- 111ページ - 資料編 - 112ページ - 1 教職員意見交換会 概要 本計画が学校現場に届き、よりよい教育の実現に資するものとなるよう、全校種の教職員と意見交換会を実施しました。学校現場と教育委員会が対話を重ね、市全体で計画の3つの視点 を実現していくように努めていきたいという熱い思いがあふれる時間になりました。 【実施日・開催場所】 令和3年11月22日(月)・25日(木)・26日(金)・市庁舎、令和4年6月30日(木)・花咲研修室 【参加者】 小学校教職員、中学校教職員、高等学校教職員、特別支援学校教職員、児童支援・生徒指導専任、 養護教諭、特別支援教育コーディネーター、SSW、SC、学校事務職員、副校長(学校管理職) ◆「一人ひとりを大切に…」 <これまでの取組・課題>  学校では、日々の教育活動を通じて、児童生徒一人ひとりを大切にしてきました。さらに、特別な支援や配慮を必要とする児童生徒、日本語指導が必要な児童生徒、不登校児童生徒等に 対し、複数で見守る体制の充実や、ICTを活用した学びの支援、個別支援教室、特別支援教室、国際教室の設置など、個別支援に取り組んできました。多様なニーズに対応するために、 人員の確保だけでなく、教職員の質の向上が求められています。 <これからさらに必要とされる取組> ●更なる子ども一人ひとり、個々の内面理解 ●合理的配慮の具体的な取組の推進 ●多様なニーズに対応するための人や場所などのリソースの確保 ●在籍する教職員の育成強化 ●これまでのやり方にこだわらない、場所や手法はもちろん、インクルーシブ教育や現代の生活に根付いた教育活動の実践など、抜本的なこれからの教育活動の検討 ◆「みんなの計画・みんなで実現」 <これまでの取組・課題>  小学校の学級担任、中高等学校の部活動顧問や教科担任等、教職員は一人で抱え込みやすい環境です。そのような状況を踏まえて、校内や校外の連携を行っている学校もありますが、 じっくりと時間をかけた関係者との情報共有や方向性の確認をする時間がないなど課題も多いです。 <これからさらに必要とされる取組> ●関係者の対話や教職員の時間的余裕の創出 ●校内支援体制を強化していくための、教職員個々の強みを共有した人材育成を行う環境づくり ●学校に関心がある地域・企業と連携する仕組みづくりとコーディネーターの活用 ●子どもたちが地域社会で生きることができるように福祉的なサポート体制 ◆「経験・勘×データ」 <これまでの取組・課題> 横浜市学力・学習状況調査の結果を分析し、課題を把握した授業改善に取り組むとともに、日々の子どもたちの変化の見取りとY-Pアセスメントや各種アンケート結果をもとに、 支援体制を構築してきました。データを蓄積してきていますが、活用しきれていない部分があるという課題があります。 <これからさらに必要とされる取組> ●Y-Pアセスメントの収集だけで終わらせず、結果を活用できる校内の仕組みの構築が必要 ●多角的に子ども一人ひとりを把握するために、様々なデータの統合と関わる教職員間での共有 ●データ活用の好事例の共有と発信 ●データで見えるものと見えないものを見極めていく教師の視点の育成 ここに写真があります。 教職員意見交換会の様子 写真の説明は終わり。 - 113ページ – 2 パブリックコメントの結果 4期計画素案について、以下のとおりパブリックコメントを実施し、多くの貴重な御意見をいただきました。 1 パブリックコメントの実施概要 (1)実施期間 令和4年9月30日(金)~令和4年10月31日(月) (2)意見提出方法 横浜市電子申請・届出システム、電子メール、郵送、FAX (3)素案 概要版の配布部数 4,600部 (4)周知方法 各区役所、市民情報センター、市立図書館、行政サービスコーナー、広報よこはま、教育委員会ホームページ、ツイッター、横浜市LINE 等 2 実施結果 (1)意見提出状況 投稿手段 電子申請 通数 132通 投稿手段 メール 通数 30通 投稿手段 郵送 通数 3通 投稿手段 FAX 通数 4通 投稿手段 手渡し 通数 1通 計 170通 居住地 市内 通数 146通 居住地 市外 通数 7通 居住地 未回答 17通 計 170通 (2)項目別意見数 項目 意見数 計画全体 42件 柱1 一人ひとりを大切にした学びの推進 100件 柱2 ともに未来をつくる力の育成 8件 柱3 豊かな心の育成 22件 柱4 健やかな体の育成 55件 柱5 家庭・地域等の多様な主体との連携・協働 24件 柱6 いきいきと働き、学び続ける教職員 52件 柱7 安全・安心でより良い教育環境 22件 柱8 市民の豊かな学び 17件 その他 12件 計: 354件 ※複数の柱に関連する御意見は、内容に応じて一つの柱に振り分けています。 - 114ページ – (3)項目別 主な意見 項目 計画全体 主な意見 「イメージ図がとても分かりやすい。」