令和3年度 第2回横浜市障害者後見的支援制度検証委員会 議事録 日時 令和4年2月10日(木)13時30分〜15時20分 開催方法 オンライン 出席者(五十音順)麦倉委員、坂田委員、佐伯委員、徳田委員、細川委員、浮貝委員、品川委員、野間委員 欠席者 なし 開催形態 公開(条例の定めによる) 議題 1 障害者後見的支援制度の現況について 2 各区後見的支援室の現場訪問に係る報告について 3 後見的支援制度に係る検証の仕組みの見直しと、次年度以降の「後見的支援制度について 4 後見的支援制度説明会について 5 その他 議事 佐渡 市内でオミクロンによる感染が拡大している。現場では日々障害のある方の生活を支えながら、どなたが感染してもおかしくない状況の中、お時間をいただきありがとうございます。市でも支えられるよう衛生資材の配布等を行っている。 通常の年のようにはいかなかった。ガイドラインに基づく新年度の具体的取組等について話をしたい。 1 障害者後見的支援制度の現況について 麦倉 全体的にみると、コロナ禍においても、登録者数及びあんしんキーパー数は純増している。これは各区様々な実情に合わせた取組みを実施してきた結果だと考えており、たとえば障害のある人が地域へ出かけやすくなることを目的に、商店街のお店にあんしんキーパー登録の協力を呼びかけることで、キーパーの登録者数が伸びている区もあった。なお、この取組はガイドラインの「あんしんキーパーの開拓と地域づくり」の取組事例にも掲載されている。 このように、地域の実情に合わせた取組を一つ一つ積み重ねていくことで、この制度が障害のある人が住み慣れた地域で暮らすことのできるまちづくりの一端を担ってくれればと思う。 これらについて各委員から御意見・御質問等があればお願いしたい。 坂田 20歳代が減ったのはどういうことか。 麦倉 20歳代だった方が30歳代に移行したのかもしれないが。 推進法人 特に減ったという実感はないので、年齢の移行がたまたま数字に表れたのではないかと思う。 麦倉 あんしんキーパーの変動。前回8月の検証の中で支援者キーパーは制度の基本的考え方としてはNGではという意見があったが、支援者が減って地域の人が登録していただいたのは良い傾向だと思う。 麦倉 細かいことだが、P6の合計人数が異なっている。 事務局 修正する。 麦倉 全体的傾向としてはP7の広報周知について、計画的に行かなかった、苦労している様子が伝わってきた。青葉区は周知が18回と一生懸命されていて、区ごとにあんしんキーパーがどう増えたかが計算上はわからないが、広報周知、キーパー、登録者の数がどう連動していくかがわかると良い。青葉区はキーパー開拓の場合を主目的に開催されているので非常に評価できる。 佐渡 代表者会議等、各区の取組を共有する会議もあるので、良い取組に各区でも取り組めるよう広報していきたい。 2 後見的支援室の現場訪問に係る報告について (事務局より資料2の説明) 麦倉 先ほど事務局から説明があった内容は制度の根幹にかかわる内容で、厳しい評価だったが、意見があればうかがいたい。 佐伯 今の親の思いと子の思いの違いというのは、どうしても埋められない。親は、親がいなくなった時に子どもがどう生活するか子どもが人生をまっとうできるためにこうしてほしいああしてほしいという願いがある中で、子どものほうは将来のことはまだ考えられない、そこにギャップが出る、それを埋めるのは大変。言葉が出る人はまだ良いが、出ないお子さんについてははっきりと本人の意思がわからないので、一方的な話だけでなく両方の話を聞いて仲介人になるような形で双方がある程度納得するようなかたちに持っていけると良い。 麦倉 双方の話を聞くことが前提。特に言葉がない方は表情を見て直接会っ て、本人の情報を文字化していくことも大切。しかし、コロナ禍によって各後見的支援室では、訪問の代わりに電話で話す機会が増え、本人の様子が分かりにくくなったと苦心されていると聞いている。 細川 平成29年度から令和3年度まで5年間この制度にかかわっているので印象が変わってきていることについて話したい。地域の見守り体制については、最初に行ったときは後見的支援室が地域開発することに慣れていないようだった。この分野が苦手な人が多い印象だったが、今年からいろいろな試み、地区社協などと連携しながら取組んでいた。他制度他事業との関係性については、かつては意識されていなかった。今回ガイドラインができて、立ち位置が明確になり、意識が高まっている印象を5年の動きで感じた。 麦倉 地域開発の進歩が見られたのは良かった。