発生について、M. Koopmans らが、まとめています(参考文献4)。感染した家禽との直接の接触がなく、患者との家庭内での接触で感染したと考えられる患者は、総計で3人でした。いずれも結膜炎でしたが、内、12歳の1人は、インフルエンザ様の症状も出ました。

H7型のウイルスが検出された患者は、総計で82人でした。内、78人が結膜炎でした。残りの結膜炎でなかった患者4人の内、2人はインフルエンザ様の症状を認めました。結膜炎の78人の患者の内では、インフルエンザ様の症状も6人で認められました(参考文献4)。

カナダにおけるH7型(A/H7N3)インフルエンザウイルスによる人の感染について・・・下線部をクリックして下さい。

人間への感染が見られたA型インフルエンザウイルスの亜型について・・・下線部をクリックして下さい。

最近の高病原性鳥インフルエンザの発生状況については、当・横浜市衛生研究所ホームページの「高病原性鳥インフルエンザの発生状況について」をご覧ください。

どんな病気?

鶏、あひる、うずら又は七面鳥などの家禽(家きん)の病気としては、参考文献1の「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」の中で、「本病の症状は多様であり、主要なものは、突然の死亡、呼吸器症状、顔面、肉冠若しくは脚部の浮腫、出血斑若しくはチアノーゼ、産卵率の低下若しくは産卵の停止、神経症状、下痢又は飼料若しくは飲水の摂取量の低下などである。また、鳥の種類又は分離されたウイルス株により症状やウイルスの排出量は異なる。」とされています。高病原性鳥インフルエンザは、1878年にイタリアで初めて認識されました。ニワトリ等での集団発生では、致死率が高く、多くの器官・組織がおかされ、広範な内出血が見られることもあることから、人間のエボラ出血熱を連想してと思われますが、「ニワトリのエボラ( chicken Ebola )」の俗称もあります。

「インフルエンザ(H5N1)を指定感染症として定める等の政令」が、2006年5月30日に閣議で決定され、6月2日公布、6月12日施行となりました。指定感染症としての効力は一年間です。H5N1型インフルエンザについては、都道府県知事による入院勧告や入院医療の公費負担等の2類感染症相当の措置が行われました。また、インフルエンザ(H5N1)の鳥類について、獣医師による届出が規定されました(獣医師による鳥インフルエンザ(H5N1又はH7N9)の届出基準はこちらのページから)。なお、H5N1型インフルエンザについては、指定感染症として一年間経過後、さらに一年間、指定感染症とされましたが、現在では、感染症法の2類感染症とされています(鳥インフルエンザ(H5N1)の届出基準はこちらのページから)。

ヒトの感染症としての臨床的特徴については、ウイルスの亜型の違いおよび株の違いによって、かなり違うと考えられます。最近、患者数が増えているA/H5N1型の鳥インフルエンザについて、以下に述べますが、その特徴も、ウイルス遺伝子の突然の変異等により、大きく変わる可能性があります。

潜伏期は通常のインフルエンザより長いです。潜伏期について、通常のインフルエンザは2-3日ですが、A/H5N1型の鳥インフルエンザは、2-8日で、17日に及ぶ可能性もあります。WHO(世界保健機関)では、患者の接触者の観察期間を決める際などに、その算出の根拠とする潜伏期を7日間としています。

最初の症状としては、摂氏38度を超える高熱とインフルエンザ様の症状があります。初期の症状として、下痢、嘔吐、腹痛、胸痛、鼻・歯茎(はぐき)からの出血が見られた患者もいます。

血液の混入のない水様の下痢は、通常のインフルエンザよりも見られるようです。呼吸器症状が必ず見られるわけではありません。発熱と下痢が主症状であったり、脳炎症状が主症状であったりもします。

下気道炎の症状が医療機関の初診時に見られることが多く、発病から約五日程度で呼吸困難が見られることが多いです。血液の混入した痰が見られる場合もあります。重症例では、抗生物質が無効なウイルス性の肺炎が見られます。

重症化は早いです。タイでは、発病から急性呼吸不全までは約6日(4-13日)でした。トルコの重症例では、発病から呼吸不全まで3-5日でした。多臓器不全やDIC(播種性血管内凝固)が見られることもあります。

治療薬としては、抗インフルエンザウイルス剤であるオセルタミビル(商品名:タミフル)が使われます。高病原性鳥インフルエンザが疑われる場合には、できるだけ早く(理想的には、発病から48時間以内に)、オセルタミビルが投与されるべきです。通常のインフルエンザの治療の場合、大人には、一日あたり150mg(75mgを二回)で五日間投与ですが、高病原性鳥インフルエンザの治療の場合には、一日の投与量の増量(たとえば、300mg/日)や、投与期間の延長(たとえば、7-10日)が行われています。一日の投与量が300mgを超えると胃腸の副作用が多く見られます。

A/H5N1型の鳥インフルエンザの患者と接触した人が発病するのを防ぐためにも抗インフルエンザウイルス剤であるオセルタミビル(商品名:タミフル)が使われます(予防内服)。大人には、一日あたり75mgで感染の可能性がある最後の接触の日から7-10日間の投与です。

病原体は?