等の3つの視点に関する賛同 「達成の評価が難しい」等の指標の設定に関する御意見 等 意見数 42件 項目 柱1 主な意見 主体的・対話的で深い学びやチーム学年経営の推進に関する賛同【施策1】 コロナ禍においても協働的な学びの充実を求めるもの【施策1】 オンライン授業や家庭学習でのタブレット活用の要望 【施策2】 特別支援学校に通う子ども達と地域の子ども達の交流を求めるもの【施策3】 通級指導教室の拡充等に関する御意見【施策3】 不登校支援の充実、関係機関とのさらなる連携に関すること【施策4】  等 意見数 100件 項目 柱2 主な意見 持続可能な社会の創り手育成に関する賛同 等 意見数 8件 項目 柱3 主な意見 コロナ禍においても本物に触れる機会や体験活動に関する御意見 コロナ禍での学校生活に不安を抱く子どもへの支援を求めるもの 等 意見数 22件 項目 柱4 主な意見 今後の中学校給食の方向性に関する御意見 学校生活における感染症への対策に関する御意見 等 意見数 55件 項目 柱5 主な意見 福祉・医療等との連携の充実を求めるもの 等 意見数 24件 項目 柱6 主な意見 教職員の増員に関する御意見 業務の負担軽減等、教職員の働き方改革の推進に関する御意見 等 意見数 52件 項目 柱7 主な意見 学校施設の建替えや設備の修繕等を求めるもの 学校規模・通学区域の適正化に関する御意見 等 意見数 22件 項目 柱8 主な意見 図書館のさらなる充実を求めるもの 等 意見数 17件 (4)御意見への対応状況 対応状況 修正 説明 御意見の趣旨を踏まえ、原案に反映するもの 意見数 19件 割合 5.4% 対応状況 包含・賛同 説明 御意見の趣旨が既に素案に含まれるもの、又は素案に賛同いただいたもの 意見数 57件 割合 16.1% 対応状況 参考 説明 取組等の参考とさせていただくもの 意見数 265件 割合 74.8% 対応状況 その他 説明 本計画に関連しない意見・要望等 意見数 13件 割合 3.7% - 115ページ – 3 基礎データ (1)令和4年度の横浜市教育予算と一般会計予算 ここに図があります。 令和4年度一般会計総額の円グラフ及び教育委員会の内訳 出典は横浜市教育委員会事務局作成 (2)市立学校の概況  ここに図があります。  市立学校概況  市立小・中学校及び義務教育学校の児童生徒数  学校教育事務所所在地  図の説明は終わり。 - 116ページ – 4 横浜教育ビジョン2030 1 横浜の教育が目指す人づくり 自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人 2 横浜の教育が育む力   「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」の育成を目指し、子どもに身に付けてほしい力を五つの視点「知」「徳」「体」「公」「開」で表し、相互に関連付けながら バランスよく育んでいきます。 知 生きて はたらく知  ○基礎・基本を身に付け、自ら問題を発見し、よりよく解決する力  ○主体的に考え、意欲的に学び続ける力  ○知識や経験を活かし、知恵をはたらかせて生きる力 徳 豊かな心  ○自分を大切にし、しなやかに生きる力  ○自分を律する態度と人を思いやる優しさ  ○「本物」に触れることで育む豊かな感性 体 健やかな体  ○自ら健康を保持増進しようとする態度  ○体力づくりを通じ、心身ともにたくましく生きる力  ○生涯にわたって運動やスポーツに親しむ態度 公 公共心と社会参画  ○自分の役割や働くことの意義を理解し、行動する力  ○横浜を愛し、地域や社会のために、他者と協働する力  ○夢や目標を持ち、よりよい社会を創造しようとする態度 開 未来を開く志  ○自分を見つめ、多様性を尊重し、共生する力  ○グローバルな視野を持ち、持続可能な社会の実現に向けて行動する力  ○進取の精神を持ち、新たな価値を創造しようとする態度 - 117ページ – 3 横浜の教育の方向性   多様性を尊重し、つながりを大切にした教育を推進します   多様性を尊重し、つながりを大切にしながら、次の四つの方向性に沿って施策や取組を進めます。 1 子どもの可能性を広げます  主体的な学び   主体的な学びを引き出し、様々な教育的ニーズに応じて、個性や能力を伸ばします。  創造に向かう学び   よりよい社会や新たな価値の創造に向け、学びを社会と関連付け、他者と協働する機会を創出します。  支え合う風土   相手と心から向き合うこと(想)※1を大切にし、多様な価値観を認め、支え合う風土を醸成します。  学びと育ちの連続性   幼児期から社会的自立までの成長過程における学びや育ちの連続性を大切にします。 2 魅力ある学校をつくります  安心して学べる学校   教職員が子どもの理解を深め、いじめなどの課題をチームで解決し、安心して学べる学校をつくります。  社会とつながる学校   地域や社会と目標を共有し、連携・協働することを通して、子どもと社会がつながる学校をつくります。  いきいきと働く教職員   子どもが豊かに学び育ち、教職員がいきいきと働くことができる学校をつくります。  学び続ける教職員   教職員は自ら学び続け、資質・能力の向上を図り、使命感や情熱を持って職責を果たします。 3 豊かな教育環境を整えます  安全・安心な環境   学校施設の計画的な建替えや保全等を進め、子どもの安全・安心を確保します。  地域とともに歩む学校   地域とともに子どもをよりよく育む教育環境を整えます。  