- 表紙 - 横浜市図書館ビジョン - 1頁 - はじめに  図書館は記録を保存し、それを次代が活用できるように伝えていく役割を担っています。これまで本という媒体を通じて、人々に知識・情報を届けてきました。1931年に、インドの図書館学者・数学者であるランガナタンは、図書館サービスについての五法則を提唱しています。  第一法則:Books are for use. 図書は利用するためのものである。第二法則:Every reader his or her book. いずれの人にもすべて、その人の本を。第三法則:Every book its reader. いずれの本にもすべて、その読者を。第四法則:Save the time of the reader. 読者の時間を節約せよ。第五法則:A library is a growing organism. 図書館は成長する有機体である。  そしていま、技術発展により、情報伝達のスピードが加速するとともに、伝達の媒体も、紙だけではなく電子メディアへ、そして文字・写真・動画など多様化してきています。また、情報は得るだけではなく、誰もが、創り、編集し、発信することもできるようになってきました。さらに、本との向き合い方も多様になってきています。読書だけではなく、得た知識を発信することで知識を定着させたり、知見を深めたり、そこから新たな交流やにぎわいが生まれたり。本から始まるつながりづくりを重視した向き合い方も出てきています。  図書館はこれらの人々が、知識・情報を得て活用する力、地域や世界の課題を解決していく力、明日を生きる力を育むことを支える施設です。  横浜市立図書館は1921(大正10)年に横浜公園内の仮閲覧所で開業してから、100年以上市民の皆様とともに歩んできました。「横浜市民の読書活動の推進に関する条例」(平成26年4月施行)をうけ、区役所・図書館・学校が連携して、子どもから大人まで市民の読書活動を推進してきました。図書館は、市民の読書と学びを支える地域の情報拠点として、蔵書の充実、図書取次所や移動図書館の充実、電子書籍サービスの導入などにも取り組んできました。  市民の皆様からは、図書館に、子どもたちの居場所づくり、子育て中の方へのサポート、地域とのつながりづくりなどの役割も期待されています。一方で、施設・設備の老朽化が進み、建替え等の検討時期を迎える図書館もあります。本の物流への対応や、収容スペースの確保などの課題もあります。  これまで横浜市立図書館が100年以上の歴史の中で積み上げたものも大切に、変化し続ける新たな時代に対応し、市民のみなさま、まちとともに新しい時代を創ることができる図書館であり続けるために、横浜市図書館ビジョンを策定します。 - 2頁 - 目次 「横浜市図書館ビジョン」の位置づけ  3頁 第 1 章 新たな図書館像、5つの基本方針・取組の方向性  4頁 第 2 章 新たな図書館像の実現に向けて  19頁 第 3 章 本ビジョン策定の過程  28頁 参考 資料編  42頁 - 3頁 - 「横浜市図書館ビジョン」の位置づけ  横浜市図書館ビジョンは、10〜20年後を見据え、中長期的な社会の変化を展望し、これからの図書館の「目指す姿」や「取組の方向性」を示すものとして策定しました。  策定にあたっては、図書館に関する個別の行政方針と位置づけ、市の中期計画、財政ビジョン、教育ビジョン、教育振興基本計画、横浜市民読書活動推進計画、他の方針、計画等と、関連する部分について整合性を図りながら一体的に推進していきます。 (イラスト。市の他の方針、計画等との整合を図る) - 4頁 - 第1章 新たな図書館像、5つの基本方針・取組の方向性 (イラスト。) - 5頁 - 新たな図書館像  これからの図書館は、読書を通じて「知る・学ぶ・深める」ことができるのはもちろん、未来を担う子どもたちや子育て世代をはじめとしたすべての市民一人ひとりにとって、居心地よく自由に過ごすことができる、多様な人々の「つどう・憩う」場になります。  図書館は、読書に加えて、触ったり、聞いたりと様々な感覚で「遊ぶ・体験する」ことができ、様々な知や人、文化に出会え「まちとつながり・交流」できる、“わくわく”を見つけられる場になります。さらに、子育てや暮らしをより豊かなものにするために、市民の皆様や地域の団体、企業の方たちがアイデアを出し合い、 「連携・協働」して解決方法や、新しい”わくわく”を創り出せる、子どもから大人まで、みんなが主役になれる場となっていきます。  市民の皆様一人ひとりが自分らしく活躍できる社会、そして社会とともに変わり続けられる図書館を創っていきます。 - 6頁 - (イラスト。新たな図書館像のイメージ図) - 7頁 - 5つの基本方針・取組の方向性 (イラスト。) - 8頁 - 新たな図書館像の5つの基本方針 図書館の基本的な役割を「特にどのような方向に拡充・強化していくのか」を示すものとして、これからの図書館のあり方について5つの基本方針を定めました。 なお、基本方針4、5は、サービスを支える仕組みに関する方針です。 基本方針1 未来を担う子どもたちのための図書館 多様な知や人・文化との出会いや体験を通して、子どもたちの「知りたい」「創りたい」を引き出すわくわくする場となり、「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る」子どもたちを育むとともに、子育て支援施設や学校など地域とのつながりのなかで、子育てを支援します ※「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る」:「横浜教育ビジョン2030」(平成30年2月策定)の、横浜の教育が目指す人づくり より 基本方針2 あらゆる市民のための図書館 読む・知る・体験することのバリアを取り除き、あらゆる世代・多様なニーズを包摂(インクルージョン)する、読書と体験ができる居心地のよい居場所となることで、人々がつどい、様々なつながりと新たな発想を生み出す、交流・創造・発信の拠点となります 基本方針3 まちとコミュニティのための図書館 市民、団体、企業等が持つ情報・知識を集め、協働・共創により地域の魅力を引き出し、人々の暮らしの豊かさと地域の課題解決を支援する、まちづくりのプラットフォームになります 基本方針4 利用しやすい図書館サービス デジタル技術を活用した情報とサービスへのアクセスの充実、使いやすく居心地のよい環境づくりに向けた施設の機能拡充とサービス拠点の充実を進め、リアルでもバーチャル空間でも、情報とサービスにアクセスしやすい環境をつくります 基本方針5 柔軟に変化し魅力がいつまでも持続する図書館 多種多様なパートナーとの協働・共創や司書の人材育成、効率的・効果的なサービス提供とツールの充実により変化に柔軟に対応し、一人ひとりの心豊かな暮らしと主体的に活動する地域づくりに貢献する、魅力あふれる図書館であり続けます - 9頁 - 基本方針1 未来を担う子どもたちのための図書館  多様な知や人・文化との出会いや体験を通して、子どもたちの「知りたい」「創りたい」を引き出すわくわくする場となり、「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る」※子どもたちを育むとともに、子育て支援施設や学校など地域とのつながりのなかで、子育てを支援します ※「横浜教育ビジョン2030」(平成30年2月策定)の横浜の教育が目指す人づくり より 取組の方向性 (1)子どもたちの世界を広げるきっかけをつくります 子どもの本や子育ての本を充実します 一人でもグループでも安心して過ごせる環境を整えます 触ったり聞いたりと様々な感覚で楽しめる体験や遊びを提供します 知識と体験をつなぎ、「知りたい」「創りたい」気持ちを引き出し、それに応えます (2)子どもを連れて何度でも行きたくなる環境・施設を整えます 子どものにぎやかな声や活動のざわめきと、静かさが共存できる空間をつくります くつろいで過ごすことができ、子どもを見守れる空間をつくります イベントや子育てサポートサービスを充実します 積極的に伝えるプッシュ型の情報発信を行います (3)子育て支援施設や学校、地域とのつながりのなかで子ども・子育て世代をサポートします 子育て世代のニーズを捉えサービスを提供します 同じ世代や、他世代との交流の機会をつくります 子どもの関連施設や地域と積極的に つながり、子どもや子育てをサポートします 学校図書館とともに子どもたちの読書と学びを支えます *「子ども」とは概ね高校生までの子どもたちを想定しています。 - 10頁 - 基本方針1 未来を担う子どもたちのための図書館 これからの図書館(イメージ) 子育て応援サイトを見て、子どもと一緒に見るだけでなく体感できるイベントに参加。子どもから大人まで、多様な世代が参加するイベントがあり、そこで交流が生まれている。イベントに参加した子どもたちが出したアイデアをもとに、子どもと大人が一緒に次のイベントを企画する。また、イベント会場には、関連した子ども向けの本が展示され、子どもは自分で本を選んでいる。子どもは、選んだ本を持って、子どもエリアで靴を脱ぎ、くつろいで本を読んでいる。その様子を、保護者である私は、自分の本を選びながら、ゆったりと見守ることができる。遊びや託児スペースもあり、子どもたちの声が聞こえてくる。学齢期の子どもたちは、グループで話し合いながら学びを深めたり、一人で調べものをしながら学びを進めたり、それぞれが自分のペースで過ごしている。 (イラスト。) 取組・機能のアイデア (注)現時点のアイデアです。アイデアは社会の変化に合わせて更新し、組み合わせながら図書館の機能の充実を目指します。 ソフト面(サービス・ 機能など) ・子育て応援サイト・アプリと連携した情報発信 ・託児・見守りスタッフの導入 ・見るだけでなく、体感でき、様々な感覚を刺激するイベント ・子どもたちが企画し自分自身も参加できる展示やイベント ・多様な世代が交流する機会の創出 ・子どもの本の充実と興味がわくような本の展示 ・市の子育て事業と連携した相談会等 ・静寂とにぎやかさなど、多様な過ごし方ができる雰囲気づくり ・乳幼児向け絵本セットの提供 ・多言語や手話でのおはなし会 ・不登校の子どもたちが、勉強や読書がしやすいような居場所づくり ・学校図書館支援及び学校との連携事業 ・本の貸出等による学校への授業支援 ・学校の課外活動や委員会活動と連携した、地域での体験・交流につながる取組 ハード面(設備など) ・靴を脱いでくつろいで過ごせるような子どもスペース拡充 ・自由な姿勢で本が読めるビーズソファなどの設置 ・ゆったりと見守ることのできる見通しのきく空間の整備 ・スペースに応じた遊び場や託児場所の設置 ・子どもトイレなど子どもが使いやすい設備の設置 ・ゾーニングの実施(時間的・空間的ゾーニング導入) ・体験型スタジオ等の導入(音楽、ダンス、料理、工作、動画制作等) ・10代のためのスペースの設置 - 11頁 - 基本方針2 あらゆる市民のための図書館  読む・知る・体験することのバリアを取り除き、あらゆる世代・多様なニーズを包摂(インクルージョン)する、読書と体験ができる居心地のよい居場所となることで、人々がつどい、様々なつながりと新たな発想を生み出す、交流・創造・発信の拠点となります (イラスト。) 