H5型およびH7型のA型インフルエンザウイルスが、高病原性鳥インフルエンザの病原体として知られています。

2004年、ベトナム、タイでは、高病原性鳥インフルエンザの患者が発生し、死亡者も出ています。このベトナムとタイでの5人の高病原性鳥インフルエンザ患者から分離されたウイルスのインフルエンザ治療薬に対する感受性が検討されています。アマンタジンには抵抗性があるが、オセルタミビルには感受性があるとの結果が得られています。また、このウイルスには、ヒトのインフルエンザウイルス遺伝子は含まれておらず、容易にヒトからヒトへと感染するような変異は起こっていないと考えられています(参考文献7)。

高病原性鳥インフルエンザウイルスは、感染している鳥の組織中や糞中あるいは水中で、特に温度が低い場合には、長期に生存します。水中では、摂氏22度では4日まで生存することがありますし、摂氏0度では30日以上生存することがあります。鳥の糞中では、摂氏37度では6日まで生存することがありますし、摂氏4度では35日以上生存することがあります。

予防のためには・・・

高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥の糞が、靴に付着する、あるいは、自動車のタイヤに付着したりして、人間が他の場所へと高病原性鳥インフルエンザウイルスを運んでしまうようなこともありえると考えられています。当局に靴やタイヤなどの消毒を求められた場合には協力しましょう。

高病原性鳥インフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスとに、人間が同時に感染した場合には、その人間の体内で高病原性鳥インフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスとの間に遺伝子の再集合(reassortment)が起こる可能性もあります。人間に感染する能力を人間のインフルエンザウイルスから受け継ぎ、ウイルス表面のhemagglutinin(H)の型は鳥のインフルエンザウイルスから受け継いだような場合には、人間の誰もが充分な免疫を持っていない人間のインフルエンザウイルスが新たに誕生する可能性もあります。

このような新型インフルエンザウイルスにより重症のインフルエンザの大流行が起こることが、心配されています。高病原性鳥インフルエンザウイルスに暴露した人は、人間のインフルエンザウイルスにも感染しないように注意する必要があります。高病原性鳥インフルエンザウイルスに暴露する可能性がある人は、インフルエンザワクチンの接種を受けていることが望ましいと考えられます。

インフルエンザウイルスは、70度以上の加熱で死滅します。万一、食物がインフルエンザウイルスで汚染されるようなことがあっても、食物の中心部まで70度以上になるようによく加熱することでインフルエンザウイルスを死滅させることができると考えられています。

WHO(世界保健機関)は、家禽にA(H5N1)型の鳥インフルエンザの発生が見られる国について、渡航を制限するような勧告は出していません。そのような国では、家禽農場や生きた動物のいる市場との接触を避けることを、WHO(世界保健機関)は、旅行者に勧めています。感染した鳥の糞中には大量のウイルスが出てくることが知られています。

特定家畜伝染病防疫指針における「高病原性鳥インフルエンザ」

家畜伝染病予防法の第三条の二において「農林水産大臣は、家畜伝染病のうち、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要があるものとして農林水産省令で定めるものについて、検査、消毒、家畜等の移動の制限その他当該家畜伝染病に応じて必要となる措置を総合的に実施するための指針(以下この条において「特定家畜伝染病防疫指針」という。)を作成し、公表するものとする。」とされています。家畜伝染病の内、口蹄疫牛海綿状脳症(BSE)、高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラについて、それぞれ特定家畜伝染病防疫指針が定められています。高病原性鳥インフルエンザについては、「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」を平成16年11月18日、農林水産大臣が公表しています(平成20年12月20日最終変更)。
この指針において、「高病原性鳥インフルエンザは、国際獣疫事務局(OIE)が作成した診断基準(Manual of Standards for Diagnostic Tests and Vaccines )により高病原性鳥インフルエンザウイルスと判定されたA型インフルエンザウイルス又はH5若しくはH7亜型のA型インフルエンザウイルス(高病原性鳥インフルエンザウイルスと判定されたものを除く。)の感染による鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥又は七面鳥の疾病をいう。」とされています。この指針によれば、低病原性鳥インフルエンザウイルスであってもH5若しくはH7亜型のA型インフルエンザウイルスによる鳥インフルエンザであれば、「高病原性鳥インフルエンザ」とされることになります。そのため、行政の場ではこの指針に従って、H5若しくはH7亜型のA型インフルエンザウイルスについては、病原性に関わらず全て「高病原性鳥インフルエンザウイルス」と呼ばれ、病原性については強毒タイプか弱毒タイプかで記述されます。
H5若しくはH7亜型のA型インフルエンザウイルスについては、ニワトリに感染した場合に弱毒タイプが強毒タイプに変異することが報告されています。そのため、弱毒タイプであっても強毒タイプとして対処する必要もあり、H5若しくはH7亜型のA型インフルエンザウイルスについては、病原性に関わらず全て「高病原性鳥インフルエンザウイルス」として対処する姿勢が「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」では示されています。

