市民の健康づくり計画「第2期健康横浜21」の取組結果 横浜市健康福祉局 令和4年6月 1 第2期健康横浜21の概要 (1)計画の位置付け    健康増進法に基づく市町村健康増進計画であり、国の健康日本21(第二次)の地方計画 (2)計画期間    平成25年度から令和5年度までの11年間(当初予定より1年延長) (3)基本理念    すべての市民を対象に、乳幼児期から高齢期まで継続して生活習慣改善や、生活習慣病の重症化予防を行うことで、いくつになってもできるだけ自立した生活を送ることができる市民を増やします。 (4)基本目標    10年間にわたり健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を延ばします。     (5)取組テーマ    「育ち・学びの世代(乳幼児期〜青年期)」「働き・子育て世代(成人期)」「稔りの世代(高齢期)」の3つのライフステージに分け、健康増進の基本である「食生活」「歯・口腔」「喫煙・飲酒」「運動」「休養・こころ」の5つの分野から、生活習慣の改善にアプローチします。また、生活習慣病の重症化を予防するため、がん検診、特定健診の普及を進めます。 (6)行動目標 <市民一人ひとりが取り組む健康づくり>    市民一人ひとりがライフステージに合わせた健康づくりに取り組めるよう、取組テーマである「生活習慣の改善」や「生活習慣病の重症化予防」につながる健康行動の中から、分野ごとに最も重要と考えられる17種類19項目の行動目標を設定しています。 2 行政及び関係機関・団体によるこれまでの取組   健康に関する個人の意識や知識を高め、健康づくりを始めるきっかけをつくり、続けやすい環境を整えるための取組を推進しました。   テーマ:健康に関する意識や知識の向上に向けた取組   取組例:健康チェックや食事・運動等のポイントを学ぶ健康講座   テーマ:生活習慣改善のきっかけづくりと継続支援   取組例:健診結果の見方や改善ポイントに関する健康相談   テーマ:関係機関・団体と連携した普及啓発活動   取組例:保健活動推進員、食生活等改善推進員による啓発。なお、保健活動推進員は「特定健診・がん検診の普及啓発」「禁煙・受動喫煙防止の推進」「歯科口腔保健の推進」「よこはまウォーキングポイント事業」「健康スタンプラリー事業」に特に力を入れました。食生活等改善推進員は、全世代を対象に「3食しっかり食べる」「野菜たっぷり・塩分少なめ」「バランスよく食べる」の啓発に力を入れ取り組みました。   テーマ:楽しみながら行う健康づくりの推進   取組例:よこはまウォ−キングポイント、健康スタンプラリー   テーマ:職場を通した働き世代へのアプローチ   取組例:健康経営の推進   テーマ:特定健診・がん検診の受診率向上に向けた取組   取組例:ナッジ理論を活用したダイレクトメール送付。なお、ナッジ理論とは行動経済学の知見を使って、肘で軽く突くように、人々にそれとなく望ましい行動を選択するように促すことです。 3 第2期健康横浜21最終評価の概要 (1)基本目標「健康寿命を延ばす」    健康寿命は、平成22年から令和元年の9年間で、男性では70.93年から72.60年へと1.67年、女性では74.14年から75.01年へと0.87年延びました。    また、健康寿命の延伸と共に平均寿命も着実に延ばすことができました。平均寿命は、平成22年から令和元年の9年間で、男性では80.29年から82.03年へと1.74年、女性では86.79年から87.79年へと1.00年延びました。    しかし、健康日本21(第二次)によって定められた目標値「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」については、健康寿命の増加分の方が男性0.07年、女性0.13年下回り、目標値に達するには至りませんでした。 (2)市民の行動目標    評価段階は、S:目標値に達した、A:目標に近づいた(統計的に有意に改善、3%以上の改善、目標と同じ方向)、B:変化なし(統計的に差がない、3%未満の変化)、C:目標から離れた(統計的に有意に悪化、3%以上の悪化、目標と逆方向)、D:評価が困難(基準変更や調査項目変更に伴い評価が困難)の5段階としています。    