- 10 - 3 重点戦略 〜4つの戦略と40の取組〜 学校と教育委員会事務局が両輪となり、4つの戦略と 40 の取組※12、個別の工程表に基づき、着実に勤務環境を改善し、働き方改革を計画的に推進していきます。 戦略1 学校の業務改善支援 (1)ICT等を活用した業務改善支援…総合学校支援システム(業務支援、教育活動支援)、e ラーニング研修の実施、調査依頼業務の見直し 等 (2)働きやすい物的環境の整備…負担軽減に配慮した学校施設の建替え 等 (3)家庭と仕事の両立支援…テレワーク等実施検討、教職員版フレックスタイム制度の試行実施 戦略2 学校業務の適正化、精査・精選 (1)学校業務の適正化…勤務時間外の留守番電話・部活動休養日・冬季学校閉庁日の設定 等 (2)学校業務の精査・精選…横浜市学力・学習状況調査に係る業務の一部外部委託、教職員の業務の精査、市主催行事等のあり方検討 等 戦略3 チーム体制の構築と人員配置の工夫・充実 (1)教職員配置の工夫、チーム体制の構築…小学校高学年における教科分担制の試行導入、教職員配置の工夫 (2)学校をサポートする専門スタッフ等の配置…職員室業務アシスタント・部活動指導員の配置の拡充 等 戦略4 教職員の人材育成・意識改革 (1)勤務実態の把握、マネジメントの推進…IC カードによる勤務実態の把握、メンタルヘルスセルフチェック、働き方改革に関する中期学校経営方針への位置付け (2)意識改革・研修…意識啓発、働き方改革の視点を盛り込んだ研修の推進 ※12…予算を伴う取組については、毎年度の市会の議決をもって確定とします。 なお、各取組における小学校には義務教育学校前期課程、中学校には義務教育学校後期課程を含みます。 - 11 - 戦略1 学校の業務改善支援 ICT 等を活用した業務改善支援を行うことで、事務作業の効率化や業務の絶対量の削減につなげます。 (1)ICT 等を活用した業務改善支援 @総合学校支援システムの構築(NEW) 【現状】 現在、オープンネットワーク(YYNet)とクローズドネットワーク(YCAN)が混在している一方で、教職員用のパソコンからの接続には制限がかかっているなど、使い勝手が悪いため、学校現場の実態に応じたネットワークの基盤構築が必要です。 特に、教育活動を支援するシステム(教材共有、授業・学習支援等)の本格的な整備に着手できておらず、現状、例えば、授業に使用する教材や学習指導案等については、各学校教育事務所の「ハマ・アップ」等における「紙ベース」での共有や学校便利帳での一部共有にとどまっており、欲しい情報が瞬時に入手できる状況になく、現状の整備では十分に活用できていない状況です。 【今後の方向性】 効果的・効率的な学校運営を総合的に支援するために、スケジュール管理や統計処理などの業務改善を支援する「業務支援機能」と教材の共有や授業・学習支援など教育活動を支援する「教育活動支援機能」を持つ「総合学校支援システム」の基本構想の設計に着手します。 設計段階から学校現場の意見を丁寧に聞きながら検討を進めていきます。 特に、調査依頼業務の効率化に向けたデータベース等の構築や、教材等デジタルコンテンツの全市的な共有・利用に向けた検討を優先的に進めていきます。 【工程表】システムの構築に向けた検討 2018(H30)…検討 2019(H31)及び2020(H32)…制度設計 2021(H33)及び2022(H34)…実施 - 12 - A e ラーニングによる研修の実施 (NEW) 【現状】 キャリアステージ別に策定した人材育成指標に基づき、研修の精査・精選を行い、平成27 年度に集合研修を約 30%削減しました。 引き続き、研修の更なる効率化を考慮しつつ、研修内容の整理・更新や、実施方法の検討などに取り組んでいくことが必要です。 【今後の方向性】 集合研修等の一部について段階的に e ラーニングに切り替えることで、研修会場への移動時間の縮減や、受講時期の自由度を高めて学校の業務状況に合わせて研修を受講することができるようにします。 また、研修欠席時のフォローや、出産休暇、育児休業、介護休暇などで学校を離れている教職員への研修機会の提供などについても検討し、より利用しやすく、効果的・効率的な研修の実施を目指します。 