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健康福祉局衛生研究所感染症・疫学情報課
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■この記事は各種文献や発表された論文等の内容について本市の医師等がまとめたものを、多くの方に参考にしていただけるように掲載しています。■個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。
最終更新日 2020年8月25日
米国では、約6200-6800万匹の犬がペットとして飼われているとされています。この犬によって、年間で約470万人以上がかまれているとされています。この内、年間で約80万人が医療機関を受診しているとされていますが、こどもが半数を占めていると考えられています。米国では、年間で約12人程度の死亡者があります。
2001年の推計(参考文献1)によると、米国では、犬による咬傷(こうしょう、かみきず)を受けた者の内、年間で約368245人が医療機関の救急部門で医療を受けているとされています。この368245人の性別は、男55.1%、女44.9%と男が多いです。年代別では、5-9歳が15.2%と一番多く、次いで、10-14歳が13.4%、0-4歳が13.3%の順となっています。14歳以下のこどもが、42.0%を占めています。
月別で見ると、一番多いのは7月で11.1%、ついで4月で9.8%でした。反対に一番少ないのは1月で6.0%でした。4月-9月の春夏に多く、10月-3月の秋冬に少ないです。皮膚の露出が多いかどうか、薄着か厚着か、犬の発情期かどうかなどが、季節的に影響しているかもしれません。
受傷した身体部位は、0-4歳では、頭部と首が64.9%、手と腕が27.0%と、頭部と首が多いです。受傷した身体部位について、こどもでは、年齢層が高くなるに従って頭部と首が減り、手と腕が増えます。受傷した身体部位について、15歳以上では、頭部と首が8.9%、手と腕が55.4%と、手と腕が多いです。全年齢層で見ると、多い方から、手と腕が45.3%、足と脚が25.8%、頭部と首が22.8%、下部胴体が3.9%、上部胴体(肩を含む)が1.4%、その他が0.6%、不明が0.2%となっています。
全年齢層で見ると、仕事に関連した咬傷は、4.5%ですが、16歳以上に限定すると8.0%を占めます。仕事としては、郵便配達、荷物の宅配、食品の宅配、動物病院や動物の保護施設での仕事、電気・ガス等のメーターを読む仕事、家屋の修繕や設備の取り付けなどです。
横浜市での犬による咬傷の発生状況については、下の表1、表2のとおりです。横浜市の区役所の福祉保健センター(生活衛生課)への届出から横浜市健康福祉局が把握したものです。平成8年度から平成14年度までの7年間の数字を表1に、平成15年度から平成20年度までの6年間の数字を表2に、まとめました。割合で見て多いのは、けい留して運動中の飼い犬が、飼い主・家族以外の成人を咬んでしまうような場合です。近年は、室内で飼う犬が増えることで、犬舎等にけい留中や放し飼いでの犬による咬傷事故が減っているようにも考えられます。平成20年度の横浜市での犬による咬傷の発生については、近年の13年間では一番低い数字となりました。
犬による咬傷事故が発生した場合、早急に最寄りの保健所に届け出ることになります。横浜市の場合、飼い犬が人をかんで傷つけた事実を知ったら飼い主は翌日までに区役所の福祉保健センター(生活衛生課)に届出なければなりません。さらに、飼い主は、2日以内に、人をかんで傷つけた犬を獣医師に受診させ狂犬病の鑑定を受けさせなければなりません。また、犬にかまれた場合には、福祉保健センター(生活衛生課)への届出として「犬によるこう傷事故被害届出書」があります。人をかんで傷つけた犬の飼い主がわかれば、福祉保健センターで指導することになります。
年度(平成) | 8 年度 | 9 年度 | 10年度 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 合計 | 割合(%) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
咬傷事故届出件数 | 166 | 124 | 132 | 141 | 135 | 122 | 112 | 932 | |||
咬傷犬 | 総数 | 185 | 133 | 135 | 147 | 146 | 141 | 132 | 1019 | 100% | |
飼い犬 | 153 | 118 | 124 | 130 | 129 | 120 | 118 | 892 | 87.5% | ||
野犬等 | 32 | 11 | 17 | 17 | 21 | 14 | 127 | 12.5% | |||
咬傷時 における 犬の 管理状態 | 犬舎等に けい留中 | 44 | 28 | 27 | 40 | 21 | 19 | 31 | 210 | 20.6% | |
けい留して 運動中 | 40 | 32 | 42 | 47 | 50 | 53 | 41 | 305 | 29.9% | ||
放し飼い | 47 | 34 | 19 | 32 | 29 | 30 | 29 | 220 | 21.6% | ||
