第2章、本市における依存症に関連する状況と課題 1、本市の依存症に関する状況 カッコ、1、各依存症に関連する状況 ア、アルコール依存症に関連する状況 カッコ、ア、アルコール使用障害が疑われる人の割合 令和4年度に実施された研究結果に基づく推計によると、アルコール使用障害が疑われる人の割合は全体で5.57%、男女別に見ると男性は9.17%、女性は1.97%となっています。 この結果に基づいて、本市におけるアルコール使用障害が疑われる人の人数を推計すると、全体は約150,000人、男性は約125,000人、女性は約26,000人となります。 図表2の1:アルコール使用障害が疑われる人の割合(推計ち) (図表ここから) アルコール使用障害が疑われる人の割合 全体:5.57% 男性:9.17% 女性:1.97% 本市におけるアルコール使用障害が疑われる人の推計人数 全体:約150,000人 男性:約125,000人 女性:約26,000人 (図表ここまで) 出典:令和4年度依存症に関する調査研究事業「飲酒実態やアルコール依存に関する意識調査」報告しょ(松下幸生、遠山朋海、古賀佳樹、新田千枝、柴崎萌未、伊東寛哲、木村充 )(2024年) 注:推計に当たっては、本市「年齢別人口(住民基本台帳による)」(令和5年3月末日)より、20歳以上75歳以下の人口を用いた 注:アルコール使用障害は、アメリカ精神医学会が定めたDSM-ファイブに基づいて診断される精神疾患であり、本計画におけるアルコール依存症を含む概念である 注:本計画においては、アルコール使用障害とアルコール依存症を同義で扱う カッコ、イ、アルコール依存症患者(脚注7)の医療機関受診状況 本市に在住するアルコール依存症患者の、令和5年における医療機関受診状況を見ると、男性が7,320人、女性が2,610人、合計で9,930人となっています。 また、年齢別の割合を見ると、男女ともに「50~59歳」が最も高くなっています。 脚注7 横浜市在住で保険診療(医療扶助を含む)により医療を受けた結果、アルコール依存に関連する病名、医療診療行為又は薬剤処方が記録された人を抽出。 図表2の2:医療機関を受診した市内在住のアルコール依存症患者数(令和5年) (図表ここから) 合計:9,930人 男性:7,320人 女性:2,610人 (図表ここまで) 出典:ヨムディービー(脚注8)及び社会保険支払基金の医療レセプトデータより横浜市作成 脚注8 正式名称を「Yokohama original Medical Data Base」と言い、本市が保有する医療・介護・保健データを、政策の立案・評価を目的として活用するためにデータベース化したもの。 図表2の3:医療機関を受診した市内在住のアルコール依存症患者の年齢別割合(令和5年) (図表ここから) 男女別(nイコール患者数) 年齢、割合 男性(nイコール7320) 20歳未満 0.4% 20~29歳 7.1% 30~39歳 7.2% 40~49歳 14.0% 50~59歳 24.3% 60~69歳 21.2% 70~74歳 9.3% 75~79歳 7.9% 80歳以上 8.6% 女性(nイコール2610) 20歳未満 0.5% 20~29歳 16.6% 30~39歳 13.3% 40~49歳 17.1% 50~59歳 22.8% 60~69歳 13.0% 70~74歳 4.7% 75~79歳 4.2% 80歳以上 7.9% (図表ここまで) 出典:ヨムディービー及び社会保険支払基金の医療レセプトデータより横浜市作成 (囲みここから) 【コラム】 依存症における男女の違いについて 依存症は、様々な点で男女において違いがあります。本計画に掲載した調査の結果を見ると、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル等依存症などの患者すうは、男性に比べて女性の方が少ない傾向があります。 アルコールを例にすると、女性は、一般的に、男性と比較して体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性に比べて少ないことや、エストロゲン(女性ホルモンの一種)等の働きにより、アルコールの影響を受けやすいことが知られています。このため、女性は、男性に比べて少ない量かつ短い期間での飲酒でアルコール関連肝硬変になる場合があるなど、アルコールによる身体への影響が大きく現れる可能性もあります。 薬物依存では、女性は、男性と比べて違法薬物による依存症は少なく、最近では特にこどもや若者の世代で市販やくによる過剰摂取や依存症が問題となっています。 このことから、依存症の普及啓発や支援においても、こういった男女の違いを意識する必要があります。 (囲みここまで) カッコ、ウ、飲酒を取り巻く状況 本市のいちせたい当たりの、1か月の家庭内での酒類消費金額(ねん平均額)の推移を見ると、平成27年以降、3,000~3,500円程度で推移していましたが、令和2年は4,704円と急増し、消費支出全体に占める酒類支出の割合も1.6%まで高まりました(脚注9)。令和3年以降は金額、割合ともに緩やかに減少し、令和6年時点では、酒類消費金額(ねん平均額)は3,288円、消費支出全体に占める酒類支出の割合は1.0%となっています。 脚注9 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、外食時の酒類消費が減少し、相対的に家庭内での酒類消費が増加したことが背景にあると推察される。 図表2の4、1世帯当たりの、1か月の家庭内での酒類消費金額の推移(2人以上の世帯、横浜市) (図表ここから) 平成27年 1世帯当たりの酒類支出金額(二人以上の世帯)3,526円、支出全体に占める比率1.1% 平成28年 3,175円、1.0% 平成29年 3,583円、1.1% 平成30年 3,197円、1.1% 令和元年 2,911円、0.9% 令和2年 4,704円、1.6% 令和3年 4,047円、1.3% 令和4年 3,893円、1.3% 令和5年 3,876円、1.3% 令和6年 3,288円、1.0% (図表ここまで) 出典:総務省「家計調査」 注:家庭内で消費された酒類に限られており、飲食店等での酒類消費は含まれていない また、令和6年度に全国の中学生に対して実施された調査によると、14.7%が、生涯飲酒経験について「あり」と回答しています。 図表2の5:中学生の生涯飲酒経験の割合 (図表ここから) (nイコール37967) あり 14.7% なし 84.9% 無回答・無効回答 0.4% (図表ここまで) 出典:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター「飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査」(令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬ひん・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告しょ)(分担研究者:島根卓也、調査協力者:水野聡美、猪浦智史、邱冬梅、北垣邦彦、小出彰宏、富永孝治、竹原健二)(令和7年) カッコ、エ、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒に関する状況 厚生労働省「健康日本21(第三次)」では、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者を判断する指標として、男性の場合1日当たり40g(脚注10)以上、女性の場合1日当たり20g(脚注11)以上の純アルコール量を摂取した者という基準が使用されています。 本市が実施した「令和5年度 健康に関する市民意識調査」の結果を見ると、回答者のうち男性は17.9%、女性は15.4%が「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」に該当していました。また、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」の割合を年齢別に見ると、男性は40歳代が、女性は50歳代が最も高くなっています。 なお、国の「国民健康・栄養調査」によれば、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、令和5年は男性14.1%、女性9.5%となっており、本市の水準は全国よりやや高くなっています。また、令和元年から令和5年にかけて、生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている女性の割合が、0.4%ポイント上昇しています(脚注12)。 