- 35 - 7 研究・研修の実施 (1)研究の実施 ICT は各教科横断的な視点から、各教科等の学習活動の中で適切かつ効果的に活用されることが望まれます。 各学校が教育課程に ICT 活用を位置付け、情報活用能力等の資質・能力を育むために、教育課程研究委員会(※36)の研究の視点の一つに入れていきます。 一方で機器やサービスの進展が著しく、教職員 の研究・研修は常に更新していく必要があり、主 として研究・研修は、各学校の自主的な取組とともに、教育委員会事務局が教育研究会(※37)などと連携 を図りながら進めていきます。 また、プログラミング教育への支援を中心に企業や、地元の教育機関と連携して進めてきました。 今後も企業等と連携し、ICT 活用を効果的に取り入れた授業や先端技術を生かした授業などの研究を進めていきます。 ICT 教育は、これまで端末数の問題などから、一部の教職員が利用するといった偏りがあり、全ての児童生徒が様々な授業等で利用する状況ではありませんでした。 ICT の活用を推進するには、教職員一人ひとりの能力の向上に加え、学校全体での管理・運用と活用の計画性が求められることから、学校で核となる人材の育成が急務です。 【今後の取組】 (37) 研究会との連携による授業実践の計画【超短期】【短期】<拡充> 教育研究会との連携を図り、児童生徒の資質・能力の育成のために効果的な端末の活用を想定した授業実践を計画します。 <取組例> 〇デジタル教材やその活用に関する検証 ・既存のデジタル教材が、児童生徒の資質・能力の育成に資するかを検証 ・児童生徒の資質・能力を育成するデジタル教材の活用について授業実践を検証 ※36…市立学校の教育課程の編成・実施・評価・改善を促進し、学習指導の充実を図るための研究を行う組織。教育委員会事務局が設置。    総則部会と専門部会(教科等 16 部会)からなる。教職員が委員を務めるほか、全ての部会において大学教授等の外部委員から助言を受けている。 ※37…市立学校の教職員が教科等ごとに学習指導の充実を図るため、任意で参加する研究会組織。 - 36 - (38) ICT を活用した授業等の研究【超短期】【短期】【中期】【長期】<拡充> 短期的には、教育課程研究委員会により各教科横断的な視点からの ICT を活用した授業の検討を進めます。 また横浜市情報教育研究会(※38)や企業との連携による研究、事例開発を継続します。 中長期的には、各学校が ICT を効果的に活用した授業改善を進め、機器やサービスの進展に応じた変化にも対応し、校内の端末活用促進や率先した授業実践を進められるような「情報教育リーダー教員」を育成する研修(※39)の在り方の検討を進めます。 (2)研修の実施 授業などで活用するには、教職員の ICT 活用指導力等の資質・能力を育成することが重要です。 これまでも様々な研修を行ってきましたが、「Zoom 体験サポートプログラム」の一環として、令和2年6月に「『Zoom』の操作、活用等に関する研修」、8月に「『ロイロノート』・『YouTube』の操作や活用等に関する研修』」を実施しました。 今後は、各学校のニーズに合わせたサポートが可能になるような学校訪問型の研修体制を整えていきます。 また、全学校へ横浜市における GIGA スクール構想や取組などの内容を周知するために、説明会を実施する予定です。 さらに、学校種に応じた教職員の研修計画を大学等と連携しながら作成していきます。 【今後の取組】 (39) 端末等の操作・活用事例等の研修【超短期】<新規> 集合研修・e ラーニング研修、企業との連携による研修を実施するほか、引き続き、学校の要望に基づき派遣している情報教育研修や ICT 支援員等とも連携し、操作・活用の支援を実施します。 〇1人1アカウント、1人1台端末環境を想定した授業づくり研修 ・感染症防止に配慮しながら、規模や形式工夫した集合研修の実施 ・e ラーニング研修、企業との連携による「WEB 研修」の実施 ・学校の要望に対応した「ICT 支援員」の派遣研修 〇端末の基本操作や活用事例等の研修 ・個々のニーズに対応した「ICT 支援員」による校内ミニ研修の活用 ・教育研究会等と連携した活用・実践研修の実施 ※38… 横浜市内の小学校教員が情報教育や ICT 活用に長けた教員がそれぞれの専門性を高めるために集まり、研修や授業公開研究を行っている。 ※39…平成 30 年度より各学校における情報教育を推進する教員を育成するための専門研修として、「情報教育リーダー教員研修」を実施。令和 2 年 9 月現在、小・中学校合わせ延べ 87 名が受講済み。 - 37 - (40) 企業・大学等との連携による研修の開発【短期】【中期】【長期】<新規> 〇企業等の協力を得ながら、様々なネットワークを活用した研修 ・Zoom やロイロノート等のオンラインコミュニティを活用した研修の推進 ・企業のリソースを生かした、デジタル教材や研修内容の開発 〇大学と連携し専門的な知見を踏まえた研修 ・大学と連携した教職員の研修の体系づくり ・教育データ活用に関する研修 <コラム6> 幅広く学校の教職員と共に進める横浜市 GIGA スクール構想 GIGA スクール構想では、ハード・ソフトの早急な整備が求められています。 デジタル教材等のソフトの整備における企業連携、教職員の ICT 活用指導能力の育成における横浜国立大学教職大学院等の大学との連携を行い、専門的な知見も踏まえた研修の体系を整備していきます。 これらを年度内に推進していくために、横浜市情報教育研究会の教職員の協力や小学校教育研究会(市内小学校の全教員、管理職が参加)の中に各教科等研究会の代表者からなる「GIGA スクール構想の実現化に向けたプロジェクトチーム」を令和2年9 月に立ち上げ、来年度の授業の在り方や教職員の研修の在り方についても、学校の実態に合わせてボトムアップで取り組んでいきます。 <コラム7> 研修環境の充実に向けて 教職員への研修は、平成 30 年3月策定の「働き方改革プラン」に基づいて、集合研修の一部について段階的に e ラーニングに切り替えることで、移動時間の効率化や受講時期の自由度を高めてきました。 感染症対策としても、e ラーニングでの研修は一層必要性が増しています。 こうした経過の中で、教職員用の花咲研修室はインターネット環境が十分とは言えず、研修の実施に際し、通信速度や脆弱なデータの保存・共有環境、機材の不足などの課題が明らかになりました。 今後は、全ての研修室に Y・Y NET(※40)やYCAN(※41)の使用が可能となるような研修環境の改善も超短期の目標として急務です。 中長期的には、十分なICT環境が整備された研究・研修室等を備えた、研究・研修等の拠点施設となる「新たな教育センター」(※42) の早期設置を目指します。 【写真】<花咲研修室の様子> ※40… 横浜市立学校を結ぶ、学習用ネットワーク。 ※41… 横浜市の職員が業務で利用するコンピュータのネットワーク。 ※42… 新たな教育センターの施設確保に向け、施設の基本理念、機能、施設規模・構成、立地条件等について、有識者からも意見を聞きながら、令和2年3月に基本構想を策定した。