その他 | 54 | 39 | 47 | 28 | 46 | 39 | 31 | 284 | 27.9% | ||
被害者 | 総数 | 193 | 134 | 140 | 150 | 152 | 145 | 135 | 1049 | 100% | |
成年 | 飼い主・ 家族 | 5 | 1 | 3 | 7 | 2 | 4 | 1 | 23 | 2.2% | |
その他 | 137 | 105 | 109 | 107 | 120 | 93 | 103 | 774 | 73.8% | ||
未 成年 | 飼い主・ 家族 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 3 | 7 | 0.7% | |
その他 | 51 | 28 | 28 | 35 | 27 | 48 | 28 | 245 | 23.4% |
年度(平成) | 15 年度 | 16 年度 | 17 年度 | 18 年度 | 19 年度 | 20 年度 | 合計 | 割合(%) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
咬傷事故届出件数 | 121 | 114 | 121 | 121 | 133 | 85 | 695 | |||
咬傷犬 | 総数 | 137 | 134 | 150 | 139 | 153 | 108 | 821 | 100% | |
飼い犬 | 122 | 116 | 130 | 125 | 131 | 88 | 712 | 86.7% | ||
野犬等 | 15 | 18 | 20 | 14 | 22 | 20 | 109 | 13.3% | ||
咬傷時 における 犬の 管理状態 | 犬舎等に けい留中 | 18 | 19 | 28 | 17 | 18 | 16 | 116 | 14.1% | |
けい留して 運動中 | 59 | 49 | 51 | 62 | 74 | 43 | 338 | 41.2% | ||
放し飼い | 32 | 24 | 30 | 34 | 27 | 16 | 163 | 19.9% | ||
その他 | 28 | 42 | 41 | 26 | 34 | 33 | 204 | 24.8% | ||
被害者 | 総数 | 147 | 137 | 152 | 141 | 153 | 109 | 839 | 100% | |
成年 | 飼い主・家族 | 4 | 4 | 6 | 1 | 1 | 1 | 17 | 2.0% | |
その他 | 101 | 102 | 107 | 113 | 122 | 85 | 630 | 75.1% | ||
未 成年 | 飼い主・家族 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 1 | 5 | 0.6% | |
その他 | 42 | 30 | 38 | 25 | 30 | 22 | 187 | 22.3% |
日本における犬による咬傷の発生状況については、下の表3のとおりです。犬による咬傷事故が発生した場合、早急に最寄りの保健所に届け出ることになります。全国の保健所への届出から把握されたものです。
日本における犬による年間咬傷事故数は、1996年まで減少傾向でしたが、その後は年間6000件程度となり、大きな増減は見られません。ただし、この数字は保健所への届出から把握されたものであり、保健所への届出がされていないものも含めると相当数に上ると考えられます。近年の日本における犬による咬傷での年間死亡者数は、1-4人です。
年 | 年間咬傷事故数(件) | 年間死亡者数(人) |
---|---|---|
1974年 | 16564 | 5 |
1979年 | 13312 | 5 |
1984年 | 12539 | 1 |
1989年 | 10777 | 3 |
1994年 | 7632 | 1 |
1995年 | 7545 | 4 |
1996年 | 6854 | 3 |
1997年 | 6564 | 1 |
1998年 | 6307 | 1 |
1999年 | 6278 | 3 |
2000年 | 6576 | 4 |
2001年 | 6384 | 3 |
犬や猫に咬まれて感染・発病することがある微生物は多くあります。パスツレラ菌(Pasturella multocida 等)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )、連鎖球菌、コリネバクテリウム、Eikenella corrodens 、カプノサイトファーガ-カニモルサスなど多数あります。破傷風や狂犬病の心配もあります。カプノサイトファーガ-カニモルサス感染症の重症例では死亡例も報告されていますが、受傷時に早急に医療機関を受診して消毒や抗生物質の投与等を受けていれば重症化しなかった可能性もあります。犬や猫に咬まれたら早急に医療機関を受診して、消毒や抗生物質の投与等、適切な治療を受けましょう。
2004年6月1日掲載
2004年6月15日増補改訂
2010年6月18日増補改訂
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