脚注10 ビールロング缶2本(1リットル)に含まれるアルコール量に相当する。 脚注11 ビールロング缶1本(500ミリリットル)に含まれるアルコール量に相当する。 脚注12 令和元年調査と令和5年調査で、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合を算出する設問の選択肢の文言に変更が発生している点に留意が必要。 図表2の6:生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合(横浜市) (図表ここから) 男性(nイコール回答者数) 20歳代(nイコール334) 8.4% 30歳代(nイコール416) 13.2% 40歳代(nイコール633) 22.6% 50歳代(nイコール855) 18.8% 60歳代(nイコール757) 19.8% 全体(nイコール2995) 17.9% 女性(nイコール回答者数) 20歳代(nイコール373) 12.9% 30歳代(nイコール522) 10.7% 40歳代(nイコール772) 18.4% 50歳代(nイコール992) 19.2% 60歳代(nイコール877) 12.5% 全体(nイコール3536) 15.4% (図表ここまで) 出典:横浜市「令和5年度 健康に関する市民意識調査」(令和6年) 図表2の7:生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合(全国) (図表ここから) 男性 14.9%(令和元年) 14.1%(令和5年) 女性 9.1%(令和元年) 9.5%(令和5年) (図表ここまで) 出典:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」(令和2年) 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」(令和7年) カッコ、オ、アルコールに関する相談状況 本市におけるアルコールに関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、平成29年5月より依存症相談窓口(依存症専門相談)を開設し、平成30年度から令和元年度は年間のべ400件超のアルコールに関する相談を受け付けています。令和2年度から令和3年度は相談のべ件数が350件程度に減少しましたが、令和4年度以降は450件から500件程度で推移しています。 図表2の8:こころの健康相談センターにおけるアルコールに関する相談のべ件数 (図表ここから) 平成27年度 電話(手紙・メール含む)相談43件 面接相談24件 総数67件 平成28年度 電話(手紙・メール含む)相談54件 面接相談33件 総数87件 平成29年度 電話(手紙・メール含む)相談108件 面接相談68件 総数176件 平成30年度 電話(手紙・メール含む)相談298件 面接相談136件 総数434件 令和元年度 電話(手紙・メール含む)相談329件 面接相談91件 総数420件 令和2年度 電話(手紙・メール含む)相談305件 面接相談45件 総数350件 令和3年度 電話(手紙・メール含む)相談313件 面接相談44件 総数357件 令和4年度 電話(手紙・メール含む)相談412件 面接相談86件 総数498件 令和5年度 電話(手紙・メール含む)相談394件 面接相談58件 総数452件 令和6年度 電話(手紙・メール含む)相談424件 面接相談35件 総数459件 ※相談窓口開設平成29年度以降 (図表ここまで) 出典:本市資料 イ、薬物依存症に関連する状況 カッコ、ア、生涯で一度でも薬物を使用した人の割合 令和5年度に実施された国立精神・神経医療研究センターの「薬物使用に関する全国住民調査」の結果によると、生涯で一度でも薬物(有機溶剤、大麻、覚醒剤、MDMA、コカイン、ヘロイン、危険ドラッグ、LSDのうちいずれかの薬物)の使用を経験した人の割合は、全体で3.4%、男女別に見ると男性4.0%、女性2.8%となっています。 この結果に基づいて、本市における生涯で一度でも薬物を使用した人を推計すると、全体は約81,000人、男性は約49,000人、女性は約33,000人となります。 図表2の9:薬物使用者の割合(推計ち) (図表ここから) 生涯で一度でも薬物を使用した人の割合 全体 3.4% 男性 4.0% 女性 2.8% 本市における生涯で一度でも薬物を使用した人の推計数 全体 約81,000人 男性 約49,000人 女性 約33,000人 (図表ここまで) 出典:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター「薬物使用に関する全国住民調査(2023年)」(令和5年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬ひん・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告しょ)(分担研究者:嶋根卓也、研究協力者:水野聡美、猪浦智史、邱冬梅)(令和6年) 注:推計に当たっては、「住民基本台帳・年齢階級別人口」(令和5年9月30日)より、本市15歳以上65歳未満の人口を用いた カッコ、イ、薬物依存症患者(脚注13)の医療機関受診状況 ほんしに在住する薬物依存症患者の、令和5年における医療機関受診状況を見ると、男性が770人、女性が508人、合計で1,278人となっています。 また、年齢別の割合を見ると、男性は「50~59歳」が、女性は「40~49歳」の割合が高くなっています。 脚注13、横浜市在住で保険診療(医療扶助を含む)により医療を受けた結果、薬物依存に関連する病名又は医療診療行為が記録された人を抽出。 図表2の10:医療機関を受診した市内在住の薬物依存症患者数(令和5年) (図表ここから) 合計 1,278人 男性 770人 女性 508人 (図表ここまで) 出典:ヨムディービー及び社会保険支払基金の医療レセプトデータより横浜市作成 注:なお、情報秘匿の観点から、社会保険支払基金の一部データが取得できないため、男性については実際の人数とは最大10人程度の差が存在する 図表2の11:医療機関を受診した市内在住の薬物依存症患者の年齢別割合(令和5年) (図表ここから) 男女別(nイコール患者数) 男性(nイコール770) 20歳未満 5.7% 20~29歳 9.7% 30~39歳 13.1% 40~49歳 21.3% 50~59歳 25.7% 60~69歳 13.1% 70~74歳 3.5% 75~79歳 2.9% 80歳以上 4.9% 女性(nイコール508) 20歳未満 8.9% 20~29歳 15.2% 30~39歳 14.8% 40~49歳 21.9% 50~59歳 17.3% 60~69歳 6.5% 70~74歳 2.0% 75~79歳 3.7% 80歳以上 9.8% (図表ここまで) 出典:ヨムディービー及び社会保険支払基金の医療レセプトデータより横浜市作成 注:なお、情報秘匿の観点から、社会保険支払基金の一部データが取得できないため、特に男性についてのみ、nちは実際の人数とは最大10人程度の差が存在し、年齢別割合の分布も若干のずれが存在する カッコ、ウ、薬物を取り巻く状況 令和6年度に全国の中学生に対して実施した調査によると、大麻や覚醒剤などの薬物を手に入れようとした場合、約 5.0 %から7.0%が手に入る(「なんとか手に入る」「簡単に手に入る」の合計)と回答しています。 図表2の12:中学生の薬物の入手可能性に対する考え方の割合 (図表ここから) (nイコール37967) 大麻 絶対不可能81.0% ほとんど不可能11.3% なんとか手に入る4.1% 簡単に手に入る1.6% 無回答・無効回答1.9% 有機溶剤 絶対不可能79.7% ほとんど不可能11.5% なんとか手に入る4.4% 簡単に手に入る2.4% 無回答・無効回答2.0% 覚醒剤 絶対不可能81.1% ほとんど不可能11.4% なんとか手に入る4.0% 簡単に手に入る1.5% 無回答・無効回答2.0% 危険ドラッグ 絶対不可能81.4% ほとんど不可能11.5% なんとか手に入る3.6% 簡単に手に入る1.4% 無回答・無効回答2.0% (図表ここまで) 出典:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター「飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査」(令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬ひん・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告しょ)(分担研究者:島根卓也、研究協力者:水野聡美、猪浦智史、邱冬梅、北垣邦彦、小出彰宏、富永孝治、竹原健二)(令和7年) カッコ、エ、薬物乱用の状況 ほんしにおける麻薬・覚醒剤使用による検挙者すうを見ると、平成27年以降減少傾向にあり、令和6年は383人となっています。 