【工程表】e ラーニングへの移行に向けた取組 2018(H30) …モデル事業 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) … 集合研修等の段階的な e ラーニングへの移行 B学校に提出を求める文書の簡素化・調査依頼業務の見直し (NEW) 【現状】 25年実態調査によると、学校における文書作成や調査依頼業務への対応は、最も学校の負担感が大きい業務です。 特に、「依頼された業務が、何に活用されるのかわからないこと」「同じような依頼事項が何度も繰り返されること」「締切までの時間が短く、他の業務を後回しにしなくてはいけないこと」「突発的な依頼があり、業務の予定を変更しなくてはいけないこと」などが多忙に感じる要因として挙げられています。 【今後の方向性】 短期的には、25 年実態調査で挙げられた課題を踏まえ、事務局内の各調査について、調査の必要性の再検討、調査時期の事前周知、回答に必要な時間の確保、学校の繁忙期を考慮した調査時期等の設定など、調査についてルール化し、事務局内の運用を徹底します。 また、調査内容についての丁寧な説明や、各調査の結果や活用方法等を学校へできる限りフィードバックします。 中期的には、「@総合学校支援システムの構築」において、回答の簡略化を進めるためのデータベースの構築を検討していきます。 その他、国や県の調査の簡素化や見直しについても、継続的に協力を求めていきます。 また、市の関係局等から学校への調査依頼についても効率化に向けた協力を求め、調整をしていきます。 【工程表】調査依頼を簡略化する取組、システムの改修等 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34)…調査業務の見直しに向けた継続的な検討・学校便利帳等の改修 - 13 - C電子申請システムの活用(NEW) 【現状】 学校が主催する説明会や研究会の出欠席などについて、FAX をはじめ紙面上での連絡が中心のため、とりわけ回答の集約については更なる効率化を図る余地があります。 【今後の方向性】 QRコードを利用した電子申請システムの活用により、回答集約等の効率化を図ります。 また、活用方法や学校での活用事例など利便性を周知することで、学校での活用を促進し、事務連絡等の負担軽減を図ります。 【工程表】電子申請システムの活用 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …活用事例周知 【QRコードって便利かも!?】 ■ 学校行事など「保護者アンケート」の集計 ■「保護者会」の参加確認 ■「研究発表会」の参加者リスト作り これらの業務を、もっと効率的にできないだろうかと考えたことはありませんか? 南小学校では、「横浜市電子申請・届け出システム」を活用し、学校評価の保護者アンケートを行う検討を始めました。 このシステムは、総務局の ICT 基盤管理課が運用している本市のシステムで、YCAN につながるパソコンからアクセスして活用できます。 設問作成や QR コード生成も簡単です。 例えば、学校行事の保護者向けのアンケートを、下図のように実施した場合・・・ 【図】 保護者…いつでも、どこでも、簡単回答!(スマホからでも回答可能) 学校…「回収&手入力}の手間ゼロ!(すぐにデータ分析へ) まずは、次のページにアクセス! YCAN ⇒ 総務局 ⇒ ICT 基盤管理課 ⇒ 電子市役所基盤システム⇒ 電子申請・届出システム - 14 - D学校向けグループウェアの導入 【現状】 教職員間の連絡や情報共有を効率的に行うことができるよう、スケジュール機能や掲示板機能等を備えた学校向けグループウェアの導入支援を実施しています。 平成 29 年度末までに 216 校が導入予定です。 【今後の方向性】 引き続き学校への導入支援を実施するとともに、グループウェアの導入を契機として、職員会議等の回数や時間の削減、効果的な情報共有の推進や、ペーパーレス化を進めることで、学校における業務改善に向けた取組を進めていきます。 