- 17 - 6 クラウドサービス等を活用した教育環境の充実 端末やクラウドサービスを活用し、「学びの改革」・「心と身体のケア」・「学校と家庭との連絡調整」の3つの視点から、学校種等による違いを踏まえ、今後進める取組について、記載しました。 <視点1>学びの改革 端末等を日々の授業の中で日常のツールとして活用し、これまで以上に児童生徒の思考活動や学び合いの充実を図っていきます。 また、学校外における学びの可能性を広げ、例えば、災害時などで学校に通うことができない状況でも、双方向の学びを続けられるようにしていきます。 <視点2>心と身体のケア 個々の児童生徒の心身の状況を把握し、状況変化を見える化することで、一人ひとりに寄り添った指導につなげます。 また、オンラインでの連絡や相談を実現することで、緊急時に迅速に対応します。 <視点3>学校と家庭との連絡調整 学校と保護者等との連絡・情報共有を紙からデジタルへ移行することで、迅速な情報共有、保護者等及び教職員の負担軽減、双方向連絡の実現による更なるコミュニケーションの円滑化につなげます。 (1)全ての学校種に共通する取組 ア 個別最適な学びへの取組 端末等の整備により、児童生徒の学習の状況や興味関心、特性等、個に応じた指導の充実や、配慮を要する児童生徒への合理的配慮を一層図ることが可能となります。 【今後の取組】 (5) 端末やクラウドサービスの活用による個別最適な学びへの取組 【短期】<新規> 一人ひとりの学習課題について、解決までの過程を個に応じて変えたり、複数準備したりすることがデジタル教材の活用によって容易になり、個に応じた指導を時機を捉えて行うことができます。 また、クラウドサービスの活用により、学習の履歴を蓄積し、個々の児童生徒の状況を客観的・継続的に把握・共有することができます。 今後、これらのデータも活用して、児童生徒一人ひとりに寄り添った教育を推進していきます。 - 18 - イ 心と身体のケアやいじめ等への対応 これまで、「心のケア」や「いじめ」等への対応は、アンケート用紙を活用した実態把握や、それをもとにした教育相談を中心に行ってきました。 こうした取組に加え、「端末を活用して心や身体の情報を共有・蓄積できること」は、「困っていても自ら SOS サインを発することができない、その方法が分からない」という児童生徒を含めた、全ての児童生徒にとって安心・安全につながる有効な手段になり得ると考えられます。 考えられる取組は、次のとおりです。 【今後の取組】 (6) 「今日の心と体の健康チェック」・「(仮称)一行日記」等の試行・実施 【超短期】【短期】<新規> 毎日の自己の心理状況(今日の気分)をチェック(「今日の心と体の健康チェック」)し、それを担任等が把握するとともに、児童生徒本人の自己認識を促します。 継続して実施することで経過を積み重ねていきます。 担任だけでなく複数の教職員で情報を共有し、状況を把握することで様子を見守ったり適切なタイミングで声をかけたりすることも可能となります。 「一行日記(心の記憶)」については、下校時に一日の振り返りとして入力し、「今日の心と体の健康チェック」と同様に、児童生徒の理解のための情報として活用します。 さらに、児童生徒自身の記録としてデータを蓄積していくことで、成長を確認したり、活動を振り返ったりするために活用します。 また、毎日端末に触れることにより、操作に慣れたり、自己チェックを習慣化したりすることにつながると考えられます。 このほか、出欠や、その日の体温などの情報についても、クラウドサービスなどを活用することにより、更に心と身体の状況を深く知り、適切なケアにつなげることが可能となります。 (参考)イメージ図 その日の気分に合った表情シールを選択し、カレンダーに貼り付けたり、必要に応じてコメントを添えたりすることが可能。 一日の振り返りとして、日記を記入する場合には、ここにコメントを添付することで、担任等が確認できるとともに本人のデータとして蓄積される。 - 19 - (7) 心の状況セルフチェック(心と体の健康アンケート)【超短期】<拡充> 長期休業明け等の児童生徒の「心のケア」を目的に、学校が必要に応じて活用できるようにアンケートを掲載します。 児童生徒の自己理解や、担任等による一人ひとりの心身の様子を把握した教育相談や経過観察に生かします。 なお、アンケートは、令和2年5月に配付した「心と体の健康アンケート」を参考に、4~6項目程度のアンケートに再構成をすることを想定しています。 【図】(参考)「心と体の健康アンケート」抜粋 (8) 相談履歴等の蓄積【短期】<新規> 児童生徒は様々な関係機関と相談等に関して連携していることが多いため、これらの情報を蓄積していくことで、関係機関との連携をより深め、児童生徒の継続的な心身の状態の把握をしていきます。 (9) 「いじめアンケート(簡易版)」の実施【短期】<新規> いじめの実態把握と未然防止を目的に、児童生徒の負担がないように、短時間で回答できる項目数の少ないアンケートを実施できるようにします。 なお、学校によっては、定期的に「いじめアンケート」を実施している場合もあるため、「12 月のいじめ解決一斉キャンペーン 」とは別に、学校の実情や活用したいタイミングに合わせて実施できるように提供します。 (10) 教育相談の申込【超短期】【短期】<新規> 話したいことや相談したいことがあっても自分からは声を出せない児童生徒が、担任等に対して、サインを出せるようにすることで、担任等から声をかけ、話を聞くことができるようにします。 児童生徒が他人に知られずにサインを出すことができ、迅速な支援・対応に結び付けることが目的のため、当面の間、情報セキュリティや個人情報保護等を鑑みて、相談の内容にまでは踏み込まずに「話したい」意思を伝えられるボタンの設置し、必要に応じて自由記述できるようにするなど、各学校で柔軟に運用できるよう、実践例を提供していきます。 - 20 - (11) 横浜プログラム「学校生活についてのアンケート」の効果的な活用 【短期】<拡充> 学校では、児童生徒の集団としての社会的スキルの育成状況把握のために、年間2~3回程度、学校生活についてのアンケートを実施しています。 児童生徒が端末に直接データを入力することで、教職員による転記が不要になり、迅速に集計ができるようになり、更に活用推進が図られると考えられます。 ウ 学校と家庭との連絡 ICT を活用した学校と家庭との連絡の取組(保護者から学校への欠席・遅刻連絡、学校から保護者へのお知らせ・アンケート等)について、民間企業が開発したシステムを試験導入(※26)しました。 試験導入校へのアンケートの結果、教職員にとっては事務的な作業の効率化、保護者にとっては利便性向上のメリット等が期待できるという声が多くあり、臨時休業中に保護者とコミュニケーションをとることに役に立ったという声が寄せられました。 こうした成果や児童生徒・教職員へのアカウントの配付などを踏まえ、今後、クラウドサービスを活用し、迅速な情報共有や連絡等が図れる環境を整えます。 【今後の取組】 (12) クラウドサービスを活用した学校と家庭との連絡【超短期】【短期】<新規> 試験導入で判明した成果を踏まえて、1人1アカウントを配付するクラウドサービスを活用した、学校と家庭との連絡を行えるようにします。 なお、学校が既に独自に契約締結している、学校と家庭との連絡などに係る類似のサービスについては、これまで活用している経過や地域の事情を踏まえ、その利用の継続を妨げるものではありません。 <考えられる活用例> 〇保護者等からの連絡受付 (例:児童生徒の欠席・遅刻・早退 等) 〇学校から保護者等へのお知らせ配信 (例:学年便り、学校便り、部活動予定 等) 〇学校から保護者等への電子アンケートの配信・保護者の回答 (例:運動会アンケート、授業参観アンケ―ト 等) 〇自然災害や感染症対策等に関する学校からの迅速な情報提供 (例:急な時間割や登下校の変更、警報発令に伴う臨時休業等の案内 等) ※26… 株式会社 137 と横浜市との間で協定を締結(平成 31 年3月~令和2年3月)して開発した学校と家庭をつなぐ情報共有システム。小学校・中学校 2 校ずつ、高等学校 1 校、特別支援学校 1 校の計6校で試験導入。 - 21 - (2)小学校・中学校における学びの改革 ア 一般学級 これまでは、パソコン教室(※27)や各教室に設置されている端末や、各学校に 40 台程度配備されている iPad 端末を利用してきました。これらの活用により、文書作成、動画視聴のほか、大型提示装置(50 インチテレビ)に接続して全員で情報共有をするなどして授業を工夫してきました。 この他、企業連携による機器の貸与によって、プログラミング教育などを実践してきた学校もあります。 しかし、十分な ICT 環境下で行われていなかったため、一定の限界がありました。 こうした中、新型コロナウイルス感染症による一斉臨時休業に伴い、ウェブサイト「クラウド・キャンパス(※28)」を使い、学びの学習動画を配信するとともに、tvk サブチャンネルにおいても動画を配信しました。 家庭学習については、学校・家庭両方の ICT 環境が整っていることが前提となるため、各学校の取組は、原則として教科ごとにプリントを中心とした課題の提示に留まりました。 今後は、ICT 環境を充実し、一斉臨時休業時の対応のみならず、日々の授業における学びの改革を進めます。 <コラム3> 一斉臨時休業期間中における学習動画の配信 ~小・中学校編~ 小・中学校の各学年の教科等の単元や題材等に応じたものを 10 分程度のコンテンツとして作成しました。 各コンテンツでは、単元や題材等の学習内容のねらいを提示するようにしました。 また、動画の中で、教員が児童生徒に解答を求める場面や学習の感想やまとめを書くよう促す場面を設け、ただ見るだけではなく、考え、表現する活動を行えるように工夫しました。 配信期間 :令和2年4月8日から令和2年5月 31 日まで 配信動画数 :約 2,250 本(小・中・特支:約 650 本、高校・附属中学校:約 1,600 本) 制作に携わった人数:小・中・特支 約 330 名(教員:約 240 名、指導主事:約 90 名)            高校・附属中学校 約 440 名(教員:約 435 名、指導主事:5名) tvk放送期間:4月 20 日~5月8日、5月 18 日~22 日、25 日~29 日 ※27…コンピュータやソフトウエアの操作を学んだり、調べ学習やコンピュータを活用した活動を行う授業に利用したりする、コンピュータが常設された教室。 ※28…横浜市の教職員が利用するクラウド型の e ラーニングシステム。 - 22 - 【今後の取組】 (13) 既存のデジタル教材やクラウドサービスを活用した授業実践 【超短期】<拡充><新規> 日々の授業において、児童生徒の資質・能力を育むために、指導者用デジタル教科書を含めた既存のデジタル教材や、端末整備後の授業を見据えて、新たに導入する学習用クラウドサービスを活用する授業を実践します。 また、配備済みの端末を活用した授業も引き続き推進します。 <取組例> 〇指導者用デジタル教科書等のデジタル教材の提示:教員が提示する資料を、児童生徒が見て気が付いたことを発表するなどして、学び合いを深めます。 〇学習支援ソフトの本格的活用の準備:クラウドサービス型の学習支援ソフトの活用を開始します。 〇児童生徒一人ひとりによる情報検索:児童生徒が調べ学習で情報を集めることを通して、自らの課題に対する主体的な学びの充実を図ります。 <コラム4> 指導者用デジタル教科書(教材)の導入 ~小学校編~ 令和2年度から新しい小学校学習指導要領が全面的に実施され、教科書もそれに対応した新しいものを使用しています。 このタイミングに合わせ、本市では、指導者用デジタル教科書(教材)を全ての小学校・義務教育学校前期課程等に導入しました。 【写真】学習の様子 指導者用デジタル教科書(教材)は、教員が授業の際にプロジェクタ等で拡大して使用します。 教科書紙面に加えて、音声や動画、アニメーションなどが収録されており、児童が見て気が付いたことを発表するなどして学び合いを深める等、授業の充実、教職員の負担軽減が図れるツールです。 例えば、令和2年度から新たに教科となった英語の授業においては、英語の発音を実際に聞いたり、動画教材に触れることによって、児童の興味・関心を高め、楽しみながら英語を学習することができています。 - 23 - (14) 整備される端末やクラウドサービス等を活用した授業実践【短期】<拡充> クラウドサービス型の学習支援ソフトを、授業中のコミュニケーションや学習記録等の蓄積、学校と家庭の学びの連続性を図ることなどに活用していきます。 また、プログラミング教育についても、端末を用いて問題解決的な学習を実施し、一層の充実を図ります。 <取組例> 〇コミュニケーションの活性化:クラウドサービス型の学習支援ソフトや大型提示装置を用いてクラス全員で考えを共有して協働的な学びを充実させます。 〇学んだことや行動の記録の蓄積:入力した学習の記録(学びの振り返り、感想等)により、児童生徒が自らの学習改善をしたり、教職員が児童生徒の学習の状況を把握したりすることを効率的に行えるようにします。 〇学校と家庭の学びの連続性:学習の問題(課題)について、学び方や調べ方などをクラス全員で共有できるよう指導した後、じっくり考えて、自分の考えをまとめる活動等を家庭学習で行えるようにします。 〇プログラミング教育の一層の充実:アプリや連動する機器を用いて、一人ひとりの端末で実施したり、グループで協働したりして実施するような場面を設定して行います。 (15) 進展する技術を活用した授業実践【中期】【長期】<拡充> 児童生徒に給付される教科書のデジタル化の動向にあわせて、個別最適化が図られた授業を推進し、児童生徒の資質・能力の育成を目指します。 また、学校での双方向高速通信の実現により、児童生徒の長期入院時等における学習支援の充実を図るほか、遠隔地の講師や海外の学校等と教室がリアルタイムに交流することや、バーチャルリアリティによって表現されたコンテンツを閲覧すること等により、学びの場を広げていきます。 <取組例> 〇学習者用デジタル教科書の活用:一人ひとりの端末に表示されるデジタル教科書によって、絵図、写真資料などを拡大してじっくり見たり、音声によるガイドや書き込み機能を使用したりすることにより、児童生徒が個々の課題に柔軟に対応して、主体的に学びに向かえるようにします。 〇デジタル教材の活用:問題演習に取り組むときに、問題数や難易度を変えることで、一人ひとりの学習状況に応じた学びを実現できるようにします。 - 24 - (16) 端末を使用したテストや調査等の検討【中期】【長期】<拡充> 各教科等のテストや、児童生徒の学力の状況を把握するための調査等について、国の動向を踏まえながら CBT(※29)化に向けた検討をしていきます。 ペーパーレス化や教員の作業の効率化等が期待されます。 端末操作のスキルの差による解答(回答)への影響を少なくするため、スキルの習得状況を把握しながらより良い方法を検討します。 イ 配慮を要する児童生徒 (※30)への支援 一般学級において、特別な配慮や支援を必要とする児童生徒が増加しており、一人ひとりの困難さに応じた指導とともに、子どものよさを生かした学びにつながるように、ICT 活用を推進していきます。 また、不登校児童生徒への学習支援においては、学習支援ソフトの活用により、学年を遡っての学習や、視覚的に分かりやすく意欲を引き出す教材等が有効であると考えます。 そのために必要な学習支援ソフトの機能は、以下のとおりと考えており、このような機能を搭載したソフトを活用して事業を推進します。 ・学年を遡って学習ができる ・学校内での評価の参考とするため、教科書に準拠している ・アニメーション等の工夫により、児童生徒の興味を惹く工夫がされている ・児童生徒が、学習の達成状況を確認できるなどの工夫がされている ・学校において、学習の進捗確認や、必要に応じ助言が行える機能が搭載されている 【今後の取組】 (17) 特別支援教室実践推進校における ICT 機器を活用した教育の充実 【短期】【中期】<新規> ICT 機器を活用することにより、コミュニケーションの苦手さや学習上の困難さを抱える児童生徒の心理的な安定を図り、学習理解が進むよう、個々のニーズに応じた指導・支援をしていきます。 また、集団での学習に不安を感じる児童生徒に対しては校内授業のライブ配信などを検討するとともに、前の学年の内容の補習的な学習や、反復学習が必要な児童生徒には学習ソフトやデジタル教材を使って学習内容の理解促進を図っていきます。 さらにこれらを特別支援教室実践推進校でモデル的に行い、配慮を要する児童生徒全体への取組として広めていきます。 ※29…Computer Based Testing の略。問題用紙や解答用紙を用いず、全てコンピュータ上で行うテスト。 ※30…特別な支援が必要な児童生徒、不登校(傾向)にある児童生徒等。 - 25 - (18) 「校内における不登校生徒への支援」の推進【短期】【中期】<拡充> 中学校の特別支援教室等において、何らかの心理的な理由や人間関係等で在籍級には登校できないものの、別室であれば登校できる不登校(傾向)にある生徒を対象に、教育や不登校児童生徒への支援に理解のある人材(不登校児童生徒支援員(※31))を配置し、学習支援ソフトを活用した学習支援や個々の状況に寄り添った支援を推進します。 (19) 「(仮称)@ホームスタディ事業」の実施【短期】<新規> 小学校及び中学校において、不登校(傾向)で、在籍級や特別支援教室等で学習することが困難な状況にあり、学校外の公的機関(ハートフルスペース・ルーム等)や民間施設での相談・指導を受けられない場合に、児童生徒に配当された端末を活用し、自宅で学習支援ソフトを活用した学習(※32)を行います。 なお、学校からの申請手続き、学校による支援困難な児童生徒を対象にした家庭訪問、学校との情報共有、電話相談等を実施する支援員を配置します。 (20) 家庭訪問による学習支援等事業【短期】<拡充> 小・中学校において、現在、ひきこもり傾向にあり、学習の機会が得られていない児童生徒を対象として、民間教育施設(フリースクール等)への委託により、職員が家庭を訪問し、学習支援ソフトの活用による学習や個々の状況に応じた支援を行うなど、アウトリーチ(※33)による支援を実施します。 今後は、児童生徒が学校に配当された端末を活用することにより、職員の訪問時以外にも学習支援ソフトを活用した学習ができるようになります。 (21) 「ハートフルスペース」・「ハートフルルーム」等での不登校等児童生徒に対する支援の充実【短期】<拡充> 現在、「教育支援センター(※34)」では、ハートフルスペース4か所、ハートフルルームを 10 か所(小学校4か所、中学校6か所)設置し、不登校児童生徒への活動や学習の支援を行っています。 今後、これらのうち Wi-Fi 環境が不十分な施設に対し、モバイルルータを配備するとともに、不登校児童生徒が配当された端末を利用することで、学習環境等の充実を図り、アダプティブ(個別最適)な支援を実施します。 ※31… 不登校児童生徒への対応の経験が豊富な教職員等。今後は中学校全校への配置を目指す。 ※32… 自宅で ICT(学習支援ソフト)を活用した学習活動を実施することが当該児童生徒の自立を助けるうえで、有効・適切であると学校長が判断した者を対象とすることを検討。 ※33… ひきこもり傾向にある児童生徒に対し、横浜市教育委員会が委託した民間教育施設の職員が家庭を訪問して学習支援等を行う事業。 ※34… 不登校児童生徒の個々の状況に応じて、社会的自立に向けた相談・支援を行う支援機関。主にハートフルフレンド(家庭訪問)、ハートフルスペース(不登校児童生徒が週1日程度通室し、創作活動や軽スポーツ等を行う施設)、ハートフルルーム(不登校児童生徒が週5日程度通室し、創作活動や軽スポーツ、教科学習等を行う施設)の運営等を行う。 - 26 - ウ 個別支援学級 一般学級と同様に ICT 機器を活用することに加え、障害による学習の困難さを改善していくために、板書の撮影や拡大機能により文字を見やすくするなどの活用がなされてきました。 また、例えば交流学級の運動会・体育祭の練習を撮影して、個別支援学級で練習するなど一人ひとりのニーズに応じ、学校内での交流及び共同学習の充実にも ICT機器を使用する工夫が行われています。 臨時休業期間中は知的障害のある児童生徒が分かりやすいように工夫した動画を配信しました。 しかし、個別支援学級には多様なニーズの児童生徒がいることから、一律に作成した動画を送信するだけでは学習保障としては十分とは言えませんでした。 今後、個別支援学級においても一般学級での ICT を活用した「学びの改革」の取組を推進するとともに、児童生徒のニーズに合った、より個別最適化された指導・支援への活用を進めます。 【今後の取組】 (22) 一人ひとりに合わせたアクセシビリティの確保【超短期】【短期】<新規> 障害のある児童生徒が端末を有効に活用するためには、日常生活や学習活動を行う場合に生じる困難さに応じて、端末の設定を変更することが必要です。 端末は、コミュニケーション手段の代替手段としての活用も考えられることから、児童生徒一人ひとりのアセスメントを行った上で、端末の様々なアクセシビリティ機能に関する教職員の研修を進めます。 (23) 個別支援学級における ICT 機器を活用した教育の充実 【短期】【中期】<新規> 国の「教育の情報化に関する手引き」を踏まえ、個別支援学級に在籍する、障害のある児童生徒にとっての学習上の困難さを軽減した上で、個々のニーズに合った学びの充実を図ります。 例えば、中学校では校内等で連携をとりながら、教科・科目を充実し、様々な学習機会が得られるようなライブ授業の配信などの検討を進めます。 また、デジタル教科書や資料集等の活用を通じて児童生徒が自らに合った学習方法を獲得し、情報活用能力を高めていけるような指導を目指します。 これらの取組をモデル的に実施するなどして先導的な研究を進めます。 - 27 - 【参考5】文部科学省「教育の情報化に関する手引き(追補版 令和2年6月)」抜粋 「インターネットをはじめとするネットワークの世界は、参加する者の国籍、性別、障害の有無を問わない開かれた世界であり、そこに参加していくことは、障害のある人の積極的な社会参加の新たな形態の一つということもできる。 (中略)社会の情報化が進展していく中で、児童生徒が情報を主体的かつ容易に活用できるようにしたり、情報モラルを身に付けたりすることが一層重要になってくる。 (中略)ICT を活用することは、新たな表現手段を可能にする。 (中略)社会の情報化が進展していく中で、児童生徒が情報を主体的かつ容易に活用できるようにしたり、情報モラルを身に付けたりすることが一層重要になっている。」 エ 通級指導教室 これまでは、児童生徒個人が所有するタブレットを用い、板書を撮影することで書く負担を減らし、在籍校における活用につなげるなど、個人所有の端末を前提として活用方法を指導する例がありました。 また、別棟に通級指導教室がある場合などには、ネットワーク回線が整備されていないなどの課題もありました。 今後は、通級指導教室という距離的・時間的な制約がある環境下においても、在籍校で使用する端末の活用により、こうした制約をカバーする効果的な取組を進めます。 【今後の取組】 (24) 通級指導教室におけるネットワーク環境等の整備【短期】<新規> 通級指導教室においても端末を活用した授業が展開できるよう、別棟にある通級指導教室へのネットワーク整備や、在籍校で使用している学習ソフトやアプリなどを通級指導教室側の教職員も使用できるよう準備を進めます。 また、児童生徒によっては小学校から使い慣れた端末を使用する可能性もあるため、中学校の通級指導教室には中学校で使用する端末以外も準備できるようにする必要があります。 (25) 児童生徒への指導・支援における ICT 活用【短期】【中期】<新規> 在籍校で使用している端末で、本人の特性に合わせたデジタル教材等の活用や調べ学習、本人が興味のある内容について話したものを画像等で示してもらい相互理解を促す相談活動などの指導に活用します。 また、難聴・言語通級指導教室では、コミュニケーション支援のための音声文字変換ソフト等の導入により、指導・支援に効果的に活用することができます。 これらを通じて在籍校や家庭など通級指導教室以外の場所での主体的な活用にもつなげていきます。 - 28 - (26) 保護者連携への ICT の活用【中期】<新規> 通級指導教室で行った指導内容を家庭で実施し、その様子を画像や映像で記録することにより、保護者に対しても具体的な助言を行うことができるため、指導効果を高めることが可能となります。 (例:難聴・言語通級指導教室で行った構音訓練等の家庭での様子や、弱視通級指導教室で確認をした視覚補助具を使う様子を記録してもらい、通級指導の際に共有するなど。) (27) 在籍校支援への ICT の活用【短期】【中期】<新規> 在籍校と通級指導教室の双方が、映像を通して支援・指導内容を確認することができるようになることで、在籍校を訪問して行う支援センター機能の一部を通級指導教室設置校から行うことが可能になります。 オンラインでのケース会議や在籍校への通級指導教室理解研修も可能になるため、教職員の効率的な働き方にもつながります。 また、在籍校と通級指導教室の連携がしやすくなることで、在籍校での特別支援教育に関する指導・支援の質が高まり、一人ひとりの児童生徒の学びの充実にもつながります。 (3)高等学校における学びの改革 これまで、ICT の活用は学校(※35)により状況は多少異なるものの、パソコン教室のコンピュータの利用や、生徒が個人で所有するスマートフォン等を「調べ学習」に活用する等の取組が行われている程度に留まっています。 臨時休業中は、各高校が学習保障のための授業動画や、新入生に向けたガイダンス動画などを配信するとともに、学校のウェブサイト等でプリントを配付しました。 今後、生徒が持ち込む情報端末と、学校に整備したコンピュータ、クラウドサービスを活用して、生徒の興味・関心を高め、生徒に資質・能力を身に付けさせる効果的・効率的な授業等の研究を行っていきます。 <コラム5> 一斉臨時休業期間中における学習動画の配信 ~高等学校編~ 高校ごとに、学習計画や生徒の実態に合わせた動画の作成に取り組み、2か月で約1,600 本の動画を配信しました。 撮影機材が整わず、見づらいもの、聞き取りづらい動画などもありましたが、各学校で様々な工夫が見られ、徐々にクオリティも上がっていきました。 