図表2の13:麻薬・覚醒剤使用による検挙者数 (図表ここから) 平成27年 麻薬143人 覚醒剤416人 総数559人 平成28年 麻薬142人 覚醒剤380人 総数522人 平成29年 麻薬144人 覚醒剤360人 総数504人 平成30年 麻薬188人 覚醒剤316人 総数504人 令和元年 麻薬172人 覚醒剤216人 総数388人 令和2年 麻薬220人 覚醒剤256人 総数476人 令和3年 麻薬262人 覚醒剤230人 総数492人 令和4年 麻薬193人 覚醒剤176人 総数369人 令和5年 麻薬230人 覚醒剤183人 総数413人 令和6年 麻薬186人 覚醒剤197人 総数383人 (図表ここまで) 出典:横浜市「横浜市統計書」 「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」によると、乱用の対象となっている薬物の種類・内容は、覚醒剤が54.7%と最も多くなっています。また、睡眠薬・抗不安薬などの処方やくや市販やくについても、一定の割合で乱用の対象となっています。 図表2の14:各種薬物の生涯使用経験(複数選択)(nイコール2702) (図表ここから) 生涯使用経験のある薬物、度数、割合 覚せい剤 1,477 54.7% 揮発性溶剤 669 24.8% 大麻 739 27.4% コカイン 223 8.3% ヘロイン 52 1.9% MDMA 249 9.2% MDMA以外の幻覚剤 223 8.3% 危険ドラッグ類 280 10.4% 睡眠薬・抗不安薬 898 33.2% 鎮痛やく(処方非オピオイド系) 95 3.5% 鎮痛やく(処方オピオイド系:弱オピオイド含む) 60 2.2% 市販やく 631 23.4% ADHD治療やく 41 1.5% その他 54 2.0% (図表ここまで) 出典:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」(令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬ひん・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告しょ)(研究分担者:松本俊彦、研究協力者:宇佐美貴士、沖田恭治、西村晃萌、山本泰輔、谷渕由布子、大宮宗一郎)(令和7年) 注:表中の値は、令和6年9月1日から10月31日までの2か月間に調査対象施設において、入院あるいは外来で診察を受けた「アルコール以外の精神作用物質使用による薬物関連精神疾患患者」による生涯使用経験である 注:処方やく・医薬ひんについては、治療目的以外の不適切な使用(乱用)が対象 カッコ、オ、薬物に関する相談状況 本市における薬物に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、平成29年5月より依存症相談窓口(依存症専門相談)を開設し、平成29年度以降、年間のべ100件以上の薬物に関する相談を受け付けています。令和2年度をピークに、相談のべ件数は減少傾向にあります。 図表2の15:こころの健康相談センターにおける薬物に関する相談のべ件数 (図表ここから) 平成27年度 電話相談(手紙・メール含む)22件 面接相談4件 総数26件 平成28年度 電話相談(手紙・メール含む)20件 面接相談8件 総数28件 平成29年度 電話相談(手紙・メール含む)80件 面接相談36件 総数116件 平成30年度 電話相談(手紙・メール含む)82件 面接相談38件 総数120件 令和元年度 電話相談(手紙・メール含む)138件 面接相談39件 総数177件 令和2年度 電話相談(手紙・メール含む)195件 面接相談30件 総数225件 令和3年度 電話相談(手紙・メール含む)177件 面接相談28件 総数205件 令和4年度 電話相談(手紙・メール含む)148件 面接相談22件 総数170件 令和5年度 電話相談(手紙・メール含む)155件 面接相談25件 総数180件 令和6年度 電話相談(手紙・メール含む)117件 面接相談13件 総数130件 ※相談窓口開設平成29年度以降 (図表ここまで) 出典:本市資料 (囲みここから) 【コラム】、市販やく・処方やくの乱用について 図表2の14によると、生涯使用経験のある薬物として、市販やくや処方やく(睡眠薬・抗不安薬、鎮痛やく(処方非オピオイド系)、鎮痛やく(処方オピオイド系:弱オピオイド含む)及びADHD治療やく)の乱用についても、それぞれ23.4%、40.4%と、一定の割合を占めています。このため、依存症の対策としては、市販やくや処方やくの乱用も含めて考えることが必要です。 また、同調査では、「1年以内に使用あり」症例における市販やく(乱用)使用者のうち、10代と20代が66.7%を占めていることから、市販やくの乱用は、特に若い世代への対応が必要であると言えます。 このような中、令和7年5月に公布された、「医薬ひん、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」により、医薬ひんの適正な提供のため、薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師等が常駐しない店舗における一般用医薬ひんの販売が可能となりました。他方、「濫用のおそれのある医薬ひん」の販売について、販売方法を見直し、若年者に対しては適正量に限って販売することとされました。 市販やくや処方やくの乱用は、薬物依存につながるおそれがあります。このため、10代のうちから薬物依存に関する正しい理解を得ることが必要となります。 (囲みここまで) ウ、ギャンブル等依存症に関連する状況 カッコ、ア、ギャンブル等依存症が疑われる人の割合 令和5年度に実施された「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」の結果によると、過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人の割合の推計ちは、全体は1.7%、男女別に見ると男性は2.8%、女性は0.5%となっています。 この結果に基づいて、ほんしにおける過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人の数を推計すると、全体は約46,000人、男性は38,000人、女性は約7,000人となります。 なお、本調査において、ギャンブル等依存症が疑われる人が最もよくお金を使ったギャンブル等として、「パチンコ」との回答が最も多くなっています。 図表2の16:ギャンブル等依存症が疑われる人の割合(推計ち) (図表ここから) 過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人の割合 全体 1.7% 男性 2.8% 女性 0.5% 本市におけるギャンブル等依存症が疑われる人の推計人数 全体 約46,000人 男性 約38,000人 女性 約7,000人 (図表ここまで) 出典:令和5年度依存症に関する調査研究事業「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」(松下幸生、古賀佳樹、新田千枝、浦山悠子、柴山笑凜、遠山朋海、伊東寛哲、木村充)(2024年) 注:推計に当たっては、本市「年齢別人口(住民基本台帳による)」(令和5年9月30日)より、18歳以上75歳未満の人口を用いた 注:ここでの「ギャンブル等」とは、パチンコ・パチスロ、競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじ、証券の信用取引、先物取引市場への投資、FX、海外のカジノが含まれている カッコ、イ、ギャンブル等依存症・ゲーム行動症・インターネット障害患者(脚注14)の医療機関受診状況 本市に在住するギャンブル等依存症・ゲーム行動症・インターネット障害患者の、令和5年における医療機関受診状況を見ると、男性で423人となっています。 また、年齢別割合を見ると、「30~39歳」が最も高くなっています。 