参考文献

  1. 「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(平成16年11月18日農林水産大臣公表。平成20年12月20日最終変更):なお、「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル(平成15年9月17日付け15消安第1736号農林水産省消費・安全局衛生管理課長通知『高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルの制定について』の別添)」については、平成16年11月18日付で廃止。
  2. Jonathan Crofts ; Avian influenza human death reported in the Netherlands. ; Eurosurveillance Weekly 2003;7(17):24/04/2003.
  3. A. Meijer, et al. ; Outbreak of fowl plague (avian influenza) leads to secondary human cases, March 2003, the Netherlands. ; Eurosurveillance Weekly 2003;7(12):20/03/2003.
  4. M. Koopmans, et al. ; Update on human infections with highly pathogenic avian influenza virus A/H7N7 during an outbreak in poultry in the Netherlands. ; Eurosurveillance Weekly 2003;7(18):01/05/2003.
  5. WHO ; Influenza A(H5N1) in Hong Kong Special Administrative Region of China. ; WEEKLY EPIDEMIOLOGICAL RECORD, No. 12, 20 March 1998 , 73rd YEAR, p. 84.
  6. Timothy M. Uyeki, Yu-Hoi Chong, Keiji Fukuda, et al. ; Lack of Evidence for Human-to-Human Transmission of Avian Influenza A (H9N2) Viruses in Hong Kong, China, 1999. ; Emerging Infectious Diseases, Vol. 8, No. 2, February 2002, p. 154-159.
  7. Outbreaks of Avian Influenza A (H5N1) in Asia and Interim Recommendations for Evaluation and Reporting of Suspected Cases -- United States, 2004. ; MMWR, February 13, 2004/ Vol. 53/ No. 5, p.97-100.
  8. Taisuke Hiromoto and Yoshihiro Kawaoka. ; Pandemic Threat Posed by Avian Influenza A Viruses. ; Clinical Microbiology Reviews, Vol. 14, No. 1, Jan. 2001, p. 129-149.
  9. Ron A. M. Fouchier, Vincent Munster, Anders Wallensten, et al. ; Characterization of a Novel Influenza A Virus Hemagglutinin Subtype(H16) Obtained from Black-Headed Gulls. ; JOURNAL OF VIROLOGY, Mar. 2005, Vol. 79, No. 5, p. 2814-2822.
  10. WHO ; Avian influenza (" bird flu ") - Fact sheet. ; February 2006.
  11. WHO ; ADVICE ON USE OF OSELTAMIVIR ; 17 March 2006, p.1-3.
    http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/guidelines/oseltamivir2006_03_17/en/index.html(外部サイト)
  12. WHO ; Avian influenza frequently asked questions. ; December 2005.
    http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/avian_faqs/en/index.html(外部サイト)

参考ウェブ・サイト

  1. 山口県のウェブページ「高病原性鳥インフルエンザに関する情報について」(外部サイト)。「山口県高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」が掲載されています。
  2. 農林水産省のウェブページ「鳥インフルエンザに関する情報」(外部サイト)。「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」および「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施にあたっての留意事項について」をダウンロードできます(PDF版)。
  3. 厚生労働省のホームページ(外部サイト)。「鳥インフルエンザに関する情報」が掲載されています。
  4. 動物衛生研究所(動衛研)のホームページ(外部サイト)。「疾病情報」のページに鳥インフルエンザに関する情報が掲載されています。
  5. 国際獣疫事務局(OIE)のホームページ(外部サイト)。「HPAI」のページ。英語です。各国のH5型・H7型の鳥インフルエンザ発生状況のページ(外部サイト)もあります。
  6. 世界保健機関(WHO)のホームページ(外部サイト)。「鳥インフルエンザ(avian influenza)」のページ。英語です。
  7. 京都府のホームページ(外部サイト)。「高病原性鳥インフルエンザについて」のページがあります。
  8. 神奈川県のホームページ(外部サイト)。「鳥インフルエンザ情報」のページがあります。
  9. 東京都のホームページ(外部サイト)。「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)への対応」のページがあります。
  10. 大阪府のホームページ(外部サイト)。「高病原性鳥インフルエンザについて」のページがあります。

2004年1月23日掲載
2004年3月23日増補
2006年2月20日改訂増補
2006年3月20日増補
2006年6月20日増補
2011年2月1日改訂増補

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