ガイドラインが制定され、自分たちの仕事をどう定義するかがある程度共有されたことで進歩があったと感じている。 事務局 品川委員の訪問した様子の補足をお願いしたい。 品川 ご本人がけっこうしっかりされている方で、1回一緒に行けば次からは自分一人でできる方なのに、なぜもっと本人の意思を引き出すことができないかと疑問に思った。母の気持ちはわかるが、本人だけのところに時間をかけても良いのではと思った。 事務局 親の思いと、子の思いを聞き出すように工夫していると思うが、具体的にどのような取組をしているか。 推進法人 登録者によって、本人家族別々に面談を設けることもある。本人は漢字が読めない、本人にわかる形で書き換えた計画書、家族には本来の計画書をお見せするなど工夫している。重度の方への説明はなかなか難しいので、定期的に会うことを伝えて、顔を見て職員をわかってもらうところから始める、など支援の工夫をしている。   また、コロナによって予定していた面談を実施できないなど、本人への十分な聞き取りができない場面も中にはあった。今後の関わりの中で、本人へのより丁寧な聞き取りを行い、計画を立てることが必要だと考えている。 麦倉 様々な事情はあると思うが、委員が現場を訪問して原則を確認するという意味では検証の制度がうまく機能した事例だと思う。一方で、品川委員の指摘はとても大事なこと。ガイドラインでも本人が生きていこうとする力に力点を置くということは、エンパワメントの側面であり、この制度の大事な視点だと思う。改めて、本人について今までどうだったのか、今どういう状態にいるのかを見極めながら、少しでも本人の力を伸ばしていく支援を行なえればと思った。 3 障害者後見的支援制度に係る検証の仕組みの見直しと、次年度以降の「後見的支援制度検証委員会」について (事務局より資料3の説明) 佐伯 確認だが、今までの現場訪問は法人の会議に立ち会って見させてもらうが、来年度からは、事前に自己点検シートを法人が作ってその説明を受けて、ということか。 事務局 P14@の会議への参加に加えて、A業務全体を俯瞰で見てもらいチェックしてもらう、この@Aを通して行うので今までより時間が延びる。 麦倉 前半60分、後半90分、合計2時間半ということか。これまでより丁寧に聞けるので良いと思う。 浮貝 シートや検証の仕組みがシステマティックになっていてわかりやすい。整備してもらいありがたい。現場訪問のところでもそうだが、それぞれの区を訪問し気になった点や良かった点を委員が書いている。課題があった場合、後見的支援室の問題なのか制度の問題なのか、その2つがあると思う。   後見的支援室が頑張っても、ガイドラインが整備されていないと方向性がずれてしまう。今回はガイドラインができたが、さらに細かいマニュアルがあるといい。たとえば障害の重さや種別による本人へのかかわり方、親と子の接し方、どれだけ福祉サービスを使っているかなどによっても支援の仕方は変わってくると思う。具体的に作りこむのは難しいかもしれないが、そのような指針があると、支援室が頑張る方向が全体で示されていたほうがズレは減るのではないかと感じている。3〜4年この制度に関わっているが、思いを持って取り組んでいる支援者が多いが、どの方向を目指せばよいのか迷っていたり、区によっても色が違う印象が強い。具体的に示していけると生き生きと働きやすくなるのでは。   点検チェックシートは非常に良いと思うが、取組めていない、マイナス評価になった場合、その区へのサポートが必要になる。そのあたりも考えておくとよい。支援機関への支援の体制、結果が出たときにどう取り組んでいくかが気になった。 麦倉 好事例、グッドプラクティスとして示していけると思ったが、どこまで個人情報を共有できるのかむずかしいところなので、検討を丁寧にしなくてはいけないと思う。 佐渡 浮貝委員がおっしゃるとおりの課題はあるがマニュアルは作る想定は今すぐには、ない。個人的な思いもあるが、制度は伴走型、本人の側に立つ、支援ではなく、見守る地域を作っていく役割、大きな2つがあるよね、ということをガイドラインで今一度整理ができた。   Aさんは知的障害・自閉症で、特性は理解しなくてはいけないが、知的障害で自閉症だからこういうかかわりが必要、としばってしまわないか、という懸念もある。推進法人やマネの皆さんや現場の声を聞きながらかな、と思う。 浮貝 知的障害最重度で発語がなく、GH入居中。後見的支援室が入っても本人にやれることがあまりない。定期的に来られても、逆に他の入居者や支援者も混乱する。本人にどうですか、と言われても自傷してしまったりする。