脚注14 横浜市在住で保険診療(医療扶助を含む)により医療を受けた結果、ギャンブル等依存・ゲーム行動症・インターネット障害に関連する病名又は医療診療行為が記録された人を抽出。 図表2の17:医療機関を受診した市内在住のギャンブル等依存症・ゲーム行動症・インターネット障害患者数(令和5年) (図表ここから) 男性 423人 女性 ハイフン (図表ここまで) 出典:ヨムディービー及び社会保険支払基金の医療レセプトデータより横浜市作成 注:なお、情報秘匿の観点から、ヨムディービー及び社会保健支払基金の一部データが取得できないため、女性については「ハイフン」とした 図表2の18:医療機関を受診した市内在住のギャンブル等依存症・ゲーム行動症・インターネット障害患者の年齢別割合(令和5年) (図表ここから) 男性(nイコール423) 20歳未満 5.9% 20~29歳 19.1% 30~39歳 24.3% 40~49歳 22.9% 50~59歳 15.1% 60~69歳 9.0% 70~74歳 3.5% 75~79歳 0.0% 80歳以上 0.0% (図表ここまで) 出典:ヨムディービー及び社会保険支払基金の医療レセプトデータより横浜市作成 注:なお、基金データについては情報秘匿の観点から一部データが取得できないため、特に女性についてのみ年齢別割合を算出できない カッコ、ウ、ギャンブル等を取り巻く状況 ほんしにおける公営競技じょう等の状況は以下のとおりです。 図表2の19:ほんしにおける公営競技じょう等の状況(令和7年5月末現在) (図表ここから) 中央競馬、ゼロ(場外3)、出典、日本中央競馬会ウェブサイト 地方競馬、ゼロ(場外1)、出典、地方競馬全国協会ウェブサイト 競輪、ゼロ(場外1)、出典、公益財団法人JKAウェブサイト 競艇、ゼロ(場外1)、出典、日本モーターボート競走会ウェブサイト オートレース、ゼロ(場外1)、出典、公益財団法人JKAウェブサイト (図表ここまで) 中央競馬のばいとく金額に対する馬券購入方法の割合を見ると、「電話・インターネット投票」の割合が増加傾向にあります。令和4年度では、全体の85%が「電話・インターネット投票」となっています。 図表2の20:中央競馬のばいとく金額に対する馬券購入方法の割合 (図表ここから) 平成26年度、開催じょう6%、場外発売じょ(J-PLACE含む)32%、電話・インターネット投票62% 平成28年度、開催じょう5%、場外発売じょ(J-PLACE含む)30%、電話・インターネット投票65% 平成30年度、開催じょう5%、場外発売じょ(J-PLACE含む)26%、電話・インターネット投票69% 令和2年度、開催じょう1%、場外発売じょ(J-PLACE含む)6%、電話・インターネット投票93% 令和4年度、開催じょう2%、場外発売じょ(J-PLACE含む)13%、電話・インターネット投票85% (図表ここまで) 出典:日本中央競馬会「中央競馬のあらまし」から一部抜粋(令和5年) カッコ、エ、ギャンブル等の実施に関する状況 令和5年度に実施された一般住民を対象とした「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」の結果によると、ギャンブル等をしたことがあると回答した人が初めてギャンブル等をした年齢は、20歳未満が32.0%、20歳代が56.9%となっており、回答者の約9割が20歳代までにギャンブルを始めています。 図表2の21:初めてギャンブル等をした年齢 (図表ここから) 調査数(nイコール6501) 20歳未満 32.0% 20歳代 56.9% 30歳代 7.2% 40歳代 2.4% 50歳代 1.4% (図表ここまで) 出典:令和5年度依存症に関する調査研究事業「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」(松下幸生、古賀佳樹、新田千枝、浦山悠子、柴山笑凜、遠山朋海、伊東寛哲、木村充)(2024年) 注:ギャンブルを生涯において経験したことがあると回答したかたを対象とした設問 カッコ、オ、ギャンブル等に関する相談状況 本市におけるギャンブル等に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、平成29年5月より依存症相談窓口(依存症専門相談)を開設し、平成29年度以降、相談件数は増加傾向にあります。令和6年度は284件の相談がありました。 図表2の22:こころの健康相談センターにおけるギャンブル等に関する相談のべ件数 (図表ここから) 平成27年度、電話相談(手紙・メール含む)0件、面接相談0件、総数0件 平成28年度、電話相談(手紙・メール含む)4件、面接相談1件、総数5件 平成29年度、電話相談(手紙・メール含む)71件、面接相談52件、総数123件 平成30年度、電話相談(手紙・メール含む)118件、面接相談63件、総数181件 令和元年度、電話相談(手紙・メール含む)173件、面接相談42件、総数215件 令和2年度、電話相談(手紙・メール含む)151件、面接相談33件、総数184件 令和3年度、電話相談(手紙・メール含む)147件、面接相談33件、総数180件 令和4年度、電話相談(手紙・メール含む)179件、面接相談67件、総数246件 令和5年度、電話相談(手紙・メール含む)165件、面接相談43件、総数208件 令和6年度、電話相談(手紙・メール含む)256件、面接相談28件、総数284件 ※相談窓口開設平成29年度以降 (図表ここまで) 出典:本市資料 エ、ゲーム行動症・その他の依存症に関連する状況 カッコ、ア、青少年のインターネット上の経験 全国の青少年を対象とした調査によると、「インターネットにのめりこんで勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったりしたことがある」、「ゲームやアプリで、お金を使いすぎたことがある」と回答した割合が増加しており、令和6年度ではそれぞれ24.6%、4.3%となっています。 図表2の23:インターネット上の経験 (図表ここから) (nイコール回答者数) インターネットにのめりこんで勉強に集中できなかったり、睡眠ぶそくになったりしたことがある 17.9%(令和3年度)総数(nイコール3318人) 24.6%(令和6年度)総数(nイコール3072人) ゲームやアプリで、お金を使いすぎたことがある 4.0%(令和3年度)総数(nイコール3318人) 4.3%(令和6年度)総数(nイコール3072人) (図表ここまで) 出典:こども家庭庁「令和6年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(令和7年)から一部抜粋 注:本調査の青少年とは令和6年11月1日現在で、満10歳から満17歳の者を指す カッコ、イ、小学生保護者の子育てをしていて感じている困りごと 本市における小学生の保護者を対象とした調査によると、子育てをしていて感じている困りごとについて、「子どものネットやゲームとの付き合いかた」と回答した割合は44.1%となっています。 図表2の24:子育てをしていて感じている困りごと (図表ここから) (nイコール31938) 子どもの食事(アレルギーや偏食など) 15.0% 子どもとの過ごしかた・遊びかた 19.9% 子どもの健康 16.7% 子どもの発達・発育 21.7% 夫婦での子育ての分担 9.8% 夫婦での子育ての考え方の違い 11.6% 家事の負担 16.8% 子どものしかりかた・しつけ 38.2% 子どもの教育・進学 50.8% 子育ての心理的・身体的な負担 15.2% 経済的な負担 27.9% 自分自身の病気や障害 6.0% 家族の病気や障害 5.1% 仕事との両立 29.0% 介護との両立 2.9% 子どもの友人関係(いじめを含む) 19.9% 登校しぶり、不登校 9.0% その他の学校生活に関すること 4.9% 子どものネットやゲームとの付き合いかた 44.1% せいに関すること 7.4% その他 1.7% 特にない 9.0% 無回答・無効回答 1.7% (図表ここまで) 出典:横浜市「横浜市子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた利用ニーズ把握のための調査結果報告しょ(令和5年)」(令和6年) カッコ、ウ、ゲーム行動症に関する相談状況 本市におけるゲーム行動症に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、相談件数は60件から90件程度で推移しています。令和6年度において年間のべ86件のゲーム行動症に関する相談を受け付けています。 