取組の方向性 (1)あらゆる人が知識・情報にアクセスできるようにします 読書バリアフリーの実現に向けて、資料やサービスを充実します 本に親しみ、深く知るきっかけをつくるため、幅広い本を収集し、蔵書を充実します 人と本・情報をつなぎます (2)居心地のよい、居場所となります 年齢、障害の有無、国籍等に関わらず、どなたでも利用しやすいインクルーシブな環境をつくります 一人でも、グループでも、行きたくなる・滞在したくなる、 豊かな空間づくりを進めます 思い思いに自由な時間を過ごせる、寛容性が高い環境づくりを進めます 多様な活動をゆるやかにつなげ、行き来できるようゾーニングします (3)体験・交流・創造・発信の拠点になります 多様な体験や創造的な活動が行われる場になります 読書と体験や活動をつなぎ、知識を実践したり、深めたりできる環境をつくります バリアを取り除きながら、様々な人々が出会い、体験し、交流、協働する場となるための仕組みづくりを進めます 新たな知識・価値を創造し、発信する機会をつくります - 12頁 - 基本方針2 あらゆる市民のための図書館 これからの図書館(イメージ) 図書館では、大きな字の本、多言語や点字の本、音声読み上げ対応の電子書籍など、自分に合った使いやすい媒体が選べる。様々な媒体の案内や、情報を探す支援も行われ、静かな空間で読書や研究に没頭できる。図書館は施設までのアクセスも施設の中もバリアフリーで、多様な人々が集まる。交流を促し、開放的で、気軽につどえる空間がある。そこでは人々がアイデアを持ち寄り、意見交換をするワークショップが開かれ、新たな知識・価値が創造される。ワークショップ参加者が講師となる講座が開かれ、知識・価値が発信される。 (イラスト。) 取組・機能のアイデア (注)現時点のアイデアです。アイデアは社会の変化に合わせて更新し、組み合わせながら図書館の機能の充実を目指します。 ソフト面(サービス・ 機能など) ・使いやすい媒体を選べるよう、音声読み上げ対応などのアクセシブルな資料や電子書籍等を充実 ・バリアフリー図書や読書支援ツールの充実 ・市民が必要とする情報探索の支援 ・本を介した交流を生み出す企画 ・市民がアイデアを持ち寄り、意見交換をするワークショップ ・市民が講師・指導者となる講座 ・市民との協働による多様なニーズに応えるプログラムと情報発信 ・多言語や手話のおはなし会 ・蔵書の充実と蔵書を活かした企画の実施 ・外国につながる市民への本・情報の提供 ・得た知識を体験できるプログラム(音楽、料理、実験、観察、工作、まちあるきほか) ハード面(設備など) ・読書や研究に没頭できる静寂室 ・誰もが、行きやすい、使いやすい施設に向けたバリアフリー化 ・車いす等が行き来しやすい広い通路 ・交流を促す開放的な空間設計 ・気軽に交流できる空間の整備 ・空間のゆとりなど、居心地のよさを感じられる閲覧スペース ・壁や仕切りが少なく活動の様子が見える空間設計 ・閲覧席や学習席の増設 ・グループで話し合える利用席 ・感覚過敏の方も使えるような静寂室 ・施設設備に応じた座席の予約システムの導入 ・ゾーニングの実施(時間的・空間的ゾーニング導入)(再掲) - 13頁 - 基本方針3 まちとコミュニティのための図書館  市民、団体、企業等が持つ情報・知識を集め、協働・共創により地域の魅力を引き出し、人々の暮らしの豊かさと地域の課題解決を支援する、まちづくりのプラットフォームになります (イラスト。) 取組の方向性 (1)地域の魅力に出会える、まちづくりのプラットフォームになります 地域の特性に応じた、特色ある図書館にします 図書館を訪れる人が地域の魅力を知り、まちとつながる拠点になります 集まった人々の交流と、にぎわいを生み出します 協働・共創を進め、地域の情報を発信する場になります (2)地域・まちの知識・情報を集め、アーカイブし、次世代につなげます 市民、団体、企業等が持つ多様な知識・情報を集めます 本だけでなく、まちの文化や記憶等の情報も集めます 資料をデジタル化し、活用しやすく公開します 文化や歴史などまちの魅力を発信し、愛着を育みます (3)地域や社会の課題解決を支援します 地域について学び、地域の課題を知ります 地域の課題に応じた新たなサービスをまちとともに創ります 新たに生まれた知識・価値を地域に届けます - 14頁 - 基本方針3 まちとコミュニティのための図書館 これからの図書館(イメージ) 本だけなく、まちの文化や写真、映像なども収集され、デジタル化が進んでいる。図書館では、まちの魅力に出会え、交流や議論ができる共創ラボがある。そこでは、まちの人々や地域、企業が連携・協働して、まちの魅力発信のアイデアが交換される。 アイデアをもとに、新たに地域の文化や歴史を学ぶ事ができる資料が制作され、新たなサービスが創られる。フリースペースでは、学生や団体、地域の芸術家と連携した地域資料の発信プロジェクトなどがリアルとオンラインで実施され、にぎわいを生み出している。 (イラスト。) 取組・機能のアイデア (注)現時点のアイデアです。アイデアは社会の変化に合わせて更新し、組み合わせながら図書館の機能の充実を目指します。 ソフト面(サービス・ 機能など) ・本だけでなく、まちの文化や写真、映像などの収集 ・収集した地域資料のデジタル化と公開 ・誰でも自由に利用できるようデジタルアーカイブのオープンデータ化 ・市民、団体、企業等と連携・協働したまちの魅力発見イベント ・まちの魅力発信、課題解決に向けたアイデアの交換と新たなサービスの創出 ・地域を学ぶことのできる資料の制作をサポート ・学生や団体等と連携・協働した地域資料の発信プロジェクトの実施 ・地域のアーティストと連携したワークショップや作品展示 ・地域のビジターセンターとして利用いただけるよう、生活情報リーフレットや観光案内マップの配架(多言語対応) ハード面(設備など) ・まちの魅力に出会えるスペースの設置 ・周囲の方の存在や活動を感じられる共創・協働スペースの設置 ・交流や、議論ができる共創ラボ、ラーニングコモンズ※スペース等の配置 ・オンライン会議やライブ配信も可能な設備 ・イベント等が可能なフリースペースの設置 ・まちと融合し相互に価値を高められる立地や建築意匠 ・体験型スタジオ等の導入(音楽、ダンス、料理、工作、動画制作等)(再掲) ・屋外の閲覧席(バルコニーなど)の設置 ・飲食できる場所と軽食等の提供 ※ラーニングコモンズ:複数の学生が集まって、電子情報も印刷物も含めた様々な情報資源から得られる情報を用いて議論を進めていく学習スタイルを可能にする「場」を提供するもの。その際、コンピュータ設備や印刷物を提供するだけでなく、それらを使った学生の自学自習を支援する図書館職員によるサービスも提供する。(文部科学省「大学図書館の整備について(審議のまとめ)」(平成22年)用語解説より) - 15頁 - 基本方針4 利用しやすい図書館サービス  デジタル技術を活用した情報とサービスへのアクセスの充実、使いやすく居心地のよい環境づくりに向けた施設の機能拡充とサービス拠点の充実を進め、リアルでもバーチャル空間でも、情報とサービスにアクセスしやすい環境をつくります (イラスト。) 取組の方向性 (1)取組の方向性デジタル技術を活用し、いつでもどこでも利用できる図書館サービスを提供します 電子書籍・デジタルアーカイブを拡充します 手続きやレファレンスのオンライン活用を進めます オンラインで本との出会いや利用者の交流を生み出します (2)図書館機能の拡張と、利便性の高い場所での図書館サービスの提供の両立を目指します 施設・設備の老朽化の状況を踏まえて再整備等を進めます 各図書館の立地、地域特性等を踏まえて機能を拡張します ニーズの変化に柔軟・迅速に対応できる、機能拡張性のある施設整備を進めます 利便性の高い場所に図書取次所を拡充します (3)積極的に情報発信を行います SNS等の多様な情報ツールを活用した情報発信で、図書館との接点を増やします 図書館外に出向き、対面でも図書館や本の魅力を伝えます 図書館を使ったことのない市民にも届くよう、施設や団体等と協力して発信します - 16頁 - 基本方針4 利用しやすい図書館サービス これからの図書館(イメージ) デジタル化が進み、誰もが使いやすい仕組みが構築され、いつでもどこでも本や情報にアクセスできる。WEB上の利用者同士が交流できる仕組みを活用し、WEB空間でも多様な世代の市民・地域・企業との協働により、新たな知識や情報が創造され、発信されている。リアルな図書館は、修繕や改修、地域や施設の状況に応じて再整備が行われ、多くの方が訪れる魅力的な施設となっている。新しくできた体験スペースで、得た知識を実践・定着できる。図書館は、本や情報へのアクセスと、市民の「知りたい」を支えている。 (イラスト。) 取組・機能のアイデア (注)現時点のアイデアです。アイデアは社会の変化に合わせて更新し、組み合わせながら図書館の機能の充実を目指します。 ソフト面(サービス・ 機能など) ・電子書籍、デジタルアーカイブ等のデジタルコンテンツの拡充 ・館内でのタブレット端末の貸出 ・オンラインでの図書館サービス提供、手続きの拡充、デジタルを活用した手続きの簡素化 ・利用者同士がWEB上で交流できる仕組みの活用 ・施設や団体との情報発信の相互協力 ・SNS等を活用し話題や共感を呼ぶ情報発信 ・本の郵送貸出の実施 ・学校、地区センター等への本の選定に役立つ情報の提供や研修の実施 ・移動図書館の地域イベントへの参加 ハード面(設備など) ・地域や施設の状況に応じた再整備(リノベーション、増築、建替え、移転) ・計画的な修繕・改修 ・誰もが、行きやすい、使いやすい施設に向けたバリアフリー化(再掲) ・まちのシンボルとなり入ってみたくなる魅力的な施設 ・交通結節点等への移転 ・入りたくなるエントランス ・複合化による機能の拡充 ・フレキシブルに使える施設整備 ・ゆとりある施設 ・交通結節点や商業施設等への図書取次所の増設 ・移動図書館の巡回場所の最適化 - 17頁 - 基本方針5 柔軟に変化し魅力がいつまでも持続する図書館  多種多様なパートナーとの協働・共創や司書の人材育成、効率的・効果的なサービス提供とツールの充実により変化に柔軟に対応し、一人ひとりの心豊かな暮らしと主体的に活動する地域づくりに貢献する、魅力あふれる図書館であり続けます (イラスト。) 取組の方向性 (1)地域で活動する多様な主体と連携、協働・共創します 様々なノウハウを有する、市民、団体、企業等と協働、共創を進めます まちとのつながりのなかで、持続的に 地域課題の解決を支援します 効果的なサービス 提供に向け、大学や研究機関等と連携し研究・開発に取り組みます (2)変化し続ける図書館を支えるため、市の強みである司書を育てて活かします 常に新たな図書館の魅力づくりにチャレンジする司書を育成します 本・情報に関する専門性を高めます 本・情報を活用した交流・協働・共創を進める能力を高めます 変化に応じて、必要となる能力を身に付けます (3)効率的・効果的なサービス提供とツールの充実を進めます 新たな機能やデジタルツールなどの技術を使いサービスを拡充します 図書館サービスを支える施設機能の向上に取り組みます 省エネ・創エネにより、建物で消費するエネルギーの収支ゼロを目指します(ZEB※化) 財源の創出に積極的に取り組みます ※ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称 - 18頁 - 基本方針5 柔軟に変化し魅力がいつまでも持続する図書館 これからの図書館(イメージ) 市民の意見を踏まえ、団体・企業との協働・共創により、それぞれのスキルを発揮したプログラム運営がされている。ICタグなどのデジタルインフラ、生成AI、AIチャット ボットなどにより、利用者の利便性が向上している。 最新技術を利用した業務の効率化が進み、司書は専門性を発揮しつつ、協働・共創を推進している。図書館は変化し続け、市民一人ひとりが主役のまちづくりを実現している。 (イラスト。) 取組・機能のアイデア (注)現時点のアイデアです。アイデアは社会の変化に合わせて更新し、組み合わせながら図書館の機能の充実を目指します。 