【工程表】グループウェア導入校数 2018(H30)…250 校 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …順次拡充 【情報共有方法 変えてみました!】 校内ネットワークにグループウェアを導入する学校が増えてきました。 グループウェアやグループウェアの導入に合わせて職員室に設置した大型モニターの活用等により、情報の発信・共有が格段にスムーズになったとの声が聞こえてきます。 さらに、導入を契機に、他の業務改善につながる取組も広がっています。 モニターを設置し、最新の情報や会議の資料等をリアルタイムに確認! 【左近山小学校の実践例】 「職員室に入って一目で最新の情報が確認できるので、円滑な情報共有ができています。」 「会議・打合せのペーパーレス化をさらに進めることができました。」 「打合せの資料をその場で直せるので、とても便利です。」 ペーパーレス化の推進で、グループウェアの運用経費を上回る経費の削減! 【三ツ境小学校の実践例】 グループウェアの利用の徹底により、週2回の会議についてペーパーレス化を実現し、印刷にかかる経費を年間で 総額 20 万円以上も削減できました。 - 15 - E校務システムの継続的な改修 【現状】 校務を効率化し、出欠管理や成績処理などの電子化や児童生徒の情報を校内で共有する仕組みとして校務システムを小学校は平成 23 年度から、中学校は平成 24 年度から導入しています。 【今後の方向性】 より使い勝手のよいシステム構築に向けて、教職員からの改修ニーズを定期的に把握しながら、業務の軽減と効率化に向けて、必要に応じ、システムの改修を行います。 【工程表】校務システムの継続的な改修 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …システム改修 F学校ホームページの CMS 化 【現状】 学校ホームページの作成・更新を CMS 化することでより簡易に行えるよう、平成 26 年度から順次導入を進めています。 平成 29 年7月までに 436 校で導入をしており、ホームページ更新に係る業務負担の軽減にも寄与しています。 【今後の方向性】 未導入校に対し、引き続き CMS 導入のサポートと研修を実施し、よりスムーズに活用することができるようにします。 【工程表】CMS導入校数 2018(H30) …445校導入 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) … 順次導入 【「スタンドミーティング」やってみると…】 南戸塚中学校では、働き方改革に向けた取組を進めています。 その一つに、毎月、1時間以上の時間をかけていた各部門の会議を見直し、「スタンドミーティング」(文字通り立って1回当たり 10〜15 分で終わらせる会議)に変更しました。 毎回「次回のミーティングまでの課題」を各自で整理し、その結果を次回のミーティングに持ち寄るという形にし、会議時にはゼロから議論するのではなく、時間の効率化につなげています。 現在では、会議の回数なども精選し、生み出された時間を教材研究や部活の時間等に充てられるようになっています。 - 16 - (2)働きやすい物的環境の整備 @負担軽減に配慮した学校施設の建替え (NEW) 【現状】 児童生徒の増加に伴う増築を繰り返したことなどにより、施設配置上、動線が非効率な学校が多くあります。 また、必要な諸室が充分に整っていない学校も多く、子どもの学習環境への影響もあり、教職員の日常の学習指導に負担がかかっています。 【今後の方向性】 10 年以上行っていなかった、学校施設の建替事業に着手します。 建替えは原則として全面建替えで行い、施設配置や整備内容を抜本的に見直すことで、快適で学習しやすい環境を整え、子どもの学習環境の充実や教職員の働きやすい環境を整備します。 【工程表】学校施設の建替えに向けた取組 2018(H30)…3校(基本設計) 2019(H31)…3校(基本設計) 2020(H32) 2021(H33)…建替工事 2022(H34) …建替工事、供用開始 A特別教室の空調設置 【現状】 平成 25 年に普通教室への空調設置を完了し、子どもの教育環境だけでなく、教職員の勤務環境も飛躍的に向上しました。 