図表2の25:こころの健康相談センターにおけるゲーム行動症に関する相談のべ件数 (図表ここから) 令和3年度 電話(手紙・メール含む)相談73件 面接相談10件 総数83件 令和4年度 電話(手紙・メール含む)相談53件 面接相談11件 総数64件 令和5年度 電話(手紙・メール含む)相談63件 面接相談0件 総数63件 令和6年度 電話(手紙・メール含む)相談82件 面接相談4件 総数86件 (図表ここまで) 出典:本市資料 カッコ、エ、その他の依存症に関する相談状況 本市におけるその他の依存症に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、相談件数は増加傾向にあり、令和6年度において年間のべ269件のその他の依存症に関する相談を受け付けています。 図表2の26:こころの健康相談センターにおけるその他の依存症に関する相談のべ件数 (図表ここから) 令和3年度 電話(手紙・メール含む)相談189件 面接相談33件 総数222件 令和4年度 電話(手紙・メール含む)相談218件 面接相談23件 総数241件 令和5年度 電話(手紙・メール含む)相談222件 面接相談21件 総数243件 令和6年度 電話(手紙・メール含む)相談258件 面接相談11件 総数269件 (図表ここまで) 出典:本市資料 カッコ、2、市民の認知度 本市が令和6年に実施した「依存症に関する市民意識調査」(脚注15)の結果によれば、回答者の9割程度が、アルコール依存症・ギャンブル等依存症・薬物依存症について「知っている」と回答している一方、ゲームやネット・SNS、買い物依存は約7割、せい依存は約5割にとどまっています。 また、「多くの人は、依存症の人のことを自業自得だと思う」の質問については「そう思う」又は「ややそう思う」と回答したかたが51.6%、「多くの人は、依存症の人のことを意志が弱いと思う」の質問については68.2%が「そう思う」又は「ややそう思う」と回答しています。 脚注15 「依存症に関する市民意識調査」調査数:5,000人、回答:1,795人(回答率:35.9%)、期間:令和6年9月7日~10月6日、方法:市内在住の16歳以上のかた(完全無作為)を対象にインターネット及び郵送による回答形式により実施。 図表2の27:知っている依存症 (図表ここから) n イコール 1795 アルコール 94.3% ギャンブル等 91.8% 薬物 88.9% ゲーム 71.6% ネット・SNS 67.1% 買い物 66.1% せい 53.7% その他 5.6% 無回答 3.0% (図表ここまで) 出典:横浜市「令和6年度依存症に関する市民意識調査結果報告書」(令和7年) 図表2の28:依存症に対する認識 (図表ここから) (nイコール1795) ①地域の多くの人は、他の誰かを扱うのとまったく同じように、依存症の人を扱う そう思わない26.0% あまりそう思わない45.0% ややそう思う17.9% そう思う6.8% 無回答4.3% ②多くの若者は、依存症の若い男女とデートしたがらない そう思わない9.9% あまりそう思わない22.3% ややそう思う35.8% そう思う27.0% 無回答4.9% ③多くの人は、たとえその人がかなり長いあいだ良い状態を保っていても、依存症の人の子どもと、自分の子どもを遊ばせない そう思わない13.3% あまりそう思わない31.1% ややそう思う38.2% そう思う12.9% 無回答4.5% ④多くの人は、依存症の人と近所づきあいをしたいと思わない そう思わない6.7% あまりそう思わない17.5% ややそう思う42.9% そう思う28.6% 無回答4.4% ⑤多くの人は、依存症の人でも、今後幸せな生活を送ることができると思う そう思わない8.2% あまりそう思わない30.3% ややそう思う36.9% そう思う20.8% 無回答3.8% ⑥多くの人は、依存症の人の気持ちを理解できる そう思わない24.2% あまりそう思わない45.3% ややそう思う23.1% そう思う3.5% 無回答3.8% ⑦多くの人は、依存症の人のことを自業自得だと思う そう思わない10.9% あまりそう思わない33.6% ややそう思う41.0% そう思う10.6% 無回答3.9% ⑧多くの人は、依存症の人の話に耳を傾ける そう思わない16.2% あまりそう思わない56.9% ややそう思う20.0% そう思う3.0% 無回答3.8% ⑨多くの人は、依存症の人のことを意志が弱いと思う そう思わない7.7% あまりそう思わない20.9% ややそう思う49.9% そう思う18.3% 無回答3.2% (図表ここまで) 出典:横浜市「令和6年度依存症に関する市民意識調査結果報告書」(令和7年) 2、本市及び関係機関、民間支援団体等における依存症対策の状況 カッコ、1、こころの健康相談センター(依存症相談拠点) 本市はこころの健康相談センターを、実施要綱に基づく依存症相談拠点として位置付けています。 同センターでは、依存症の本人や家族等が必要な支援につながる包括的な支援に向けて、依存症相談窓口を開設して個別相談を実施するほか、回復プログラムや家族教室、依存症に関する普及啓発や研修等の事業を展開しています。また、依存症に関する支援者の育成や身近な支援者を含む関係機関同士の協働・連携の促進に向けた取組を実施しています。 カッコ、2、身近な支援者 本市においては、依存症の本人や依存症が疑われる人、又はその家族等にとって身近な支援者となる様々な機関・団体が活動をしています。図表2の29では身近な支援者の分類ごとに依存症に対する関わりをまとめています。 図表2の29:本市における身近な支援者の分類と依存症に対する関わり (図表ここから) 分類:身近な支援者としての行政 具体的な機関・団体: 区役所(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課など)、児童相談所など 依存症に対する関わり: ●貧困や虐待、DV、多重債務、健康問題等に関する行政の相談窓口として、初期の相談や専門的な相談等幅広く対応しています。 ●相談内容の背景に依存症の問題があった場合には、専門的な支援者へのつなぎをおこなっています。 分類:福祉 具体的な機関・団体: 精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター、地域ケアプラザ、発達障害者支援センターなど/指定特定相談支援事業所、障害福祉サービス事業所など/きょ宅介護支援などの介護事業所、生活困窮者支援を行う事業所、保育所など 依存症に対する関わり: ●要介護者や障害者、生活困窮者、こどもなどが地域生活を送る上で必要なケアやサポート、福祉サービス、相談支援等を提供しています。 ●サービスを提供する中で、支援対象者等が依存症の問題を抱えている場合には、専門的な支援者に関する情報提供などをおこなっています。 分類:医療(一般医療機関) 具体的な機関・団体: 依存症の治療を標榜していない医療機関(内科、婦人科、精神科など) 依存症に対する関わり: ●患者に依存症の問題が疑われる場合に、専門的な支援者に関する情報の提供やつなぎを行います。 ●また、疾病などを抱えながら依存症の回復に臨む患者に対し、専門的な医療機関や他の支援者と連携しながら各診療科の専門性を踏まえた医療を提供しています。 分類:法律 具体的な機関・団体: 法テラスや法律事務所、司法書士事務所、保護観察所、更生保護施設など 依存症に対する関わり: ●法律相談等に対応する中で、依存症に起因する多重債務等の問題を抱える人へ、相談窓口の情報提供などをおこなっています。 ●また、保護観察所や更生保護施設は、薬物使用等で検挙された人が再び犯罪を繰り返すことのないよう、支援をおこなっています。 分類:教育 具体的な機関・団体: 小中学校や高等学校、専門学校、大学など 依存症に対する関わり: ●各学校・教育機関の教育活動の中で、依存症の予防と正しい理解の促進に向けた教育・指導などをおこなっています。 ●様々な課題を抱えるこどもに対し、保護者や他の支援者と連携しながら指導や援助をおこなっています。 (図表ここまで) カッコ、3、医療機関 ア、専門医療機関 依存症の本人への支援においては、専門医療機関が大きな役割を果たしています。 専門医療機関とは、依存症に係る所定の研修を修了した医師等が配置され、依存症に特化した専門プログラムを行うなど、依存症に関する専門的な医療を提供できる医療機関のことです。 これらの専門医療機関の中には、アルコール・薬物・ギャンブル等以外にも幅広い依存症の治療に対応している医療機関もあり、依存症に合併する精神疾患への対応や障害福祉サービス等と連携した支援なども行われています。 