ソフト面(サービス・ 機能など) ・市民との懇談の場の拡充 ・市民の意見を踏まえ、協働・共創によるそれぞれのスキルを発揮したプログラム運営 ・社会の変化に応じて協働・共創の取組を推進できる司書の人材育成 ・先駆的な取組の積極的導入 ・職員のチャレンジを支える組織 ・生成AIをはじめとするデジタル活用等について、大学、研究機関の研究・開発への参加 ・AIチャットボットなど、デジタル技術の導入による24時間問合せ受付 ・貸出・返却のセルフ化 ・セルフでの予約本受取 ・ふるさと納税、広告事業等の積極的活用 ハード面(設備など) ・交流や、議論ができる共創ラボ、ラーニングコモンズ※スペース等の配置(再掲) ・利便性向上と効率的な運営に向けた、ICタグなどデジタルインフラの導入 ・将来の変化に対応できる壁や仕切りの少ない空間設計 ・本の収容能力の向上 ・本の物流を支える施設機能の向上 ※ラーニングコモンズ:複数の学生が集まって、電子情報も印刷物も含めた様々な情報資源から得られる情報を用いて議論を進めていく学習スタイルを可能にする「場」を提供するもの。その際、コンピュータ設備や印刷物を提供するだけでなく、それらを使った学生の自学自習を支援する図書館職員によるサービスも提供する。(文部科学省「大学図書館の整備について(審議のまとめ)」(平成22年)用語解説より) - 19頁 - 第2章 新たな図書館像の実現に向けて (イラスト。) - 20頁 - 1.コレクション、レファレンスの充実  図書館には、すべての人が知識や情報を得ることができる権利を保障する、大切な役割があります。これからも、この役割は変わることはありません。世界には多種多様で大量の知識や情報が存在します。生成AIなど新たな技術が誕生する時代のなか、これらの技術を使い、情報を主体的に選び、創造できるメディア情報リテラシー※が大切です。図書館は、それら膨大な知識や情報への入口であり案内役となります。  また新たな図書館像の実現に向けて、今後は体験・遊び、交流等の機会を増やしていきます。そこから生まれる興味や、好奇心、主体的な学びを支えるためにも、コレクション(図書館が提供する蔵書・情報)を充実させます。 ※メディア情報リテラシー:UNESCOにより提唱された、メディアリテラシーと情報リテラシーを統合した概念であり、ニュースリテラシーやデジタルリテラシーなど他の様々な関連するリテラシーの概念を包含する。個人的、職業的、社会的な活動に参加し従事するために、批判的、倫理的、そして効果的な方法で、市民が、さまざまな道具を使いながら、あらゆるフォーマットの情報やメディアコンテンツを共有するだけではなく創造することができ、アクセスし、探索し、理解し、評価し、活用することができるようになるための一連の能力を表す。(「令和4年版情報通信白書」(総務省)より) (1)コレクション ・中央図書館・地域図書館それぞれが、地域の特性を踏まえた特色あるコレクションを持ち、市立図書館全体として、幅広くバランスの良い蔵書を構築するとともに、活字だけでない多様な情報の収集にも取り組みます。 ・コレクションの構築にあたっては、いつでもどこでも本にアクセスできる電子書籍の普及状況、インターネットで得られる情報などの社会動向を踏まえながら、紙とデジタル、様々な情報媒体との最適なバランスを考慮します。 (2)レファレンス ・司書は、本や様々な情報を市民の皆様につなぎ案内するとともに、地域の知・文化のコーディネーターとして人とまちと図書館をつなぎます (3)保存環境 ・市立図書館の収容能力が限界に近付いていますが、未来の市民や地域に、情報・知識・文化を届けるため、地域資料を含む蔵書の適切な保存環境を検討します。 (イラスト。) - 21頁 - 2.図書館の施設整備の考え方  横浜市立図書館は、施設・設備の老朽化が進んでおり、建替えの検討を始める時期を迎える図書館もあります。  新たな図書館像の実現にあたっては、財政ビジョンで示すファシリティマネジメント※の考え方と財政負担を考慮し、1区1館を基本としながら、機能の拡張とアクセシビリティの向上の両立、脱炭素社会の実現を目指し、施設整備等を進めていきます。現地での建替えやリノベーションを基本としつつ、より利便性の高い主要駅周辺等への移転などにより、アクセス性の向上や、機能拡張に必要な空間を確保します。 ※財政ビジョンで示すファシリティマネジメント:「横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン」に掲げた資産経営アクションの取組。都市経営の観点から、本市が保有する土地・建物等の「資産の戦略的利活用による価値の最大化」と「公共施設が提供する機能・サービスの持続的な維持・向上」の2つの視点から、保有のあり方・維持管理・利活用の最適化を図る考え方 (1)機能拡張 「新たな図書館像の5つの基本方針」を軸として、各図書館の立地、地域特性等を踏まえ、機能を拡張します。 (2)立地 現地での建替えやリノベーションを基本としつつ、市街地再開発などの動向を捉え、より利便性の高い主要駅周辺や、より魅力的な空間形成が図られる場所への移転などにより、アクセス性の向上や、機能拡張に必要な空間を確保します。 (3)規模 集客圏の広さなど、立地場所が持つ地域特性などを考慮し、より幅広い利用が期待できる場所で整備する場合には、想定される圏域・利用人口を勘案した規模とします。 (イラスト。現地での整備の図、主要駅周辺や市街地再開発事業との一体整備の図) - 22頁 - 3.新たな機能・機能拡充に伴う空間づくりの考え方 (1)子どもや子育て世代が利用しやすい環境づくり   子育て世代の方からは、子どもが遊べ、にぎやかな声を出すこともでき、食事もとれるスペースへの高いニーズがあります。  未来を担うすべての子どもたちが、幼い時から図書館で読書を楽しめるように、子どももその保護者もくつろいで過ごせるインクルーシブな環境づくりを進めます。また子どもが安心して過ごせ、地域とのつながりも感じられる空間づくりを進めます。施設の充実により、図書館は、「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」※づくりを支えます。 ※自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人:「横浜教育ビジョン2030」(平成30年2月策定)の、横浜の教育が目指す人づくり より ・子ども・子育て世代が来館しやすく、利用しやすい、インクルーシブな施設・設備の整備を行います。 ・安全・安心・清潔な環境整備を進めます。 ・子どもたちが声を出せる、くつろいで過ごせる空間づくりを進めます。 ・気軽に図書館に来られるよう、子どもたちの遊びや学びの場を整備します。 ・空間の整備とともに、スペースや地域性に応じて見守りなどのスタッフを配置します。 ■環境づくりのアイデア 子どものための環境 靴を脱いで過ごせるスペース 子どもの遊び場 安全・清潔な空間 子ども用トイレ 子育て世代のための環境 安心して子どもを連れて来られる見守りやすいスペース 子どもが声を出せる環境 飲食が可能なスペース 一時預かりスペース - 23頁 - 3.新たな機能・機能拡充に伴う空間づくりの考え方 (2)居心地のよい空間づくり   現在の市立図書館は、来館した方に本の閲覧・貸出を行うことを中心に考えて施設・設備を整備しています。しかし、特に地域図書館では閲覧席が少ないなど、図書館に滞在し、じっくり読書や学びに向き合うことが難しい状況があります。  これからの図書館では、子ども・子育て世代、高齢者の方、障害のある方など、多様な利用者のニーズに応えられる、滞在したくなる、居心地のよい空間づくりを進め、図書館で過ごす中で様々な活動に触れられ、参加を後押しできる場となります。そのために必要な、くつろぎや体験・実践、交流・にぎわいの空間など、地域性と施設規模に応じた諸室を配置します。 ・各館の修繕・改修、リニューアル、増築、移転などの機を捉え、地域性を踏まえて必要なスペースや諸室を配置し、一人あたりの面積を拡大します。 ・諸室の配置にあたっては、社会や市民ニーズの変化に柔軟に対応できるよう、仕切りが少ないなど、機能拡張性をもつ施設の整備を進めます。 ・子ども・子育て世代、高齢者の方、障害のある方など、多様な利用者のニーズに応えられるよう、再整備にあたっては、利用者が必要としている環境を考慮し、施設内の時間的・空間的ゾーニング、スペース及び設備の配置などを進めます。 (イラスト。多様な過ごし方が共存できる空間づくりのイメージ図) 仕切りの無い自由度の高いスペースとゆるやかなゾーニングの間に 〈交流・にぎわい・複数人数〉 遊び 読み聞かせ グループ学習 〈くつろぎ〉 様々な体験・実践 飲食・談話 資料閲覧 〈静寂・集中・一人〉 学習・思索 調査研究 - 24頁 - 3.新たな機能・機能拡充に伴う空間づくりの考え方 (3)体験・交流の場づくり   得た知識・情報は、体験、実践することによって、実感を伴うものとして理解を深めることができます。初めてのことであっても、試行錯誤を繰り返すことにより、自分自身の知識・技術として蓄えることもできます。体験のなかで、まだ、答えがない問いと出会ったときにも、調べたり、他者と交流し互いに知恵を出し合うことで、解決策を生み出したり、さらに新たな知識を生み出したりすることもできます。  これからの図書館は、これまでの本の貸出と情報を届ける従来のサービスに加え、体験と実践、交流の機会を充実させていきます。 ・読書で得た知識を、体験につなぎ、参加者同士で共有し、深めあうことができるようなスペースや備品を備えます。 ・設置するスペースは地域特性等と施設規模の状況を踏まえて配置します。 ・知識や経験が豊富な方を講師に招いた企画を実施します。 ・市の事業や、まちの多様な団体や機関とつなぐなど、様々なアプローチで参加者の興味や好奇心に応えます。 【表 活動例別の必要スペースと備品例】 分類 体験・実践 活動例 ものづくり(美術・工芸など) スペース例 クラフトスタジオ 備品例 工具、ミシン、3Dプリンター、印刷機、コピー機 活動例 料理 スペース例 キッチン 備品例 調理器具 活動例 演奏 スペース例 防音スタジオ 備品例 アンプ、楽器 活動例 華道・茶道 スペース例 和室 備品例(記載なし) 活動例 ダンス・演劇 スペース例 スタジオ 備品例 音響設備 活動例 動画制作 スペース例 スタジオ 備品例 スクリーン、プロジェクター、動画編集機材 分類 交流 活動例 討議・発表 スペース例 グループ学習室、会議室(ガラスウォールなどを用いた活動の様子が見えるスペース) 備品例 スクリーン、プロジェクター - 25頁 - 4.図書館外のサービスポイント設置の考え方  図書館サービスへのアクセスを向上させるため、図書館以外で本を借りたり返したりできるサービスポイントを拡充します。  また、電子書籍の導入状況や本の配送増加への対応等も考慮しながら、サービス空白地の地区センターなどでも設置を進め、図書館サービス全体の充実と利便性を向上させます。     あわせて、本市には、地区センターなど本を読んだり、借りたりできる施設が多くあります。図書館はこれらの施設と連携し市民の皆様が身近な場所で読書に親しめるように支援します。 (1)図書取次所 ・図書館サービスへのアクセスを向上するため、交通結節点や集客力の高い商業施設等に図書取次所の設置を進めます。 ・交通結節点や商業施設等での設置を基本とし、サービス空白地かつ多くの利用が見込める地域にある地区センター等の身近な公共施設等においても設置を進めます。 (2)移動図書館 ・図書館や図書取次所の配置を念頭に置きながら、効果的なサービスの実施を進めます。 ■図書館・サービスポイントの配置(令和5年度)(地図) - 26頁 - 5.効率的・効果的なサービス提供とツールの充実/デジタル技術の活用によるサービスの最大化  図書館の機能拡充に伴い、職員が担う役割も多様化していきます。加えて、横浜市では人口が令和3(2021)年にピークを迎え、今後本格的な人口減少社会に突入する見込みであり、様々な場面で担い手不足が生ずる懸念があります※。デジタル技術の活用によりサービスを向上させるとともに、定型的な業務の効率化を図り、司書が専門性を活かした利用者サービスにさらに注力できるよう検討します。 ※「横浜市中期計画2022〜2025」より <取組の例> ICタグの導入 ・ICタグは、市民の利便性向上や窓口・物流業務の効率化の観点から、非常に有益なツールであり、他都市の図書館でも導入が進んでいます。例えば、貸出・返却のセルフサービス化、予約本の受け取りのセルフ化・対応時間の延長、自動化による人的コスト削減、不正持出防止が可能となります。 ・ICタグの導入により、複合施設内では、施設内のどこででも図書館の本を自由に持ち歩けるようになります。施設の機能融合の実現のためにも、ICタグの導入が有効です。 ・本市の蔵書は400万冊以上あり、導入時の金銭的・人的な負担が大きいと想定されることから、詳細な調査を行い、効率的かつスムーズな導入が求められます。 <取組の例> AIチャットボットやロボットの導入 ・問合せへの対応としてAIチャットボットやロボットの導入が想定されます。 ・返却された本を書棚まで運搬するロボットなども、海外の図書館で導入されています。 (写真 ICタグを活用した自動貸出機(小田原市立図書館)) (イラスト。) - 27頁 - 6.多様な主体との協働・共創  横浜市にはたくさんの団体、組織、企業等があり、地域で活動する市民の方がいます。これらの数多くのプレイヤー(主体)の存在が横浜市の大きな強みであり特徴です。共創によって様々な取組を推進するとき、市立図書館は、様々な人と情報をつなげるコーディネーターとなります。市立図書館は様々な主体と手を取り合って、社会や市民ニーズの変化に応じた知識・情報サービスを創り提供する、開かれた図書館となります。  市立図書館が社会の変化に柔軟に対応し、進化し続けるために、司書は地域に出向いて、ニーズや知見を学び、図書館運営や、新たなサービスに反映させるとともに、コーディネーターとして、人とまちと図書館をつなぎます。多様な主体との協働・共創により、数多くのパートナーシップを構築します。 (表 連携の対象と取組例) 連携の対象 市民 取組例 日常的に市民と対話しニーズや関心を捉えた図書館運営 市民とともに取り組む、図書館サービスの開発・提供 連携の対象 地域の団体・NPO 取組例 団体等の活動内容を集め図書館で提供 団体等と連携した様々なサービスの開発・提供 図書館と団体等との連携による地域課題解決に向けた活動の実施 連携の対象 大学・研究機関 取組例 大学や研究機関が有する専門的な知見をもとにした、図書館サービスにおける助言・協働や研究・学習プログラムの共同開発 連携の対象 民間企業 取組例 民間企業等との共創による、多様な体験の場の提供 連携の対象 子育て支援施設・学校 取組例 市の子育て事業と連携した取組 学校の課外活動や委員会活動と連携した、地域での体験・交流につながる取組 連携の対象 そのほか 取組例 新たなパートナーとのつながりづくり (イラスト。 横浜市立図書館と様々な主体との関係図) - 28頁 - 第3章 本ビジョン策定の過程 - 29頁 - 概要 市民の皆様や有識者のご意見を伺いながら、本ビジョン(原案)を策定しました。 令和4年度 調査・検討開始庁内(教育委員会事務局・政策局)で、調査・検討を開始 〇市民アンケート ・ ヨコハマeアンケート(1,335人) ・ 子育て世代向けアンケート(2,233人) ・ 団体利用者・ボランティア向けアンケート(405人) 〇有識者意見聴取 〇先行事例調査 令和5年度 令和5年5月 策定予定について報告 第2回市会定例会で策定予定について報告 〇市民ワークショップ(6〜7月) 〇有識者意見聴取 9月 基本的な方向性を公表 第3回市会定例会で基本的な方向性を報告  12月 素案の公表 第4回市会定例会で素案を報告 〇市民意見募集(12月14日〜1月21日)(273通の意見提出) 〇有識者意見聴取 令和6年 2月 原案の公表 第1回市会定例会で原案を報告 (イラスト。) - 30頁 - 市民アンケート〜実施概要  図書館の利用実態や市民ニーズを把握するため、全3回の市民アンケートを実施しました。約3,900人の方に回答をいただきました。結果は市ホームページをご覧ください。 【表 アンケートの種類と実施概要】 ヨコハマeアンケート 実施期間 令和4年11月11日(金曜日)〜11月25日(金曜日) 回答者数 1,335人 対象 市内在住・在勤・在学の15歳以上の事前登録したメンバー 団体利用者・ボランティ向けアンケート 実施期間 令和4年12月15日(木曜日)〜令和5年1月15日(日曜日) 回答者数 405人 対象 図書館の利用登録をしている団体・グループ、図書館で活動しているボランティア 子育て世代向けアンケート 実施期間 令和5年1月4日(水曜日)〜1月31日(火曜日) 回答者数 2,233人 対象 未就学児の保護者 【表 各アンケートにおける年代別構成比】 種別 eアンケート 10代 1人(0.1%) 20代 15人(1.1%) 30代 78人(5.8%) 40代 238人(17.8%) 50代 384人(28.8%) 60代 339人25.4% 70以上 280人(21.0%) 計 1,335人(100.0%) 種別 団体・ボランティア 10代 0人(0.0%) 20代 13人(3.2%) 30代 28人(6.9%) 40代 76人(18.8%) 50代 80人(19.8%) 60代 120人(29.6%) 70以上 87人(21.5%) 計 405人※(100.0%) ※405人:年代無回答の方1人を含む 種別 子育て 10代 3人(0.1%) 20代 109人(4.9%) 30代 1,378人(61.7%) 40代 707人(31.7%) 50代 29人(1.3%) 60代 5人(0.2%) 70以上 2人(0.1%) 計 2,233人(100.0%) 市民アンケート〜結果概要 (1)主な質問項目と回答 質問項目 より魅力的な図書館にするために必要な環境・設備 種別 ヨコハマeアンケート ・静かに調べものや読書ができる環境(70.4%) ・地域の情報を知ることができるコーナー(31.6%) 種別 団体利用者・ボランティア向けアンケート ・静かに調べものや読書ができる環境(57.0%) ・高齢者、障害者が利用しやすい設備や機器(36.3%) 種別 子育て世代向けアンケート ・子どもから大人まで談話しながら利用できる環境(64.8%) ・子どもが遊べるスペース(66.2%) 質問項目 より魅力的な図書館にするために必要なサービス・機能 種別 ヨコハマeアンケート ・所蔵資料(図書・雑誌・新聞)の充実(63.6%) ・身近な場所で本の貸出・返却ができるサービスの充実(50.1%) 種別 団体利用者・ボランティア向けアンケート ・所蔵資料(図書・雑誌・新聞)の充実(64.0%) ・身近な場所で本の貸出・返却ができるサービスの充実(50.9%) 種別 子育て世代向けアンケート ・身近な場所での本の貸出・返却ができるサービスの充実(66.6%) ・子育て支援サービス(子育て相談・託児サービスなど)(39.3%) - 31頁 - 市民アンケート〜結果概要 (2) 子育て世代向けアンケートの図書館利用者・未利用者の分析 ■利用者・未利用者(未利用者:1年に一度も図書館を利用しなかったと回答した人)の比較 Q 最寄りの図書館、取次所、移動図書館のステーションまでの所要時間 【利用者】85%以上の人が30分以内と回答している。 15分以内 42.8% 16〜30分 42.3% 31〜45分 9.5% 45〜60分 2.7% 61分以上 0.5% わからない 2.1% 【未利用者】30分以内の人は44%。 15分以内 16.4% 16〜30分 27.9% 31〜45分 18.4% 45〜60分 4.5% 61分以上 2.0% わからない 30.8% ■未利用者(未利用者:1年に一度も図書館を利用しなかったと回答した人)の分析 Q 回答者の読書習慣 紙の本や雑誌を読む 43.0% 電子書籍を読む 9.2% 両方読む 36.1% どちらも読まない 11.7% Q 子どもの読書習慣 ほぼ毎日 47.4% 週に3〜4回 21.8% 時々読む程度 15.1% 週に1回程度 11.3% ほとんど読まない 4.0% わからない 0.3% Q 最寄りの図書館等までの交通手段(複数回答) 自転車・徒歩が多いが、公共交通機関、自家用車を使用する割合も高い 電車・バスなどの公共交通機関 33.9% 自家用車・自動二輪車 23.6% 自転車・徒歩 38.5% 家族による送迎 3.6% その他 0.4% - 32頁 - 市民ワークショップ〜実施概要  各地域で市民ワークショップを実施し、本ビジョン策定に向けて、横浜市の図書館の未来について語り合いました。  「行ってみたくなる図書館」「子育てと図書館」「まちの魅力づくりと図書館」の3つのテーマに分かれてグループディスカッションを行いました。 ■目的 多様な人々が集まり、ありたい「横浜市の新たな図書館」の姿を、ともに学び、ともに考え、ともにつくる。 ■対象 横浜市内在住・在勤・在学の方(中学生以上) ■概要 第1回 開催日 令和5年6月11日(日曜日) 場所 ウィリング横浜(港南区) 参加者数 33人 第2回 開催日 令和5年6月18日(日曜日) 場所 都筑区役所(都筑区) 参加者数 35人 第3回 開催日 令和5年6月24日(土曜日) 場所 神奈川公会堂(神奈川区) 参加者数 34人 第4回 開催日 令和5年7月1日(土曜日) 場所 二俣川地域ケアプラザ(旭区) 参加者数 32人 計 134人 ■参加者年代別内訳 参加者数 10代 12人 20代 7人 30代 18人 40代 26人 50代 27人 60代 27人 70代以上 17人 計 134人 (写真。ワークショップの様子 4枚) - 33頁 - 市民ワークショップ〜結果概要 当日の発表から共通する事柄等をまとめました。蔵書充実など本を借りることを前提とし、更なる機能の充実について多くの話し合いがされていました。 テーマ1 行ってみたくなる図書館 居場所としての図書館 ・気軽に行けるアクセスの良さ ・行く目的となる魅力的な空間や居心地の良い場 ・不登校の子どもや障害者の方、誰にとっても安全で安心して過ごせる場所 学ぶことができる図書館 ・専門的な知識の学び ・答えのない問いやこれまでにない視点からはじまる新しい学びの展開 ・市民の知識や経験のシェア ・デジタル化による利便性向上 交流することができる図書館 ・交流スペースと静寂なスペースが共存するゾーニングの工夫 ・ブックトーク等本を介した交流イベントや、料理教室、コンサート等、本や読書にとらわれない多様なイベントや設備 ・様々なアイデアを交換し合う場 テーマ2 子育てと図書館 安心して子どもを連れていける場所 ・清潔、安全、安心 ・声を出しても大丈夫、注意書きが少ないなど子どもや保護者を許容する空間 ・多様な子育て環境に対応した、利用しやすい立地・時間の図書館 ・公園の近くなど一日過ごせる環境 親子で楽しめるサービス・イベント ・おはなし会等本を介したイベント ・子どもと実社会がつながる学びの機会やイベントや専門家・企業とのマッチング ・親や家族にとっても図書館を利用しやすくなるサポート 子育て・子育ちにいい資料・メディア ・実物に触れたり、体験できる場 ・本と体験が相互に連携した取組 ・子どもが一人で探しやすい配架や検索システム テーマ3 まちの魅力づくりと図書館 まちの魅力づくりと図書館 ・建築的にも魅力的な図書館 ・他の公共施設等の連携による身近で、かつ地域性のある図書館 ・障害のある方や一人暮らしの高齢者の方等、支援が必要な人へのサポート 地域資源と図書館 ・横浜で活動する様々な人や団体そのものが重要な地域の資源 ・本や人、情報、活動をつなぐ司書 ・図書館運営に関わる市民の存在 つながりづくりと図書館 ・インプットも、アウトプットもできる場 ・共通の趣味や目的での学習会やコミュニティ活動 ・子育てや仕事を通じて生まれ、広がるつながり ・多世代、インクルーシブ、さらに大学、企業、団体との交流の場であり学びを社会還元できる - 34頁 - 有識者の意見聴取 本ビジョンの策定にあたり様々な分野の有識者に意見をお聞きし参考としました。 