アンケートの結果からは、多くの生徒が視聴していることが分かり、難易度や長さが丁度よく、学習に役立ったとの意見が目立ちました。 WEB 会議システムを用いた、遠隔のライブ授業を希望する声も多くみられ、今後の課題となりました。 ※35…横浜サイエンスフロンティア高校では、令和元年度から、保護者負担でタブレット端末をレンタルして、「ロイロノート」を利用。    このほか、新学習指導要領実施に向けて、学習指導方法の改善・工夫が必要であり、効率的な授業を行うために「G Suite」を利用したいとの希望が複数の学校から寄せられている。 - 29 - <効果的・効率的な授業に向けた取組例> クラウドサービスの提供する学習支援・学習管理アプリを活用して、授業やその準備、学習評価等を効率的に行います。 また、デジタル教科書の導入については、学校の状況や教科書の出版状況を見ながら検討していきます。 デジタル教材・課題の管理…オンラインでデジタル教材等を配付、回収し、課題の進捗状況の管理、コメントなどのフィードバックやそれらの保存を行います。 オンラインテスト(CBT)・オンラインアンケート…オンラインでのテスト、採点や評価、集計の実施等、ペーパーレス化とともに教職員の効率的な働き方の実現を目指します。 個に対する指導、評価… 課題の提出状況の管理等だけでなく、蓄積された生徒の様々な情報を生かして、個別の指導や評価を行います。 デジタル教科書… 教員用、児童生徒用の利用効果等を検証し、導入の検討を行います。 <主体的・対話的で深い学びの実現に向けた取組例> 生徒自身の端末を活用し、身に付けた情報活用能力を生かして、興味・関心を高め主体的・対話的で深い学びを実現し、生徒に各教科等で求められる様々な資質・能力を育みます。 取組にあたっては、校内の授業研究や研修だけでなく、ニーズに合わせた外部研修のサポートを行っていく必要があります。 情報検索、情報共有… 自席での調べ学習や情報の共有を行い、主体的・対話的な学びにつなげます。 学習用アプリの利用… 生徒の興味・関心を高め、効果的な学習を進めるにあたり、これに適したアプリを活用します。 ○アプリの例 ・漢字、古文・漢文のトレーニング ・地理情報システム(GIS) ・数式のグラフ化、立体図形の表示 ・実験シミュレーション ・英語リスニング、シャドウイング ポートフォリオの活用…学びや活動の振り返り等の記録をポートフォリオとして外部クラウドに蓄積し、自身の振り返りや目標設定等に活用し、主体的な学びにつなげます。 学校と家庭の学びの連続性…生徒自身や家庭の端末と外部クラウドサービスを活用して、いつでもどこでも学習が可能となる環境を整備し、主体的な学びを支援します。 コミュニケーションの活性化…生徒の端末や学習支援アプリを活用して、プレゼンテーション、ディスカッション、協働作業、情報発信等のコミュニケーションを活性化し、対話的で深い学びの実現を目指します。 データの整理、情報の表現、新しい価値の生成…端末やアプリを活用して、データの整理・分析を行い、情報を可視化する等分かりやすく表現、説明したり、様々な情報の統合などにより新しい情報を生み出したりする活動等を通して、主体的な学び、深い学びの実現を図ります。 - 30 - 【今後の取組】 (28) WEB 会議システム「Zoom」活用の推進【短期】<新規> Zoom 等の WEB 会議システムを、オンライン双方向授業やオンラインホームルームへの活用だけでなく、生徒募集のための学校説明会や体験授業、個別相談会等への活用、横浜子ども会議のオンライン開催、生徒会交流会への利用など、活用の幅を広げます。 さらに、海外姉妹校等とのオンライン交流などの利用も検討していきます。 (29) 入院時学習支援の遠隔教育の検討【短期】<拡充> 現在、病気又はけがにより、病院等に長期の入院をしている生徒に向けて、教科担当教員を派遣し、対面による指導を行っています。 今後は、クラウドサービスの活用やオンライン双方向授業、オンデマンド型の動画配信等により、教員の派遣による対面指導だけでなく、ICT を活用した遠隔教育による支援を行えるように制度や設備について検討していきます。 (30)「ICT 支援員」の派遣【短期】<新規> ICT 環境の充実や、それらを活用した授業等への技術的支援を行うために、ICT 技術に知見を有する支援員の各学校への派遣を検討します。 (31) ICT を活用した学習等の充実に向けた環境整備【中期】<拡充> 学校施設への無線 LAN アクセスポイントの追加設置を検討します。学校の状況を見ながら増設の必要な箇所について、順次検討を進めます。 また、生徒用、教員用のコンピュータ等については、更新時の状況に合わせたコンピュータや基本ソフト(OS)の選定が適切に行えるよう、活用状況の把握や最新情報の収集を行い、検討を進めます。 (4)特別支援学校における学びの改革 小・中・高等学校と同様に ICT の活用をしてきたことに加え、一人ひとりの児童生徒の学習状況や、障害の状況に応じて、様々な活用を行ってきました。 臨時休業中は、各学校で障害種等に応じた学びの保障の動画を作成・発信しました。 また、各学校のウェブサイトで、課題や教員の自己紹介等を発信したほか、教材や動画の入った DVD、教材プリントの郵送・提出などによって指導や支援を行いました。 