- 34 - 戦略4 教職員の人材育成・意識改革 校長のリーダーシップによる働き方改革の推進や、「働き方」の視点を踏まえた教職員の人材育成・意識啓発等を通じて、教職員一人ひとりの「働き方」の見直しにつなげます。 (1)勤務実態の把握、マネジメントの推進 @教職員庶務事務システム、IC カードによる勤務実態の把握 (NEW) 【現状】 平成 29 年 4 月から、教職員庶務事務システムの導入により、教職員の勤務実態を把握できる仕組みが構築されましたが、時間外勤務に応じた手当が支給されない教員独自の給与体系であることも起因し、システムへの入力が不十分な状況です。 また、4 月から IC カードによる「出勤」登録も行っています。 【今後の方向性】 IC カードによる「退勤」登録導入により、教職員の勤務実態の把握を進め、本プランの効果検証や学校における教職員の業務の平準化や見直し、勤務時間の適正化等に活かしていきます。 なお、高校については教職員庶務事務システムの導入に合わせて別途検討します。 【工程表】勤務実態の正確な把握 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …勤務実態の把握・検証・各戦略への反映 【時間の意識…どこまで持てていますか?】 子育てや介護などの家庭の事情だけでなく、仲間との交流や自己研鑽のための習い事等、仕事と私生活のバランスをとることはとても大切です。 このバランスにもつながるアンケート※の結果があります。 それは、時間外業務を意識しているかどうかで、実際の在校時間に差が出てきているというものです。 まずは意識から…。 今行っている業務は、時間外業務ではありませんか? 校長のリーダーシップによる働き方改革の推進や、「働き方」の視点を踏まえた教職員の人材育成・意識啓発等を通じて、教職員一人ひとりの「働き方」の見直しにつなげます。 【図 在校時間(直近3日間の1日平均)】 時間外業務を意識している…289人(11時間35分) 時間外業務を意識しているとはいえない…220人(11時間52分) ※「かなり意識している」「ある程度意識している」を「時間外業務を意識している」、「どちらともいえない」「あまり意識していない」「まったく意識していない」を「時間外業務を意識しているとはいえない」として再カテゴリー化を行い、集計した。  平均値の差の検定を行ったところ、群間に統計的有意な傾向を認めた。 【平成 29 年 12 月 横浜市教育委員会・東京大学中原淳研究室共同研究「教員の働き方に関する質問紙調査」調査結果】 - 35 - Aメンタルヘルスセルフチェック実施による職場環境の把握・支援 【現状】 全教職員を対象にストレスチェックを行い、結果を各個人に通知するとともに、メンタルヘルス不調のリスクの高い教職員へ面接指導の勧奨と面接指導を実施し、ストレスの軽減に向けて取組を進めています。 また、ストレスチェックの結果を職場環境の改善につなげるため、学校ごとに集団分析を実施し、分析結果を踏まえた職場環境改善研修を管理職向けに実施しています。 【今後の方向性】 引き続き、全教職員を対象に毎年一回ストレスチェックを行い、結果を各個人に通知する とともに、メンタルヘルス不調のリスクの高い教職員へ面接指導を勧奨することで、精神疾患等の予防を行います。また、学校ごとの分析結果に基づき、各学校で職場環境の改善につながる取組を進めるとともにセルフケアのための取組を進めていきます。 【工程表】メンタルヘルスセルフチェックの実施と分析・活用 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …ストレスチェックの年1回実施と分析・活用 B働き方改革に関する中期学校経営方針への位置付け 【現状】 各学校は3か年の学校経営方針を示した中期学校経営方針を策定していますが、現状、働き方改革の視点での項目記載は必須となっていません。 【今後の方向性】 平成 31 年度以降の中期学校経営方針の「人材育成・組織運営」(仮)の項目において、学校での業務改善や働き方改革に向けた取組目標を明記することで、カリキュラム・マネジメントと連動させ、各学校での組織的な取組を推進していきます。 【工程表】中期学校経営への方針における位置付け 2018(H30)…次期3か年の検討 2019(H31)…次期3か年の検証、 学校へ周知 2020(H32)…実施・検証 2021(H33)…実施・検証 2022(H34)…次期3か年の検討・周知 - 36 - (2)意識啓発・研修 @働き方改革に関する意識啓発 【現状】 学校関係者の働き方改革に取り組む意識を広めるとともに、働き方改革に関する社会的な機運の醸成を目的として、平成 29 年 10 月に民間企業の協力を得て「教職員の働き方改革フォーラム」を実施しました。 また、各学校における業務改善の好事例をまとめた「教議論の場の設定など、意識啓発、情報共有を進めています。 【今後の方向性】 民間企業等との協働によるフォーラムの継続的な開催や各学校における取組を共有する場の設定など、各学校への具体の働きかけを通じて、教職員の働き方改革について継続的な議論の場を作り、意識啓発を図っていきます。 