学識経験者(図書館情報学) 吉田 右子 氏(筑波大学図書館情報メディア系 教授) 桑原 芳哉 氏(尚絅大学現代文化学部 教授) 小泉 公乃 氏(筑波大学図書館情報メディア系 准教授) 学識経験者(コミュニティ政策) 石井 大一朗 氏(宇都宮大学地域デザイン科学部 准教授) 開館立ち上げ・組織経営 豊田 高広 氏(フルライトスペース株式会社) 空間設計(建築・まちづくり) 牛込 具之 氏(株式会社佐藤総合計画) 子育て支援実務経験者 東田 信子 氏(神奈川区地域子育て支援拠点かなーちえサテライト 現場責任者) 鳴神 美穂子 氏(西区地域子育て支援拠点スマイル・ポート 施設長) 横田 美和子 氏(南区地域子育て支援拠点はぐはぐの樹 施設長) 島 美奈子 氏(青葉区地域子育て支援拠点ラフール 施設長) コミュニティ形成実務経験者 大塚 朋子 氏(認定特定非営利法人こまちぷらす ウェルカムベビープロジェクト・こよりどうカフェ マネージャー) 細井 綾 氏(認定特定非営利法人こまちぷらす ウェルカムベビープロジェクト サブマネージャー) - 35頁 - 有識者の意見聴取〜調査・検討での主なご意見 1 図書館のあり方 主なご意見 ・図書館は、みんなが知っていて、理由なく気軽に入れる公共施設 ・本・読書を核とし、知識と情報・メディアへのアクセスを保障する場 ・文化の継承や社会貢献、リテラシーも重要 ・図書館を新設する場合、賑やかで会話ができる北欧型の図書館が志向される ・共創(人と出会い、共につくる)をベースにした、社会とかかわる場/創造の場 2 機能 主なご意見 ・異なる機能が図書館にあることで、担当者間の連携促進や相互送客の効果を見込める ・子育て支援に加え、幅広い視点から若者へのサポートが見える形が望ましい ・将来を見据え、今後主流となる電子的資源の提供(電子書籍や電子化した地域資料の公開等)や電子的サービス(AI、デジタルレファレンス、オンラインプログラム等)を積極的に展開することが望まれる 3 施設(ハード) 主なご意見 ・中央図書館に行けない利用者に対して、図書館に親しんでもらうために分館の役割は非常に重要 ・ハード面の整備については、図書館の数を増やせばよいということではなく、利便性の向上に資する整備を進めることが大切 ・まちのアイコンになるためにデザインも重要 4 空間 主なご意見 ・図書館空間の最大の特徴は間仕切りのないオープンな「ワンルーム空間」。 活動の連鎖、経験の連続性により、読書や体験、サービスが豊かになる ・複合から融合へ。図書館を媒体とし各機能が空間的・機能的に有機的に繋がっていく ・環境配慮。ZEB※。グリーンインフラとしての図書館 ※ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称 5 効率化 主なご意見 ・欧米では、デジタルなど新しい技術の導入や物流等のバックオフィスの効率化により、市民のためのサービス提供に注力している ・デジタル化を踏まえて、アウトソーシングの枠組を見直しても良いのでは ・地元企業と連携し、図書館業務のDX化を推進できるのでは。実証実験に取り組んではどうか 6 交流・コミュニティ形成 主なご意見 ・図書館は、誰もが行って何でも語っていい、呟けるという場所であり、それは市民自らがデザインする、主体形成に寄与する場所になりやすい ・地縁のない人の増加、未婚化の進展を想定すると、図書館が、子どもを持たない人たち、結婚を選択しない人たちと地域とのハブとなることもできる ・参加と協働を生み出すコーディネーター人材が必要 ・図書館は、コミュニティが自然に育まれていく環境をつくる。触媒的な役割を図書館員が担う ・図書館が、利用者と対等であり一緒に場を作っていくイメージを持つことが重要 7 居心地の良さ・居場所 主なご意見 ・子育てをしていて、気分転換したいときに過ごせるような、居心地の良い空間が図書館にできると良い ・静かに過ごしたい方、小さいお子さんがいるなど静かに過ごすことが難しい方が交わり、それぞれが安心して過ごせることが大切である ・スタッフとの会話や利用者同士の会話を促すためにも、掲示物等はできる限り減らす 8 子育て支援 主なご意見 ・図書館は静かにしなければいけない雰囲気があり、行きづらいと感じる方もいる。子どもと一緒に居やすい、周囲の温かい眼差しと寛容な雰囲気が重要。ハードにもそれが表れているとよい ・図書館の子育て支援は、図書館ならではの絵本があるからできる役割を担ってほしい ・ベビーカーで利用できることは基本。子育て世代に向けた設備も大切 ・子どもから話しかけやすい環境にしてほしい、わからないことがあったら聞ける、あるいは司書などに本を読んでほしい、解説してほしい、などの要望が言いやすい - 36頁 - 有識者の意見聴取〜素案への主なご意見 1 ビジョン全体・新たな図書館像 主なご意見 ・21世紀の公共図書館に必要となる要素が十分に含まれている。 ・図書館の基本的な機能・役割は重視しつつ、非常に幅広い内容で完成度が高い。 ・親しみやすい。あまり役所の計画らしくない感じで、とてもよい。市民に伝わりやすい言葉で表されている。 ・図書館が他の機能と連携しようとする場合は、他の機能に対して何を提供できるのか、他の機能が図書館に何を提供できるのか検討することが重要。 ・新しい図書館をつくる中で創出された新たな価値やコミュニティというものが、再度図書館に蓄積され、再価値化されるような成長軸を示してもよい。 ・様々な事情で学ぶ体験、学ぶ機会に制限がある方もいらっしゃる中で、図書館は生涯学び続ける場として、とても大切な場になっていく。 2 基本方針1 主なご意見 ・近年の子どもたちの不登校に関する状況も踏まえ、そういった側面でも図書館は非常に重要な場所になってくる。 ・読書は21世紀においても、大事なことである。 ・子どもたち自身が図書館運営の担い手になったりすることや、子どもに関わる取組をしている他の主体と連携して取り組めると良い。 ・遊びや体験、まちとつながり交流しながら読書などをすることにより、読書・遊び・つながり、それぞれの質を向上させることができる。 ・保護者はイベント等に一緒に参加するが、子ども自身が好きなものを見つけられるようなゆっくりした時間が持てていない面がある。図書館だからできる、次に続く学びの機会が得られるものなども含めて構成されると良い。 3 基本方針2 主なご意見 ・子どもの貧困や低所得者層の方はスマートフォンやタブレットPC等を購入できない場合もあるため、社会的包摂という視点からあらゆる市民が新しいデジタルメディアを活用できる機会の創出について、記述したほうが良い。 ・社会全体で教育を支援していく中で、市民の学習を支えられるのは図書館である。 4 基本方針3 主なご意見 ・地域課題の掘り起こしや支援だけではなく、各地域の特性や課題に配慮した図書館のあり方を検討することが重要である。 ・しゃべりあいながら議論するラーニングコモンズという場は、学習や対話のあり方として重視すべき観点である。 ・地域と関わるきっかけとして、図書館に関わりを持つこと、ボランティアをすることで、自分が社会の一員であるという認識が高まるような場であると良い。 5 基本方針4 主なご意見 ・移動図書館に市民が利用できるWi-Fiを搭載できれば、社会的包摂、災害時の利用といった面で有効である。 ・読書会のような取組では、対面コミュニケーションをインターネットでもできるようにするなどハイブリットでの活用も考えられる。 6 基本方針5 主なご意見 ・横浜市にはさまざまな施設や団体があるため、司書はそれらをつなぐ役割が特に重要である。 ・図書館のリソースには財源だけではなく、場や人、情報・資料などがある。どのように市民とリソースをシェアしていくか考えていくことが重要である。 ・図書館の活動を通じてどのような質・量の社会関係資本が生み出されたかについても評価していくことが必要なのではないか。 - 37頁 - 有識者の意見聴取〜素案への主なご意見 7 第2章-1 主なご意見 ・「蔵書」は図書だけなので、「コレクション」という言葉を使った方が良いのではないか。 ・蔵書やレファレンスの充実に加え、メディア情報リテラシーが21世紀においては重要になっていくと考える。 ・子どもや子育てという観点からも、紙の本があることに価値があると考える。 8 第2章-2 主なご意見 ・まずは設備の改修や耐震性の確認など、安全にすることが第一。その後、什器や書架の更新などを工夫し、新たな機能を向上させる方法もある。 9 第2章ー3 主なご意見 ・全て靴を脱ぐスペースにするのではなく、ベビーカーに乗せたまま子どもと過ごせるスペースも必要である。 ・ゾーニングにおいて、効果的にスペースを活用する手立てとして、時間や目的に応じてさまざまな使い方をする「空間の重ね使い」を積極的にしていくとよい。 ・学習室、会議室等は、ガラスウォールを用いる等、活動の様子が外から見えることが非常に重要である。 10 第2章ー4 主なご意見 ・サービスポイントの整備について、交通結節点への再整備という選択肢も提示されていることは大いに意義がある。 11 第2章-5 主なご意見 ・ICタグを利用した自動貸出機は、新しい図書館であれば当たり前に導入されている。10〜20年後を見据えた新しいツールというのであれば、ロボットの活用なども考えられる。 12 第2章ー6 主なご意見 ・司書は情報を集めて、ここにこんな人がいる、ここでこんなことやっているというのを取りまとめてつないでいくことが重要な役割になる。 ・変化の激しい時代であることを踏まえると、組織・施設の役割分担というより、他の組織・施設と重複しても良いから様々なサービスを実施していく必要がある。 ・デジタルアーキビストとして専門化が進みつつあるようにも感じるが、司書がスキルとして備えていることが望ましい。 ・スタッフだけで何とかするのではなく、一緒にどう作っていくかを考えていくことが大切。 ・利用者との日々の関わりを言語化して、振り返ることを繰り返すなかで、スタッフに組織のビジョンが根付いていく。 ・常にそこに関わっている人達だけではなく、関わりが薄い人達にもアプローチしていくことは、視野を広げる上で大切。 - 38頁 - 市民意見募集実施概要 本ビジョンの策定にあたり、令和5年12月に公表した素案の内容について、市民意見募集を実施しました。 いただいたご意見は原案策定の参考としたほか、今後の事業や取組の参考にさせていただきます。 なお、いただいたご意見は本ビジョンのホームページに掲載しています。 【URL】 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/kyoiku/plankoho/plan/libvision.html 1 実施期間  令和5年12月14日(木曜日)〜令和6年1月21日(日曜日)  2 意見提出方法  ・横浜市電子申請・届出システム  ・電子メール  ・郵送  ・FAX 3 周知方法 (1) 素案(概要版)の配布   市立図書館・図書取次所、区役所、市民情報センター、 地区センター、地域ケアプラザ、地域子育て支援拠点、 行政サービスコーナー (2) 広報手段   記者発表、広報よこはま(令和6年1月号)、 横浜市教育委員会ホームページ、X(旧Twitter)、 市立図書館メール登録者への一斉メール等 - 39頁 - 市民意見募集〜結果概要 1 意見提出状況 273通、637件のご意見が寄せられました。 