市民の豊かな学び   生涯にわたって主体的に学び、心豊かな生活につながるよう、市民の学びの環境を整えます。 4 社会全体で子どもを育みます  家庭教育の支援   家庭は子どもの心身の調和のとれた発達、自立心の育成、生活習慣の確立を図り、行政は家庭教育を支援します。  多様な主体との連携・協働   学校、家庭、地域をはじめ、国内外の様々な関係機関や企業等が連携・協働し、子どもを育みます。  切れ目のない支援   教育と福祉、医療等の連携により、子どもを切れ目なく支援し、自立と社会参画に向けた学びや発達を保障します。 - 118ページ – 1 横浜の教育が目指す人づくり   自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人   複雑で変化の激しい時代、解が一つではない課題にも柔軟に向き合い、持続可能な社会の実現に向けて、自分たちができることを考え、他者と協働し、解決していくことが重要 となります。   横浜の教育は、子どもが主体的に考え学び続け、多様な人々や社会と関わり合うことを大切にします。個性や能力を活かしながら、夢や目標に向かってチャレンジし、よりよい 社会や新たな価値を創造できる人を育みます。 2 横浜の教育が育む力   「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」の育成を目指し、子どもに身に付けてほしい力を五つの視点「知」「徳」「体」「公」「開」で表し、相互に関連付けながら バランスよく育んでいきます。 知 生きて はたらく知  ○基礎・基本を身に付け、自ら問題を発見し、よりよく解決する力   いつの時代でも、基礎・基本は学習や生活の基盤ですが、これからは、社会とのつながりを考えながら学んだことをどのように使っていくかがますます重要になります。 そのため、多面的・多角的な見方や考え方で問題を発見し、身に付けた知識や技能を使って思考力・判断力・表現力等をはたらかせながら、よりよく解決していく力を育みます。  ○主体的に考え、意欲的に学び続ける力    複雑で変化の激しい時代においては、新しいことに対する好奇心を持ちながら変化に柔軟に対応し、物事をよりよくしていこうとする意欲が、生きていく上での原動力となります。 そのため、様々な課題に対して筋道を立てて主体的に考え、学ぶことの意義や楽しさを感じながら意欲的に学び続ける力を育みます。  ○知識や経験を活かし、知恵をはたらかせて生きる力    知識や情報、技術をめぐる変化の速さが加速度的になる中、的確に社会の動向を捉えることが重要です。そのため、様々な情報を色々な角度から精査したり、知識を相互に関連 付けたりして、物事を深く考え、真理や本質を見極める力を磨きます。その上で、学びを人生や社会とつなげ、豊かな発想を基に、知恵をはたらかせて生きる力を育みます。  - 119ページ – 徳 豊かな心  ○自分を大切にし、しなやかに生きる力   「全国学力・学習状況調査(2017)」の結果、「自分には良いところがある」と答えた横浜市の小・中学生の割合は全国より低い状況です。自己肯定感は、自信をもって物事に 取り組み、困難を乗り越える力の源となります。そのため、自己理解を深め、自分をかけがえのない存在として大切にする心を育みます。また、積極的に周りに相談するなどして 変化に柔軟に対応したり、助けを求めて困難を乗り越えたりすることができるような、しなやかに生きる力を育みます。  ○自分を律する態度と人を思いやる優しさ    日常生活の様々な問題や自分の生き方について関わる課題に直面したときには、主体的な判断の下に行動することが重要です。そのため、自立的な生き方や社会の形成者としての あり方について考え、よりよく生きるための行為を自分の意志や判断によって選択し、実践しようとする態度を育みます。また、他者と共によりよく生きることができるよう、相手の 立場や気持ちを思いやって行動できる優しさを育みます。  ○「本物」に触れることで育む豊かな感性    自然体験や生活体験が豊富な子どもほど、自己肯定感や道徳観・正義感が高いという調査結果「青少年の体験活動等に関する実態調査(2014)」があります。身近な自然から 得られる発見や感動、人と人がじかに触れ合うあたたかな交流や文化芸術の情緒豊かな世界など、様々な「本物」に触れる体験を通して、豊かな感性を育みます。 体 健やかな体  ○自ら健康を保持増進しようとする態度   横浜市では、いつまでも元気に自分らしい毎日を過ごせるようにするため、自分のできるところから健康づくりを楽しむことを「健康横浜21」に掲げ、様々な取組を進めています。 食生活の大切さを理解し、望ましい生活習慣や楽しく運動する習慣を身に付けることで、自分の心身の健康を保持増進しようとする態度を育みます。  ○体力づくりを通じ、心身ともにたくましく生きる力   「小中学校児童生徒体力・運動能力調査(2016)」によると、横浜市の小・中学生の体力は全国より低い状況にあり、運動をする子どもとそうでない子どもの二極化傾向も見られます。体力は、意欲や気力といった精神面の充実にも深く関わっており、人間の健やかな成長を支え、豊かで充実した生活を送ることにもつながります。