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死亡率・致死率(致命率)・死亡割合について

最終更新日 2019年11月8日

エボラ出血熱の死亡率は?

「エボラ出血熱の死亡率は50-90%と高く、・・・」というような記述を見かけることがあります。この記述は誤りで、正しくは、「エボラ出血熱の致死率(致命率)は50-90%と高く、・・・」です。ある病気Aの死亡率、あるいは、ある病気Aの致死率(致命率)といった場合、死亡率も致死率(致命率)も、割り算で、「ある病気Aの死亡者数」を割ることにより算出しますが、何で割るかが違います。死亡率の場合は、総人口で割ります。致死率(致命率)の場合は、「ある病気Aの患者数」で割ります。ですから、例えば、「B国でエボラ出血熱の死亡率は50%だった。」という場合には、「B国国民の総人口の半数がエボラ出血熱で死んでしまった。」ということになってしまいます。「B国でエボラ出血熱の致死率(致命率)は50%だった。」ということであれば、「B国ではエボラ出血熱患者の半数が死亡した」ということになります。日本では、2002年において死亡率が高いのは、死因の上位を占める悪性新生物(癌)、心疾患(心臓病)、脳血管疾患(脳卒中)といった死因です。日本では、2002年においてエボラ出血熱による患者も死者も発生していません。ですから、日本では、2002年においてエボラ出血熱の死亡率は、0%です。

死亡者数を使って算出する、公衆衛生の指標はいくつかあります。ここでは、死亡率、致死率(致命率)、死亡割合について、触れます。

死亡率について

「死亡率」=「一定期間における死亡者数」/「総人口」

上記の死亡率(death rate、mortality rate)は、粗死亡率(crude death rate)とも言います。総人口としては、日本・アメリカ合衆国といった国々のこともあれば、東京都や横浜市、川崎市といった行政単位のこともあります。一定期間としては、1年間が用いられるのが通常です。人口1000人あたりの率として、表示することが多いです。平成13(2001)年の日本における死亡率を計算してみましょう。日本の総人口としては、平成13(2001)年10月1日の推計人口125908000人を用います。平成13年1年間の日本の死亡者数は、970331人です。計算すると

「死亡率」=970331人/125908000人=0.007707=7.707人/1000人

となり、平成13(2001)年の日本における死亡率は、7.707(人口1000対)となります。

さて、どんな病気で亡くなる人が多いのかということを考える場合には、病気別の死亡者数を数えて、病気別の死亡率を計算します。

「ある病気Cの死亡率」=「一定期間におけるある病気Cによる死亡者数」/「総人口」

この死亡率は、死因別死亡率と呼ばれます。総人口としては、日本・アメリカ合衆国といった国々のこともあれば、東京都や横浜市、川崎市といった行政単位のこともあります。一定期間としては、1年間が用いられるのが通常です。人口10万人あたりの率として、表示することが多いです。近年、日本での死因の1位を独走しているガン(悪性新生物)について、平成13(2001)年の死因別死亡率を計算してみましょう。平成13年1年間の日本のガンによる死亡者数は、300658人です。日本の総人口としては、平成13(2001)年10月1日の推計人口125908000人を用います。計算すると、

「ガンの死亡率」=300658人/125908000人=0.002388=238.8人/100000人

となり、平成13(2001)年の日本におけるガンの死亡率は、238.8(人口10万対)となります。

さて、この死亡率ですが、国際間の比較に使おうと思うと不便な点があります。計算する際に総人口を必要とすることです。世界には、総人口がよくわからない国が少なくありません。総人口がわからないと、死亡率もわからないということになります。そこで、総人口がわからない場合でも計算できる、死亡割合が、発展途上国も含めた国際間の比較ではよく使われています。

死亡割合について

死亡割合は、死亡者の統計によって計算されます。死亡者の死因や年齢などによって、分類して死亡者数を数えます。大きな分類Dの中に小さな分類Eが含まれる場合、

「大分類Dに占める小分類Eの死亡割合」=「小分類Eの死亡者数」/「大分類Dの死亡者数」

となります。%で表示することが多いです。日本の平成13(2001)年の全死因に占めるガン(悪性新生物)の死亡割合を計算してみましょう。平成13年1年間の日本のガンによる死亡者数は、300658人です。平成13年1年間の日本の死亡者数は、970331人です。計算すると、