投稿手段・年代別内訳 電子申請 10代 0件 20代 1件 30代 17件 40代 17件 50代 36件 60代 24件 70代 18件 80代以上 1件 不明・団体 0件 合計114通 メール 10代 0件 20代 0件 30代 3件 40代 3件 50代 4件 60代 6件 70代 10件 80代以上 3件 不明・団体 10件 合計39通 郵送・手渡し 10代 54件 20代 0件 30代 0件 40代 0件 50代 0件 60代 1件 70代 2件 80代以上 1件 不明・団体 6件 合計64通 FAX 10代 0件 20代 0件 30代 0件 40代 2件 50代 4件 60代 8件 70代 31件 80代以上 10件 不明・団体 17件 合計56通 年代別内訳 10代 54件 20代 1件 30代 20件 40代 22件 50代 44件 60代 39件 70代 61件 80代以上 15件 不明・団体 17件 合計273通 住居地別内訳 市内 253通 市外 7通 未回答 13通 合計273通 2 項目別意見数 ビジョン全体 意見数88件 はじめに、位置づけ 意見数5件 第1章 新たな図書館像・基本方針(全体) 意見数49件 基本方針1 意見数60件 基本方針2 意見数34件 基本方針3 意見数24件 基本方針4 意見数60件 基本方針5 意見数34件 第2章 新たな図書館像の実現に向けて(全体) 意見数20件 取組1 蔵書・レファレンス 意見数60件 取組2 施設整備 意見数72件 取組3 空間づくり 意見59件 取組4 サービスポイント 意見数30件 取組5 ツールの充実/サービスの最大化 意見数12件 取組6 協働・共創 意見数12件 第3章、第4章 意見数6件 その他 意見数12件 合計637件 3 ご意見への対応状況 修正(ご意見の趣旨を踏まえ、原案に反映したもの) 意見数38件 全体割合6.0% 包含・賛同(ご意見の趣旨が既に素案に含まれるもの又は素案に賛同いただいたもの) 意見数73件 全体割合11.5% 参考(今後の取組等の参考とさせていただいたもの) 意見数519件 全体割合81.5% その他(本ビジョンに関連しない意見・要望等) 意見数7件 全体割合1.1% - 40頁 - 市民意見募集〜結果概要 4 いただいたご意見の例 図書館数の増 ご意見の例…図書館が少ない、1区1館を見直してほしい等 84件 本・蔵書の充実 ご意見の例…本が少ない、予約しても順番がなかなかまわってこない等 66件 学校図書館への支援の強化 ご意見の例…学校図書館への支援強化(学校向け本・セット数の充実、本の運搬)等 53件 サービスポイントの充実 ご意見の例…図書取次所・駅前等への返却ボックスの設置等 48件 ビジョンへの期待 ご意見の例…図書館が単に本を借りる場所だけではなく多様なスペースがあると行ってみたい、図書館は大好きで大切な場所なのでこのように市民の意見を聞いてくれることをうれしく思う等 41件 市民利用施設等との連携 ご意見の例…地区センタ−・コミュニティハウス等の図書取次所や分室としての活用等 34件 施設 ご意見の例…建物が古い、狭い、閲覧席が少ない、勉強できるところが欲しい等 33件 人材育成・配置 ご意見の例…人材育成が重要、多様なスキルを持った職員等の配置(多言語、デジタル、コーディネーターなど)等 16件 協働・共創 ご意見の例…市民の声を反映した図書館運営、民間による運営・委託への反対等 9件 芹が谷中学校(港南区)、釜利谷中学校(金沢区)、境木中学校(戸塚区)の図書委員の皆様が、ビジョンについてご意見をお寄せくださいました  ・本がたくさんある、参考書、マンガやゲーム(攻略本やゲームもできる)がある、音楽が聴ける ・閲覧席がない、勉強できるところが欲しい ・どうしたら皆がまた来てくれるかを、考えてくれていると感じた ・デジタルとリアルで本や情報を支えるところがいいと思う ・少子高齢化も進んでいるので高齢者も使いやすいようにする ・車いすの人も簡単に通れるように(通路の)幅を広くする ・読書をきっかけに、交流の輪が広がる図書館がいいと思う ・スペースを決めて話せる、声を出せる、のほうが良い ・理想がてんこ盛りでイマイチ現実味がなくて信じられないが、外国では既に取り入れられていると聞いて、10〜20年後、自分達が大人になった頃には実現できているかもと思った <行きたくなる・使いたくなる図書館へのアイデア> 【スペースについて】  くつろげる空間、グループで話していい、一人ひとりが使う仕切られた空間、飲食できる、屋外で本を読める、ビーズクッション・ハンモックがある等 【イベントについて】  来た人または応募した人が1ページずつ物語を書いて、1冊の本にするなどの参加型イベント、大人でも子どもでも参加できるイベント等 (写真。図書館ビジョンについて考える中学生の様子 3枚) - 41頁 - 各種基礎調査 本ビジョンの策定にあたり以下の項目について基礎的な調査を行い、参考としました。 横浜市の特色及び関連計画の精査 調査事項 市の関連計画の整理 市の社会動向の整理 市民利用施設の図書コーナーの状況 図書館を取り巻く環境 調査事項 国の図書館行政の動向 他都市の図書館行政の動向 図書館の役割の変化 将来の社会動向の整理 電子書籍の現況と今後の可能性 先進事例調査 調査事項 まちの賑わい創出、子育て支援や市民の活動・交流に貢献する図書館 未利用者への訴求(アウトリーチサービス含む) 業務効率化につながる取組 ICタグ導入による職員配置や運用変更の傾向 再整備のコンセプト、取組の方向性や複合施設の傾向 複数の図書館を有する他都市における管理運営手法と各館の役割の傾向 環境共生型の図書館 市立図書館の現状・課題・問題点 調査事項 横浜市立図書館の概況 施設規模の調査 市民アンケートの結果から見える課題整理 蔵書の特徴 運営体制の把握 管理運営手法 施設整備を伴う事業手法 財源の創出 司書に期待される役割と人材育成 各拠点の配置 業務量・物流量の今後の動向 - 42頁 - 参考 資料編 - 43頁 - 横浜市の関連計画の概要  横浜市中期計画では、共にめざす都市像を「明日をひらく都市」とし、「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を基本戦略として掲げています。本ビジョンもこの基本戦略に沿ったものとして、子育てや次世代を強く意識しています。  公共施設の保全・運営の適正化、規模の効率化が目指されている中、図書館についても他の施設との複合化が求められています。社会教育施設である図書館と他の施設の複合化にあたっては、地域での交流や社会参加を促進する環境づくりに加えて、市民の学びの環境の充実、子育て世代をはじめとした市民の居心地のよい場づくりが期待されています。また、図書館と、区役所や地区センター、コミュニティハウス等の市民利用施設との連携によって、地域における読書活動の推進を目指しています。  市として公民連携を推進する方針が示される中、今後連携対象は地域団体、企業等にも拡大していくことが考えられます。  デジタル技術の活用推進による手続のオンライン化や情報アクセスの向上が更に求められています。また、図書取次所や移動図書館の充実による身近な場所での図書館サービスの提供といった物理的な利便性の向上も進めます。 種別 市の方針等 方針・計画等の名称 横浜市中期計画2022〜2025(令和4年12月策定) 横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン(令和4年6月策定) 行政運営の基本方針(令和5年1月策定) 横浜DX戦略(令和4年9月策定) 横浜市公共施設等総合管理計画(令和4年12月策定) 種別 教育に関する方針・計画 横浜教育ビジョン2030(平成30年2月策定) 第4期横浜市教育振興基本計画(令和5年2月策定) 第32期横浜市社会教育委員会議提言(令和2年11月策定) 種別 読書活動・図書館等に関する方針・計画等 第二次横浜市民読書活動推進計画(令和元年12月策定) 司書職人材育成計画(改訂版)(令和元年5月改訂) 横浜市立図書館資料収集方針(平成元年3月策定) 横浜市立図書館資料収集基準(令和4年4月一部改正) 第33期横浜市社会教育委員会議提言(令和5年2月策定) - 44頁 - 横浜市の財政状況  歳入総額は減少するのに対し、歳出総額は増加することが予測されています。税収のほとんどは個人市民税・固定資産税が占めており、個人市民税は2027年度をピークに、2065年までに年度平均約14〜15億円ずつ減少、法人市民税・固定資産税は微減していくことが予想されています。  図書館の整備及び運営において、費用対効果の高い取組が必要です。 ■歳入・歳出総額長期推計 【グラフ 歳入総額の長期推計】 【グラフ 歳出総額の長期推計】 ■税収の長期推計 【グラフ 主な税目区別の長期推計(中位推計)】 【図 対前年度増減額推計】 出所:横浜市の長期財政推計 - 45頁 - 横浜市の人口動態  人口総数のピークは令和3年(2021年)で既に過ぎており、人口減少が進むことが予想されます。令和5(2023)年に実施した「横浜市の将来人口推計」では、2040年時点の人口は361.7万人と推計しています。  23区以外の東京都の自治体への転出のほか、湘南地区、県央地区、相模原市への転出が目立ちます。特に、県内の転出が近年増加傾向にあります。  川崎市、相模原市、藤沢市は人口が増加しており、図書館のあり方を検討する際も、横浜市の都市としての魅力向上にどのように貢献できるか検討する必要があります。 【グラフ 出所:横浜市統計情報ポータル「令和4年中の人口動態と令和5年1月1日現在の年齢別人口」、「横浜市人口ニュース」】 - 46頁 - 区ごとの状況  人口構成、人口動態において区ごとに地域差が見られます。特に、都心に近い北部の地域と、南部・西部の地域で差が見られ、北部では人口が増加しているのに対し、南部では人口減少・高齢化の傾向にあります。  区ごとに抱えている課題や可能性は異なるため、地域の特性や課題に応じた図書館サービスを開発し提供することが望ましいと考えます。 ■各区の人口とその構成(表) 出所:横浜市統計情報ポータル「令和4年中の人口動態と令和5年1月1日現在の年齢別人口」 、「外国人人口 令和5年1月」 ■各区の人口動態(グラフ) 出所:横浜市統計情報ポータル「令和4年中の人口動態と令和5年1月1日現在の年齢別人口」 - 47頁 - 横浜市立図書館一覧 [統計数値は、令和5年3月31日現在または令和4年度年間の数値] 中央図書館 所在地 〒220-0032 西区老松町 1 建物構造 鉄骨鉄筋コンクリート造 地下3階地上5階 延床面積 21834.36u 築年数※1 29年 竣工年月日 1994/1/31 開館年数 29年 図書館資料 図書 1,759,747冊 定期刊行物 1,489種 貸出利用者数※2 294,386人 貸出冊数※2 914,895冊 入館者数 830,402人 年間開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 公共駐車場:110台(有料)、身障者用2台 鶴見図書館 所在地 〒230-0051 鶴見区鶴見中央 2-10-7 建物構造 鉄筋コンクリート造 地下1階地上3階(図書館部分2・3階、地下) 延床面積 1510.45u 築年数※1 43年 竣工年月日 1979/12/1 開館年数 43年 図書館資料 図書 108,692冊 定期刊行物 84種 貸出利用者数※2 116,079人 貸出冊数※2 389,366冊 入館者数  234,949 人 開館日数 342日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 鶴見保育園 駐車場:なし 神奈川図書館 所在地 〒221-0063 神奈川区立町 20-1 建物構造 鉄筋コンクリート造 地下1階地上2階(図書館部分1階) 延床面積 1502.32u 築年数※1 36年 竣工年月日 1987/4/1 開館年数 35年 図書館資料 図書 118,782冊 定期刊行物 83種 貸出利用者数※2 148,259人 貸出冊数※2 562,172 