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ぐるっとSTORY(2022年冬号)

最終更新日 2023年1月4日

横浜市交通局の広報誌「ぐるっと」では、“おしごとSTATION”と題して、市営地下鉄やバスで働く人たちを紹介しています。
日常生活のなかではなかなか知る機会のない、市営交通の裏側にフォーカスした本連載。誌面に入り切らなかったインタビューをWEB限定記事としてお届けします! 今回は、新羽乗務管理所で、ブルーラインの指導運転士を務める村上好晴さんへのインタビューです。

指導運転士の仕事

横浜市営地下鉄は、2022年12月16日で開業50周年を迎えた。開業当時、ブルーラインの走行区間は、伊勢佐木長者町駅~上大岡駅まで。その後、横浜の発展とともに延伸し、現在はあざみ野~湘南台間の40.4kmを運行している。
地元が横浜だという指導運転士・村上さんも、幼い頃からよく市営交通を利用していた。
「小さい頃は母と何度も利用しました。今、自分がその地下鉄の運転士として働いているというのは感慨深いです」
ブルーラインの運転士は、出勤したらアルコールチェックや自身が担当する電車の時刻表に目を通すことから始まる。1日に運転する時間は、だいたい5時間〜5時間半になるように組まれているという。交代制のため連続して運転する時間は、短いときは30〜40分の場合もあるが、日によっては2時間以上運転し続けることも。集中力が必要な仕事だ。
「何よりもお客様に安全にご利用いただくためには、ドアを閉める前に一呼吸置くことや、お客さまに対して注意を促す放送をするなど、なにかが起こる前にできることもたくさんあるので、日々の業務を慎重に行うことを心がけています」


運転士交代の様子。互いに敬礼して列車を引き継ぐ

さらに指導運転士である村上さんは、通常の運転士と変わらない業務に加え、ほかの運転士に向けて、安全な運転を行うためのサポートも行っている。
「もちろん勤務態度も模範でなければならないため、気持ちが引き締まりますね。帽子についた銀色の帯が指導運転士の証です」
現在、市営地下鉄全体では約200名の運転士がいるが、指導運転士はそのうちの約20名程度。年に1度募集があり、立候補で審査が受けられる。条件は、運転士経験が3年以上、運転技術や接遇において周りの運転士の“模範”となること。その他、普段の勤務状況を総合的に判断されて指導運転士に任命される。

見習い運転士と師匠の関係

実は、村上さんは3年間介護職を経験したのちに、横浜市交通局に転職した。一緒に住んでいた祖母の介護をする母の姿を見ているうちに興味が湧き、介護の資格を取ったそうだ。しかし、幼い頃から好きだった鉄道への思いを諦められず、馴染みのある横浜市営交通の試験を受け、今にいたる。
「まずは1年間駅員を経験したのちに、運転士見習いとして3ヵ月、上永谷にある安全教育センターで座学の講習を受けました。その後、この新羽乗務管理所に配属されて6か月見習いとして実技教習を受け、試験に合格して動力車操縦者免許の交付を受けました。運転士になってから7年間、ずっとこちらで勤務しています」
ブルーラインの運転士は、各乗務管理所に配属されてから約半年間、指導員と呼ばれる“師匠”から指導を受ける。その後、国家試験を通過し、晴れて一人の運転士として勤務することになる。
村上さんも、これまでに一人、見習い運転士の指導をしたことがある。半年間は毎日行動をともにし、つきっきりで教えるそうだ。
「内容は、主に座学で学んだことと、実践のずれなどを修正していくようなイメージです。この半年間は、私自身の成長にもつながったし、なにより教えることの大変さを感じました。『わかりやすく伝えるためにはどうしたらいいだろう』ということをよく考えました」
現在、指導運転士を務める村上さんにとって、この期間はとても大切な時間だったとふりかえる。
今は、見習いだったころに指導を受けた師匠や、自分が指導をした後輩運転士と一緒に働いているという。


「教わった方と教えた方が近くにいて、常に気持ちが引き締まる」と話す村上さん

職員同士の助け合い


運転士になってから7年目を迎える今でも、突発的なアクシデントの対応は、やはり難しい。「お客さまが倒れたり、トラブルが起きたりしたときに、いかに冷静に対処できるかが大切です」と村上さん。なにかあったときはすぐに無線機で総合司令所と連絡をとり、時には駅係員も駆け付けてみんなで協力して対処する。
基本的に一人で行動することが多い運転士だが、ほかの職員との連携体制は常に整っている。また、市営地下鉄の運転士は「仲間意識が強い」という。
「例えば、ほかの職員が困っているときは、必ず助け合います。困っている人を放っておけないという、昔からの伝統のようなものがある気がしますね」

開業50周年を迎えたブルーラインについて、「これからも長く愛される市営地下鉄であるために、力を注ぎたいと思っています」と村上さん。
「運転していると、小さいお子さんが手をふってくれることもあるんです。モチベーションが上がりますし、そんな未来を担う子どもたちが、鉄道に興味をもつきっかけをつくっていけたらうれしいです」
お客さまと直接ふれあう運転士の仕事。市営地下鉄を利用するなかで、彼らのホスピタリティーをぜひ感じてほしい。

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