図表2の30:県内に立地する専門医療機関 (図表ここから) ※治療拠点機関は、「診療対象の依存症」の項目を二重丸、治療拠点機関でない専門医療機関は丸と表記 医療機関めい 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立精神医療センター 所在地 横浜市港南区 診療対象の依存症 アルコール健康障害 二重丸、 薬物 二重丸、 ギャンブル等 二重丸 医療機関めい 医療法人社団ゆうわ会大石クリニック 所在地 横浜市なか区 診療対象の依存症 アルコール健康障害 丸、 薬物 丸、 ギャンブル等 丸 医療機関めい 医療法人せいしん会神奈川病院 所在地 横浜市旭区 診療対象の依存症 アルコール健康障害 丸、 薬物 該当なし、 ギャンブル等 該当なし 医療機関めい 学校法人北里研究所北里大学病院 所在地 相模原市南区 診療対象の依存症 アルコール健康障害 二重丸、 薬物 二重丸、 ギャンブル等 二重丸 医療機関めい 独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 所在地 横須賀市 診療対象の依存症 アルコール健康障害 丸、 薬物 該当なし、ギャンブル等 丸  医療機関めい 医療法人財団せいざん会みくるべ病院 所在地 秦野市 診療対象の依存症 アルコール健康障害 丸、 薬物 丸、ギャンブル等 該当なし  (図表ここまで) 出典:神奈川県ホームページを一部改変 イ、依存症の治療を行う医療機関 「医療情報ネット(ナビイ)(脚注16)」によると、横浜市においてアルコール依存症に対応している医療機関は73件、薬物依存症に対応している医療機関は52件(令和7年8月時点)となっています(脚注17)。 外来での対応を行う医療機関では、「集団療法」(脚注18)、「個別療法」(脚注19)、「家族向け集団教育」(脚注20)、「コ・メディカルスタッフ(脚注21)相談」などのプログラムが一般的に提供されています。 脚注16 診療日や診療科目といった一般的な情報に加え、対応可能な疾患・治療内容、提供しているサービスなど様々な情報から、全国の医療機関を検索することのできるシステム。 脚注17 アルコール依存症に対応している医療機関すうは、「神奈川県横浜市 アルコール依存症」というキーワードで検索し、抽出された結果。薬物依存症に対応している医療機関すうは、「神奈川県横浜市 薬物依存症」というキーワードで検索し、抽出された結果。 脚注18 治療者と複数の患者が一緒に治療を行う方法。 脚注19 治療者と患者が1対1で治療を行う方法。 脚注20 病院・診療じょが企画実施する、依存症者理解のために家族が参加する勉強会(家族教室)や、分かち合い。 脚注21 医師以外の医療関係職種のこと。看護師や精神保健福祉士、理学療法士等のリハビリテーション専門職など。 ウ、身近な支援者としての医療機関(一般医療機関) ア及びイに記載した専門医療機関や依存症の治療を行う医療機関以外にも、市内には多くの精神科や内科・外科などの身体科の医療機関が立地しており、本市が公開している「横浜市内の病院・一般診療じょ・歯科診療じょ名簿」(令和7年4月1日現在)によれば、市内には病院が130か所、一般診療じょが3254か所あります。 このうち、依存症や物質への依存等により生じた健康障害の治療に深く関わると考えられる医療機関を見てみると、精神科を標榜している医療機関が400件(うち一般診療所339件)、内科を標榜している医療機関が2190件(うち一般診療所2069件)となっています。 これらの医療機関は、専門医療機関や依存症の治療を行う医療機関と比較して数が多く、日々の通院などにおいて依存症であることに自覚のない人とも接する機会が少なくないものと推察されます。そのため、依存症の早期発見と専門医療機関をはじめとする専門的な支援者へのつなぎに向けた、重要な役割を担っているものと考えられます。 また、アルコールや薬物の多量摂取などで緊急搬送された患者に対応する救急外来のある医療機関についても、回復の過程において専門的な支援者へとつなぐ役割が期待されます。 カッコ、4、民間支援団体等 ア、回復支援施設 回復支援施設とは、回復施設、リハビリ施設とも呼ばれ、施設ごとに様々なプログラムや支援メニューを実施し、依存症等からの回復を支援する施設のことを指します。 これらの施設のスタッフについては、依存症からの回復者が携わっていることも多く、回復者が施設長を務める施設も多くあります。 また、運営体制も多様で、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業所としての報酬を受けて運営する施設、本市が独自に助成している地域活動支援センターとして運営する施設、法人独自の財源により運営する施設などがあります。依存症の本人が入所し共同生活を送る施設や、つうしょによるプログラムを提供する施設など、様々な支援が行われています。 各回復支援施設の支援対象も様々で、アルコール・薬物・ギャンブル等など、いずれかの依存症に特化して支援を行う施設、複数の依存症や依存症全般に対応する施設があります。 他の自治体と比較して、市内には社会資源が相対的に多く集積しています。加えて、全国的に珍しい女性専用の回復支援施設も本市において活動しています。駅周辺など市内の比較的アクセスのよい場所で活動している団体もあり、施設すう・活動の多様性・支援対象の広がり・アクセスのしやすさなどの総合的な観点から見て、本市の回復支援施設は依存症の本人にとって利用しやすく、多様な選択肢を提供している状況にあります。 図表2の31:市内回復支援施設一覧 (図表ここから) ①団体めい  NPO法人RDP 施設めい RDP横浜 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  丸 その他  丸 団体所在地 横浜市神奈川区まつもと町4‐28‐16弘津ビル2かい ②団体めいNPO法人 あんだんて 施設めい 女性サポートセンターIndah 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  該当なし ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 横浜市瀬谷区瀬谷4‐11‐16足立ビル1階 ③団体めい NPO法人市民の会寿アルク 施設めい 第1アルク・デイケア・センター松影、アルク・ハマポート作業しょ、アルク翁、第2アルク生活訓練センター、第2アルク地域活動支援センター、アルク・ヒューマンサポートセンター 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  該当なし 団体所在地 横浜しなか区松影町3-11-2三和物産松影町ビル2階 ④団体めい NPO法人ステラポラリス 施設めい ステラポラリス 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 横浜市ほどがやく宮田町1-4-6カメヤビル2階 ⑤団体めい 日本ダルク神奈川 施設めい 日本ダルク神奈川 主な依存対象 アルコール  該当なし 薬物  丸 ギャンブル等  該当なし ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 横浜しなか区きたがた町1-21 ⑥団体めい NPO法人ヌジュミ 施設めい デイケアセンターぬじゅみ 主な依存対象 アルコール  該当なし 薬物 該当なし ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 横浜市ほどがや区にしや4丁目1番6号 ⑦団体めい NPO法人BB 施設めい 地域活動支援センターBB 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸  ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 横浜市南区東まいた町15-3YTCビル1階 ⑧団体めい 一般社団法人ブルースター横浜 施設めい ブルースター横浜 主な依存対象 アルコール  該当なし 薬物  該当なし ギャンブル等  丸 ゲーム  丸 その他  丸 団体所在地 横浜市金沢区のうけんたいどおり3の1アサヒビル201号室 ⑨団体めい しょうなんダルク(HOPE) 施設めい しょうなんダルク 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  丸 その他  丸 団体所在地 横浜市こうなん区日野中央1-6-22 ⑩団体めい NPO法人横浜依存症回復擁護ネットワーク(Y-ARAN) 施設めい YRC横浜 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  