更なる学習環境の改善を進めるため、平成 28 年度末までに累計 167 校において4つの特別教室(図書室、理科室、図工室・美術室、家庭科室・調理室)に空調の設置をしました。 【今後の方向性】 引き続き、取組を進め、平成 31 年度までに特別教室への空調設置を全校で完了させます。 【工程表】特別教室の空調設置 2018(H30) …145校(累計430校)設置 2019(H31) …72校(前項設置) - 17 - B職員室レイアウトの改善 【現状】 職員室の机や書庫の配置の見直しなどレイアウトの改善を図り、収納・作業スペースを確保し、書類や資料を共有できる仕組みを構築しました。 また、会議スペースの見直しを進め、会議の効率化や職員室のレイアウト改善等に取り組む学校の改修整備を進めました。 【今後の方向性】 これまでのレイアウト改善に取り組んだ学校の事例等を広く学校に発信し、よりよい職員室環境を整備します。 【工程表】職員室レイアウトの改善実施 2018(H30) 2019(H31) 2020(H32) 2021(H33) 2022(H34) …職員室レイアウトの変更・改修の推進 【ここにもある!働きやすい職場のヒント】 働きやすい職場環境づくりは、働き方改革を進める上で、とても大切な視点です。 これまで、民間企業の取組等を参考に、この分野での学校の取組が進みつつあります。 好事例を共有し、まずは身近なところからの改善を進めていきたいものです。 富士見台小学校では、学校独自の発案により、職員室レイアウトの改善を進めてきました。 共用スペースを活用した情報共有やコミュニケーションの活性化などの工夫を重ね、教職員の協働性と創造性が高まりました。 【図 Before 職員室レイアウト改善着手前 → After 職員室の机等の配置変更(共有スペースの確保等)】 杉田小学校では、必要なものをすぐに見つけることができるよう、事務室の改善を進めてきました。 分かりやすい表示、見える化を意識した配置や種類別に小分けされたケースを活用した整頓など、どこに何があるのかが分かるよう、探す側の目線に立った事務室環境づくりがなされています。 【写真】 - 18 - (3)家庭と仕事の両立支援 @テレワーク等の実施に向けた検討 (NEW) 【現状】 現在の教員の年齢構成等を考慮すると、今後 10 年間で出産や子育て、介護等を抱える世代はさらに増えることが見込まれています。 家庭と仕事の両立支援に向けて、多様な勤務のあり方について検討を進める必要があります。 【今後の方向性】 出産、子育て、介護などそれぞれが抱える事情は様々なため、家庭と仕事の両立支援に向けて、勤務管理のあり方なども踏まえながら、在宅でできる教職員の業務について、テレワークのシステム導入を含め、検討を進めます。 【工程表】テレワーク等実施に向けた取組・検討 2018(H30)…検討 2019(H31) 2020(H32) …試行実施 2021(H33) 2022(H34) …実施 A教職員版フレックスタイム制度の試行実施 (NEW) 【現状】 職員の勤務の開始及び終了時刻は 8:15〜16:45 を標準としつつ、開始時刻は 8:00〜8:30 までの範囲内で1日 7 時間 45 分の勤務時間を学校長が割り振っており、同一職種は同様の勤務時間を割り振ることになっています。 このような一律の取扱いを見直し、例えば子どもの保育園の送迎等で勤務開始時刻に間に合わせることが難しい状況にある教職員に対し、ある程度、勤務の終始時刻に柔軟性をもたせることが考えられます。 【今後の方向性】 子どもが定刻に登下校するという学校ならではの実情を踏まえつつ、例えば子育て中の教職員に対して、多様な選択肢を提供できるよう、時差通勤制度の導入など、家庭と仕事の両立支援に向けた勤務時間のあり方について検討します。 【工程表】教職員版フレックスタイム制度の導入に向けた取組・検討 2018(H30)…モデル・検討 2019(H31) 2020(H32)…試行実施 2021(H33) 2022(H34)… 実施