「全死因に占めるガン(悪性新生物)の死亡割合」=300658人/970331人=0.310=31.0人/100人

となり、平成13(2001)年の日本における全死因に占めるガン(悪性新生物)の死亡割合は、31.0%となります。平成13(2001)年の日本における全死因に占める死因別の死亡割合は、1位(悪性新生物)から10位までで、下の表1の通りです。また、日本では、どこの部位のガンで亡くなる人が多いかということで、全ガン(悪性新生物)に占める部位別ガン(悪性新生物)の死亡割合が計算されることがあります。1位が気管,気管支及び肺の悪性新生物で18.3%、2位が胃の悪性新生物で16.6%となっています。タバコを吸うのは、控えましょう。

表1. 平成13年(2001)年の日本における全死因に占める死因別の死亡割合
死因死亡者数死亡率(人口10万対)全死因に占める死亡割合(%)
全死因970,331770.7100.0
悪性新生物300,658238.831.0
心疾患148,292117.815.3
脳血管疾患131,856104.713.6
肺炎85,30567.88.8
不慮の事故39,49631.44.1
自殺29,37523.33.0
老衰22,14517.62.3
腎不全17,69014.01.8
肝疾患15,84812.61.6
慢性閉塞性肺疾患13,06910.41.3

さて、年齢で分類して死亡者数を数え、算出する死亡割合があります。死因がわからなくても年齢がわかれば良いです。どこの国でも比較的算出されやすい公衆衛生の指標です。死亡総数に占める50歳以上の死亡割合(PMI 50:Proportional Mortality Indicator 50)です。%で表示することが多いです。

PMI 50=「50歳以上の死亡者数」/死亡総数
PMI 60=「60歳以上の死亡者数」/死亡総数
PMI 80=「80歳以上の死亡者数」/死亡総数
PMI 85=「85歳以上の死亡者数」/死亡総数

公衆衛生の状態が良ければ良いほど、長生きし、死亡者の年齢は高い人が多くなると考えられます。100%に近いほど公衆衛生の状態は良好と考えられます。日本のPMI 50は、2000年で93.6%で世界的にも高いレベルです。

致死率(致命率)について

「ある病気Cの致死率」=「一定期間におけるある病気Cによる死亡者数」/「一定期間におけるある病気Cの患者数」

致死率(case-fatality rate)は、死因ともなりえる急性の病気の流行が起こったときに、よく使われます。一定期間とは、流行期間に留まらず、ある病気Cによるすべての死亡を見届けるのに十分な期間です。すべての患者は、病気Cが原因で死亡するかしないかが、はっきりするまで経過を追われます。エボラ出血熱の致死率は50-90%、新型肺炎SARSの致死率は14-15%とされています。

致死率(致命率)と死亡率とは、違います。間違いのないように、用語を使い分けましょう。

[増補 1] 平成23(2011)年の日本における死亡割合について

平成24年(2012年)9月6日発表の厚生労働省「平成23年 人口動態統計(確定数)の概況」によります。

日本の総人口としては、平成23(2011)年10月1日の推計人口126,180,000人(総務省統計局)を用いています。

平成23(2011)年の日本における全死因に占める死因別の死亡割合は、下の表2のとおりです。

表2. 平成23年(2011)年の日本における全死因に占める死因別の死亡割合
死因死亡者数死亡率(人口10万対)全死因に占める死亡割合(%)
全死因1,253,066993.1100.0
悪性新生物357,305283.228.5
心疾患194,926154.515.6
肺炎124,74998.910.0
脳血管疾患123,86798.29.9
不慮の事故59,41647.14.7
老衰52,24241.44.2
自殺28,89622.92.3
腎不全24,52619.42.0
慢性閉塞性肺疾患16,63913.21.3
肝疾患16,39013.01.3