動画配信では、児童生徒が知っている教員が出演していることで、非常に興味深く視聴できた等の報告がある一方で、一方的な配信のみでは集中できないといった意見もありました。 家庭においては、児童生徒だけでは視聴することが難しい場合もあり、保護者の負担も課題となりました。 学校再開後も基礎的疾患などがあり、感染症予防の観点から通学が難しい児童生徒のために、YouTube や Zoom を使用する取組も進めています。 - 31 - また、これまで校内での端末活用の際には、アクセシビリティの観点から個別に詳な設定が必要でしたが、限られた台数の端末を複数児童生徒で共有するため、個々の機器の設定を一人ひとりに合わせることができないことが課題でした。 今後は、小・中・高等学校における ICT 活用の在り方に準ずるほか、一人ひとりに合わせたアクセシビリティの確保などを通し、より個別最適化された学びの取組を進めます。 【参考4(再掲)】特別支援学校で iPad 端末を使用している事例 〇視覚障害特別支援学校 国の PDF 版拡大教科書の研究に初期から協力し、実践を積み重ねてきており、市立小・中学校の弱視個別級や弱視通級に対して PDF 版拡大教科書について情報提供もしています。 〇聴覚障害特別支援学校 児童生徒が手話をビデオカメラ機能で撮影し、見せあうことで、技術向上等につなげています。 中・高等部では、児童生徒が発表時にパワーポイントで資料作成し、視覚情報を補う取組を行っています。 〇肢体不自由特別支援学校 リアルタイムで撮影した映像に字幕等を加えるアプリを開発し、体験しづらい角度からの映像を使用した授業実践を行っている例のほか、視線入力装置を使用した学習も積み重ねています。 〇知的障害特別支援学校 教職員が授業や行事の様子をビデオカメラ機能で撮影し、児童生徒に自分の様子を見せることで、 活動の振り返りを行い、自己評価を促す指導や、支援アプリを用いてスケジュール等を管理する例も あります。 〇病弱特別支援学校ベッドサイドと院内学級間でコミュニケーションをとるために、テレプレゼンスロボットを操作する端末としてタブレット機器を使用したり、本校と各院内学級を TV 会議システムでつなぎ、集会や授業を行ったりしています。 【今後の取組】 (32) 児童生徒の状況に応じた ICT を活用した授業・合理的配慮に関する準備 【超短期】【短期】<新規> 端末活用の際には、児童生徒によっては視線入力・音声入力等の多様な文字入力の方法を設定したり、体の向きによって意思を表すことができるような入出力装置を用いたりするなど、個人端末を十分に活用するためには、様々な工夫をする必要があります。 このためには、児童生徒一人ひとりのアセスメントを行った上で、端末の様々なアクセシビリティ機能に関する教職員への研修を進めます。 また、授業中に児童生徒が主体的に、適切に端末を使用して学習が進められるよう、指導に必要な知識と技能習得に必要な研修を実施します。 - 32 - 1 アクセシビリティ設定の研修、及びそれらを十分に活用した授業実践の研究 (1)視覚障害 ・読み上げ機能の設定と、それらを十分に活用した授業についての検討 ・拡大鏡の代替や文字の拡大設定 (2)聴覚障害 ・各種聴覚支援アプリの試用、それらを十分に活用した授業についての検討 ・テレビ電話機能等や Zoom による手話の利用について試用や動画作成 (3)知的障害 ・タイマー機能や、読み書きをアシストする機能やアプリの試用 ・ビデオカメラ、カメラ機能を使っての、発表や記録の方法についての検討 (4)肢体不自由 ・書字の支援や、発話や音声入力等の支援、視線入力装置による入力支援 (5)病弱障害 ・テレビ電話機能等の試用 2 合理的配慮の考え方に関する研修、及び授業実践の研究 3 保護者が適切に児童生徒の ICT 活用を支援できるための資料や動画等の作成 【今後の取組】 (33) 児童生徒の状況に応じた ICT を活用した授業【短期】【中期】<継続> ICT を十分に活用した授業には、小・中・高等学校における在り方や取組に準ずるほか、児童生徒の障害の状況等に応じた様々な学習上・生活上の困難さに対応する内容の授業の実践と研究を進めます。 また、クラウド上のシステムについて、障害のある児童生徒にとって使いやすい機能が実装されるよう、各学校からのフィードバックを集約します。 <障害種に応じた授業実践及び研究内容の例> (1)視覚障害 広く普及している情報端末は、視認して操作する前提の機器が多い現状があるため、視覚に障害のある児童生徒にとっては、情報格差が生じる可能性があります。 そのため、情報活用能力を育成するには、画面の拡大や色調の調節、他の感覚を活用する機能(音声読み上げ機能等)や、ピンディスプレイ等の入出力装置の活用をしながら、学習を進められるような、授業実践及び研究を進めます。 また、学校のみならず、卒業後も情報社会へ参画する態度を育成する授業を実践及び研究することも重要です。 (2)聴覚障害 保有する聴覚を最大限活用するとともに、視覚等の他の感覚の情報に置き換えて情報を伝達する工夫が必要です。 そのため発話音声を音声認識によりテキストに変換するシステムや、情報端末を用いたメッセージの受発信によるコミュニケーション、TV 電話システムの利用など、機器やシステムを適切に活用しながら、学習を進められるような、授業実践及び研究を進めます。 