行動目標の指標の数値変化を評価したところ、19項目の行動目標のうち、約5割の9項目において、A:目標に近づいた、又は、S:目標値に達したとなり、取組の効果が一定程度見られました。 4 分野別の振り返り(第2期健康横浜21最終評価)   生活習慣の改善(食生活、歯・口腔、喫煙・飲酒、運動、休養・こころ)と生活習慣病の重症化予防(がん検診、特定健診)の分野別に振り返りました。     食生活分野:1日の野菜摂取量、食塩摂取量、新型コロナ感染拡大を機に食生活の意識は向上しました。バランスよく食べる人は減少しました。具体的にわかりやすい「バランスのよい食事」の普及、自然と健康な食事を選択できる食環境整備が課題です。      歯・口腔分野:育ち・学びの世代のむし歯は改善、稔りの世代の歯の本数は目標を達成しました。過去1年間の歯科健診受診者割合、60歳代の咀嚼良好者の割合は変化がありませんでした。乳幼児期からのむし歯予防、定期歯科健診の機会がない世代への取組、歯周病と全身疾患との関連の普及・啓発、オーラルフレイル予防、障害児・者の口腔ケアが課題です。      喫煙・飲酒分野:受動喫煙の機会、喫煙率は低下、リスクを高める量を飲酒する者の割合は減少しました。飲酒頻度は毎日が最多でした。未成年者と同居する者への禁煙支援、飲酒リスクの的確な普及・啓発が課題です。      運動分野:育ち・学びの世代の運動習慣は増加しました。働き・子育て世代の1日の歩数、稔りの世代の運動に関する数値は変化がありませんでした。運動への関心を行動や習慣化させるきっかけづくり、楽しく運動を継続できる仕組みづくり、感染予防に配慮しつつ、人と人とのつながりを生かした取組を行うことが課題です。      休養・こころ分野:睡眠による休養がとれない者は減少しました。睡眠が6時間未満の小学生が増加しました。スマホやゲームの関連も考慮した子どもの睡眠に対する取組、生活習慣病等の発症リスクと睡眠との関連性の周知が課題です。      がん検診分野:がん検診の受診率は向上しました。新型コロナ感染拡大によるがん検診の受診控えへの対応、がん検診受診後の精密検査受診率の向上、がん検診制度の認知度が低い若い世代をはじめとした普及啓発の継続が課題です。      特定健診分野:目標値には達していないものの、令和元年度の特定健診受診率は過去最高を達成しました。特定健診の認知度の向上と受診行動につながる取組の推進が課題です。 5 ライフステージ別の振り返り(第2期健康横浜21最終評価)      育ち・学びの世代(乳幼児期〜青年期):「歯・口腔」「喫煙・飲酒」「運動」は順調でしたが、「食生活」は変化がなく、「休養・こころ」は目標から離れました。育ち、学びの世代は、保護者の生活習慣の影響を受けるため、働き・子育て世代と合わせた取組が必要です。また、適正な睡眠習慣を身につけられるよう、学校等と連携した働きかけが必要です。      働き・子育て世代(成人期):「喫煙・飲酒」「休養・こころ」「がん検診」はおおむね順調ですが、「歯・口腔」「運動」「特定健診」は変化がありませんでした。特定健診と同様に、がん検診や歯科健診も、外出自粛による受診控えの影響を受けていることを想定して、引き続き取組を進めていくことが必要です。また、多くの時間を職場で過ごす世代のため、事業所の健康経営を推進していきます。      稔りの世代(高齢期):「80歳で20歯以上自分の歯を有する者の割合」は、すべての行動目標の中で、唯一「S:目標値に達した」となりました。「喫煙・飲酒」「休養・こころ」「がん検診」は目標に近づきましたが、目標値に達したものはなく、取組の強化が必要です。また、外出自粛によって運動を継続している者の割合が減っており、生活習慣病やフレイルなどの課題が大きくなる恐れがあります。働き・子育て世代からの切れ目のない取組で、稔りの世代のより良い生活習慣につなげていくことが大切です。 第2期健康横浜21最終評価の詳細はこちら https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/kenkozukuri/21/naiyo/plan.html