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家庭での転倒・転落の予防について

最終更新日 2018年8月7日

日本における家庭での不慮の事故

日本の人口動態調査によれば、2003年(平成15年)には家庭における不慮の事故で年間11290人が死亡しています(表1参照)。年齢階層で見ると、65歳以上が8654人と76.7%を占めて多いです。また、45-64歳についても1625人と14.4%を占めています。45歳以上では10279人と91.0%を占めています。

表1. 家庭における不慮の事故の年齢階層別死亡数・死亡割合・死亡率・主要死因(2003年)
年齢死亡数死亡割合(%)死亡率(10万対)家庭における不慮の事故の主要死因の第1位(割合*)転倒・転落による死亡の割合*(順位)
01111.09.902その他の不慮の窒息(82.9%)5.4%(第2位)
1-41020.92.206その他の不慮の窒息(34.3%)17.6%(第4位)
5-9440.40.741煙、火及び火災への曝露(38.6%)20.5%(第3位)
10-14310.30.510不慮の溺死及び溺水(32.3%)16.1%(第4位)
15-292662.41.133有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露(25.9%)21.1%(第3位)
30-444544.01.778有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露(22.2%)21.8%(第2位)
45-64162514.44.623その他の不慮の窒息(23.0%)20.9%(第3位)
65-79422437.422.718不慮の溺死及び溺水(34.6%)19.9%(第3位)
80-443039.278.658その他の不慮の窒息(39.3%)18.3%(第3位)
11290100.08.950その他の不慮の窒息(31.9%)19.4%(第3位)

* :各年齢階層の家庭における不慮の事故の死亡数を100%とする。
(資料) 平成15年人口動態調査(厚生労働省)等

家庭での不慮の事故死の主要死因は、下の表2のとおりです。「その他の不慮の窒息」、「不慮の溺死・溺水」、「転倒・転落」の3死因で79.9%を占めます。「その他の不慮の窒息」(3603人)においては、「気道閉塞を生じた食物の誤嚥」(2432人)、「胃の内容物の誤嚥」(619人)及び「気道閉塞を生じたその他の物体の誤嚥」(218人)で90.7%を占めます。なお、「その他の不慮の窒息」の分類には、誤嚥以外にも、「ベッド内での不慮の窒息および絞首」、「その他の不慮の首つりおよび絞首」、「落盤、落下する土砂およびその他の物体による窒息」、「低酸素環境への閉じ込め」、「その他の明示された窒息」、「詳細不明の窒息」が含まれます。0歳児では「ベッド内での不慮の窒息および絞首」が多いです。「不慮の溺死・溺水」(3230人)においては、「浴槽内での溺死・溺水」(2936人)及び「浴槽への転落による溺死・溺水」(66人)で92.9%を占めます。「転倒・転落」(2186人)においては、「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」(969人)、「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」(425人)及び「建物又は建造物からの転落」(415人)で82.8%を占めます。
「転倒・転落」が各年齢階層で家庭での不慮の事故死に占める割合は、上の表1のように、まだ歩行などの運動機能が未発達な0歳児では5.4%と比較的低いですが、0歳以外の年齢階層では16.1-21.8%の範囲内であり比較的高いです。家庭での不慮の事故による死亡を減らすために、主要死因の一つである転倒・転落の予防が求められます。

表2. 家庭における不慮の事故の死因別死亡数・死亡割合・死亡率(2003年)
死因死亡数死亡割合(%)死亡率(10万対)
その他の不慮の窒息360331.92.856
不慮の溺死及び溺水323028.62.561
転倒・転落218619.41.733
煙、火及び火災への曝露128311.41.017
有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露3813.40.302
熱及び高温物質との接触1241.10.098
その他4834.30.383
11290100.08.950
(資料) 平成15年人口動態調査(厚生労働省)等

(資料) 平成15年人口動態調査(厚生労働省)等

家庭での転倒・転落の予防のためには

転倒・転落が起こりにくいような生活環境の整備

  • 階段は、しっかりとした安定した手すりをつけ、傾斜をゆるやかにし、途中に踊り場を設けた方が良いでしょう。ツルツルの床よりは薄いカーペット敷きの方が、足が滑りにくく、転んでも打撲・衝撃が軽いと考えられます。滑り止めについては、滑りにくくなる反面、足を引っ掛けて転倒しやくなる可能性もあります。夜間でも足元が明るい照明をつけましょう。
  • 各階にトイレを設置しましょう。夜間などにトイレのためにあわてて階段を上り下りして転倒・転落するようなことを避けましょう。
  • 廊下は、しっかりとした安定した手すりをつけ、夜間でも足元が明るい照明をつけましょう。
  • 浴室は、しっかりとした安定した手すりをつけ、滑りにくい床にした方が良いでしょう。マット・スノコを使う場合には滑り止め付きのものを使いましょう。
  • ベットは、寝返りしたときなどに転落しないように幅に余裕があった方が良いでしょう。ベットの高さは腰掛けたときに床面にきちんと足がついた方が良いでしょう。高すぎると転落しやすく、転落による傷害も重くなると考えられます。
  • 家庭の照明は、夜間でも足元が明るい照明をつけましょう。特に高齢者では若者より明るい照明が必要です。居間だけでなく階段・玄関・浴室・廊下なども明るくしましょう。
  • 家庭における段差をなくしましょう。たとえば、敷居など床面からの突出があると、その突出部に足を引っ掛けて転倒する場合があります。床面からの突出がないような敷居にしましょう。玄関では式台を置くことで段差を小さくできます。