後見的支援制度につなげていく、利害関係や親御さんとの間に入ってもらう、という事例と、単身障害者。   こっちの方向性だよね、というものはあったほうが良いのでは。検証委員として1回行って評価してしまうのもこわい。 麦倉 圧倒的に親族同居が多い。ここからその後GH、単身など生活状況に変化があったときに支援室がどう関わったのかを情報共有できると、同じような登録者に関わっている区にとって大事な情報になる。情報共有やモデルケースを示していくメリットはあると思う。   GHに入っている方も、最後の住処ではない可能性もあるので。   もう一つの課題は? 佐渡 推進法人の役割が大きくなると考えている。もともとこの制度は他都市にはない本市独自の制度、運営法人がうまく進めていけるように全体を見ることができる推進法人にお願いしているので、推進法人と局が委員の皆様のご意見も聞きながらどうフォローアップできるか。あとは担当者会議や代表者会議で練っていく、こういう課題が出たときにどういう取組があるか、課題共有して検討も議論していく、既存の会議体を活用できるのでは。もう少しこうすればいいのに、というところまで意見をいただければと思う。 浮貝 推進法人のマネが18区に入っている意味はあるが、マネ1人はけっこう大変だと思う。運営法人の中に1名入る難しさはある。そこをサポートできる。やりにくさや課題をバックアップできるとより18区が統一されていく。 市 1人でいる大変さはあるが、ガイドラインにあるようにチームとしてどうやっていくか、チーム作りでバックアップしている。4月以降、担当職員が18区中11区変わった中で、どう制度を理解してチームをまとめるかのサポートもしないと現場が回らないので、担当職員と個別に話をしたり、同じ年数の職員を集めて話すなど推進法人でもやってきた。   コロナの中で制度理解の難しさもあり、スタッフが替わる中での難しさもあった。第三者からどう見えるかは貴重なご意見だと思う。市・推進法人と検証委員の皆様の協力あって 麦倉 担当職員の交代は? 市 退職、異動様々な状況で、たまたま当たり年。 坂田 チェックシートだが、2年に1回しか行かないのにチェックするのは難しい。推進法人からマネが1人だけ行って、というのは私も大変だと思うが、すごく大きな意味があると思うし、法人は独自の考え方があるので、そこを平均的な考え方にするには良いと思う。   担当職員の話があったが、サポーターさん始め、変わらないでほしいといつも思っている。 麦倉 前回もそのご意見があり、心配だと思うが、訪問した区では細かく記録がとられていて、異動はある程度仕方がないので、記録等で補充していくしかない。マネの負担も大きい。人員的にも足りないのではという感覚がしている。それぞれの区のやり方、独自性がありながらも共通して持っておかなくてはいけない。 麦倉 P18チェックシートが細かく作ってあるが、たとえば(2)後見的支援計画はどのくらい作成されているのか。100%なのか。現状の認識。   (1)は希望しない方にはマッチングしないということもあると思うので、マッチングしていないことが強調されて、本人が希望していないのに×になってしまうなど、細かく見ていくといろいろある。 事務局 (1)Bは意向確認しているか、ということができているかいないかのポイントになると思うので書き方の修正も検討したい。後見的支援計画は作られている前提、例外はあるかもしれないが。 野間 障害を分けないのはどうか、ということだが、本人に寄り添うにあたり、精神障害者は医療と密接、医療とは強いのでそこを破壊されてしまう。主治医をきちんと混ぜることが重要だと思うが、そうなると負担が大きい。そのあたりの悩みなどがすでにあがっているようであればうかがいたい。 市 主治医とのやりとりに関しては登録者や家族の希望が大きい。支援室側から情報を取りに行くというよりは受診同行やカンファレンスの場にうかがったときに顔を合わせて、支援室を知ってもらうところから。医療面にぐいぐいいけるような実態はあまりないが、親御さんが担っている部分をどう、本人を見守るチームとしてかかわっていけるか課題。考えなくてはいけない分野の一つだと思う。 野間 サポートする側と医療が敵対状態になる可能性、現実に起きているので、支援者が疲れ切ってしまう。そこが心配。強引な治療をしているところも多いので、当事者だけでなく支援者のサポート体制も整える必要がある。 麦倉 支援者側で情報共有しながら、支援者の支援の重要性がある。情報共有の仕組みは役に立つと思う。 浮貝 精神の方でGH入居、自アシが入っている方などは医療とも入っていけると思うが、そういった方でなく、後見的だけが関わっている方は、はっきりしていない、グレー。