【工程表】働き方改革を考えるイベント等の開催 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …継続的検討・実施 【民間企業の知恵を拝借!】 働き方改革に先進的に取り組んでいる民間企業の協力を得て平成 29 年 10 月に「教職員の働き方改革フォーラム」を開催しました。 本フォーラムでの意見を、学校における働き方改革を加速するための「横浜市立学校 教職員の働き方改革プラン」策定につなげ、今後も民間企業の視点も入れながら、学校における働き方改革について、学校関係者の働き方改革に取り組む意識を広げていきます。 〔参加者の声〕 ・働き方改革はあるべき学校の姿を職員と共有することが全てのスタートだと思いました。  働き方改革に向けて職員と対話を通じて組織改革をしていきたい。【校長】 ・教職員の心と体の健康を維持することが何よりも子どもたちにとっても良い影響になることを改めて思いました。学校でも大きな声、笑顔で挨拶など職  場の雰囲気づくりからはじめ、他の職員にも影響を与えていきたい。【副校長】 ・ワークショップではそれぞれの立場からイメージする「ありたい姿」を共有し、同じような思い、スクラップ&ビルドを共有することができました。  学校現場が変わるチャンスを強く感じた。【教員】 - 37 - A働き方改革の視点を盛り込んだ研修の開発・推進 【現状】 これまで、主に管理職を対象とした研修において、チーム・マネジメント、労務管理、メンタルヘルス等に関する内容は扱ってきましたが、今後、真に有効な「働き方改革」の視点を盛り込んだ研修を進めていく必要があります。 現在、東京大学・中原淳研究室と、新たな研修の開発に向けて、共同研究を進めています。 同研究室の人材開発研究の実績を活かしながら、定量・定性分析を用いて、「長時間労働の根本的な要因分析」を行い、その先につながる「働きがい」も含めた探究を進めています。 【今後の方向性】 本共同研究において、特に「人の意識」と「働き方」の関連性に着目し、タイプ別の人材育成の視点を示していくなど、個々の「働き方」へのアプローチを目指した研修を開発します。 また、教職員のキャリアステージに応じた人材育成指標にも、「働き方改革」の視点を組み込み、研修の体系化を進めていきます。 管理職だけでなく、一般教職員を対象にした研修を実施し、教職員全体の「働き方」の見直しにつなげます。 【工程表】働き方改革の視点を盛り込んだ研修の開発・推進 2018(H30)…研究分析、研修内容検討 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …各キャリアステージにおける研修の中で、開発された新しい研修を実施 【「働き方」は最初に決まる?!】 アンケートによると、「働き方(業務の進め方・取り組み方)」について最も影響を受けた時期は、「初任〜3年目」と答える教員が約5割(51.3%)と最も多く、働き方に対して影響を与える人物は、身近な「先輩」が約7割(72.0%)を超え、最も高い結果となりました。 【図】あなたの現在の業務の進め方・取り組み方に対して「最も影響を受けた時期」はいつですか? 【図】あなたの現在の業務の進め方・取り組み方に対して「最も影響を与えた人物」は誰ですか? 【平成 29 年 12 月 横浜市教育委員会・東京大学中原淳研究室共同研究「教員の働き方に関する質問紙調査」調査結果】 若い教員が増えている中、経験の浅い教員ほど勤務時間が長くなる傾向があることなどからも、今後ますます、校内 OJT 等の若手を支える積極的な取組が重要となります。 その際、「先輩」の背中を見て、その後の「働き方」が決まるという傾向があるということも、心得ておきたいところです。 - 38 - 【分かち合える職場へ】 下の図はなんでしょうか。 「理想の一日 デ・ザイン」と名付けられたこの図には、朝起きてから夜寝るまで自分が理想とする生活が描かれています。 「もっと読書がしたいな。」 「我が子に関わる時間を増やしたいな。」 「もっとゆっくりお風呂に入りたいな。」 一人ひとりの仕事と私生活。理想と現実。 持続可能な学校の姿として、まずは教職員が寝食を大切にして、明るく元気なことを第一に掲げた永田台小学校では、このような小さくも、深くあたたかな取組も始めました。 背景は様々でも、まずは理想を描き、みんなで共有することから始めてみませんか。 互いを知り、少しずつ寄り沿い、分かち合える職場って素敵ですね。 【図 理想の一日デ・ザイン〜心と体をケアする風土を学校でつくろう〜】 「ちゃんとメシ食って、ちゃんと風呂入って、ちゃんと寝ること。そういう人にはかなわないよ」 糸井重里 @あなたが必要とする睡眠時間を左の時計に書きましょう。 Aあなたが望む夕食時間を書きましょう。 Bあなたが望む帰宅時刻を書きましょう。 Cあなたが望む退勤時刻を書きましょう。 D朝、家を出る時刻を書きましょう。 E朝食時間を書きましょう。 F授業であなたのパフォーマンスを最大限に発揮することが望ましいですよね。  理想の一日を実現するために、どうしたらいいでしょう?  あなたのアイデアを聞かせてください。