入館者数 302,578人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 老人福祉センター「うらしま荘」 駐車場:施設全体で21台、身障者用1台 中図書館 所在地 〒231-0821 中区本牧原 16-1 建物構造 鉄筋コンクリート造2階 延床面積 1506.48u 築年数※1 33年 竣工年月日 1989/4/15 開館年数 33年 図書館資料 図書 112,381冊 定期刊行物 131種 貸出利用者数※2 83,654人 貸出冊数※2 276,464冊 入館者数 229,567人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 本牧地区センター、知的障害者の通所施設「オリブ工房」 駐車場:施設全体で身障者用2台 南図書館 所在地 〒232-0067 南区弘明寺町 265-1 建物構造 鉄筋コンクリート造4階(図書館部分2・3階) 延床面積 1790.34u 築年数※1 30年 竣工年月日 1992/9/30 開館年数 30年 図書館資料 図書 105,465冊 定期刊行物 112種 貸出利用者数※2 124,593人 貸出冊数※2 367,369冊 入館者数 277,599人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 弘明寺公園プール、自転車駐輪場 駐車場:施設全体で身障者用1台 港南図書館 所在地 〒234-0056 港南区野庭町 125 建物構造 鉄筋コンクリート造2階 延床面積 1503.36u 築年数※1 36年 竣工年月日 1986/11/14 開館年数 36年 図書館資料 図書 114,705冊 定期刊行物 100種 貸出利用者数※2 114,517人 貸出冊数※2 373,058冊 入館者数 177,157人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 駐車場:身障者用1台 保土ケ谷図書館 所在地 〒240-0006 保土ケ谷区星川 1-2-1 建物構造 鉄筋コンクリート造3階(図書館部分2・3階) 延床面積 2477.02u 築年数※1 41年 竣工年月日 1982/3/1 開館年数 40年 図書館資料 図書 164,412冊 定期刊行物 96冊 貸出利用者数※2 145,306人 貸出冊数※2 457,887冊 入館者数 306,813人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 保土ケ谷公会堂 駐車場:施設全体で5台、身障者用1台 旭図書館 所在地 〒241-0005 旭区白根 4-6-2 建物構造 鉄筋コンクリート造2階 延床面積 1507.80u 築年数※1 37年 竣工年月日 1986/1/25 開館年数 36年 図書館資料 図書 120,246冊 定期刊行物 82種 貸出利用者数※2 105,175人 貸出冊数※2 375,541冊 入館者数 222,929人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 公共駐車場:39台(有料)、身障者用2台 磯子図書館 所在地 〒235-0016 磯子区磯子 3-5-1 建物構造 鉄骨鉄筋コンクリート造 地下3階地上7階(図書館部分地下1階) 延床面積 2891.66u 築年数※1 23年 竣工年月日 1999/10/29 開館年数 48年 図書館資料 図書 152,571冊 定期刊行物 115種 貸出利用者数※2 145,511人 貸出冊数※2 469,201冊 入館者数 322,059人 開館日数  343 日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 磯子区役所、磯子公会堂 区庁舎駐車場:施設全体で135台(有料)、身障者用2台 金沢図書館 所在地 〒236-0021 金沢区泥亀 2-14-5 建物構造 鉄筋コンクリート造 地下1階地上2階(図書館部分1・2階) 延床面積 2121.25u 築年数※1 43年 竣工年月日 1980/3/31 開館年数 42年 図書館資料 図書 149,917冊 定期刊行物 94種 貸出利用者数※2 157,686人 貸出冊数※2 501,392冊 入館者数 353,810人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 金沢地区センター 駐車場:施設全体で16台、身障者用1台 港北図書館 所在地 〒222-0011 港北区菊名 6-18-10 建物構造 鉄筋コンクリート造3階(図書館部分1・2階) 延床面積 2372.05u 築年数※1 61年 竣工年月日 1961/11/30 開館年数 42年 図書館資料 図書 173,164 冊 定期刊行物 129種 貸出利用者数※2 212,281人 貸出冊数※2 695,908冊 入館者数 432,279人 開館日数 343日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 菊名地区センター 駐車場:施設全体で身障者用1台 緑図書館 所在地 〒226-0025 緑区十日市場町 825-1 建物構造 鉄筋コンクリート造 地下1階地上3階(図書館部分1階、地下) 延床面積 1987.38u 築年数※1 28年 竣工年月日 1995/3/31 開館年数 27年 図書館資料 図書 114,595冊 定期刊行物 93種 貸出利用者数※2 164,390人 貸出冊数※2 553,463冊 入館者数 345,611人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 老人福祉センター「緑ほのぼの荘」、十日市場地域ケアプラザ 駐車場:施設全体で8台、身障者用1台 山内図書館 所在地 〒225-0011 青葉区あざみ野 2-3-2 建物構造 鉄筋コンクリート造3階(図書館部分2階) 延床面積 2147.22u 築年数※1 46年 竣工年月日 1976/12/25 開館年数 45年 図書館資料 図書 192,004冊 定期刊行物 122種 貸出利用者数※2 211,772人 貸出冊数 680,449冊 入館者数※2 440,252人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 山内地区センター 駐車場:施設全体で12台、身障者用1台 都筑図書館 所在地 〒224-0032 都筑区茅ケ崎中央 32-1 建物構造 鉄筋コンクリート造 地下1階地上6階(図書館部分1階) 延床面積 2396.42u 築年数※1 28年 竣工年月日 1995/3/31 開館年数 27年 図書館資料 図書 163,210冊 定期刊行物 150種 貸出利用者数※2 299,596人 貸出冊数※2 1,014,166冊 入館者数 751,116人 開館日数 343日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 都筑区役所、都筑公会堂 区庁舎駐車場:施設全体で159台(有料)、身障者用5台 戸塚図書館 所在地 〒244-0003 戸塚区戸塚町 127 建物構造 鉄筋コンクリート造 地下1階地上3階(図書館部分1・2階、地下) 延床面積 3386.00u 築年数※1 45年 竣工年月日 1978/4/1 開館年数 44年 図書館資料 図書 188,493冊 定期刊行物 103種 貸出利用者数※2 230,349人 貸出冊数※2 660,770冊 入館者数 551,737人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 戸塚地区センター、戸塚公会堂 駐車場:施設全体で34台、身障者用1台 栄図書館 所在地 〒247-0014 栄区公田町 634-9 建物構造 鉄筋コンクリート造2階 延床面積 1518.15u 築年数※1 34年 竣工年月日 1989/4/1 開館年数 34年 図書館資料 図書 111,350冊 定期刊行物 70種 貸出利用者数※2 133,986人 貸出冊数※2 450,358冊 入館者数 265,745人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 駐車場:15台、身障者用1台 泉図書館 所在地 〒245-0016 泉区和泉町 6207-5 建物構造 鉄筋コンクリート造2階 延床面積 1520.31u 築年数※1 34年 竣工年月日 1988/12/28 開館年数 34年 図書館資料 図書 123,673冊 定期刊行物 92種 貸出利用者数※2 114,751人 貸出冊数※2 408,002冊 入館者数 205,331人 開館日数 344日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 駐車場:5台、身障者用2台 瀬谷図書館 所在地 〒246-0015 瀬谷区本郷 3-22-1 建物構造 鉄筋コンクリート造2階(一部中2階) 延床面積 1547.94u 築年数 38年 竣工年月日 1984/11/5 開館年数※1 38年 図書館資料 図書 112,291冊 定期刊行物 77種 貸出利用者数※2 72,894人 貸出冊数※2 263,763冊 入館者数 146,211人 開館日数 342日 併設施設(身障者用駐車場は内数) 駐車場:10台、身障者用2台 総計 図書 4,085,698冊 定期刊行物 3,222種 貸出利用者数 2,875,185人 貸出冊数 9,414,224冊 入館者数 6,396,145人 ※1 築年数は令和5年4月1日時点  ※2 移動図書館、インターネットでの貸出延長、図書取次サービス、電子書籍サービスは含まない - 48頁 - 横浜市立図書館の蔵書 ・蔵書数は約410万冊あり、圧倒的な蔵書量は他の自治体にはない大きな強みですが、一方で空間の限界という課題を抱えています。 ・資料を図書館内でいかに配架するのか、あるいは情報空間においても資料やその情報にいかに出会うのかということを考えていくことが重要です。 ・各図書館は、地域特性に合わせた蔵書や収集の工夫を行っていますが、区域、市域全体など複数の視点で、市民の多様な情報要求に応える幅広い蔵書を構築しつつ、特色ある蔵書の質を高めていくことが大切です。地域情報の収集にあたっては、図書館単独だけでなく、市民や団体等と連携していくことも必要です。 ■蔵書数 図書 4,085,698冊 (内訳) 一般書 3,176,359冊 児童書 909,339冊 年間受入図書数 169,721冊 (内訳) 購入 130,036冊 寄贈等 39,685冊 雑誌(年間受入種) 2,783種 (内訳) 購入 1,783種 寄贈 1,000種 新聞(年間受入種) 439種 (内訳) 購入 281種 寄贈 158種 ■電子書籍 提供コンテンツ数 10,185点 出所:横浜市の図書館2023(横浜市立図書館年報) ■横浜市立図書館資料収集方針  資料の収集範囲は、次のとおりとする。 (1)国内発行物については、一般的資料から専門的資料に至るまで各分野にわたって広範囲に収集する。 (2)海外資料もできるだけ幅広く収集するように努める。 (3)郷土資料および行政資料は、横浜に関連する地域資料を中心として収集し、あわせて本市周辺地域の資料収集にも努める。 ■横浜市立図書館資料収集基準   以下5点を「収集の重点」としている。 (1)あらゆる世代の読書活動推進と課題解決を支える資料 (2)調査、研究の基礎となる参考図書 (3)横浜の都市特性に関連する分野についての資料 (4)横浜市域とその周辺についての地域(郷土)資料 (5)横浜の市政に留意した資料 ■書庫の状況 ・中央図書館の書庫には、市立図書館の開業以来100年間に収集した図書、雑誌や地域(郷土)資料など特色ある蔵書が保存されています。 ・毎年蔵書が増える中、保存機能を担う中央図書館の書庫は収蔵量の限界が迫っており、横浜市立図書館全体の課題として取り組んでいくことが必要です。 - 49頁 - 横浜市立図書館の利用状況  登録者数は約87万人であり、市の人口約377万人の約23%にあたります。年間の個人貸出冊数は約1,200万冊、うち児童書は約420万冊で、年間貸出冊数の約34%を児童書が占めています。電子書籍の利用は約9万件あり、広域相互利用による貸出は約57万冊です。年間予約受付数は約350万冊、うち約92%がインターネットでの受付です。レファレンス件数は年間約24万件であり、月あたり2万件に相当する件数です。団体への年間貸出冊数は約2.4万冊です。 ■登録者数 868,558人 うち児童数(0〜15歳) 121,913人 ■個人貸出冊数 12,198,930冊 (内訳) 一般書の貸出冊数※ 7,370,614冊 児童書の貸出冊数※ 4,163,183冊 電子書籍の利用件数 93,594件 広域相互利用による他都市での横浜市民への貸出冊数 571,539冊 ※図書館18館、移動図書館、図書取次所での貸出、インターネットでの貸出延長の合計 ■予約受付冊数 3,459,249冊 うちインターネット受付冊数 3,179,815冊 ■レファレンス件数 243,155件 (内訳) 所蔵調査 189,649件 事項調査 53,506件 ■団体貸出利用数 登録団体数 156団体 貸出冊数 23,794冊 出所:横浜市の図書館2023(横浜市立図書館年報) (イラスト。) - 50頁 - 本のある市民利用施設等の状況  市立図書館のほかにも、各区には地区センターやコミュニティハウスなどの市の市民利用施設等があり、本のある図書コーナー等を設けている施設が多くあります。  また、美術館や博物館などの施設にも図書室が設置されています。 ■市の市民利用施設等 出所:横浜市教育委員会調べ 項目 各区の身近な本のある施設 地区センター 75館、蔵書数779,111冊 コミュニティハウス 102館、蔵書数646,065冊 市民図書室 74館、蔵書数393,553冊 地域ケアプラザ 63館、蔵書数29,413冊 市立保育所 52館、蔵書数22,169冊 地域子育て支援拠点 24館、蔵書数18,433冊 老人福祉センター 13館、蔵書数14,926冊 こどもログハウス 16館、蔵書数9,075冊 国際交流ラウンジ 10館、蔵書数5,076冊 市民活動支援センター 13館、蔵書数3,358冊 区民文化センター 5館、蔵書数2,139冊 項目 広域利用施設 横浜美術館 美術図書室 1館、蔵書数240,000冊 横浜市歴史博物館 図書閲覧室 1館、蔵書数82,103冊 男女共同参画センター 3館、蔵書数69,377冊 ウイリング横浜 情報資料室 1館、蔵書数48,307冊 横浜市会図書室 1館、蔵書数24,061冊 横浜市社会教育コーナー 1館、蔵書数2,037冊 合計455館、2,389,203冊 (参考)市立図書館合計18館、4,085,698冊 ※本のある施設数:市民が蔵書を利用可能な施設の数を指す。複合施設で図書コーナー等を共有している場合は、一方の施設に掲載。 - 51頁 - 横浜市民意識調査  令和4年度の横浜市民意識調査(実施期間:令和4年5月25日〜6月16日)において、市政への満足度に関する設問では、「美術館・図書館・区民文化センターなどの整備や市民文化の振興」の満足度は9.1%となっています。交通の便や緑化などに比べると満足度は低く、改善の余地があると言えます。 【グラフ 市政への満足度】 バス・地下鉄などの便 53.4% ごみの分別収集、リサイクル 34.8% 良質な水の確保や安定供給 24.5% 最寄り駅周辺の整備 21.4% 公園・動物園の整備 21.4% 通勤・通学・買い物道路や歩道の整備 20.5% 幹線道路や高速道路の整備 18.2% 病院や救急医療など地域医療 16.8% 街並みや景観の形成や保全 16.4% 緑の保全と緑化の推進 15.9% 身近な住民窓口サービス 10.5% 高齢者や障害者が移動しやすい街づくり(駅舎へのエレベーター設置など) 10.5% わからない 10.4% 地区センターやコミュニティハウスなどの整備や生涯学習・市民活動の振興 9.6% 美術館・図書館・区民文化センターなどの整備や市民文化の振興 9.1% 役所等に出向かずにインターネットで手続等ができるオンライン化 8.4% 都心部の整備や魅力づくり 8.1% 河川改修と水辺環境の整備 7.4% 高齢者福祉 6.8% 港湾機能と市民が親しめるミナトづくり 6.5% 下水道施設整備による身近な川や海などの水質改善 6.3% 観光やコンベンション(国際会議やイベント)の振興 5.3% ごみの不法投棄対策や街の美化 5.0% スポーツ・レクリエーションの振興や施設の整備 5.0% 防犯対策 4.1% 障害者福祉 3.8% 橋梁や上下水道などの都市インフラの老朽化対策 3.8% 商店街の振興 3.7% 保育など子育て支援や保護を要する児童への援助 3.5% 野菜栽培や市民農園などの都市農業の振興 3.4% 地震や台風などの災害対策 3.4% 駐車場の整備 3.3% 無回答 3.0% 違法駐車の防止や交通安全対策 2.9% 学校教育の充実 2.8% 食品衛生・環境衛生の監視・指導 2.3% 経済的に困っている人の保護や支援 2.3% 広報や広聴、市民相談、情報公開など市民参加の推進 2.1% 国際交流・協力の推進 2.0% 環境汚染や騒音などへの対策 1.9% 地球温暖化への対策 1.7% 男女共同参画社会の推進、人権問題への対応 1.2% 青少年の健全育成 1.1% 公的住宅の整備や住宅取得への融資 0.7% 中小企業振興や雇用の創出 0.6% - 52頁 - 図書館行政の動向 ■国の政策動向  図書館に関連する国の政策からは、図書館に期待される役割が多様化していることが読み取れます。社会教育だけではなく、観光や地域の課題解決など、様々なサービスを提供し地域に波及効果を生み出す必要性があり、それを実現するための人材育成に取り組む必要性が指摘されています。  技術革新とそれによる社会変化を踏まえた図書館サービスが志向されています。また、視覚障害者、障害児と保護者、来館が困難な子どもと保護者などへの配慮について触れられています。 ■他都市の政策動向  他都市の図書館に関する計画には、情報化・デジタル化の他、SDGsといった言葉が頻出しています。電子図書館の推進や、図書館の所蔵する資料のデジタル化、閲覧のオンライン化の潮流が読み取れます。  読書活動に限らず、文化活動や地域活動の支援、居場所の提供、子どもの学習支援などが施策やサービスに含まれており、図書館の役割が地域活動やまちづくりにまで広がっていることが分かります。 ■図書館に関連する法律等 ・社会教育法 ・図書館法 ・図書館の設置及び運営上の望ましい基準 ・これからの図書館像〜地域を支える情報拠点をめざして〜〈提言〉 ・地方教育行政の組織及び運営に関する法律 ・学校図書館法 ・子どもの読書活動の推進に関する法律 ・第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」 ・視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律 ・著作権法の一部を改正する法律 ・文字・活字文化振興法 ■参考にした他都市の図書館に関する計画等 仙台市図書館振興計画2022(令和4年策定) さっぽろ読書・図書館プラン2022(令和4年策定) さいたま市図書館ビジョン(令和3年策定) 千葉市図書館ビジョン 2040(令和2年策定) 第二次新潟市立図書館ビジョン(令和2年策定) なごやアクティブ・ライブラリー構想(平成29年策定) 福岡市総合図書館新ビジョン(平成26年策定) - 53頁 - 図書館の役割の変化  図書館は「社会教育のための機関」(社会教育法第9条)であり、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」(図書館法第2条)です。  国際的には、デジタル化への対応はもちろんのこと、環境問題への対応、新たなスキル・能力を身につける教育(リスキリング)の提供を行うことが、図書館の運営においても求められています。  国内においても、市民ニーズの高度化や、生活・価値観の多様化等を背景として、従来の貸出中心型の図書館から、まちづくり等の視点も含め、様々な角度から市民の生活を豊かにする役割が求められています。  居場所の提供という観点では、サードプレイス(自宅や職場とは隔離された心地のよい第3の居場所、より創造的な交流が生まれる場所)という概念が注目されています。大人だけではなく子どもの居場所としての機能も求められています。  教育の観点では、不確実性の高い社会環境の中で、創造性や創発の必要性が高まっています。図書館は、文化や芸術に触れる場、様々な社会活動を行う場として市民の創造性の発揮に貢献していくことが求められます。 ■子どもの居場所に関する調査結果  子どもの居場所の数(自室、家庭、学校、地域、職場、インターネット空間)の多さと自己認識の前向きさは、概ね相関しています。 【棒グラフ】自己肯定感 居場所の数0…自己肯定感10.3% 居場所の数1…自己肯定感27.2% 居場所の数2…自己肯定感30.6% 居場所の数3…自己肯定感38.3% 居場所の数4…自己肯定感50.2% 居場所の数5…自己肯定感63.0% 居場所の数6…自己肯定感72.0% 【棒グラフ】将来への希望 居場所の数0…将来への希望18.9% 居場所の数1…将来への希望34.3% 居場所の数2…将来への希望43.9% 居場所の数3…将来への希望54.3% 居場所の数4…将来への希望66.7% 居場所の数5…将来への希望76.4% 居場所の数6…将来への希望78.4% ■国際図書館連盟(IFLA)が公表する図書館のトレンド(抜粋) バーチャルの定着 ・遠隔でのサービス提供が今後も標準であり続けるということは明らかであり、物理的なスペースや提供物の価値が問われている。 ・デジタル・ツールは、個人向けサービスを提供するための新しい可能性を生み出し、より幅広いコンテンツに幅広い方法でアクセスすることを可能とする。 多様性の重視 ・公平性、多様性、包摂性の促進をより優先していくことが重要であり、様々なニーズを効果的に特定することを可能にするツールやスキルを開発し続けていく必要がある。 環境問題 ・災害に耐え、エネルギー効率化を促進するための図書館の新しい建築ガイドラインが重要になってくる。 ・人々の行動改革や気候変動への対応を促進することも図書館の重要な役割である。 生涯学習者 ・人々は訓練・再訓練を受ける必要があり、図書館は彼らの学習活動を促進していくべきである。 ・学習センターとしての図書館の役割が再確認され、図書館員がこれまで以上に教育者とみなされうることにもつながる。そのため、図書館員が適切な訓練とサポートを受けられるようにする必要がある。 深まる不平等 ・テクノロジーはアクセスできる人に新たな可能性をもたらすが、アクセスできない人との格差は拡大する。図書館を最も必要とする人々が排除されることを許さぬよう、利用者にとっての障壁や偏見を生まないようにすることが大切である。 出所:図書館の今後を作る20のトレンド:IFLA Trend Report 2021(https://current.ndl.go.jp/e2507)(最終閲覧日2023年5月21日)、令和4年版子供・若者白書(内閣府編集) - 54頁 - 明日をひらく都市 OPEN×PIONEER 横浜市図書館ビジョン 令和6年3月発行 横浜市教育委員会事務局 教育政策推進課 〒231-0005 横浜市中区本町6-50-10  電話:045-671-3243 FAX:045-663-3118