それをやると直接支援だろう、と。必要だからやりたい、でも直接支援にあたるのではないか。だから僕は具体的なマニュアルが示されていないと、支援室によってかなり差があると思っている。   人が変わってもつながる仕組みをつくっておかないと制度の良さが活かされないと思う。 細川 検証の仕組みを変更していく考え方は良いと思った。一つは、これまでは会議に参加してアンケートに答える、だったが、難しかった。これで制度を検証していくことが可能なのかと内心思っていた。チェックシートをつくるのは全体を検証するにはとても良い。   市が仕様書も見直したと言っていた。こういう考え方でこういう目標に向けて、と示されたと思うので、この事業を検証してさらに良いものにしていける。   運営法人にとってはかなりシビア、厳しさを感じる検証になると思う。市と推進法人がある程度フォローしていく必要がある。   チェックシートの中でちゃんと取り組んでいる、と二重丸がつく。計画を作成している、という評価と、このケースについて制度がフィットしているのか、という評価は難しいので、だが必要。やりとりができる仕組みがあると良い。 麦倉 自分も迷いながら記入をしていた。モニタリングの問題だと思う。計画を作っていれば◎、見直しもちゃんとした方向で行われているのか。プロセスも組み込む評価になっているので、全部カバーできるのか。 佐渡 作って終わりではなく、見直しもしているのが◎。ご本人に合っているのか、適しているのかは…。合っていない計画を立てても意味がないので、チームでどう立てているかは… 事務局 適したものかどうかまでを評価いただくのはむずかしい。計画の質や内容は感想意見の欄に書いていただき委員会で協議することを考えていた。 細川 検証委員会の中で検証していく 個々の計画については推進法人や市が研修の中でケーススタディをやるとか意見交換するなかで質を上げていくようなことを個別にやったほうがよい。精神の方に対する計画がこれでいいのか、ということはやる必要はない。 麦倉 私のほうが深読みしすぎて失礼した。 麦倉 精神に関して主治医と対立するような場合の医療場面に同行するような話があったが、権利擁護の観点から、直接支援はしない制度だと思うが、仕様書には? 事務局 そこまで具体的なものは含んでいない。これに関しては、どこまで後見的がやるのか、個別性が大きい。マニュアルを作るにもそこが大きいので好事例の共有とするか、今後検討したい。 麦倉 好事例なのか葛藤が伴う難しい事例なのか、共有になると思うので。 事務局 18区のあいだで協議しながら調整しながら解決する方法もあると思う。 麦倉 自己点検と外部検証、ここ2年やってきて、制度をつかっている当事者と話す機会が一度もなかった。気になっている。支援者を通してこういう状況です、と検証する仕組みにしかなっていなくて、一度も当事者と話す機会がないのが、外部検証の仕組みとして正しいのか、根本的な疑問。何らかの形で今後の課題として、当事者の方と検証のプロセスの中で話せる機会を入れていただきたいという要望がある。 野間 私は途中から委員を引き継いでいるので、てっきり当事者に合えると思っていた。私は当事者でもあるので、本人ニーズは本人からしか出てこない、もっと多くの声を拾い上げるという意味では、「うまく伝えられなかったんですが・・・」という声も拾う。その機会を設けてほしい。 坂田 いままで報告会をやっていたが、コロナになってからない。各区の報告会に参加すると登録者が来て話している。 麦倉 報告会の場に委員が出かけていくことができれば可能ということか。 佐渡 本人中心と言いながら、報告会もできていないし、本人の声を直接聞く機会を設けていないのはその通りなので、訪問時なのか別の機会なのか、ご意見いただいたことを取り込んでいきたい。 4 令和3年度障害者後見的支援制度説明会について (事務局より資料4の説明) 麦倉 1年前の委員会でも視覚からの周知が大事との意見もあったが。 事務局 字幕、音声付き、バリアフリーに対応した。 麦倉 ガイドラインのほうには各区でSNSの発信をする取組をしているとあったので、リンクを貼っていただきより周知を。 事務局 YouTubeに貼ることで全区共通で使えるようになると思う。 資料 資料1 横浜市障害者後見的支援制度の現況について 資料2 検証委員の現場訪問を踏まえた委員会の報告について 資料3 後見的支援制度に係る検証の仕組みの見直しと、次年度以降の「後見的支援制度検証委員会」について 資料4 令和3年度障害者後見的支援制度説明会のちらし