悪性新生物(がん)は、昭和56年(1981年)以後、脳血管疾患にかわって死因第1位となりました。全死亡者の約3.5人に一人は、悪性新生物(がん)で死亡しています。
心疾患(心筋梗塞・狭心症等)は、昭和60年(1985年)以後、脳血管疾患にかわって死因第2位となりました。全死亡者の約6.5人に一人は、心疾患(心筋梗塞・狭心症等)で死亡しています。
肺炎は、平成23年(2011年)、脳血管疾患にかわって死因第3位となりました。全死亡者の約10人に一人は、肺炎で死亡しています。
脳血管疾患(脳梗塞・脳出血等)は、昭和26年(1951年)、結核にかわって死因第1位となりました。昭和45年(1970年)をピークに低下が見られました。昭和56年(1981年)、悪性新生物(がん)にかわって死因第2位となりました。昭和60年(1985年)、心疾患(心筋梗塞・狭心症等)にかわって死因第3位となりました。平成23年(2011年)、肺炎にかわって死因第4位となりました。全死亡者の約10人に一人は、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血等)で死亡しています。なお、結核は、平成23年(2011年)、死因第25位(死亡者数2,162人)です。
不慮の事故は、平成23年(2011年)、東日本大震災の影響で大幅増加して、老衰にかわって平成22年(2010年)の死因第6位(40,732人)から死因第5位となりました。全死亡者の約21人に一人は、不慮の事故で死亡しています。なお、全死亡者の約24人に一人は、老衰で死亡しています。

従来、3大死因として、悪性新生物(がん)、心疾患(心筋梗塞・狭心症等)、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血等)の3疾患が注目されて来ました。肺炎が、平成23年(2011年)、脳血管疾患にかわって死因第3位となったことから、今後は、肺炎も加えた4大死因として、肺炎にも注意して行く必要があります。

[増補 2] 平成23(2011)年のアメリカ合衆国における死亡割合について

平成24年(2012年)10月10日、アメリカ合衆国CDCの国立保健統計センター発行の「死亡統計:2011年(暫定数)」によります。

アメリカ合衆国の総人口としては、平成23(2011)年7月1日の推計人口311,591,917人(アメリカ合衆国商務省国勢調査局: U.S. Census Bureau)を用いています。

平成23(2011)年のアメリカ合衆国における全死因に占める死因別の死亡割合は、下の表3のとおりです。

表3. 平成23年(2011)年のアメリカ合衆国における全死因に占める死因別の死亡割合
死因死亡者数死亡率(人口10万対)全死因に占める死亡割合(%)
全死因2,512,873806.5100.0
心疾患596,339191.423.7
悪性新生物575,313184.622.9
慢性下気道疾患143,38246.05.7
脳血管疾患128,93141.45.1
不慮の事故122,77739.44.9
アルツハイマー病84,69127.23.4
糖尿病73,28223.52.9
インフルエンザ及び肺炎53,66717.22.1
腎不全45,73114.71.8
自殺38,28512.31.5

アメリカ合衆国における死因の一位は、心疾患(心筋梗塞・狭心症等)です。アメリカ合衆国においては、心臓病対策は大きな課題です。

表2と表3とを、死亡率(人口10万対)および全死因に占める死亡割合に注目して比較すると、アメリカ合衆国で多いのは、心疾患(心筋梗塞・狭心症等)などです。日本で多いのは、悪性新生物(がん)、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血等)、自殺などです。

参考文献

  1. 平成13年 人口動態統計(確定数)の概況(外部サイト) : 厚生労働省のホームページ。
  2. 国民衛生の動向・厚生の指標 臨時増刊・第49巻第9号 通巻第768号、厚生統計協会、2002年8月31日。
  3. 平成23年 人口動態統計(確定数)の概況(外部サイト) : 厚生労働省のホームページ。
  4. U.S. Census Bureau | Population Estimates(外部サイト) | National Totals: Vintage 2011(外部サイト).
  5. Donna L. Hoyert, Ph.D. and Jiaquan Xu, M.D.; Deaths: Preliminary Data for 2011, National Vital Statistics Reports(外部サイト), Vol. 61, No. 6, October 10, 2012, p. 1-64.

2003年5月22日掲載
2012年6月13日増補
2012年10月29日増補改訂

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