丸 その他  丸 団体所在地 横浜市磯子区しもちょう12-15 ⑪団体めい NPO法人横浜ダルク・ケア・センター 施設めい 横浜ダルク・ケア・センター 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  該当なし ゲーム  該当なし その他  該当なし 団体所在地 横浜市南区しゅくちょう2-44-5 ⑫団体めい NPO法人横浜マック 施設めい 横浜マックデイケアセンター 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  該当なし 団体所在地 横浜市旭区ほんじゅくちょう91の6 ⑬団体めい 株式会社わくわくワーク大石 施設めい わくわくワーク大石 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  丸 その他  丸 団体所在地 横浜しなか区弥生町4-40-1 ⑭団体めい (認定)NPO法人ワンデーポート 施設めい ワンデーポート 主な依存対象 アルコール  該当なし 薬物  該当なし ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  該当なし 団体所在地 横浜市瀬谷区相沢4-10-1クボタハイツ102 ⑮団体めい NPO法人ギャンブル依存ファミリーセンターホープヒル 施設めい ホープヒル 主な依存対象 アルコール  丸 薬物  丸 ギャンブル等  丸 ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 横浜市旭区東きぼうがおか133-1第3コーポラスCとう508号室 ⑯団体めい NPO法人ダルクウィリングハウス 施設めい ダルクウィリングハウス 主な依存対象 アルコール  該当なし 薬物  丸 ギャンブル等  該当なし ゲーム  該当なし その他  丸 団体所在地 住所は非公開 (図表ここまで) 図表2の32:市内専門医療機関・回復支援施設の分布状況 (図表ここから) マップ図が示されています。 (図表ここまで) ※所在地が公表されている団体のみ掲載しています イ、自助グループ 自助グループとは、何らかの障害、問題、悩みなどを抱えた人たち同士が出会い、ミーティングや情報交換を通じ、相互に援助し合うことで、その問題からの回復を目指すことを目的とした集まりを指します。また、自助グループの中には、互いに実名を伏せて匿名で関わり合うものもあり、匿名・無名のグループ(Anonymous)という言い方がなされることもあります。 これらの自助グループは、アルコール・薬物・ギャンブル等といった依存対象を限定したもの、依存対象を限定しないものが存在し、依存症の本人を対象とする団体のほか、その家族等を対象とする団体もあります。 また、テレビ・Web会議システムを活用したオンラインによるミーティングを開催している団体もあります。 こうした市内の団体の中には、AAやアラノンといった海外で設立されたグループや、全国規模の団体の横浜支部、横浜市域で独自に活動する団体などもあり、規模も様々です。また、活動資金についてもメンバーからの献金のみの団体、会費で運営されている団体などがあり、それぞれの団体の活動理念を踏まえた、独自のミーティング手法を用いた自助活動が進められています。 図表にのさんじゅうさん:市内自助グループ・家族会一覧 (図表ここから) 対象 アルコール依存症の市内自助グループ・家族会として3団体が示されています。 団体めい AA(アルコホーリクス・アノニマス) 対象 本人 丸 家族等 該当なし 団体めい 横浜断酒新生会(一般社団法人神奈川県断酒連合会) 対象 本人 丸 家族等 丸 団体めい アラノン(NPO法人アラノン・ジャパン) 対象 本人 該当なし 家族等 丸 薬物依存症の市内自助グループ・家族会として3団体が示されています。 団体めい NA(ナルコティクスアノニマス) 対象 本人 丸 家族等 該当なし 団体めい ナラノン(NPO法人ナラノンジャパンナショナルサービス) 対象 本人 該当なし 家族等 丸 団体めい NPO法人横浜ひまわり家族会 対象 本人 該当なし 家族 丸 ギャンブル等依存症の市内自助グループ・家族会として3団体が示されています。 団体めい GA(ギャンブラーズ・アノニマス) 対象 本人 丸 家族等 該当なし 団体めい ギャマノン(一般社団法人ギャマノン日本サービスオフィス) 対象 本人 該当なし 家族等 丸 団体めい NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会 対象 本人 該当なし 家族等 丸 全般の市内自助グループ・家族会として1団体が示されています。 団体めい あざみ野ファミリー12ステップ 対象 本人 丸 家族等 丸 (図表ここまで) 3、第1期計画の振り返りと課題 第1期計画では、図表にのさんじゅうよんのとおり基本理念及び基本方針を定めました。そして、一次支援・二次支援・三次支援という3つのフェーズごとに2つずつ、各依存症の予防及び回復支援に着目した重点施策を設定しました。また、重点施策ごとにモニタリング指標を設け、効果の点検を行いながら施策を展開してきました。 図表にのさんじゅうよん:第1期計画の理念・基本方針・重点施策 (図表ここから) 基本理念、基本方針、 支援フェーズ及び重点施策の体系が示されています。 基本理念 依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、より自分らしく健康的な暮らしに向かって進み続けるようにできること 基本方針 依存症の予防及び依存症の本人や家族等が自分らしく健康的に暮らすための支援に向け、関係者がそれぞれの強みを生かしながら、連携して施策を推進すること 一次支援(予防・普及啓発)に 【重点施策1】、予防のための取組 【重点施策2】、依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 が設定されていることが示されています。 二次支援(早期発見・早期支援)に 【重点施策3】、相談につながるための普及啓発 【重点施策4】、身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組 が設定されていることが示されています。 三次支援(回復支援)に 【重点施策5】、専門的な支援者による回復支援の取組 【重点施策6】、地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 が設定されていることが示されています。 (図表ここまで) カッコ、1、一次支援(予防・普及啓発)に関する取組の振り返り ①、取組の内容と成果 重点施策1については、横浜市立の小中学校で安心してゲームとつきあう家庭のルールづくりを啓発するチラシを配布したほか、区役所、地域ケアプラザ等の庁内外の関係機関において依存症関連のリーフレットやチラシの配架・配布を行い、た世代の市民に対して広く依存症の問題に関する普及啓発、情報提供を行いました。 また、重点施策2については、公共交通機関や公共の場、インターネット上で依存症の正しい理解を促進するための動画広告を配信するとともに、市民向け講座や依存症の知識を啓発するパネル展などを開催しました。 こうした取組の結果、様々な世代の市民が身近な場所で依存症に関する情報にふれる機会の拡充が図られ、市民の依存症への認知度が高まりました。また、こころの健康相談センターにおける依存症に関する相談件数が増加しました。 ②、本計画の策定に向けた課題 他方、特に若年層における市販やく・処方やくへの依存の問題やオンラインギャンブルの拡大など、依存症を取り巻く環境は第1期計画の策定時から変化をしています。また、図表にのにじゅうななとして掲載した市民意識調査の結果からは、ゲームやネット・SNS、買い物、せいなどの依存症に関する認知度がアルコールや薬物、ギャンブル等と比較して低く、図表にのにじゅうはちの結果からは、依存症の人に対して、「近所づきあいをしたいとは思わない」、「自業自得である」、「意志が弱い」といった誤解や偏見が残ることが分かりました。 本計画においては、新たな依存症の問題への対応や依存症に関する理解の更なる促進、誤解・偏見の解消に向けた取組が、引き続き重要になるものと考えられます。併せて、誤解や偏見の解消に、より一層つながるよう、啓発動画等の内容を再度検討することも必要であると思われます。 (囲みここから) 【依存症普及啓発動画】 (写真ここから) (横浜市YouTube『あいあむ依存症?』