そのため、体を動かす楽しさや心地よさを味わい、自ら進んで運動やスポーツを継続的に行い、心身ともにたくましく生きる力を育みます。  ○生涯にわたって運動やスポーツに親しむ態度   一人ひとりの興味関心に応じて運動やスポーツに親しむことは、生活をより豊かに送ることにつながります。また運動やスポーツには粘り強くあきらめないで取り組み、 目標を達成する喜びもあります。「ラグビーワールドカップ2019(TM)」「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の経験を踏まえ、関係機関や企業等と連携した取組を通して 、運動やスポーツに対する関心を高め、生涯にわたって運動やスポーツを「する、みる、支える、知る」の多様な関わり方で親しむ態度を育みます。 - 120ページ – 公 公共心と社会参画  ○自分の役割や働くことの意義を理解し、行動する力   「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(2013)」の結果、社会問題への関心や自分の社会参加において、日本の若者の意識は諸外国と比べて低い状況です。 そのため、学んでいることを社会と関連付ける工夫などを通して、身近な出来事や社会問題への興味関心を高めます。その上で、家庭や地域における役割も含めた幅広い視点で働くこと の意義を理解し、社会的・職業的自立に向けて、自分の役割と責任を自覚し、行動する力を育みます。  ○横浜を愛し、地域や社会のために、他者と協働する力   大規模災害の発生を契機に、改めて地域や社会の絆の重要性が認識されています。横浜では、多くの市民が横浜に対して愛着や誇りを感じており、豊富な人材と、活発な市民活動が 特徴です。日頃から、横浜の魅力を発見する機会や、地域社会とのつながりについて学ぶ機会を通して、地域や社会のために自分ができることを考え、他者と協働しながら課題解決を 図ることができる力を育みます。   ○夢や目標を持ち、よりよい社会を創造しようとする態度    「全国学力・学習状況調査(2017)」の結果、将来の夢や目標を持っている横浜市の小中学生の割合は全国と比べて低い状況です。様々な分野で活躍する人や身近な尊敬できる人 との出会いなどを通して、自分らしい夢や目標を持ち、生き方を考えようとする態度や、よりよい社会をつくるために、自ら考え行動し続ける態度を育みます。 開 未来を開く志  ○自分を見つめ、多様性を尊重し、共生する力   グローバル化や価値観の多様化が一層進む中、年齢や性別、国籍や文化の違い、障害の有無等に関わらず、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、いきいきとした 人生を送ることができる共生社会の実現が求められています。そのため、自分の内面と向き合い、自他の違いを受け止めながら、価値感や背景の異なる相手ともコミュニケーションを 図ることを大切にします。その中で、共感的に理解したり、合意を形成したりするなど、共に生きていく力を育みます。  ○グローバルな視野を持ち、持続可能な社会の実現に向けて行動する力   経済、社会、環境をめぐる地球規模の課題が深刻化する中、「持続可能な開発目標(SDGs)※2」の達成を目指し、世界中の国や企業、市民団体等が取組を進めています。 そこで、横浜はもとより日本の歴史や伝統文化を深く理解し、また、世界で起きている出来事にも幅広く関心を持ち、持続可能な社会の実現に向けて身近なところから行動する力を育み ます。  ○進取の精神を持ち、新たな価値を創造しようとする態度   横浜には開港以来、国内外から人が集まり、常に新しい技術や文化を積極的に取り入れていく進取の精神が育まれてきました。急速に変化する社会では、その先に起こる変化を予測し、 行動することで、新たな未来を切り開いていくことが求められます。そのため、横浜がこれまで培ってきた進取の精神や国際都市としての多様性を強みとし、既成概念や慣習を打破して イノベーションを起こすなど、新たな価値を創造しようとする態度を育みます。 ※2 2015(平成27)年9月「国連持続可能な開発サミット」にて、全会一致で採択された開発目標。先進国を含む、国際社会全体の目標として、2030年を期限とする包括的な17の目標 を設定している。 - 121ページ – 3 横浜の教育の方向性   多様性を尊重し、つながりを大切にした教育を推進します   「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」を目指して、多様な価値観や個性を尊重し、子どもや学校を取り巻く、様々な「ひと、もの、こと」のつながりを大切にします。 その上で、次の四つの方向性に沿って施策や取組を進めます。そのために、学校や行政だけでなく、家庭、地域、関係機関、企業等、子どもの成長に関わる人が、方向性を共有し、 一体となって教育を推進します。 1 子どもの可能性を広げます  □主体的な学びを引き出し、様々な教育的ニーズに応じて、個性や能力を伸ばします。   ○子ども自身が興味を持って積極的に学ぶとともに、学習活動を振り返って次につなげることができるよう授業改善を推進します。