転倒・転落しないような生活上の注意

  • モノをまたぐときに足を引っ掛けて転倒しやすいです。モノをまたいで歩かないようにしましょう。
  • 家の中は整理整頓しましょう。モノをまたいで歩かないで済むように片付けましょう。
  • 床は磨きすぎない方が良いでしょう。ツルツルの床では転倒しやすいです。
  • 衣類のすそは長すぎないようにしましょう。長いすそでは、足にからまったり自分で踏んだりなどして転倒することがあります。体を動かしやすい衣類を着ましょう。
  • スリッパ・サンダルのような足に引っ掛けるだけの履物は止めましょう。低いヒールで滑りにくい靴底のサイズがピッタリな靴をきちんと履きましょう。
  • モノにつかまるときには、しっかりとした安定したモノにつかまりましょう。
  • 階段を大きいモノや重いモノを持って通るときに転落することがあります。そのようなモノを持って階段を通る場合には、一時に全部運ぶのではなく、小分けにして数回で運びましょう。なお、階段の事故は、下りるときの事故が上るときの事故の4倍を超えるとされています(文献 1)。下りるときには特に注意が必要です。

米国における家庭での不慮の事故

さて、1992年から1999年までの米国の死亡統計から家庭での不慮の事故による死亡を分析した調査があります(文献2)。
米国では1992年から1999年まで平均で年間18048人が家庭での不慮の事故で死亡しています(人口10万人対死亡率6.83)。性別では男性の死亡率(8.78)が女性の死亡率(4.97)より高いです。家庭での不慮の事故死の主要死因は、転倒・転落(死亡率2.25)、中毒(死亡率1.83)、火災・火傷(死亡率1.29)等でした。米国においても、家庭での不慮の事故による死亡を減らすために、主要死因である転倒・転落の予防が求められています。

クリスマス等の飾り付けや後片付けの際の転倒・転落事故

クリスマス・ツリー

米国では、冬季にクリスマスの時期を中心にクリスマス・ツリー(図1)やイルミネーションなどの飾りつけが屋内・屋外で行われます。そのような飾り付けや後片付けの際に転倒・転落事故が起こることが知られています。米国疾病管理・予防センター(CDC)は、11月1日から1 月31日の間の、飾り付けやその後片付けの際の転倒・転落事故について調査し、毎冬、約5800人が病院救急部で治療を受けていると推計しています(文献 3)。 転倒・転落事故を起こす場所として、第一位は、ハシゴで42.6%です。第二位は、屋根で13.1%です。屋根の上の飾りの据え付け・取り外しの際等の転落です。第三位は、家具で10.9%です。飾り付け・後片付け等のために乗ったテーブル・イス・踏み台等の上からの転落です。階段(2.9%)やポーチ(1.4%)から転落することもあります。その他、クリスマス・ツリーのすその部分や装飾に足をひっかけたり足を滑らせたりして転倒することもあります(13.9%)。なお、15.2%については詳細不明でした。 年齢は、19歳以下が15%、20-49歳が62%、50歳以上が24%でした。性別は、男性が58%、女性が42%でした。 病院救急部での診断結果として、骨折が33.8%で見られています。その骨折例の51%がハシゴからの転落によるものです。 米国では、ハシゴを常備している家庭は60%との調査があります(文献4)。クリスマス等の飾り付けやその後片付けの際の転倒・転落事故の場所としてハシゴが42.6%と多いこと、および、骨折例についてハシゴからの転落によるものが51%と多いことから、米国CDCはハシゴからの転落について注意して予防することを国民に呼びかけています。 日本でも、近年では、冬季にクリスマスの時期を中心にクリスマス・ツリーやイルミネーションなどの飾りつけが屋内・屋外で行われることがあります。そのような飾り付けや後片付けの際など、あるいは屋根の雪下ろしや庭木等の手入れなどに、ハシゴが使われることがあります。そのような際には、ハシゴからの転落事故を予防したいものです。

ハシゴからの転落予防

ハシゴからの転落を予防するために、以下のことに気をつけましょう。

  • ハシゴを立てる地面が堅固で水平であることを登る前に確認しましょう。地面でハシゴを保持して注意する人がいると安心です。
  • ハシゴの踏み段の中央にからだの重心が乗るようにしましょう。
  • ハシゴの一番上の段から三段までには立たないようにしましょう。
  • ハシゴを立てる位置の周囲やハシゴが届いた先の周囲はきれいに片付けておきましょう。
  • 開閉する扉の前にハシゴを立てないようにしましょう。
  • 垂直な壁に対する仕事であれば、作業する壁の部分の上端より90cm以上は上に届くハシゴを使いましょう。
  • ハシゴを屋根まで届かせるときには、屋根のへりよりハシゴを90cm以上は上に余すようにしましょう(下の図2参照)。
  • ハシゴを垂直な壁に立てかけるような場合(下の図2参照)、地面から壁との接点までのハシゴの長さ(a)4に対しハシゴを立てる位置から壁までの距離(b)1の割合にハシゴの位置を調節しましょう。

ハシゴと壁

参考文献

  1. 特別調査 家庭内事故に関する調査報告書(要約) 家庭内事故-その実態を探る、国民生活センター、1999年6月4日。
  2. Carol W. Runyan, Stephen W. Marshall, Anna E. Waller, et al. ; Unintentional injuries in the home in the United States
    Part 1: Mortality ; American Journal of Preventive Medicine, Volume 28, Issue 1, January 2005, p.73-79.
  3. Centers for Disease Control and Prevention. Fall-Related Injuries During the Holiday Season --- United States, 2000-2003. MMWR December 10, 2004;Vol.53;No.48:p.1127-1129.
  4. Stephen W. Marshall, Carol W. Runyan, Jingzhen Yang, Anna E. Waller, et al. ; Prevalence of selected risk and protective
    factors for falls in the home ; American Journal of Preventive Medicine, Volume 28, Issue 1, January 2005, p.95-101.

2005年2月21日掲載

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