のサムネイル) (写真ここまで) 本市では第1期計画期間中に、依存症の正しい理解を広める動画や相談をかんしょうする動画を制作し、動画広告(YouTube)や交通広告など様々な媒体で配信してきました。 【依存症パネル展】 (写真ここから) (『依存症パネル展』) (写真ここまで) 依存症について関心を深め理解を得る機会につながるよう、ギャンブル等依存症問題啓発週間などに合わせて、横浜市庁舎でパネル展示を実施しました。 パネル展示と合わせて各民間支援団体等のパンフレットを配架し、依存症の問題を抱える人に対して各団体の活動についての情報提供も行いました。 (囲みここまで) カッコ、2、二次支援(早期発見・早期支援)に関する取組の振り返り ①、取組の内容と成果 重点施策3においては、検索エンジンと連動した広告などメディア・インターネットを活用した相談につながる情報発信やじゅうからにじゅうもん程度の質問に答えるだけで依存症のリスクを簡易てきに判定できる依存症セルフチェックサイトの開設による相談かんしょうなどの取組を進め、依存症の本人や依存症が疑われる人、その家族等が適切な支援につながるための情報提供を行いました。また、行政を含む様々な団体や関係機関が一体となり、依存症が疑われる人やその家族等が適切な相談機関につながることを目的の一つとした講演会やセミナー等を行いました。 加えて、重点施策4においては、支援者間のネットワーク形成や依存症の人の早期発見と重層的な支援体制の実現に向けて、関係機関による本市連携会議を開催したほか、依存症支援者向けガイドライン(詳細はのちほど紹介するコラム参照)を作成しました。 これらの取組の結果、依存症の本人等が自身の問題に気付き、支援につながりやすくなるとともに、相談を受けた身近な支援者から依存症の治療・回復支援を専門とする機関や団体に適切につなぐ重要性について、各機関が共通認識を持つことができました。 ②、本計画の策定に向けた課題 他方、本章に掲載した依存症の推計者数と医療機関の受診者数、あるいはこころの健康相談センターの相談件数を比較すると、自身の依存症の問題に気付きながらも適切な支援につながっていない市民が一定数存在するものと推察されます。 このため、現在支援につながっていない市民に届くような多様な手法による広報活動を継続して実施していくとともに、依存症支援者向けガイドラインが実際に支援の現場で活用され、依存症に対する理解促進と関係機関同士の連携強化が図られるよう働きかけを行う必要があると考えられます。 また、一度相談や支援につながった人が継続的に回復プロセスを進められるよう、支援者による動機付けや本人の意向に沿った支援機関等とのマッチングの力を高める取組の強化、回復を支える家族等への支援なども本計画で引き続き取り組む必要があると考えられます。 (囲みここから) 【コラム】 依存症支援者向けガイドラインの作成 依存症の本人やその家族等においては、自身・家族等が依存症であることに気付いていないケースや、依存症であることを否認するケースも散見されます。そのため、行政や福祉、医療、法律、教育など本人や家族等と接点を持つ機会のある身近な支援者が、依存症の問題に気付き、専門的な支援者につなぐことが早期発見・早期支援のために重要になります。 また、依存症には、その背景に様々な生きづらさの問題がある場合も多く見られます。そのため、回復支援においては、身近な支援者と専門的な支援者が連携した取組が必要となります。 他方で、身近な支援者の多くは、依存症に関する知識や支援ノウハウが乏しく、依存症が疑われる人等に対して受診を促しただけで関係が途切れてしまったり、適切な支援や助言ができず継続的な関係構築ができなかったり、あるいは専門的な支援者への橋渡しが難しいといった問題が発生していました。 そこで本市では、身近な支援者と専門的な支援者の連携強化に向けて、第1期計画における取組として、『入門・イチから学ぶ依存症支援~横浜市内で依存症及び関連課題に携わる支援者向けガイドライン~』を作成しました。 本ガイドラインでは、依存症に関する基礎知識や身近な支援者が依存症の本人等に対応する際の相談・支援ノウハウなどを取りまとめたほか、支援団体の一覧や依存症チェックリストなどを掲載しており、本市のホームページで公開をしています。 (写真ここから) (『入門・イチから学ぶ依存症支援~横浜市内で依存症及び関連課題に携わる支援者向けガイドライン~』) (写真ここまで) (囲みここまで) (囲みここから) 【依存症セルフチェック~あなたは大丈夫?それってもしかして依存症かも、ビックリマーク~】 アルコール・薬物・ギャンブル等・インターネットの4分野の依存症のリスクを簡易てきにチェックし、自身の状態を確認できるWebページです。 10から20問の選択式の質問に答えることで、依存症のリスクを1分程度で判定することができます。スマートフォンやパソコンから利用が可能です。 チェック結果の画面では、依存症の相談先などの情報を得ることができます。 (写真ここから) (『依存症セルフチェックしてみませんか?』パンフレット) (写真ここまで) (囲みここまで) カッコ、3、三次支援(回復支援)に関する取組の振り返り ①、取組の内容と成果 重点施策5については、こころの健康相談センターの依存症相談窓口において専門の相談員が相談内容をうかがい回復していくためのアドバイスや適切な相談機関を紹介するとともに、依存症の回復プログラムや依存症家族教室を開催し、また、民間支援団体等がミーティングや相談会を開催するなどの様々な取組をおこなってきました。 重点施策6では、本市連携会議での事例検討や回復支援団体の活動内容の共有などを行い、身近な支援者と専門的な支援者間の情報連携の強化を図りました。 これらの取組の結果、依存症の本人の回復を支援するための環境づくりは一定程度進んだものと考えられます。 ②、本計画の策定に向けた課題 検討部会では、回復支援のフェーズにおいて住居の確保が困難である等の問題が指摘されました。現状の依存症支援に関する連携は、医療・福祉関係者が中心となっています。 回復支援のフェーズの支援者・関係機関との間の連携や依存症の知識啓発などを医療・福祉関係以外の分野にも広げていくことが重要になると考えられます。 (囲みここから) 【依存症相談窓口(こころの健康相談センター)】 (表ここから) 対象、依存症の本人・家族のいずれかが横浜市内に在住のかた 受付時間、げつからきん(祝日・年末年始を除く)8:45~16:30(対応は17:00まで) 相談方法、電話でお話をうかがった後、必要に応じてらいしょでのご相談(予約制)を受けています。 (表ここまで) 【依存症回復プログラム「ワイワイ」】 アルコール・薬物・ギャンブル等をはじめとした依存症からの回復を目指す依存症の本人を支援する、参加型の集団プログラム。 全10回程度のプログラムの中でワークブックを使って、依存症のメカニズム、再発のサイン・対処法について講師や当事者スタッフと一緒に学びます。当事者スタッフは、自助グループや回復支援施設などの民間支援団体等で活動されている方々で、回復のきっかけづくりの支援や、地域の依存症関連機関についての情報提供を行います。 (写真ここから) (『横浜版依存症回復プログラム「ワイワイ」』ワークブック) (写真ここまで) (囲みここまで) カッコ、4、計画全体の振り返り 第1期計画全体を振り返ると、一次支援・二次支援・三次支援の各支援フェーズにおいて取組を推進し、特に依存症の本人やその家族等に対する普及啓発や関係機関同士の連携の強化などを進めてきました。 他方、第1期計画策定時には現在ほど顕在化していなかった市販やく・処方やくやオンラインギャンブルへの依存が社会問題となっており、こうした新たな依存対象への取組が課題となっています。 また、第1期計画においては、数値目標を設定していなかったことから、施策の推進や計画全体の進行管理・評価が見えづらい面があった点も見直すべき課題の1つです。 (囲みここから) 【こころの健康相談センターで作成した各種パンフレット】 こころの健康相談センターでは依存症の本人や家族等に向けたリーフレットを市役所や区役所、各関係機関で配架しました。また、ゲームとのつきあいかたを考えるチラシを市立小中学校で配布、ギャンブル等依存症啓発カードを場外馬券発売じょ等で配架するなど、このほかにも様々な普及啓発をおこなってきました。 (写真ここから) (『依存症って知っていますか』パンフレット) (写真ここまで) (写真ここから) (『依存症かなと思ったら…家族のためのハンドブック』リーフレット) (写真ここまで) (写真ここから) (『家族で考えよう!ゲームとのつきあいかた』パンフレット) (写真ここまで) (写真ここから) (『横浜市でギャンブルなどのお悩みを抱えるあなたへ』名刺サイズカード) (写真ここまで) (囲みここまで)