また、卒業後も情報社会へ参画する態度を育成する授業を実践及び研究することも重要です。 - 33 - (3)知的障害 知的障害のある児童生徒の学習に有用な、様々なアプリケーションが開発されています。 特にタブレット機器では、複数のものを同時に操作することが少なく、動きが分かりやすい特徴があります。 しかし、より認知特性に合わせた指導を行うために、どのような機能や特徴があるのかを十分理解して効果的な指導をする必要があります。 また、ルールを理解した上で、動画の閲覧等や、交流及び共同学習の手段としてインターネットを利用するなど、情報社会へ参画する態度を育成する指導を実践及び研究を進めます。 (4)肢体不自由 肢体不自由のある児童生徒に対しては、指導する教職員は、自立活動の「身体の動き」「コミュニケーション」等との関連を踏まえて、個々の児童生徒の発達や心身機能の状態や体調の変化、体格の変化などに応じて、支援機器や支援機能を調整することが求められます。 本人の意思を確認した上で、教職員間の協力や外部の専門職と連携し、ICT を活用した学習を進めることで、これまで困難があった表現活動等の主体的な学習を可能にしたり、遠隔で多くの人と接点を持つことを可能にしたりする中で、自立と社会参加へ向けた指導及び研究を進めます。 (5)病弱障害 心身の病気で入院あるいは自宅等で療養している場合、病気の状態や学習環境等により各教科や特別活動等での体験的な活動を伴う内容の実施が困難なことがあります。 また、治療のため身体活動が制限されていたり、活動や生活の場所が制限されていたりすることもあります。 限られた学習時間や学習環境で効率的な指導を行うために、教育内容を適切に精選することに加え、デジタル教材、オンライン学習ソフト等を活用して実践及び研究を進めます。 必要に応じ、院内学級を相互にネットワークで繋ぎ、同時双方向の遠隔授業の実践及び研究を進めます。 また、同年代の児童生徒や家族から離れ、多くの場合病気への不安等も伴う入院生活を送る児童生徒にとって、家庭や前籍校等との交流は大切です。 時間や空間に制限されない交流手段として ICT 機器を活用し、児童生徒の意欲や心理的な安定、前籍校へ戻る準備などに資する実践及び研究も積極的に進めます。 ※上記はあくまでも例であり、ICT の活用による学習の支援、情報社会に参画する態度の育成等について、個々の児童生徒の状況に応じた実践及び研究を重ねます。 - 34 - (34) クラウド上の蓄積データを指導・支援へ活用する研究【長期】 クラウド上には、児童生徒のデータが、日々蓄積されていきます。 原理的には、作品や成果物のみでなく、例えば問題への着手順や、かかった時間等も記録できるため、これまでよりも一層きめ細かな指導・支援につなげることが可能です。 また、児童生徒自身にも可視化できるため、自己評価が充実し、自己有用感の向上が期待できます。 蓄積されたデータを十分に活用するため、紙の課題では不可能だったデータ(文字の書き順、問題への着手順、かかった時間、発言時間や頻度の可視化等)の集積や、クラウド上に残すデータの格納方式についての必要なソフトの開発、セキュリティの設定、アカウントの運用面等の研究を進めます。 その際には、本市の規模等を生かし、各種大学や民間企業との共同研究などの手法も視野に入れて検討します。 (35) ICT を活用した学校・家庭での教育・支援環境の構築【中期】【長期】 障害のある児童生徒が、ICT を十分に活用して、学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服していくためには、学校及び家庭での教育環境を整えることが重要です。 特に、個々に応じた端末の設定や、成長等に伴う変化に応じた利用法の調整には、児童生徒への十分な指導・支援が必要です。 現状では、学校における教職員の ICT 活用能力は一定ではないため、障害種に応じた各特別支援学校での ICT の活用をコーディネートする人材の育成と活用について検討を進めます。 また、特別支援学校に在籍する児童生徒が ICT を活用して主体的に生活していくためには、保護者による支援も重要ですが、各家庭の ICT リテラシーにも、大きく幅があることが予想されます。 どのようなサポートが保護者に必要であり、それをどのように提供することが適切であるか、関係部署と連携しながら検討を進めます。 (36) ICT を活用した市全体の教育・支援環境の構築【長期】 障害のある児童生徒が、ICT を十分に活用して、学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服していくためには、学校及び家庭での教育環境を整えることに加え、卒業後を見据えた、地域社会での支援環境を整えることも重要です。 障害のある児童生徒とその家庭には、教育関係機関だけでなく、医療、福祉等様々な専門機関や専門職が関わっています。 個別の教育支援計画や指導計画等と、これまで受けた支援や指導、現在関わっている各種機関のスタッフや連絡先等が、随時クラウド上 で更新され、保護者から承諾を得た各機関から閲覧できるようにしたり、今後の施策に反映できるようにしたりするなど、十分なセキュリティ環境を確保した上で、就学前から卒業後まで一貫した支援体制の構築について研究を進めます。