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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
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最終更新日 2019年11月8日
日本の人口動態調査によれば、2003年(平成15年)には家庭における不慮の事故で年間11290人が死亡しています(表1参照)。年齢階層で見ると、65歳以上が8654人と76.7%を占めて多いです。また、45-64歳についても1625人と14.4%を占めています。45歳以上では10279人と91.0%を占めています。
年齢 | 死亡数 | 死亡割合(%) | 死亡率 (10万対) | 家庭における不慮の事故の主要死因の第1位(割合*) | 転倒・転落による死亡の割合*(順位) |
---|---|---|---|---|---|
0 | 111 | 1.0 | 9.902 | その他の不慮の窒息(82.9%) | 5.4%(第2位) |
1-4 | 102 | 0.9 | 2.206 | その他の不慮の窒息(34.3%) | 17.6%(第4位) |
5-9 | 44 | 0.4 | 0.741 | 煙、火及び火災への曝露(38.6%) | 20.5%(第3位) |
10-14 | 31 | 0.3 | 0.510 | 不慮の溺死及び溺水(32.3%) | 16.1%(第4位) |
15-29 | 266 | 2.4 | 1.133 | 有害物質による不慮の中毒及び有害 物質への曝露(25.9%) | 21.1%(第3位) |
30-44 | 454 | 4.0 | 1.778 | 有害物質による不慮の中毒及び有害 物質への曝露(22.2%) | 21.8%(第2位) |
45-64 | 1625 | 14.4 | 4.623 | その他の不慮の窒息(23.0%) | 20.9%(第3位) |
65-79 | 4224 | 37.4 | 22.718 | 不慮の溺死及び溺水(34.6%) | 19.9%(第3位) |
80- | 4430 | 39.2 | 78.658 | その他の不慮の窒息(39.3%) | 18.3%(第3位) |
計 | 11290 | 100.0 | 8.950 | その他の不慮の窒息(31.9%) | 19.4%(第3位) |
* :各年齢階層の家庭における不慮の事故の死亡数を100%とする。
(資料) 平成15年人口動態調査(厚生労働省)等
家庭での不慮の事故死の主要死因は、下の表2のとおりです。「その他の不慮の窒息」、「不慮の溺死・溺水」、「転倒・転落」の3死因で79.9%を占めます。「その他の不慮の窒息」(3603人)においては、「気道閉塞を生じた食物の誤嚥」(2432人)、「胃の内容物の誤嚥」(619人)及び「気道閉塞を生じたその他の物体の誤嚥」(218人)で90.7%を占めます。なお、「その他の不慮の窒息」の分類には、誤嚥以外にも、「ベッド内での不慮の窒息および絞首」、「その他の不慮の首つりおよび絞首」、「落盤、落下する土砂およびその他の物体による窒息」、「低酸素環境への閉じ込め」、「その他の明示された窒息」、「詳細不明の窒息」が含まれます。0歳児では「ベッド内での不慮の窒息および絞首」が多いです。「不慮の溺死・溺水」(3230人)においては、「浴槽内での溺死・溺水」(2936人)及び「浴槽への転落による溺死・溺水」(66人)で92.9%を占めます。「転倒・転落」(2186人)においては、「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」(969人)、「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」(425人)及び「建物又は建造物からの転落」(415人)で82.8%を占めます。
「転倒・転落」が各年齢階層で家庭での不慮の事故死に占める割合は、上の表1のように、まだ歩行などの運動機能が未発達な0歳児では5.4%と比較的低いですが、0歳以外の年齢階層では16.1-21.8%の範囲内であり比較的高いです。家庭での不慮の事故による死亡を減らすために、主要死因の一つである転倒・転落の予防が求められます。
死因 | 死亡数 | 死亡割合(%) | 死亡率(10万対) |
---|---|---|---|
その他の不慮の窒息 | 3603 | 31.9 | 2.856 |
不慮の溺死及び溺水 | 3230 | 28.6 | 2.561 |
転倒・転落 | 2186 | 19.4 | 1.733 |
煙、火及び火災への曝露 | 1283 | 11.4 | 1.017 |
有害物質による不慮の中毒及び有害物質への曝露 | 381 | 3.4 | 0.302 |
熱及び高温物質との接触 | 124 | 1.1 | 0.098 |
その他 | 483 | 4.3 | 0.383 |
計 | 11290 | 100.0 | 8.950 |
(資料) 平成15年人口動態調査(厚生労働省)等
さて、1992年から1999年までの米国の死亡統計から家庭での不慮の事故による死亡を分析した調査があります(文献2)。
米国では1992年から1999年まで平均で年間18048人が家庭での不慮の事故で死亡しています(人口10万人対死亡率6.83)。性別では男性の死亡率(8.78)が女性の死亡率(4.97)より高いです。家庭での不慮の事故死の主要死因は、転倒・転落(死亡率2.25)、中毒(死亡率1.83)、火災・火傷(死亡率1.29)等でした。米国においても、家庭での不慮の事故による死亡を減らすために、主要死因である転倒・転落の予防が求められています。
米国では、冬季にクリスマスの時期を中心にクリスマス・ツリー(図1)やイルミネーションなどの飾りつけが屋内・屋外で行われます。そのような飾り付けや後片付けの際に転倒・転落事故が起こることが知られています。米国疾病管理・予防センター(CDC)は、11月1日から1月31日の間の、飾り付けやその後片付けの際の転倒・転落事故について調査し、毎冬、約5800人が病院救急部で治療を受けていると推計しています(文献3)。転倒・転落事故を起こす場所として、第一位は、ハシゴで42.6%です。第二位は、屋根で13.1%です。屋根の上の飾りの据え付け・取り外しの際等の転落です。第三位は、家具で10.9%です。飾り付け・後片付け等のために乗ったテーブル・イス・踏み台等の上からの転落です。階段(2.9%)やポーチ(1.4%)から転落することもあります。その他、クリスマス・ツリーのすその部分や装飾に足をひっかけたり足を滑らせたりして転倒することもあります(13.9%)。なお、15.2%については詳細不明でした。年齢は、19歳以下が15%、20-49歳が62%、50歳以上が24%でした。性別は、男性が58%、女性が42%でした。病院救急部での診断結果として、骨折が33.8%で見られています。その骨折例の51%がハシゴからの転落によるものです。米国では、ハシゴを常備している家庭は60%との調査があります(文献4)。クリスマス等の飾り付けやその後片付けの際の転倒・転落事故の場所としてハシゴが42.6%と多いこと、および、骨折例についてハシゴからの転落によるものが51%と多いことから、米国CDCはハシゴからの転落について注意して予防することを国民に呼びかけています。日本でも、近年では、冬季にクリスマスの時期を中心にクリスマス・ツリーやイルミネーションなどの飾りつけが屋内・屋外で行われることがあります。そのような飾り付けや後片付けの際など、あるいは屋根の雪下ろしや庭木等の手入れなどに、ハシゴが使われることがあります。そのような際には、ハシゴからの転落事故を予防したいものです。
2005年2月21日掲載
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