そのために、エビデンスに基づいた指導・支援を 行うとともに、ICTをはじめとするテクノロジーの効果的な活用、調査研究の充実等を図ります。   ○特別支援教育や日本語指導、登校支援など、学習や発達を取り巻く教育的ニーズに応じて、連続性のある多様な学びの場が用意されていることや、多様な個性や能力を伸ばす視点 を重視します。    □よりよい社会や新たな価値の創造に向け、学びを社会と関連付け、他者と協働する機会を創出します   ○学んでいることを社会と関連付け、自分の思いや考えを基に身近な生活をよりよくしたり、自分の未来や持続可能な社会のあり方について考えを広げ深めたりする機会を創出 します。   ○知識や経験を相互に関連付けながら課題解決を図る機会や、他者と協働し、試行錯誤しながら物事を成し遂げる機会を創出します。  □相手と心から向き合うこと(想)を大切にし、多様な価値観を認め、支え合う風土を醸成します。    ○人権教育の充実や「考え、議論する道徳」の展開、いじめのない風土づくりに向けた取組等を通して、子どもが相手と心から向き合うことを大切にします。   ○集団の中で目標に向かって力を合わせ、ぶつかり合い、わかり合い、励まし助け合うことを通して、個々の違いを認め合いながら、ともに学び育つ風土づくりを進めます。    □幼児期から社会的自立までの成長過程における学びや育ちの連続性を大切にします。   ○幼児教育から高等教育までを視野に入れ、目指す子どもの姿や育む力を共有し、前の段階での教育が次の段階で生かされるよう、教育課程等の効果的で円滑な接続を図ります。   ○小中一貫教育を一層推進するとともに、幼保小中高の連携を進めていきます。   ○社会的自立に向けて、発達の段階に応じたキャリア教育を進めていきます。 - 122ページ – 2 魅力ある学校をつくります  □教職員が子どもの理解を深め、いじめなどの課題をチームで解決し、安心して学べる学校をつくります。   ○子どもの思いをしっかりと受け止め、安心して学ぶことができる学校をつくります。そのために、いじめや不登校など、複雑化・困難化する児童生徒指導上の課題について、 個人で対応するのではなく、児童支援・生徒指導専任教諭を中心としたチームによる指導・支援を進めます。   ○校長のマネジメント力や危機管理力の向上により、迅速かつ適切な判断のもと、カウンセラーやスクールソーシャルワーカー、弁護士や医師等の専門家を積極的に活用し、 子どもの抱える課題のよりよい解決を図ります。  □地域や社会と目標を共有し、連携・協働することを通して、子どもと社会がつながる学校をつくります。   ○「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を子どもたちに育むという 考え方に基づき、学校運営協議会等を活用しながら、「社会に開かれた教育課程」を実現します。   ○子どもや地域の実態を踏まえて設定する学校教育目標を実現するため、校長のリーダーシップのもと、学校全体として、教科等や学年を超えて教育活動や組織運営の改善を 図っていきます。   ○各学校の自主的・自律的な学校運営を尊重しながら、学校や子ども、地域の実態を踏まえた支援をしていきます。  □子どもが豊かに学び育ち、教職員がいきいきと働くことができる学校をつくります。   ○働きやすい環境の整備等に向けた業務改善の取組とともに、ワーク・ライフ・バランスを着実に推進し、教職員が働きがいを感じながら心身ともに健康でいきいきと働くことで、 教育の質を向上させ、子どもが豊かに学び育つことができる学校をつくります。   ○学校の業務改善支援、専門スタッフの配置や教職員の担うべき業務の精選等、教職員の働き方改革を進めることにより、教職員が子どもとしっかり向き合う時間が確保できる、 魅力的で持続可能な環境を目指します。  □教職員は自ら学び続け、資質・能力の向上を図り、使命感や情熱を持って職責を果たします。   ○全ての学校管理職・教職員が、学校の置かれた状況の変化に対応し、よりよい学校を作っていくために、人材育成指標等に基づき、自身のキャリアステージに応じて自ら学び続け、 不断の努力を重ねながら、教育に対する使命感と情熱を持って職責を果たしていきます。   ○採用方法の改善により、より優れた人材を確保していくとともに、大学との連携・協働の推進等により、教員の養成と育成をより一体的に進めていきます。 あわせて、校内OJT・メンターチームの活動支援や、研究、研修の充実を図ることにより、意欲と能力を最大限に発揮できる人材育成をより一層進めます。 3 豊かな教育環境を整えます  □学校施設の計画的な建替えや保全等を進め、子どもの安全・安心を確保します。   ○「横浜市立小・中学校施設の建替えに関する基本方針」に基づき、築70年を超えない範囲で、計画的に学校施設の建替えを進めます。   ○学校施設の建替えや老朽化対策にあたっては、子どもの教育環境の向上を第一に考え、子どもが安全に、安心して、そして快適に過ごすことができる環境を整備します。 - 123ページ –  □地域とともに子どもをよりよく育む教育環境を整えます。   ○学校は、子どもが多くの時間を過ごす学習・生活の場であるとともに、地域の防災や生涯学習等にも活用され、地域におけるまちづくりの様々な役割を担っていく場になります。   ○学校施設の建替え時には、建替えでなければ解消できない施設の機能面の課題解決のほか、学校規模の適正化の検討や、教育効果の向上が見込むことのできる他施設との複合化等に ついて留意し、地域とともに子どもをよりよく育むための教育環境を整えます。  □生涯にわたって主体的に学び、心豊かな生活につながるよう、市民の学びの環境を整えます。   ○市民が自分の興味や関心に応じて主体的に学び続け、心豊かな生活につながるよう、読書活動の推進や図書館サービスの充実、横浜の歴史に関する学習の場の充実を図ります。   ○市民の貴重な財産を次世代に引き継ぐため、文化財の保護・保全を進めるとともに、大人や子どもの学習の場としての活用や観光資源としての魅力向上を図ります。   ○市民が身近な課題に気づき、解決に向けて主体的に行動していくことができるよう、「学び」と「活動」の循環を支援します。 4 社会全体で子どもを育みます  □家庭は子どもの心身の調和のとれた発達、自立心の育成、生活習慣の確立を図り、行政は家庭教育を支援します。   ○子どもは、保護者など特定の大人との継続的な関わりの中で、愛され、大切にされることで、生きる上での基盤となる基本的信頼感を育んでいきます。これを踏まえ、家庭は 子どもの心身の調和のとれた発達を図り、自立心の育成や生活習慣の確立に努めます。   ○家族形態の変容や地域のつながりの希薄化など、家庭での教育を行うことが困難な状況が指摘されています。行政は、各家庭の自主性を尊重しつつ、地域や学校、幼児教育施設等 と連携し、保護者への学習の機会及び情報の提供を進め、保護者同士のつながりや地域との交流を促進することにより、保護者が安心して、家庭での教育を行うことができるよう支援し ます。  □学校、家庭、地域をはじめ、国内外の様々な関係機関や企業等が連携・協働し、 子どもを育みます。   ○より多くの保護者や地域住民等が学校運営に積極的に参画することで、地域と学校が双方向で関わる協働活動を推進するとともに、市長部局や警察等関係機関との連携強化により、登下校時の安全確保等を図りながら、地域全体で子どもを育みます。   ○地域人材だけでなく、国内外の教育機関や企業、民間団体等と子どもの成長に向けた目標を共有しながら連携・協働し、教育内容の充実を図ります。   ○子どもが積極的に地域や社会に参画して課題解決に向けて本気で取り組むことを推進し、子どもの挑戦する姿を厳しくもあたたかく受け止めてくれるような地域コミュニティを形 成していくことで、人づくりと地域づくりの好循環を生み出していきます。  □教育と福祉、医療等の連携により、子どもを切れ目なく支援し、自立と社会参画に向けた学びや発達を保障します。   ○全ての子どもの豊かな学びや育ちのため、教育と福祉、医療等が連携し、貧困や児童虐待など、様々な課題を抱える子ども一人ひとりに寄り添って支えます。   ○学校だけでは解決が困難な課題においては、学校と幼児教育施設や区役所、児童相談所、地域療育センター、医療機関、地域の団体等が連携し、役割分担をしながら切れ目なく支 援することにより、子どもの自立と社会参画に向けた学びや発達の保障につなげていきます。 - 124ページ – 5 教育基本法(抜粋) 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。  我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、 新しい文化の創造を目指す教育を推進する。  ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。 第一章 教育の目的及び理念 (教育の目的) 第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。 (教育の目標) 第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。 一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。 二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。 三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。 四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。 五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。 (生涯学習の理念) 第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に 生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。 (教育の機会均等) 第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。 2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。 3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。 第二章 教育の実施に関する基本 (義務教育) 第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。 2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養う ことを目的として行われるものとする。 3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。 4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。 (学校教育) 第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。 2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者 が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。 (大学) 第七条 大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に 寄与するものとする。 2 大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。 - 125ページ - (私立学校) 第八条 私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって 私立学校教育の振興に努めなければならない。 (教員) 第九条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。 2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。 (家庭教育) 第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた 発達を図るよう努めるものとする。 2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければ ならない。 (幼児期の教育) 第十一条 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備 その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。 (社会教育) 第十二条 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。 2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。 (学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力) 第十三条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。 (政治教育) 第十四条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。 2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。 (宗教教育) 第十五条 宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。 2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。 第三章 教育行政 (教育行政) 第十六条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び 相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。 2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。 3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。 4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。 (教育基本計画) 第十七条 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、 基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。 2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。 第四章 法令の制定 第十八条 この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。    附 則 抄 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する